国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2021年5月13日 財政金融委員会 日銀ETF購入批判
<赤旗記事>

2021年5月18日(火)

日銀ETF購入批判 参院財金委 大門氏がただす

質問する大門実紀史議員
=13日、参院財金委

 日本共産党の大門実紀史参議院議員は13日の財政金融委員会で、日銀が巨額の買い入れを続けている株式ETF(取引所に上場された投資信託)について取り上げました。

 日銀は今年3月の金融政策の見直しで、原則年間6兆円としていた買い入れ目安を削除する一方、新型コロナ対応で設けた年間最大12兆円の買い入れ方針を残しました。危機時への巨額買い入れという位置づけを明確にしたものです。

 大門議員は、これまでの日銀による巨額買い入れの実態を示しつつ、「株価が急落すると日銀が買い支える中で、株価バブルの一因となった」と批判しました。さらに、11日から日経平均株価が1800円急落したにもかかわらず、日銀が買い入れをしていない事実を指摘。市場参加者の混乱の声を紹介し、「金融緩和の出口に向けた方向転換と理解されるのではないか」と指摘しました。黒田東彦総裁は「出口は考えておらず、必要に応じて大胆に買う」と従来の答弁を繰り返しました。

 大門議員は金融政策の正常化に向けた提案として、2%物価目標の取り下げ、買い入れた国債、ETFの削減のための市場参加者との対話、投機筋の規制などを提案しました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門でございます。
 黒田総裁への質問は久しぶりでございます。お元気そうで何よりでございます。よろしくお願いしたいと思います。
 八年前、最初に黒田総裁が登場されたときは、バズーカ砲ということで大変険しい、殺気立った雰囲気がありましたけど、最近は本当に大変丸くなられて、肩の力が抜けているようなふうに感じて大変いいなと思っておりますので、是非かみ合う議論をお願いしたいと思います。
 今日、この委員会は、かなり市場関係者が注目をしているんではないかというふうに思うんですけれども、御存じのとおり、この二、三日、株価が急落をしております。十一日の終値でいえば九百円下がって、昨日の終値では更に四百円下がって二万八千百四十七円と、二日で千三百円下がったわけですね。
 今日も、今の時点で、一時半現在で言いますが、五百十円下がっておりまして、二万七千六百四十九円、十一日に比べると千八百円ほど株価が下がっております。
 その下で、市場関係者が、恐らくこの中継も相当の方見ていると思いますけれど、日本銀行がこのときにETFを購入するかどうかということに関心があって、そのときにちょうどこの委員会が開かれて、黒田総裁が何をおっしゃるかということに注目が集まっているんじゃないかと思います。
 私は、もう御存じのとおり、そもそも日銀が株に手を出すべきじゃないということを二十年前から言ってまいりましたけれども、今や日銀のETFの購入額は簿価ベースで三十六兆円、時価で五十二兆円、巨額の購入をされるようになってきておりますので、そうはいっても市場関係者は常に日本銀行がこのETFを買うのか買わないのかということに注目が集まっております。
 今朝のテレビ東京で日経モーニングサテライトというのがございまして、番組がありましたが、その中でも日銀のことが大変話題になっておりました。一つは、今株が足りない現象になっていると。その理由の一つは、日本銀行が株を保有しているからだということ、もう一つは、もちろん企業の自社株買いというのも挙げられておりましたが、そういうふうなことの話題が一つと、もう一つは、やはりこの二、三日の株の急落と日本銀行の対応についてコメンテーターが様々おっしゃっておりました。
 一つは、日銀の顔が見えないという言い方をされておりました。これは、少なくとも十一日、下がるとき、午前中から下がり始めた午後とか、そうじゃなくても十二日、昨日には今までならば日本銀行がETFを買い入れたと、それがなかったと、顔が見えないと。前は、後でちょっと申し上げますが、前は株が下がる、例えば午前中下がると午後には日銀の買入れが入るということで、市場関係者に安心感があったということもコメンテーターが言っておりましたが、ですから、今までならもう日銀がETFを買ってくれていたはずだと、それを二日間手を出さなかったので疑心暗鬼が広がっているという言い方もコメンテーターの方がされておりました。
 これをどう見るかということでありますけれども、現在のところ、先ほど申し上げたとおり、十一日に比べたら千八百円、株が急落をしております。今までならば既に日銀の買いが入っていたはずなのに、入っていないということであります。
 この状況なんですけれども、多分市場関係者は黒田さんに聞いてほしいんじゃないかと。まだ今日、あと一時間ありますが、日銀は株を、ETFを買い支えるのかどうかということにみんな注目しておりますけれど、私が聞くのも何なんですけど、いかがお考えか、話せる範囲でお願いいたします。

