国会質問

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■2021年4月21日 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 取引デジタルプラットフォーム法に関する参考人質疑

<議事録>

○委員長(石井浩郎君) 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、一般社団法人日本経済団体連合会ソーシャル・コミュニケーション本部長正木義久君、全国消費者行政ウォッチねっと事務局長・弁護士拝師徳彦君及び弁護士染谷隆明君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、正木参考人、拝師参考人、染谷参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず正木参考人からお願いいたします。正木参考人。

○参考人(正木義久君) 日本経済団体連合会、経団連でソーシャル・コミュニケーション本部長を務めております正木でございます。
 本日は、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案に対する経団連の考え方を御説明させていただく機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
 経団連ソーシャル・コミュニケーション本部でございますが、中西会長着任とともに生まれた部署でございまして、消費者や投資家など、企業を取り巻く様々な方々とのエンゲージメントを結び、ウエルビーイングを実現するということを使命としております。
 デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会にも、経団連の会員企業でございますプラットフォームの運営事業者のみならず、そこに出品する販売事業者、さらにはオンラインの取引を利用する消費者にとって望ましいものを目指す観点から、私が経団連を代表して参画して、意見を述べてまいりました。
 私からは、本法律案に賛成の立場から、本法案の意義と今後の課題について考え方を述べたいと思います。
 本法案の意義は、第一に、オンライン取引を広場で行うものから市場で行うものへ転換させたこと、第二に、まずは事業者をターゲットに規範を形成することを明確にしたこと、第三に、官民協議会を中心としたアジャイル型のソフトローとしたことだと思います。
 第一の意義として、取引プラットフォームを広場から市場に転換したと申し上げた趣旨を御説明いたします。
 近年、デジタルプラットフォーム取引は急速にその存在感を増しております。事業者や個人を含む様々な主体が様々な商品を販売でき、子供から高齢者までが買手となってボーダーレスかつ簡単に参加できるオンライン取引の場となる取引プラットフォームは不可欠な社会インフラとなってございます。とりわけ今般のコロナ禍においては、感染症の拡大を防止することが求められる中、非接触の巣ごもり消費が急速に拡大しております。
 この参加しやすさという特徴はよく広場に例えられてまいりました。様々な方々がオンライン上のプラットフォームに集まって低廉なコストで好きなものを好きなように売り買いするのは、あたかも広場で行われるフリーマーケットのようなものだからです。その意味では、取引プラットフォームは広場の管理者程度の役割を果たすことが求められてきました。
 その一方で、悪質な事業者や不慣れな消費者も参加しやすいゆえに、プラットフォーム上における消費者トラブルが増加していることも事実でございます。悪質な事業者は、消費者にとっても、真面目に事業を展開するほかの事業者、そして取引の場を展開するプラットフォームにとっても、排除したい言わば共通の敵でございます。
 そこで、多くのプラットフォーム運営事業者は、広場の管理者の役割を超え、利用者が安心して便利に取引できる環境を整備するべく、日々、様々な技術を駆使し、創意工夫の下、対策を進めていると承知しております。昨年八月には、複数の大手運営事業者が共同でオンラインマーケットプレイス協議会を設立いたしまして、各社の自主的な取組状況を開示しているほか、消費者団体や消費者庁、経済産業省などとの意見交換を行うなどしております。
 もちろん、証券市場のように、上場するのにも厳しい審査が必要で堅牢なシステムに守られた市場のようにはまだまいりませんけれども、オンラインマーケットプレイス協議会という名称が示すように、広場で行われているフリーマーケットからは一歩進めて、売手、買手が一定のルールの下で安心して取引のできる市場を形成する取組が進んできたと認識しております。
