<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
書面電子化について、言いたいことは大体、先日の本会議で申し上げまして、かなり厳しい大臣にも指摘をさせていただきました。後でちょっと気の毒な気もしましたけど、何か御感想あるでしょうか。
○国務大臣(井上信治君) 本会議での質疑も含めて、今日もお時間をいただいておりますので、しっかり御理解をいただけるように説明してまいりたいと思います。
○大門実紀史君 今日もちょっと、大臣の御答弁を含めて、ちょっとごちゃ混ぜの話がまだ続いておるかなと思うんですけど、繰り返し消費者の利便性の向上と両立するというお話がありましたけど、そんな一般的な話をずっとしているわけではないんですよね。世の中全体の取引じゃなくて、特商法の世界の話なんですよ。
だから、訪問販売とか電話勧誘とかマルチ商法とか、そこの話でございますので、そんなところで利便性高まっても困っちゃうわけですよね。そういう世界の話をしているということなので、私なんかジャパンライフのあのだました方の社員とか、そういう人たちが念頭にあってしゃべっておるわけですね。これ、参考人で来られた消費者団体の方も弁護士さんも消費者相談員の方も、みんなそれを描いて懸念を示して心配をされているわけでありますので、何かもうちょっと地に足付いた、かみ合わない議論じゃなくて、そういう話をしているということを是非改めて踏まえてほしいなと思うんですよね。
とにかく、書面の電子化は、今日もありましたけれど、立法事実がありません。先ほど経団連の話ありましたが、去年そういう話が出て、消費者庁は対応は困難ですということで断っていますので、立法事実ではありません。動きが、何といいますかね、右往左往しているというので、急に変わったりしているわけですね。しかも、本会議で申し上げたように、動機が不純でございます、今回出てきた経過が。
現場は猛反発しているということでありますので、これは消費者庁始まって以来の歴史的な汚点になると私は思いますので、今からでも遅くありませんから、大臣の御決断できっぱり削除、修正されるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(井上信治君) 消費者庁としてしっかり検討した上でこの法案を提出させていただいておりますので、是非御理解、そして御賛同いただけるようにお願いいたします。
○大門実紀史君 本当にこのままで、現場の皆さんはですね、このままで参議院で通していいのかと、通ってしまうのかということを思われておりますので、川田龍平さんからもありましたけれど、与党、野党の筆頭理事の、筆頭のところで最後まで御尽力をお願いしたいと、衆議院はぎりぎり頑張りましたので、参議院でもそういう努力を最後までお願いしたいというふうに思います。
その上で、消費者保護が一番でございますので、少しでも後につながる、つながればいいということで議論をしたいと思いますけれど。
高田次長は、今日もそうですけれど、政省令で歯止めを掛けたいということをずっと、掛けますということをおっしゃっておりまして、今まで、今日もメモしていたんですけど、高田さんの答弁というのは幾つかあります。
消費者庁の統一答弁だと思いますけれども、一つは、少なくとも口頭や電話だけの承諾は認めないと、こんなの当たり前でございます。消費者が承諾したことを明示的に確認すると、これも当たり前のことですね。消費者から明示的に返答、返信がなければ承諾があったとみなさない、こんなのも当たり前のことでございます。承諾を取る際に、その承諾によってどんな効果があるのか、どのような内容のことを電子メール等で送付されるのかを明示的に示す、これもわざわざ言う話じゃないです、当たり前ですよね。
そもそも、悪徳業者というのは本人を信じ込まして契約してきたわけですね、信じ込ませて。ですから、この明示的とか何だとか、その契約の仕方がどうあろうと簡単にサインさせるわけですね。そういう世界でありますので、こんな当たり前のことを言っていても仕方ないわけでありますし、さらに、具体的には、承諾の取り方として、現時点では、例えばウエブページ上でチェックを入れるだけでは承諾することは認めないと、こんなのも当たり前でございます。こんなの既にやっている事業者がたくさんおります。
したがって、あと、今日もおっしゃっていましたね、電子メールでPDFファイルを添付する方法に限定して、電子メールにURLが貼り付けてそれをそこからダウンロードすると、これは駄目と、こんなの当たり前であります。
要するに、こういう話で被害が防げるのかというと、防げるものではないということであります。
