<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
まず、今もお話がありましたが、株式会社などによる農地取得特例の期限延長についてでございますけれど、聞いていますと、もう山田先生含めて反対多数じゃないかと、もうこの際撤回したらどうかと、大臣の所信を、反対だったということでしたら、いうような議論がされたんじゃないかと思うんですよね。それでも、なぜこんなものをごり押ししなければいけないのか。あえてごり押しする理由をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(佐藤朋哉君) 私からお答えさせていただきます。
この特例につきましては、先ほど来御答弁申し上げているとおり、農地法の特例といたしまして、特区の中でも一定の要件に該当する区域に限って、一定の条件の下で株式会社等に対して農地所有を認めるという特例でございまして、これまでに、養父市においては、六法人が一・六ヘクタール取得をして、農業の六次産業化による地域活性化などの効果が上がっていると、こういうふうに評価をしているところでございます。
特段の弊害も生じていないと、こういう状況の下で、養父市においては引き続き是非使いたいと、安定的に使いたいという御要望もいただいているところでございますので、今回これを二年間延長する法案をお願いしているということでございます。
○委員長(石井浩郎君) 大臣、答えますか。
○国務大臣(坂本哲志君) 何回か言いましたけれども、農業の現実というのは非常に厳しいものがあります。平たん地は別にして、やはり中山間地においては今後どうしていくかというのは非常に大きな問題であると思います。このまま放っておけば、耕作放棄地は増えますし、自然災害の原因にもなりますし、病害虫やあるいはイノシシ等の温床にもなります。
様々な課題がある中で、じゃ、今までのとおりにやっていて果たしてこの耕作放棄地や中山間地の農業が解消できるのかどうか、そこにどういう手があるかというのは考えなければいけない問題だというふうに思います。それが株式会社でいいのかどうなのか。あるいは、例えばJA辺りが別会社をつくってそこに乗り出すということが果たしてできるのかどうなのか。あるいは、国がいろんな形で中山間地なりあるいは農地の整備辺りに予算を振り向ける枠があるのかどうか。
こういったものをいろいろと考えていきますと、やはり養父市においてこの五年間やってきたというのは一つの大きな、先ほど事務方も言いましたけれども、実験であったというふうに思います。その実験の中でやはり得られた成果、それを活用しながら、今後それを、全国展開ありきではなくて、どういうふうにしていったら日本の農業のこれからの振興につながるかということを、これから二年間掛けてニーズの調査、問題点の調査、これをした上で調整をしていきたいというふうに思っているところでございます。
○大門実紀史君 問題意識は大臣と共有するわけですけどね。
いろんな議論ありましてね、徳永さんからあったとおり。企業の農地取得を認める、認めようと、認めたいと。認める理由として、大臣からのお話ありましたけど、担い手がいないと。いないから企業に入ってもらう、あるいは耕作放棄地をどうするかという点で企業に入ってもらったらどうかというようなことが掲げられてきたわけでありますけれど、この養父市で何かすごい成果があったような話がありますけれど、私も現地の話を聞きましたが、本当にそんなに、今申し上げた担い手をつくるとか耕作放棄地をなくすという点でいかほどの成果があったのか、ちょっと改めて佐藤さん、説明してくれますか。
○政府参考人(佐藤朋哉君) 今申し上げましたとおり、養父市においてはこの六法人がこれまでに一・六ヘクタールの農地を取得をしております。これらの六法人が所有又はリースをしている面積は合計三十一ヘクタールということでございまして、それによって遊休農地の解消、農地としての再生などが行われております。また、ある法人においては、酒米を作って、それで日本酒を造って、それを国内のみならず海外にも輸出すると、こういうような例えば農業の六次産業化というような成功例も出ているということでございます。
こういったことで、地域の経済の活性化にも一定の寄与をしているというふうに考えております。