 本法案は、こうしたプラットフォーム運営事業者を介在する消費者取引の市場を公に認知し、公正な取引の場として機能を発揮させること、適切なルールの整備を通じて安心して活用できるようにするものであると評価できるかと思います。取引デジタルプラットフォームを広場から市場に変える画期的な法案として歓迎しております。
 本法案の第二の意義は、まずは事業者をターゲットに規範を形成することを明確にしたことでございます。
 さきに申し上げましたとおり、オンラインの市場は事業者も個人も参加できる場でございます。とはいえ、これまで一個人が売手となることを想定した市場法制は例に乏しく、議論の蓄積もございません。一方、事業者が市場の参加者としてのルールに服する例は数多くございまして、その知識から情報の開示請求権などを制度化するということは妥当かと存じます。
 検討会の中でも、個人が売手となる取引を規律できるかについて検討いたしましたけれども、個人に対して事業者を前提としている行政規制を及ぼすのは困難であること、取引当事者のプライバシーの確保が難しいということが課題となりました。これは、取引デジタルプラットフォームを介在するかどうかにかかわらず、慎重な検討の上で扱うべき問題かと存じます。そうした意味でも、個人からではなくて、まずは事業者をターゲットとする規範から着手するのは妥当かと存じます。
 本法案の第三の意義は、官民協議会を中心としたアジャイル型のソフトローとしたことでございます。
 デジタルプラットフォームの健全な市場を整備していく上で重要なことは、第一に、プラットフォーム運営事業者の自主的な取組とイノベーションを阻害しないようにすること、第二に、企業がちゅうちょなく消費者保護のための施策を講じられるようにそれを後押しすること、第三に、官民による情報や経験の共有とそれを踏まえた機動的なルールの策定や見直しが行われることだと考えております。
 この点、本法案は、国の行政機関、プラットフォーム運営事業者の団体、消費者団体等により構成される官民協議会を設け、悪質な販売業者等への対応を協議し、各主体が取り組むべき事項を協議することとなっております。
 例えば、新しい技術を活用した取引方法、約款に当たる取引ルールの定め方、新たな手口で市場を荒らす者に対してどう対処するのかといったことについて意見交換をしたり、機動的なガイドラインの策定をしたりすることが期待されます。
 最近の研究開発現場のトレンドは、親会社から下請に一方的に仕様を流して製品化するウオーターフォール型の開発ではなくて、試作品を作ってから試しに使ってみて、その結果を踏まえてまた改良するアジャイル型の開発へと移っております。
 市場草創期のデジタルプラットフォームにおいても、関係当事者の創意工夫を生かして変化のスピードの激しいデジタル分野で試行錯誤をしながらルールを形成していくためには、一方的、硬直的なハードローによるのではなくて、アジャイルなソフトローを用いることがぴったりだと思います。
 最後に、本法案の今後に残された課題として認識しております論点を三点述べたいと思います。
 第一の課題は、本法案第三条によれば、プラットフォーム運営事業者は、販売業者に対して、必要に応じて身元確認のための情報提供を求めることとなっております。また、本法案第五条に位置付けられました販売業者に係る情報の開示請求権が行使されました場合、消費者が不正の目的ではなく一定金額以上の金銭債権の行使を目的としているのかなどをプラットフォーム運営事業者が判断した上で、第三条で確認した身元情報を提供する仕組みとなっております。
 プラットフォーム運営事業者が入手する販売業者の身元情報は、中小零細の事業者にとっては開示される情報が個人情報と同等のものになることも想定されますし、また、特に海外の販売業者の場合、どのように真正性を確認すればいいのかといった問題もございます。少なくとも国内の事業者について、どのような確認をすればプラットフォーム事業者としては十分な身元確認をしたと言うことができるか等、公的なインフラの整備、適切なガイドが求められます。
 また、プラットフォーム運営事業者が販売事業者の身元情報を提供してよいかどうか迷った際に、意見を求めることのできる行政当局の窓口の整備や判断のためのガイドライン、事例集等の提供といった方策を講じることが必要になってまいります。
 第二の課題は、国際的な法執行に向けた環境整備であります。