○参考人(黒田東彦君) 今年三月の点検で明らかになったことは、昨年の二月から三月にかけてのように、市場が大きく変動した場合に大規模にETF買入れを行うということがリスクプレミアムの抑制の点で効果的であるということが確認されたわけであります。したがいまして、日本銀行によるETFの積極的な買入れが市場の不安定な動きを緩和する効果があるということは確かだと思います。
 点検の結果を踏まえまして、ETF買入れは、感染症の影響への対応のための臨時措置として決定した約十二兆円の年間増加ペースの上限を継続する下で、市場の状況を見極めながら、必要に応じて実施しております。日々のETFの買入れにつきましては、金融政策決定会合で決定した方針の下で、その時々の市場の動向を踏まえて実務的に決定しているというふうに御理解いただきたいと思います。

○大門実紀史君 午前中、秋野委員の質問のときに内田理事が、今と同じように、ETFの買入れとは、買入れするのは、市場が大きく変動したときにまとめて大規模に行うのが効果的とおっしゃったんですね。今もその趣旨をおっしゃったということは、この今の、今現在、千八百円急落というのは市場が大きく変動したというところにはまだ当たらないということでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げていますように、その時々の市場の動向を踏まえて実務的に決定しておるのでありまして、この具体的な運用の内容、運用の方針等につきましては、市場に不測の影響を及ぼす可能性があるためにお答えは差し控えたいと思いますが、基本的な考え方は先ほど来申し上げたとおりでございます。

○大門実紀史君 少しこの一年の日本銀行のETF買入れの経過をちょっと振り返ってみたいと思うんですけれど、去年の二月頃ですかね、新型コロナの感染拡大によって経済の先行き不安が広がって、世界的に株価が急落をいたしました。各国政府は大規模な財政政策を次々と打ち出して、各国の中央銀行も大規模な金融緩和に踏み込んだわけであります。日本銀行も国債購入の上限額を撤廃すると同時に、このETFの買入れ額も従来の年間六兆円から十二兆円に倍増させたということですね。
 世界の株価は、その後急激な今度は上昇、急落して上昇して、逆に株価バブルじゃないかと言われるぐらいに上昇いたしました。日本の株価も、二〇二〇年の三月十九日の終値が一番下だったと思います。一万六千五百五十二円ですかね、それが急速に回復して三万円を突破して、今二万数千円になろうとしておりますけど、一時は三万円を突破したということであります。
 これは、要するに、私だけじゃなくていろんな方がおっしゃっていますが、世界中の中央銀行が大規模な金融緩和をやったそのマネーが、実体経済が余り元気になっておりませんから、結局株式市場に流れ込んで、実体経済は回復していないにもかかわらず株式市場が高騰するというふうなバブルをつくり出したんじゃないかということが指摘されております。
 日本銀行に関して具体的な点ですけれども、日本銀行の二〇二〇年度のETF購入額、月別の推移を見ますと、二〇一九年、その前の二〇一九年、前年は年間で四・四兆円だったのを、去年、二〇二〇年は株が落ち込んだと、その年は七・一兆円に購入額を増やされております。特に、先ほど申し上げました株が暴落した三月、四月の二か月で二・七兆円ものETFが日銀によって購入されております。
 お手元に資料をお配りいたしましたが、さらに、去年の三月の買入れ額を見ると、(1)、(2)の欄がETFの購入額なんですけれども、先ほど申し上げました一番株価が安値となった三月十九日、日銀はそれまでの倍の水準の二千十六億円、二千四億と十二億足して二千十六億円も購入されております。その後も、三月二十三日、二十六日、三十日、同じく、それまでは一千億オーダーだったのを二千億オーダーで購入されております。つまり、日銀は、三月十九日の株価の最安値を押し上げるために、僅か十日余りで八千億円以上の資金をETFの購入に充てたと、株式市場に投入したということがこの数字で分かるというふうに思います。
 こういうことがありますので、市場関係者は、株が急落すると日銀が買い支えてくれるという点で、海外の投資家も含めて、日本の株式市場は日銀のおかげで大変安心感があるというふうなことがあって、それが株価バブルをつくる一因にもなってきたというふうに思います。
 日銀のETF購入については、黒田総裁とも議論したことありますが、要するに、デフレ克服とか物価安定とかいろんなことおっしゃってきたわけですけれども、結果的に、実態として、あと市場のマーケットの評価も含めて、株価の下支えをしている役割が実態として今一番大きくなってしまっているんではないかと思いますが、総裁はいかがお考えですか。