○大門実紀史君 まあそんな大した話じゃないと思うんですよね。私も現地の、市長さんが一生懸命おっしゃっているのは知っているんですけれども、率直に言って、農業関係者からは何ぼのもんだという話があるわけですよね。
ですから、さっき申した担い手不足対策とか耕作放棄地の解消という点では、別にその農地の取得があったから、なかったとか、ほとんど関係ないような、数字的にはもう先ほどあったので言いませんけれど、そういうものではないかと思います。
じゃ、なぜ、しかもこれ農水省もそういう評価をしているという中で、なぜこれが今回出てきたのかと。与党の中でも相当否定的な反対意見もあったと。にもかかわらず何で出てきたのかということなんですけれども、これは、これも先ほどからありました国家戦略特区諮問会議ですよね、そこが全ての出所、出てきたところですよね。ちなみに、諮問会議が口を開けば、岩盤規制を打ち破ると、何かそれを錦の御旗のように言っていますけれど、そんなきれい事じゃないですよね。利害関係者いっぱいいますよ、あそこ、ですよね。
こういう言い方というのは、かつて小泉内閣のときに、野党だけではなくて参議院の自民党の皆さんも抵抗勢力というレッテルを貼るわけですね。これ敵をつくるわけですよね。そういう手法が行われてきたんですが、今は役所が岩盤だというレッテルを貼られて、何かそこに向けてみんなで打ち破ろうというふうな、レッテルを貼って自分たちのやりたいことを、あるいは利益を通すというのがここでもやられているということはちょっと長い歴史で見ておく必要があると。
岩盤なんていうものはそんな実体のないものだと。役所だって一生懸命仕事しているわけです。必要な仕事やって、必要な規制もあれば必要な規制緩和もやっているわけですから、諮問会議のような岩盤とレッテルを貼って敵をつくるというのに余り乗せられない方がいいということは申し上げておきたいと思います。
その国家戦略諮問会議で去年の十月二十二日に四十七回の諮問会議がありまして、その中で、国家戦略特区の今後の運営についてというペーパーが出されております。何を言っているかというと、要するに、簡単に言いますと、養父市一つでは駄目だと、これでは全国展開できないと、理由にならないと。一つしか、まあ成功しているとは思いませんが、養父市でやっていることだけでは駄目だと、二例目をつくる必要があると。二つ目の例をつくる必要があるということが、そうしないと全国展開につながらないということが言われております。
十二月二十一日の第四十八回の諮問会議では、八田さんが言っていますけれども、企業による農地所有を全国で可能にすることは規制改革の一丁目一番地だと、この改革すらできなければ成長は望めないと、全国展開の遅れ、養父市一つでしかやられていないということについて大変焦りを表明されているわけであります。
竹中平蔵さんも、その養父市の例がうまく、先ほどありましたね、徳永さんから、うまくいっていないのは、うまくいっていないということを官僚が政治家たちに説明しているというようなことを、さんざん農水省の役人さんをばかにしたり、それにだまされている与党議員というようなことで国会議員までばかにしているような言い方をしているわけであります。
申し上げたいことは、目的は何かということなんですね、国家戦略諮問会議の。これは全国展開です。養父市を延長して二例目を、今、二例目って、手挙がっていませんよね、どこからも。二例目をつくって全国展開を目指すと、そのためにこの養父市を延長しろと、それで全国展開に結び付けろということをもう明確に諮問会議では言っているわけですけれど、まず、佐藤さん、そういう認識でいいですか。
○政府参考人(佐藤朋哉君) その諮問会議で議論がありましたのは、そもそもその国家戦略特区の特例措置というのは、原則として、特区でまずはやってみてその実施状況を評価すると、で、その評価に基づいて特段の問題がなければそれを全国に広げていくというのが原則でありますので、その原則に即して言えば、本特例についても全国展開について積極的に検討をすべきであると、こういう御主張がなされたものというふうに考えております。