 消費者が開示請求権を活用して販売業者の情報を得たとしても、その所在地が海外ともなりますと、一消費者が求償するのは至難の業でございます。今後増えていく国際的な消費者取引について、海外の消費者行政当局と連携を深めていくということが重要になろうかと思います。
 第三の課題は、悪質なレビューの問題でございます。
 検討会でも議論され、経団連でも販売業者の方から何とかならないのかと相談の寄せられる問題でございます。検討会でも議論されましたけれども、自社が有利誤認、自社を有利誤認させるやらせレビュー、競合他社等をおとしめるような誹謗中傷などは、事業者にとっても消費者にとっても有害なものでございます。
 一方で、本来のレビューには表現の自由が保障されるべきでございますし、また、消費者による建設的な批評によって市場を健全化すると、そういう効果が期待されているものでございます。
 検討会でも結論の出なかったところであり、また、取引デジタルプラットフォームの範疇の枠外のオンライン取引全般に係る問題でございますけれども、今後の大きな課題だと認識しております。
 終わりに、改めまして、デジタルプラットフォームを介在する消費者取引が健全に発展していくことが重要であることを強調したいと思います。
 本法案は、デジタル空間で、販売事業者、運営事業者、消費者の全ての当事者が利便性を享受しつつ、安全、安心な取引ができる市場を形成するための第一歩であると考えております。
 具体的な一つ一つの課題の解決には、本法律案に基づき設置される官民協議会や、冒頭御紹介したオンラインマーケットプレイス協議会での議論等を通じまして、日々進化するデジタルプラットフォーム取引の実情に即した解決策が見出されていくことを願っております。このような議論も踏まえまして、主体的に消費者保護の取組を行っているプラットフォームこそが消費者から選ばれ、信頼されていくと考えております。
 以上が今回の法案に対する経団連の見解でございます。
 御清聴、誠にありがとうございました。

○委員長(石井浩郎君) ありがとうございました。
 次に、拝師参考人にお願いいたします。拝師参考人。

○参考人(拝師徳彦君) 全国消費者行政ウォッチねっとの事務局長を務めております弁護士の拝師と申します。
 私は、元々、このデジタルプラットフォーム、以下、DPFと省略して言わせていただきますが、このDPFとかITとかの方面には余り詳しくないんですけれども、今回、消費者庁がDPFと消費者との関係での規制をするということですので、他の消費者団体の皆さんとも一緒に勉強して、ウォッチねっととしてもDPF規制に関する意見を出させていただいております。意見の方は、事前に配付させていただいた意見書を御参照いただければと思います。
 今日の私の話は、当日配付させていただいた一枚目の発言の骨子に記載してある順番に従って発言をさせていただきたいと思います。
 まずは、現在のDPF市場の課題について触れさせていただきます。
 このDPFの問題ですが、今、経団連さんからもお話があったように、コロナの影響もあって非常に消費者に近いものになっていると。非常に利用が拡大しているということで、大変身近な存在になっているわけでありますけれども、他方で、非常に分かりにくい問題だろうというふうに思っています。その要因としては、そもそもの仕組みの複雑さとか、その秘匿性とか、いろいろ要因はあるんだと思いますが、個人的には、やはりDPF事業者の責任とか役割の曖昧さに起因する部分が大きいのではないかというふうに思っております。
 この責任とか役割の曖昧さということですけれども、要するに、トラブルが発生したときにDPF事業者がどこまで関与すべきなのか、あるいはどこまで責任を負うべきなのかというのが消費者にとってはよく分からないと。あるいは、トラブル予防、防止のためにDPF事業者が何をすべきかというのがよく分からないということです。しかも、現状は、トラブルが発生したときにDPF側の対応がまちまちであるという状況ですので、消費者からすると、DPF事業者がどのような立場にあるのか、あるいはどのような役割を果たすべきなのかという点についての認識が混沌としているんだろうというふうに思っております。
 この辺のルールをきちんと整理をしてDPFの役割、責任をしっかり果たしていただかないと、消費者は、DPFで取引するときには、場合によっては一か八かという、ひょっとするととんでもない業者に当たってしまうかもしれないという覚悟で取引に臨まなくてはいけないということになりかねません。そのようなことでは本当にデジタル市場が健全に発展していくんだろうかという疑問を持っております。
 次に、クレジットカード規制とDPFについて少し触れさせていただきたいと思います。