簡単に言いますと、この前の参考人のときもそうなんですけれど、承諾を実質化するとか、あるいは納得ずくの承諾という形を担保しようと思っていろんなことを考えても、そういう世界ではないと、それは困難だということでありますので、参考人のときに釜井弁護士がおっしゃっていましたけど、被害の現場というのは不意打ちを掛けて、訪問販売で不意打ちを掛けて、あるいはジャパンライフのように、時間掛けて時間を掛けて信頼をさせて契約に持ち込むと。
つまり、業者が消費者をリードして主導的に契約に持ち込むということでありますので、承諾の形をあれこれ考えて、こうしたらこうなるんじゃないかと考えても、結局ボタンを押させるということになりますので、そういうテクニカルな話じゃないというふうに私は思います。
せめて、今までは紙だったから、本会議でも申し上げましたし、参考人もおっしゃっていましたけど、実践的に紙だったから助けられたという事例が幾つもありますということに尽きるわけであります。なぜそれをなくすのかということにあると思います。
ですから、あれこれ承諾の方法を考えても、悪徳業者は擦り抜けて、あの手この手で擦り抜けます。
その上で、高田さんの御答弁の中で、私は二つだけ使える話があるのかなというふうに聞いてまいりました。
一つは、今日もありましたけど、承諾の方法を紙又はメール、電子メール、電子メールはもう同じことですが、紙という答弁もございました。紙ですね。紙は有効であります。有効であります。
もう一つは、契約の相手方がデジタル機器に不慣れな一定年齢以上の場合には、お年寄りとかですかね、家族などの契約者以外の第三者、第三者のメールアドレスにも送付させると。第三者という言葉が高田さんの一つの案として出てまいりました。これは有効だと思います。ただ、送付するだけ、アドレス聞いて送付するだけでいいのかと。やはり、第三者の承諾、契約保証的なものならば有効になるかというふうに思います。
つまり、今いろいろ検討されて、私も高田さんといろいろ意見交換していますけれど、有効な話は、使える話は、現場的に言えば、紙をどこかにかませると、どこかの段階にかませると。ただ、これは伊藤孝恵さんも言われたように、紙をなくそうと思ってまた紙をかませると、もう滑稽な話になるけれど、そういう滑稽な法案を出したんだから滑稽なことで防ぐしかないということでありますが、紙をかませるのが一つ。で、第三者ですね、高齢者とか若い人の場合は第三者をかませるということ。
この二点で更に深めて検討すべきじゃないかと思いますが、高田さん、いかがですか。
○政府参考人(高田潔君) 繰り返しの部分もございますけれども、消費者の被害の防止に当たっては、電磁的、承諾の実質化、非常に重要でございます。具体的には、消費者からの承諾の取り方については、実際には消費者から承諾を得ていないにもかかわらず承諾を得たなどとする行為を排除することが極めて重要でございます。
そのため、政省令等を策定するに当たっては、少なくとも今考えているものとしては、まず、後になって承諾を取ったかどうかが分からないということにならないよう、口頭や電話だけでの承諾は認めないこととし、電子メールなどの電磁的な方法か紙での承諾しか認めないことが考えられます。
この際、例えばオンラインで完結する取引は電子メールで、それ以外の分野については当面紙で消費者からの承諾を取らなければならないようにし、控えの交付も義務付けることが考えられます。また、オンラインで完結する取引についても、消費者被害を発生させる悪質事業者の活動が顕著に見られるものもあるので、消費者被害を発生させる蓋然性の低いオンライン完結型の取引については電子メールでの承諾を認めるということも一案として検討していきたいと考えております。
また、消費者が承諾をしたことを事業者に明示的に確認させることも重要だと考えており、そのためには、消費者から明示的に承諾に関して返答や返信を事業者にしなければ承諾があったとはみなさないことも考えられます。その観点から、勧誘の流れで対面での販売などにおいてそのタブレット上で承諾のチェックを入れさせることを認めないこととし、対面できちんと紙による承諾を得ることが原則とすることが適当ではないかと考えられます。
さらに、消費者から承諾を得る際に、電子メールなどで提供されるものが契約内容を記した重要なものであることや、電子メールなどで契約書面等を受け取った時点がクーリングオフの起算点となることを明示的に示すことも重要でございます。加えて、デジタル機器に不慣れなお年寄りの方が事業者の言われるがままに本意ではない承諾をしてしまったりしないような仕組みも必要だと考えております。