○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、ETF買入れというものは、株式市場のリスクプレミアムに働きかけることを通じて市場の不安定な動きが企業や家計のコンフィデンス悪化につながるのを防止するということによって、経済、物価にプラスの影響を及ぼすことを目的としております。したがいまして、これは大規模な金融緩和策の一環として行っているものでありまして、特定の株価水準の実現を目指しているわけでありません。
 そう申し上げた上で、先ほど申し上げたように、三月の点検で明らかになったのは、市場が大きく変動したような場合には大規模にETF買入れを行うことがリスクプレミアムの抑制という点で効果的であるということが立証されましたので、先ほど来申し上げているように、十二兆円の年間増加ペースの上限を継続して、その中で、市場の状況を見極めながら、必要に応じてめり張りを付けた買入れを実施していくということに尽きるというふうに思います。

○大門実紀史君 いろいろおっしゃいますが、今実態として、市場が、マーケットが何を思っているか、今日も何を思っているかというのは、私が指摘したことにあるんではないかと思います。
 それで、先ほどからありましたが、日銀がETF買入れをするのは、市場が大きく変動したときにまとめて大規模に行うというのが方針だといいますか、そういうやり方だとおっしゃいましたけど、実は、先月ですね、先月の四月の十九日、二十日、このときに株価が約千二百円、二日で大体千二百円マイナスになっております。四月で日銀がETFを買われたのはたった一回です、たった一回きりです。それが四月、あっ、ごめんなさい、十九、二十日ですね、四月の十九、二十日で、二日にかけて千二百円くらいマイナスになって、日銀が四月にたった一回ETFを、七百億ですが買われたのは、その翌日の四月の二十一日でございます。
 つまり、大規模な変動で大規模にまとめて買うということではなかったと思うんですけれども、四月の十九、二十日に株が下がって、二十一日に七百億買ったというのは、これはどうしてこのときに買われたんでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げているとおり、市場が大きく変動した場合に、大規模にETF買入れを行うことがリスクプレミアムの抑制の点で効果的であるということが立証されたわけですので、そうした考えに沿って、十二兆円の増加ペースの上限を継続する下で、市場の状況を見極めながら、必要に応じて実施するということでありまして、市場の状況というときに、委員の御指摘のように、その前の、あるいはその前の数日でどれだけ下がったとか、そういった言わば機械的なルールでやっているわけではなくて、あくまでも市場の状況、動向を踏まえて実務的に決定しているものでありまして、具体的な、こういうときにこうするというような運用の内容について述べるのは非常に不測の影響を及ぼす可能性がありますので、お答えは差し控えたいと思います。
 誠に抽象的な答弁で申し訳ないんですけど、それ以上のことはなかなか申し上げにくいということであります。