 もう十年以上前のことになりますが、クレジットを規制している割賦販売法という法律の改正運動に私関わったことがございます。平成二十年改正と言われる大改正につながった大きな運動でした。
 なぜここでクレジットの話を持ち出すのかといいますと、クレジットとこの法案で対象になっている取引DPF、よく似た側面があるんだろうというふうに思っています。すなわち、いずれも加盟店との提携関係を前提にするシステムであるということ、それから、取引のシステムそのものをクレジット会社あるいはDPF事業者側が構築して、そのシステムを消費者が利用することで事業が成り立つ、そういう仕組みになっていると、これらの点で両者の構造というのはよく似ているんじゃないかというふうに思うわけです。
 この平成二十年改正のときに、割賦販売法改正運動という消費者運動の際、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会のメンバーでイギリスに視察に行きました。なぜイギリスに行ったのかと申しますと、実はイギリスでは、クレジットカードについて、クレジットカード会社が何かあったときに連帯責任を負うと、そういう法的なルールになっていると。要するに、カードで買物をして商品に何か問題があったと、で、販売業者がきちんと責任を取ってくれないという場合にはクレジットカード会社が補償をしてくれると、そういう仕組みになっているということなんですね。ですから、イギリスの消費者団体の方は、消費者に対して、高い物を買うんだったらクレジットカードを作った方が安心だよというふうにアドバイスをするというふうに聞きまして、大変驚きました。
 こうした手厚い消費者保護ルールが導入されている結果、イギリスではクレジットカードの利用が極めて盛んになっているというふうに当時聞きました。クレジットカード会社が加盟店をきちんと管理し、消費者に対して法的な責任を負うことで、消費者団体までが言わば宣伝役となってカード市場が発達していくと、そういうことになっているわけです。
 逆に、加盟店管理がきちんと行われずに悪質加盟店が増えれば、消費者団体はカード利用を控えるように啓発することになると思います。そうすると、カード市場というのは発展していかないだろうと、そういう関係になると思います。
 翻って、このDPFの関係ですね、デジタルプラットフォームの関係についても同じだと思うんですが、DPF事業者が一定のルールの下でしっかりとその役割を担って消費者保護をやっていくということになれば、事業者も消費者も一丸となってデジタル市場の発展に力を注いでいくということになるだろうと思いますし、逆にきちんとした役割を果たしていただけないということになると健全な発展にブレーキが掛かっていくと、そういうことになるのだろうというふうに思います。
 ちなみに、我が国の割賦販売法の規制が十分なものかどうかというのはここではおくとして、この割賦販売法上の例えば加盟店調査義務であるとか、後で触れます加盟店情報交換制度、こういう悪質加盟店を排除するルールとか制度というのはそれなりに機能してきているというふうに思っておりますので、今後の取引DPF規制においても参考になるのではないかというふうに思っております。
 次に、本法案の評価について申し上げたいと思います。
 今回審議していただいている法案は、私たちが本来求めているDPF事業者の責任、役割からするとまだまだ不十分な部分もあるのかなというふうには思っておりますが、少なくとも、例えば三条ないし五条においてDPF事業者の責任、役割を明確にし、消費者保護のために一定の役割を果たすべきことを求めているという点で健全なデジタル市場の発展に向けた大きな一歩であることには間違いないだろうというふうに思っておりますので、この法案については是非今国会で成立させていただければというふうに思っております。
 以下、残された課題のうち重要と思われるものについて意見を述べさせていただきます。
 なお、衆議院では既に十四項目にわたる附帯決議が採択されているというふうに伺っております。これらについてはいずれも私も賛成の立場であるということを申し添えさせていただきます。
 具体的な要望事項、法案の課題について申し上げます。
 まず一つ目は、危険商品の流通について、これは法案の四条関係になるかと思います。
 残念なことに、現在のデジタル市場には、消費者の生命、身体を害するような危険商品であるとか、あるいは法に触れるような違法な商品が流通しているというふうに聞いております。この点、今回の法案では、取引DPF提供者に対して一定の要件の下で出品削除等の要請ができるというふうにされておりますので、一応の手当てをしているということになっております。