そのためには、先日のこの委員会の質疑で大門委員が御指摘になったように、契約の相手方が高齢者の方々の場合には、家族などの契約者以外の第三者にも承諾に関与させる、家族などにもメールを送らせることなどによって安易に承諾を得られないようにすることで消費者被害の発生を抑止できるのではないかと考えております。
今まで御説明した内容はあくまでも現時点での考え方ではございますが、いずれにせよ、法案が成立した暁には、オープンな場で広く意見を聴取する検討の場を設けるとともに、消費者相談の現場にいらっしゃる相談員の方や、デジタル技術に通じた専門家の方々などから丁寧に意見を伺いまして、それらを十分に踏まえながら消費者の承諾の実質化や電磁的方法による提供の具体的な方法の在り方を検討してまいります。
○大門実紀史君 もうそんなにたくさんしゃべらなくてもいいですよ。
聞いたのは、いろいろ言われた中の、有効なのは紙と第三者のかみ方だということでございますので、その点をちょっと、また意見交換もさせてもらいたいと思いますが、詰めてほしいと思います。
もう一つは、今少し出ましたけれど、今日も幾つか答弁ありましたけど、私、参考人のときに、参考人質疑のときに提案も含めて言わせてもらったんですけれども、ちょっと発想を変えて、今、高田次長おっしゃったのは、全体に書面電子化を認める中で、承諾のところで歯止めを掛けるという方法でありましたけれども、それを逆に、逆にですね、全体ではなくてやれる事業類型を決めると。
これは参考人のときに、正木参考人が勘違いされて、業法で決めるようなやり方はもう古いと。これ全然違うんですね。特商法は業法とかと関係ありません、取引類型でありますので、ちょっと勘違いして言われておりまして、何かそういう意味では全然なくて、取引類型のことでありますけれども。
その取引類型を決めて、その上で本人の承諾があればとやれば、これはもう別に現場からもそんなに反対とか、そういうちゃんとやっていらっしゃる事業者もいますからね、今オンライン化が進んでおりますので、まさに利便性という点ではいいのではないかと思って参考人のときも提案をさせてもらったんですけれども。
そもそも今回の法案はどういう立て付けになっているかといいますと、その書面の交付なんですけど、電子化にするのは、政令で定めるところにより、政令で定めるところにより消費者の承諾を得て書面に記載すべき事項を電子書面で提供することができると、できる規定になっております。政令で定めるところにより消費者の承諾を得て電子書面の交付ができるという規定になっておりますので、これは第四条の二、第十八条の二、三十七条の三、四十二条の四、つまり、訪問販売でも、電話勧誘でも、連鎖販売取引でも、特定役務の場合でも共通している言い方であります。
法制局にこのできる規定の解釈の仕方で聞きましたところ、政省令で、この書きぶり、この立て付けだと取引類型を決めるということが政省令で可能ではないかということも言っております。
したがって、高田さんも先ほどから少しお示しになったと思いますが、衆議院の最後の五月十三日の議論で、我が党の畑野議員が高田次長に質問したときにこの話が初めて出てきたんだと思います。
先ほどからおっしゃっていること、繰り返しになりますけど、要するに、例えばということで、オンラインで完結する分野は電子メールで、電子書面交付でいいと、それ以外のものは当面紙で承諾を得ることが考えられますと、一つの案として。
例えばということで更に畑野議員が聞いたときに、例えばネットで英会話を申し込んで、全部ずっと英会話で終わるようなものはそれに該当すると思いますというふうにおっしゃっております。これは私の考えとも一致して、政省令で、取りあえず、まあ立法事実といいますか要望として出てきたのは英会話のオンライン教室ですね、今普及しておりますから、そういうところなので、そういう最初の要望にも応えることになりますし、もちろん本人の同意が得てというのは必要かと思いますけれども。参考人でも、消費者団体の浦郷さんは、それならいいんではないでしょうかとおっしゃっておりました。
この政省令で承諾の仕方あれこれ細かくやったって、これ擦り抜けられますので、逆に具体的類型を決めていくと、これも現場の意見を聞きながら、消費者団体の意見を聞きながら政省令で具体的な類型を決めていくと、この方向が一番みんなが納得する方向ではないかと思うんですけれど、更にこの点深めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(高田潔君) 特商法において書面交付義務を事業者に課している趣旨は、契約内容を明確化し、後日紛争が生じることを防止するためであり、いろいろな取引類型によって法律上異なるものではないと考えております。そのため、今回の提案では、各取引類型に横断的に、消費者の承諾を得る場合に限り、例外的に電子メールでの提供を可能とするものでございます。今後、政省令等でおいて詳細な制度設計を行うことになりますが、取引類型を丸ごと電磁的方法での提供を政令で認めないということとすることは法律構成上不適切と考えております。