○大門実紀史君 私申し上げているのは、四月にたった一回なんですよね、一回なんですよ。これは何か思い付きで買われているわけじゃないと思うんですね、日本銀行ですからね。一個一個理由があって買われると思うんですけど、このときの理由としては、前々日の株価の下落以外何もないわけでありますので、そういうことじゃないかと。私は下支えを具体的にはやられたんじゃないかというふうに思いますし、それで、改めて今日、この二、三日の話を聞きたいんですけど、そもそも私はずっと、福井総裁の頃からですかね、株に一旦手を出しますと抜けられませんよと、これ何度も申し上げてきたわけですね。日銀が買うときは大量に買いますから、抜けると株が下がりますので、一旦その道に入ると抜けられませんよということ、ですから出口はないですよと、一旦入るとということを再三申し上げてきたわけですけれども。
 その上でなんですけど、今日、おとといも昨日も買われなくて、今日あるいはあしたも、あしたも日銀がETFを購入しないとしますと、売ることはできないけど、少なくとも買わないと、この規模だと、この値下がりだと買わないということをメッセージとして出されるのかなというふうに思うわけですね。
 先ほど申し上げたように、四月二十一日は千二百円の急落で七百億買ったわけで、今回それ以上でございますが、それでも一円も買わないとなりますと、マーケット、市場関係者は、今見ておられると思いますけど、あっ、日本銀行は方針、方向転換したんだと。再三おっしゃっている、もう大規模な、市場が大きく変動したとき、もっと急落したときにもっと大規模に買うという方向に方針転換したんだというふうに恐らく関係者は、今まで千円でも日銀が買ったと思っていますから、方向転換したんだというふうに捉えるんじゃないかと思うんですね。
 私は、このことは、私はその出口戦略、正常化と申し上げてきましたが、そのことにも結び付くかもしれない話なので、私たちは買うべきじゃないと思っておりますので、増やすべきじゃないと、できるだけ市場に戻すべきだと思っておりますので、買わないということに対して何も反対というわけじゃないですよ、このマーケット関係者とは違うんですけどね。ただ、そういう出口に向けたといいますか、正常化に向けた方向転換に取られるし、事実、今まで千円下がっても買うということからすると方向転換になる、そう理解されるんではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) この点については、点検の結果を公表した際にも明らかにしておりますけれども、長短金利操作付き量的・質的金融緩和全体の金融緩和について、緩和を減らすということは全く考えていないと、あくまでも現在のような大幅な金融緩和を機動的かつ持続可能な形で続けていくためにこういった見直しを行ったということでありまして、ETFの買入れにつきましても、先ほど来申し上げているとおり、十二兆円という上限は、昨年のコロナ禍によって市場が不安定化したときに引き上げたわけですけれども、その水準をコロナの感染症の収束後も継続していくということで、全体の長短金利操作付き量的・質的金融緩和という二%の物価安定目標の達成に向けた大幅な金融緩和というのは、二%の目標の達成が見通せる段階になるまで出口とかあるいは正常化ということは考えないということでありますので、あくまでもETF買入れの機動性、持続性を高めて、必要に応じて大胆にETFの買入れを行ってリスクプレミアムの拡大を抑止するという考えには全く変更がありません。

○大門実紀史君 この問題は、今日、明日、あさって、この何日間の日銀の対応全体見ないと何とも、まだ今日、今のこの時点ではですね、と思いますけど、この私の質問が終わってから買うということはないですよね。全然話が違ってくるんですけど。いずれにせよ、それも含めて次の委員会のときでもちょっと検証させていただきたいと思いますが、今日はそういう、ひょっとしたら日銀の方向転換がちょっとあらわになった日かもしれないということでございます。
 次に、このETFに関係して、ETFの貸付制度についても聞きたいというふうに思いますけれども、株は市場で売買されて、貸し借りも行われております。空売りのために借りて売るということが行われておりますが、同様にETFも、売買されるだけじゃなくて、貸し借りが行われております。
 日銀は、去年の六月からETFの貸付制度を開始されました。これは理事の方で結構でございますが、この貸付制度の仕組み、概要をちょっと簡潔に説明してください。