 ただし、取引DPF提供者が独自で危険商品等についての情報を入手するという場合もあり得ますので、そのような場合には、取引DPF提供者から販売業者にきちんとその旨の情報提供をするように義務付ける必要があるのではないかなというふうに思っております。
 また、危険商品の流通については、事業者対消費者、BツーCであっても、消費者対消費者、CツーCの取引であっても、速やかに対応すべき必要性の高さというのは同じだと思います。ですから、今回の法案ではCツーCの関係は入っておりませんが、まずはCツーCを取り扱うDPF事業者についても押しなべて任意の協力には応じていただいて、任意の協力にやはり応じていただけない、協力していただけないDPF事業者というのがあるということであれば、次の見直しの際にCツーCの方も法律で取り組んでいくべきだろうというふうに思っております。
 それから、(二)の悪質加盟店情報の共有についてでございます。
 現在のDPF業界では悪質加盟店に関する情報共有システムができていないというふうに聞いています。あるDPF上で問題のある取引をしている業者、当然ほかのDPFでもやる可能性があるわけですから早めに排除しなくてはいけないと思うわけですけれども、その情報がほかのDPFの方に流れてこないということになると、あちこち転々とされて荒らされてしまうということになると思います。
 ちなみに、クレジットの世界では、かつて任意の加盟店情報の交換システムがあったんですけれども、余りうまく機能しなかったという経過がありました。このために、割賦販売法という法律できちんと法的に位置付けて、認定割賦販売協会という枠組みをつくって、これによる加盟店情報交換制度という形で制度化をしました。
 DPF業界についても、まずは官民協議会での検討事項ということになるかもしれませんが、ここできちんと検討してやっていただければそれでよいのかと思いますが、仮にDPF事業者が自分たちでこのような仕組みを構築できないということであれば、やはり法律で、悪質加盟店情報について情報交換する制度をきちんと法的枠組みをつくって、法律がリードしていくということがあってもいいのではないかなというふうに思っております。
 その際の要望ですけれども、適格消費者団体等、消費者側にも悪質加盟店に関する情報を提供できる仕組みにしていただけると有り難いと思っております。
 それから、(三)の不正レビューの関係です。
 先ほど経団連さんからも御意見がありまして、全く同じ意見でございます。
 この消費者レビューについては、消費者からすると、単に商品購入の際に参考になるというだけではなくて、消費者が他の消費者のために正しい情報を伝えることで、消費者同士が協力し合いながら消費者の権利を実現していくという重要な意味合いがあるというふうに思っております。これがきちんと運用されれば、デジタル分野における消費者市民社会の進展にもつながっていくのではないかと期待をしているところです。
 ところが、現在の消費者レビューは、先ほどもお話があったように、当該販売業者自身あるいはこれに指示された者が自社に都合のいい、あるいはライバル企業を追い落とすような書き込みをするということが横行していると聞いておりまして、非常に残念に思っております。
 このままでは本当に優良な販売業者についての高評価のレビューも信用されなくなってしまい、正直者がばかを見るというようなことになってしまうおそれがあります。そういう状況になってきますと、そもそも正しい情報を記載しようという消費者もいなくなってしまって、消費者レビューがあたかもうその代名詞というようにやゆされるという事態になりかねないというふうに危惧しております。
 こういうことにならないように、不正レビューについては厳罰をもって臨むべきだろうというふうに思いますし、DPF事業者も消費者レビューの適正性確保のために調査、協力する義務を負うべきだろうというふうに考えております。この点については、次の法改正を待たずに早急に検討していただきたいというふうに思っております。
 それから、(四)ですね、外国執行当局との情報交換について申し上げます。
 DPF事業者の大手は国際的に事業を展開しておりますし、販売業者の方もしばしば国をまたいで取引するという状況になっております。このため、海外の執行当局が持っている情報を共有するということも非常に重要だろうというふうに思いますが、本法案ではこの部分について対応されていないのではないかというふうに思います。もちろん、今国会に別途法案提出されている特商法、預託法の改正法案に実はこの点盛り込まれておりますので、通信販売の枠組みで海外の執行当局と情報共有するということは可能なわけですけれども、取引DPF提供者が関係する情報については端的に本法に基づいて情報共有できる仕組みにしておいた方が直截でよいのではないかというふうに思いますので、行政処分の導入と併せて今後の課題としておいていただければというふうに思っております。