○大門実紀史君 坂本大臣はこの諮問会議に出ておられましたけれど、八田さんとか竹中平蔵さんとかがおっしゃっているのは、全国展開したいということを中心に話を展開されていたというふうに、まあ議事録にはそうなるわけですけど、そのことは確認されますか。
○国務大臣(坂本哲志君) それは、国家戦略特区の有識者のメンバーでありますので、全国展開をしなければいけないというようなことで発言もされておられます。
養父市の場合にその成果が出ていないんじゃないかというようなこともおっしゃいましたけれども、もし養父市が何も手を着けなかったらこの五年間どうなっていたかということを考えると、やはり三十一ヘクタールの農業活用あるいは十七ヘクタールの農地再生、こういったものに対しては効果があったというふうに思っております。
それから、十の国家戦略特区の中で養父市一つだけじゃないかというふうなことを言われましたけれども、やっぱりこの農地の問題というのは、非常にデリケートな問題があって、それぞれの首長さん、なかなか手を挙げるのに勇気が要るんだろうというふうに思います。その中で、養父市の広瀬市長は手を挙げて、そして何とかこの中山間地の農地をやはり活性化させたい、農業を活性化させたい、そのことについては、やはりその後の、去年だったかな、今年だったかな、行われました選挙でも四期目当選をされておられますので、やはり私は市民が認めた成果の一つであるというふうにも思っているところでございます。
○大門実紀史君 今のところ一つ、ほかの自治体ではやりたいと手が挙がっていないのは、その勇気が要ると、それがまさに皆さんが議論あったとおり、いろんな企業が農地を取得することに対する懸念があるから、だからためらっていると、勇気が要るということなので、そんな勇気が要るようなものを広げようという方がおかしいんですよね。そこに根本問題があるというふうに思います。
ただ、私、議事録読んでいて、十二月二十一日の第四十八回の方ですけれど、八田達夫さんが、すごいですね、農水省はうそつきだというような誹謗中傷をさんざんやったことが書かれているんですが、その中で八田さんがおっしゃっているんですけど、農林水産省は全国展開の条件として、これ全国展開する条件としてですね、諮問会議の評価は無視して、つまり養父市はよくやったと、成果は出ているんだというのが諮問会議の勝手な評価ですけど、それを農水省は無視していると、改めて新たな基準で評価するようやり直しを求めていると、農水省がですね、その理由として与党の反対を挙げておりますというようなことが書かれていて、まあ要するに、農水省の、私思うんですけど、非常に客観的な説明を与党の議員の皆さんが受けて、それならばやっぱり新たな基準で評価しなきゃいけないねとおっしゃっていることに対して、八田さんは、有識者は文句を言っているということになるわけですね。
で、その次に書かれているんですけど、特区の事務局も、それならば仕方がない、そういうことだというふうにしているということを八田さんがおっしゃっているんですけど、聞きたいのは、まあ五年後なり何年後なり、農水省あるいは与党の皆さんが同じ評価、やっぱり新たな基準で考えるべきだということも含めてですね、このときの、去年の十二月の時点と評価が変わらなければ、これは特区事務局としても全国展開する、しないと、しないこともあるということでよろしいですか。
○政府参考人(佐藤朋哉君) お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、この特例につきましては、このニーズと問題点の調査というのを今年度中に特区区域以外にも実施をすると、その結果に基づいて調整をするということにしております。したがって、まず農水省とよく連携をいたしまして、このニーズと問題点の調査をしっかりと実施をした上で、どうするのかということを一緒によく考えたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 今日の議論聞いておりますと、必ずしも特区事務局、坂本大臣のところは、全国展開もやるよということにはなっていないと、これから評価をして考えていくということなんで、有識者会議、有識者会議じゃないです、諮問会議の有識者の言うとおりに、言いなりになっているわけではないというニュアンスは分かりましたけれど、やはり無理のあることでありますので、正確な判断、正確な評価をしていっていただきたいということは申し上げておきます。