○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。
 ETF貸付制度でございますけれども、ETF市場の流動性の向上を図る観点からやっているものでございまして、日本銀行が保有しますETFを市場参加者に一時的に貸し付けるという制度でございます。貸付対象先は日本銀行の当座預金取引先の中から公募により選定しておりまして、現在、証券会社を中心に十二先になっております。貸付期間は一年以内ですが、双方が随時返済を求め得る扱いとしております。

○大門実紀史君 これは、要するに日本銀行が貸し付ける相手は金融機関、主に証券会社ですよね。じゃ、日銀から証券会社がETFを借りて、証券会社は何のために借りるんでしょうか。

○参考人(内田眞一君) 証券会社の側でETFの売買、あるいは証券会社がマーケットメークをより機動的に行えるようにすると、そうした観点から私どもの貸付制度を利用しているものというふうに承知しております。

○大門実紀史君 後でちょっと図解で説明しますが、要するに流動性を高めるためということかと思うんですけど、資料の二枚目に、ちなみにETFの流動性はどうなっているかということでグラフを示しましたが、別に日本銀行がわざわざ貸付制度なんかやらなくても十分流動性はあるんじゃないかというふうに思いますし、世界の中央銀行で直接株を買っているのは日本銀行だけでありますし、ましてや貸付制度をやるというのはちょっといかがなものかというのがありますし、今おっしゃった必要性からいっても、別に流動性はもう既にこのグラフ見て分かるとおり、特に日銀が乗り出すほどではないんじゃないかというふうに思います。
 指摘したいのは、資料の三枚目なんですけれども、この貸付制度ですね、日銀もやり始めた、これがどういうふうに市場に影響を与えているかということなんですけど、ちょっとその前に、複雑なんですが、ETFの仕組みをちょっと、本当は金融庁に来てもらって説明してもらったらいいんですけど、時間の関係でかいつまんで要点だけ私の方で説明しますが、資料の三枚目なんですけど、ETFというのは、価格が大きく言って二つあります。市場価格、これは、既にETFが取引所で上場されていますので、売買されてその取引で決まる価格ですよね、市場価格ですね。ところが、ETFというのは、御存じのとおり、中身として株式や金融商品で構成されております。その個々の株とか金融商品によって、それを集めるわけですから、それによって決まる金額を基準価額と言います。例えば日経二二五でしたら、日経平均構成する二二五銘柄の価格の合計といいますか、まとまったものが基準価額になります。
 本来、これETFは、個々の株を集めたものですから、市場価格と基準価額と一緒にならなきゃいけないんですけれど、取引する場所が違うんで、往々にしてこれずれが生じるわけですね、市場価格と基準価額というのは。本来は、これずれては困るわけですね。ずれるといろんな問題が起きるわけですね。取引の損した得したがあるんですね。
 ですから、これをできるだけ一致させるメカニズムがあります。それがお手元に配った、これちょっと複雑ですが、この図でありまして、ETFには流通市場と発行市場と二つございまして、流通市場はまさにETFが取引されている、流通しているところでございますが、もう一つ発行市場というのがございます。ここでETFを組成、つくったり、あるいはばらしたりするというのがこの発行市場であります。ここに関わっている人たちが、ちょっと複雑ですが、複数いて、まず投資信託運用会社、これは何とかアセットマネジメントと、野村とかのアセットマネジメントで、ここがETFの発行、運用をやります。運営管理をやります。受託会社というのがございまして、これは信託銀行のことですが、これがETFの中身であるA社の株、B社の株、C社の株をバスケットですね、これを管理、保管するのが信託銀行、受託会社でございます。