 最後に、行政サイドの体制強化についてお願いがございます。
 先ほどからもお話に出ておりますように、デジタル市場が大きく進展しつつある中で、その実情をタイムリーに把握し、消費者保護の観点から対策を講じ、必要に応じてその執行をするという行政の役割はますます重要になっていくと思います。
 しかし、現実にはマンパワー非常に不足しているというのが現状ですので、この辺についての人的、財政的手当て、専門的人材の育成も含めてお願いしたいと思います。また、地方の消費生活センターでそういう情報を吸い上げるということになりますので、こちらについても今まで以上に手厚い財政支援、人的支援をお願いできればと思います。
 私からは以上です。

○委員長(石井浩郎君) ありがとうございました。
 次に、染谷参考人にお願いいたします。染谷参考人。

○参考人(染谷隆明君) 池田・染谷法律事務所の弁護士の染谷と申します。
 私自身は、以前、消費者庁において景品表示法に課徴金制度を導入する法案の立案を担当させていただいたところでございまして、当時、解散風が吹く中、廃案にならず、先生方に大変助けていただきました。そのような先生方を前に意見をさせていただく機会をいただきまして、大変恐縮しております。
 さて、私はふだん取引デジタルプラットフォーム提供者と呼ばれる企業に対して消費者法のアドバイスをしているところでございまして、このため、実務については少しは分かるであろうということで本日呼ばれたものと認識しております。本日は、一弁護士としての意見を述べたいと思っております。
 まず、本法案の評価でございますが、本法案は、取引デジタルプラットフォームが介在する消費者取引の保護を促進する第一歩であるということでございまして、一定の評価ができるというふうに考えております。このため、私は本法案に賛成するものでございます。
 一方で、衆議院で非常に多くの議論がされたとおり、幾つかの課題や残された解釈上の問題、積み残し課題があるように思われますので、条文ごとにコメントさせていただければと思っております。
 先生方のお手元にございますオレンジの資料に基づいて説明させていただきます。
 まず、四ページ目の二ポツ目を御覧いただければと思います。
 まず、定義関係についてございますが、販売事業者等について意見を申し上げたいと思います。販売事業者等に、販売業者等については、今後、消費者庁においてその認定基準を策定するというふうに聞いているところでございますが、その際に検討してほしいということについて申し上げたいと思っております。
 この販売業者等の認定基準につきましては、いわゆるフリマアプリの隠れBの判断基準にもなるものでございまして、非常に重要なものであるというふうに理解しているところでございます。
 現在の実務はどうなっているかというところでございますが、添付資料として一というもので特商法のインターネットオークションガイドラインというものをお配りしておりますが、実務上はこれが参照されているところでございます。しかしながら、その内容を拝見いたしますと、販売業者に該当するかどうかの例示といたしまして、年一千万円以上の売上げですとか月百万円以上というような要件があるところでございまして、かなりハードルが高いというふうに思っている次第でございます。
 もちろん、これは平成十八年頃に作られたものでございまして、現在でも通じるのかというところはあるかと思いますし、あくまで例示であるというふうに判断しているものでございますから、現在でもそのような基準なのかどうかということについては今後しっかりと議論をしてほしいというふうに思っている次第でございます。
 さらに、第五条に開示請求というのが今回導入されたわけでございますが、開示請求はこれ民事請求でございます、民事上の請求権でございますので、最終的には裁判所が販売業者等かどうかということを判断するわけでございます。
 私の感覚からいたしますと、裁判所は割と簡単に販売業者等を認定するのではないかというふうに思っているところでございまして、今後、消費者庁が販売業者等を検討するに当たっては、裁判所、司法の判断に堪え得るような基準を示していただきたいというふうに考えているところでございます。その際に当たっては、官民協議会にCツーCのプラットフォーマーを入れることによって実態を解明していただきたいというふうに考えているところです。