このような制度でございますから、政令において、政省令、通達において承諾の実質化等について区分して定めるということは可能と考えておりますが、契約書面の電子化ができる取引類型自体を限定することはできないと考えております。
○大門実紀史君 もう一つ聞きますけど、先ほどおっしゃいました、オンラインで完結するところは電子メールでと、紙でやっているところは当面そのままという答弁されていますが、その解説をもうちょっとやってください。
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
消費者の承諾を得てメール等で提供できるということが可能であるということは共通ではございますけれども、委員御指摘のとおり、デジタルに慣れた方だけがやる、例えばオンラインだけで完結しているようなものにつきましては電子メールでの承諾を可能とし、それ以外のものについては当面紙で承諾を得るということは考え得ると思っているところでございます。
○大門実紀史君 ですから、そういうことですよね。政省令でそういうことが立て付けとして可能だということでありますので、その方法を深めてもらうのが一番現実的ではないかというふうに思います。
あと、その法案が成立した後ですね、答弁では二つありますよね、施行期日までの間に検討していく場ですけど、一つはオープンな場で広く意見を聴取すると、聴取する検討の場を設けるとともに消費者委員会でもですから、このオープンな場で広く意見を聴取する検討の場というのは、これは具体的に今のところどんなものを想定されているんですか。
○政府参考人(高田潔君) 具体的にはちょっと今後法案成立の暁に検討したいと思いますけれども、やはりそれがどのような場で議論をされ、どのような形で決まっていったのかというものがやっぱり外から分かるというようなものでございまして、何か密室でやるとか、そういうものではないということだろうかと思っておりますが、具体的には今後検討したいと思います。
○大門実紀史君 今回、消費者委員会問題というのがいろいろありました。まあ今日は触れませんが、前触れましたんでね。消費者委員会のあの建議が必ずしも現場の意見をちゃんと踏まえたものなのかという大変な疑問があって、消費者委員会問題というのは、今日はやりませんけど、あったわけですね。そういう点では、消費者委員会は、メンバーの方がという意味じゃないんだけれども、その運営を仕切っている事務局とかは大変信用できないというのが今の現状でありますので、やはりきちっとオープンな公開の場、公開で、なおかつ何回か検討委員会のようなものを消費者委員会とは別途、消費者団体、相談員の方々の参加でやってもらいたいと思います。これはちょっと要望しておきますね。
もう一つは、消費者委員会との関係でいきますと、消費者委員会のメンバーの方は事務局以外はみんないい人ですよ。みんな現場から、いい人ですよ。だけど、ああいうふうに誘導されちゃったわけですね、誘導されちゃったわけですね。あれだけ反対意見、慎重意見が出たのに、最後は了承というふうに誘導されたわけですね。
私、大変心配しておりまして、そういう点では、これは皆さんに言うんじゃなくて委員長にお願いしたいんですけれど、この検討の途中、検討の結果、やっぱり国会で、国会がきちっと関与すべきだと思うんですよね。国会の意見を反映すべきだと思うんですよね。
まあ二年後、委員長替わっているかも分かりませんけれど、やっぱり委員会として、この検討に国会審議も、国会の審議の場を設けるということを理事会として検討しておいていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
○委員長(石井浩郎君) 後刻理事会にて協議いたします。
○大門実紀史君 もう今日は質問の項目は終わりましたけれど、やはり井上大臣、これだけの、これだけの反対となると異常な事態であります。
大臣も、恐らく次は、もう秋にはいらっしゃらないと思うんですよね、替わっていると思うんですよね。今までもそのパターンばかりで、一回も質問しないでどこかへ行っちゃった大臣もいるぐらい、これ激しいんですよね、激しいんですよね。しかし、これはもう前代未聞の法案でありますので、やっぱり井上大臣の責任で、消費者被害が絶対起こらないようにきちっとした手当てをして去っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
終わります。