 右側の指定参加者が、これが主に証券会社ですけれども、この証券会社が運用会社との間で設定ということと交換ということをやります。設定というのは何かというと、この証券参加者、証券会社が運用会社にA社、B社、C社の株、バスケットを出して、ETFを発行してもらうというのが設定であります。交換はその逆でありまして、指定参加者、証券会社が持っているETFを運用会社に持ち込んで、逆に今度は持ち込んでバスケットを受け取る、引き出す。つまり、現物の株式に変えることができるわけであります。これが発行市場の大まかな仕組みです。
 この仕組みを活用して、先ほど言いました市場で取引されるETFの市場価格と、元々その中身の株とかを集めた基準価額の乖離を縮小していく仕組みが行われるわけであります。
 例えば、ETFの市場価格、そのETFそのものが市場で取引される価格が基準価額、その中の株式を集めた基準価額より大きいとしますと、この指定参加者、証券会社は設定を行います。そういう高い、あっ、ごめんなさい、株を拠出してETFを受け取ると。そうすると、高い、ETFの方が高いですから、利ざやを稼ぐことができます。市場価格が逆に基準価額よりも小さいときは、証券会社、指定参加者は今度は交換を行って、ETFを持ち込んで現物株を受け取ると、その方が利ざや稼げますので、やります。こういう仕組みを通じて価格の乖離を縮小しようということが行われております。
 問題は、これは何もやっちゃいけないわけじゃありません。そうやって価格の乖離を縮小するんですけれども、これは同時に裁定取引でもあるわけです。つまり、本来同じ価値、価格のものなんですが、一時的に価格差が生じたときに割安の方を、あっ、ごめんなさい、割高な方を売って割安の方を買うと。後で反対売買があると利ざやを稼げるというような、絶対損をしないといいますか、裁定取引、確実にもうかる取引が行われるということになります。これも別にやっちゃいけないということではないんですが、ここで相当利ざやが、高速取引を使った場合はちょっとした差が出たときにぱっと取引ができますので、かなり利ざやを稼ぐことも可能です。
 そこに、証券会社は、それは仕事としてマーケットメークということでやってもらう必要あるんですが、指定参加者、証券会社の上に大口投資家というのが書き込まれております。この大口投資家とは一体誰なのかということなんですが、これが資料の四枚目でございます。これは高速取引の一覧表なんですが、の中で線を引いたのはマーケットメーク制度に参加している業者、ものであります。
 マーケットメークというのは、要するにETFの売買を仲介して成立させることを主な仕事とする専門的な集団とか会社ですけれども、同時に裁定取引がやれると、確実にもうかる取引がやれると、利ざやを稼げるということになりますが、それをやっている、マーケットメークをやっている、一覧表と併せて見ると、線を引いたところの、恐らく海外のファンド系だと思いますが、こういうところがこのETFの価格のずれを直すための裁定取引に証券会社を通じて入ってきて利ざやを稼いでいるということになるわけでありますが、黒田総裁はこのことは御存じだったでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) これほど詳細には存じておりませんでした。ただ、高速高頻度取引業者が様々な金融商品の価格差に着目して高速、高頻度で裁定取引を行っているということはよく承知しております。
 そうした取引は売りと買いで膨大な注文が出ておりますので、当然、市場機能への影響については様々な見方がありますけど、おおむね、その取引の厚みを生み出すことによって市場流動性あるいは価格発見機能の向上に寄与するというふうに言われておりますけれども、他方で、想定外の大きなショックが生じた場合などに市場の不安定化をもたらすのではないかという見方もあるようです。ただ、裁定取引の性格として、基本的には市場の流動性を増し、価格発見機能の向上に寄与するということではないかと思っております。