 次でございますが、五ページ目の三条関係、努力義務について意見を申し上げたいと思います。三ポツ目を御覧いただければと思います。
 非常に細かい議論で大変恐縮なんですが、三条第二項には、プラットフォーム事業者が講じた措置については開示するものとするというふうに書いているんですが、この開示するものとするの解釈について意見を申し上げたいというふうに思っております。
 三ページ目の消費者庁の法案の概要資料によりますと、開示について努力義務という言葉がありますので、努力義務のように考えているのかなというふうに思うんですが、本当にそう読むべきかというところの問題提起でございます。
 添付資料として資料の二の一、二の二というものを付けておりますが、これは法制執務に関する書籍の抜粋でございまして、二の一につきましては内閣法制局の元長官が書いた本でございます。ここによりますと、するものとするというのは多義的であるというふうに言われておりまして、多くはですが、しなければならないと、何々をしなければならないという法的義務の表現を弱めたものであって、法的義務を定めたものであるといった説明がされています。
 一方で、先ほど多義的と申し上げたとおり、あくまで原理原則を定めたという読み方もあるというところでございますので、この点についての解釈は明らかにすべきではないかというふうに思います。
 私個人の意見ということで申し上げたいわけですが、私個人としては、第一項の措置については、講ずるかどうかは努力義務、第二項については、講じた措置については開示しなければならないという法的義務を定めたものであるというふうに整理すべきではないかというふうに思っております。
 なぜかと申し上げますと、開示の措置につきましては、これは、デジタルプラットフォーマーが消費者保護のためにどのような取組を行っているのかということを開示することによって、消費者がデジタルプラットフォーマーを選択する情報を提供するという趣旨でございますので、その趣旨を貫徹するという意味から、又は条文上もそのように読めるのであれば、法的義務であるというふうに整理できないかというふうに考えている次第でございます。
 さらに申し上げますと、若干厳しいことを申し上げるわけですが、第二項の内閣府令で定める事項というものについてですね、第一項で講じた措置を講じない場合には開示するものとするというようなことをもし内閣府令で定める事項で定めるのであれば、講じた措置について開示しないということになってしまいますので、デジタルプラットフォーマーとしては一生懸命一般消費者を保護する措置を講ずるのではないかということで、プラットフォーマーに消費者保護のインセンティブを与えるという観点からもですね、するものとする、開示するものとするということについては法律上の義務であるというふうに判断するのが相当ではないかというふうに考えております。
 この点、参考になるものといたしまして、完全に一致するわけではないんですが、コーポレートガバナンス・コードというものがございまして、これは、コンプライ・オア・エクスプレーンということで、遵守せよ、しないのであれば遵守しない理由を説明せよという考えが取られているところでございます。こういった考えが参考になるのではないかというふうに考えております。
 次に、六ページ目の停止等に係る要請、四条関係でございますが、ちょっといろいろ申し上げたいことがあるんですが、時間との関係で一点だけ申し上げたいと思います。
 七ページ目、あっ、済みません、六ページ目に、要請の要件として第一項の、その安全性に係る不当表示があったことというのに加えて、第二号といたしまして、販売業者がその表示を是正することを期待できないことというところが挙げられているところでございます。しかしながら、この第二号というところが本当に必要なのかという点については、やや疑問があるところでございます。
 といいますのは、もちろん一義的には販売業者が特商法の適用を受けるところであって、デジタルプラットフォーマーについては補完的な地位でしかないわけでございますから、このような第二号の補充要件を設けるということについては理解できるところでございます。しかしながら、安全性に欠ける表示が行われているのであれば、いち早く消費者被害を防止するという観点からは要請をすべきなのではないかというふうに考えている次第です。
 したがいまして、第一号の要件を満たすのであれば、基本的には第二号も満たすというような形で事実上運用していただきたいというふうに思っております。