で、坂本大臣、そもそも、先ほどありました、大臣の所信はそういうところに、こういうことになかったということで、そうだと思うんですよね、普通ならば。
それで、お聞きしたいんですけれども、そもそもこの耕作放棄地が増えてきた、担い手が不足してきた、この問題の根本がどこにあるかと、このことを抜きにして、企業に入ってもらえば解決するということにはならないというふうに思うわけでありまして、先ほど所得補償もありましたけれど、農業で生計を立てることができなくなっていると、こういう問題をおいておいて、農業をする人がいないから企業に入ってもらえばいいんだということにはならないと思うんですよね。
やはり根本的な、今の農業を本当に発展させていくという点でもっと考えなきゃいけないことがあると、もっと根本的に与野党含めて考えなきゃいけないことがあるということが大前提だというふうに思うんですよね。それも抜きに、何か企業が参入したらいろんなことが解決するというふうにならないと思うんですけれど、この点のお考えを聞いておきたいと思います。
○国務大臣(坂本哲志君) なぜ農業が疲弊しているのか、なぜ担い手がなかなか現れないのか、その問題が解決できれば、解決の糸口が見付かれば、これはその日本の農業これから大いに振興されると思いますけれども、なかなかそれをどういうふうな方法論によって政策付け、政策化していったらいいのかというのが分からない中で、この日本の農業のやはり衰退なり日本の農業の迷いというのがあるんだろうというふうに思います。
そういう中で、やはり特区として、十特区の中で、一養父市の中で特区を試みた。その中で、企業の農地の売買によって農業が活性化するかもしれない、あるいは農地が再生するかもしれないというような挑戦をした養父市に対しては、私は大いに称賛すべきであるというふうに思います。
そして、当初の予定どおりであったかどうかは知りませんけれども、やはり一定の評価は得たと。一定の評価は得た中で、それで今後どうしていくかということを考えたときに、先ほど言いますように、養父市一つではなかなかこの農地問題を考えていくには無理がありますねということで、全国的にニーズあるいは問題点、こういったものを調査をした上で調整をして、そして早期に法案提出をしようというようなことであったわけでありますので、まだ結論を、結論ありきでやるわけではありませんけれども、非常に今後のやはり農業の在り方というものをしっかりと考え、その暗中模索の中で今回の法案の提出をさせていただいて、多くの皆さん方の御意見を聞こうということであります。
○大門実紀史君 分からない、暗中模索とおっしゃいましたけど、日本の農業をどうしていくかという提案は野党も自民党の方々もしているわけですよね。そのやっている上でこれは危ないよということを申し上げているわけでありますので、逆に、こういうこの企業参入ということがあると本来の解決の方向にかえってややこしい、足かせになるんではないかという点を申し上げて、質問を終わります。
○大門実紀史君 大門実紀史です。
日本共産党を代表して、反対の討論を行います。
最大の反対理由は、株式会社等による農地取得特例の期限を延長する点です。
農業を主として行っていない企業に農地の所有を認めることは、容易に農業から撤退し得る者の参入を認めることになり、耕作者の地位の安定を損ないます。耕作者が農地を所有することが望ましいという農地制度を根幹から覆すことになります。また、農地所有権を企業に広く認めると、取得された農地の荒廃や無断転用の懸念があります。
本特例が適用された兵庫県養父市を見ても、国家戦略特区諮問会議の評価は全く当たっておらず、現地の実態を見れば、中山間地の農業振興にはつながっておりません。農業で生計を立てることができないという問題を脇に置いたままでは、幾ら企業の参入の条件を緩和しても、耕作放棄地の増加や担い手不足の問題を解決することはできません。
また、工場立地に際しての緑地面積等の基準を緩和することや、建築基準法上の用途規制緩和手続の特例及び中心市街地活性化基本計画の認定手続の特例についても、住民の暮らしより開発を優先するものであり、賛成できません。
以上、反対討論といたします。