○大門実紀史君 これは何も日銀の責任とか言っているわけじゃないんですね。日銀が関与されているETFはこういう世界ですよということを申し上げて、いかがなものかという点もあるということでございます。
 懸念されるのは、日本銀行のこの貸付制度が、こういうことも含めて、このETFの発行の仕組みと併せてちょっとおかしなことに活用されないかどうかということなんですが、これは資料の五枚目、最後に示しましたが、二〇一九年十一月に、日銀はこのETFの貸付制度を始める前に市場関係者との意見交換会というのをされております。その場で、波線引いたところなんですが、その他のところですけど、波線引いたところですが、日本銀行から借り入れたETFの解約が可能であれば、理屈の上では、流動性の低い現物株を取得する目的で大口の借入れが行われ得る点には留意を要すると。
 これは、先ほどの図解のところでいえば、要するに一枚目のところでいいますと、ETFを日銀から借りると。それを先ほどの図解でいいますと、交換ですね、交換の方をやると。交換をしてバスケットを引き出す、つまり現物株に換えるということが、日銀の持っているETFを大量に借りて持ち込んで現物株に換えるということが行われる可能性があるのではないかと。そのときに、流動性の低い現物株を取得する目的で大口の借入れが行われるというようなこともあるのではないかという懸念がされております。
 実態として、お聞きしたら、まだそういうことは起きていないということかも分かりませんが、専門家の言葉でありますので、あながち絶対起こらないとも限らないということはあると思いますが、この点やっぱり留意していく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) この御指摘の専門家の意見というのは、理屈の上ではETF貸付けが流動性の低い現物株について空売りを行う際に利用され得るという点を指摘したんだと思います。
 もっとも、現物株に交換する目的でのETFの借入れについては、対象株式以外の現物株も伴うことなどから、一般にその対象株式を直接借りた方が安価であるほか、ETFの解約、再設定に相応の負担が生じるということも踏まえますと、実際にこれが行われて現物株の空売りが助長されるようなおそれは極めて低いのではないかというふうに考えております。
 加えて、ETF貸付けにつきましては、市場の価格形成に意図せざる影響を与えないよう貸付金額に上限を設けるなど、適切な運用に努めているところでございます。

○大門実紀史君 一つの懸念の点として、原理的には、ですからコストの関係とかでこういうことは日常的にはなかなかないとは思うんですが、時にはこういうことに、日銀が貸出しするというのは、やっぱりそれはそれで、それを借りてという方が、借りてというようなファンドもいるかも分かりませんので、気を付ける必要があるということで申し上げておきたいと思います。
 いずれにせよ、日本銀行のETFの購入も貸付けも、本来中央銀行がやるべきことではないというふうに私は思います。そのことがやっぱり支えてくれるんじゃないかというような、市場をゆがめるし、何か健全な市場の機能も阻害しているのではないかと思いますし、この貸付制度もそういうことにつながる可能性の方が高いということは指摘をしておきたいというふうに思います。
 それで、全体の話なんですけれど、もう黒田総裁とも何度も異次元金融緩和については議論をさせていただいておりますけど、しばらくぶりですので改めてお考えを聞きたいんですが、要するに、異次元金融緩和の出発点は、日本のデフレの原因からも私たちと考えが違ってきていると思うんですけれど、貨幣現象であるとかいろいろありましたが、結局、当時何度も主張させていただいたように、言い方はいろいろありますけど、賃金デフレとか生産性の問題とかありますけど、いずれも実体経済の方に問題があって、貨幣現象ではないと。それを貨幣現象だけで、金融緩和だけで幾らやってもデフレは、二%目標は到達しませんよということは再三申し上げてきました。
 それの結果として、とにかく国債の保有規模がもう異常に膨らんで、ETFも異常に膨らんでいるというような、ちょっと姿としては、世界の中央銀行の中ではちょっと異形の、異形の中央銀行になっているのではないかということも指摘してきたところでございます。何度も申し上げてきたところでございます。
 この今の時点でまた改めてお聞きしたいのは、じゃ、どうするかというところでいきますと、なかなか出口は簡単に見えないだろうと思いますが、今ちょっとコロナの状況がありますので、これはなかなか収束しないと難しいところありますけれども、それも踏まえてなんですけど、今後の方向として、出口とは言えないけれども、正常化、正常化には踏み出すべきだということも再三指摘させていただいて、いつも、何回か申し上げましたが、五つのことが必要ではないかと。
 一つは、やはり日本銀行として、その時々の政権はいろいろありますけれど、やはり一定、全く独立というのはあり得ませんけど、一定日銀としての独自の判断で物事をお考えになってほしいというのが第一点ですね。
 二つ目には、物価上昇二%目標はもう取り下げるべきだと。これに自縄自縛、縛られていることによって、まあメンツがあるのかも分かりませんけど、これを持っていることによってもう身動き取れなくなっていると。この際、誰も期待もしていませんので、二%目標というのはもう取り下げたらどうかというのが二つ目でございます。
 三つ目には、国債保有残高を減少させる方向に、少なくともその方向を明示すべきだという点です。今のこのコロナの債務、また積み上がっておりますから、これはちょっと別の話なんですけど、どういう会計上のとありますが、日本銀行として大きな方向として残高は減少させる方向を打ち出すべきだという点が三つ目であります。
 四つ目は、その際に、今日もそうなんですけど、マーケットは何を考えているか分からないと、だから疑心暗鬼と言われると。もっとはっきり日銀は正常化に向かいますということでマーケットとの対話を始めると。国債も減らす方向で、ETFも減らす方向でやりますということを、率直な意思の疎通ですね、対話をやって、その際はやっぱり長期保有で持ってくれる、国債を持ってくれるところに移していくとか、もっとオープンにやるという点が四つ目であります。
 五つ目は、やっぱり何度かありましたが、日本銀行が正常化、方向を変えるというときに必ず海外のヘッジファンド等が空売りを仕掛けたり、いろいろなことがありましたので、そういう投機筋の規制を同時にやるというふうな五つの点が必要ではないかということを申し上げてまいりました。
 この前、予算委員会の参考人質疑のときに金融の専門家の方が二人来られたので、同じ、こういう考え方はいかがですかと申し上げたら、お二人とも今はそういう方向が大事じゃないかというふうに御意見、賛同の御意見もいただいたところで、大分時代が変わってきたなという、最初言ったときは何言ってるのという感じでしたけど、デフレの原因も含めて、ずっと言ってきたような方向になってきているんではないかと思います。
 改めて、黒田総裁としてこういう提案についていかが思われるか、お聞きしたいと思います。

○参考人(黒田東彦君) この二%の物価安定目標というものにつきましては、従来から申し上げているとおりの理由でありまして、これを変更する必要があるとは考えておりません。そうした下で、物価安定目標の実現までにはまだ時間を要する状況でありますので、金融緩和の正常化のタイミング、あるいはその際の具体的な対応を検討する局面には至っていないというふうに考えております。
 その上であえて申し上げますと、将来の正常化の局面では、御指摘の拡大したバランスシートの扱いや金利水準の調整というのが主な課題になると思います。その際には、保有国債の償還や各種の資金吸収オペレーションのほか、超過準備に対する付利金利の引上げなどによって対応していくということも考えられます。
 また、ETFにつきましては、仮にそういった状況において日本銀行が買い入れたそのETFを処分するというようなことがあるとすれば、当然、金融政策決定会合で新たな処分の方針ということを定めるということになると思います。その場合の基本的な考え方としては、市場等の情勢を勘案した適切な対価によること、市場等に攪乱的な影響を与えることを極力回避すること、そして損失発生を極力回避することといった基本的な考え方は明らかにしているわけであります。
 もとより、先行き、この物価安定の目標の実現に近づく際には、当然、正常化に向けた戦略や方針について金融政策決定会合で議論して、適切に情報発信してまいりたいと思います。
 いずれにせよ、日本銀行としては、市場の安定を確保しながら、その時々の状況に応じて適切な政策運営を行うということが重要であるというふうに考えております。

○大門実紀史君 終わります。

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