 参考となる制度としては、資料に付けておりますが、薬機法の七十二条の五の第二項というものがありまして、これはその薬機法の、薬機法に違反する広告がある場合には厚労大臣はその広告の停止を要請することができるという規定でございますが、ここにはプラットフォーマー新法のような補充性の要件、第二号の要件はないところでございます。それは何でないかというと、それは安全性に、消費者の安全性に関わることだからというふうに理解しているところでございます。
 七ページ目の三ポツ目、Cと書いてあるところについて申し上げますが、これも若干厳しいことを申し上げるつもりなのですが、もしデジタルプラットフォーマーが要請に従わない場合であって、かつ一般消費者が要請に係る商品を購入して損害が生じたときには、デジタルプラットフォーマーについてはその損害賠償責任を負うべきではないかというふうに考えております。
 参考資料として、チュッパチャプス事件というものを添付しているところでございますが、これはどういう事件かというと、楽天に出店するたな子が商標権侵害をした表示をした、チュッパチャプスの商標権侵害をした表示をしたということで、チュッパチャプスがプラットフォーマーである楽天に対して商標権侵害を通知したと、かつ損害賠償請求をしたというものでございます。楽天においてはこれ速やかにその表示を削除したということで、楽天自体は損害賠償責任を負わなかったというところでございまして、プラットフォーマーにおいてはこのような楽天のような対応をすべきであるというふうに思っている次第でございます。
 こういった対応を促進する観点から、要請に従わない場合についてであって、かつ一般消費者に損害が発生した場合については損害賠償責任を負う場合があるという解釈を示すことが消費者保護という観点からよいのではないかというふうに考えている次第でございます。
 最後に、要請に従ったのであれば免責されるべきというところについても申し上げたいというふうに思います。
 次に、八ページ目でございますが、これは第五条の開示請求関係でございます。
 これも、開示した場合については免責されるという規定があるわけですが、その点について意見を申し上げたいと思います。
 まず、第一項における開示対象となる自己の債権でございますが、その債権については、債務不履行に基づく損害賠償請求権だけでなく、不法行為やPL法に基づく損害賠償債権も含まれるものと解されます。そうしますと、内閣府令で定める額を超えるものという要件があるんですが、その内閣府令で定める額の判断対象に含まれる損害といたしましては、通常損害、売買金額のような通常損害だけでなく、逸失利益や精神的損害も含まれるのではないかというふうに考えております。
 しかしながら、精神的損害につきましては、これは裁判実務上おおむねの基準はもちろんあるんですが、最終的には裁判官の裁量で決せられるところでございます。したがって、プラットフォーマーとしては内閣府令に定める額を超えているというふうに判断したんだけれども、結果として、裁判になったら精神的損害が非常に低い額しか認められなかったということで、結果的に府令に定める額を下回ってしまったのに開示してしまったという場合があり得ると思います。こういった場合についても、内閣府令に定める額の判断が不合理でない、著しく不合理でないということであるのであればプラットフォーマーは免責するというような解釈指針を示していただきたいと思います。
 なぜここまで申し上げるかと申しますと、その内閣府令で定める額の判断が難しい、また、販売業者等該当性の判断が難しいということになってしまいますと、プラットフォーマーとしては、任意の交渉で開示するということを非常にちゅうちょするわけでございます。その場合どうするかというと、もう全て裁判所の判断に委ねるということになるわけでございますが、そうしますと、裁判費用等も掛かるので消費者の利益にならないというふうに思っているわけでございますので、プラットフォーマーが安心して開示できるように、また、開示するという状況というのは、販売業者がこれ特商法の表示義務を遵守していないという状況でございますので、そういったことも踏まえて開示しやすい環境を整備していただけると大変有り難く思っている次第です。
 次でございますが、飛びまして十ページ目でございます。
 先ほど来、経団連さんから、また拝師参考人からも指摘があるところでございますが、不正レビュー問題について申し上げたいと思います。
 私としては、いろいろ課題があるところでございますので、まずは今できることを徹底してやるのはどうかということを申し上げております。
 ステルスマーケティング、不正レビューというものにつきましては、基本的には二つ類型がありまして、一つは成り済まし型、自分で表示しているのに第三者がそうであるという、第三者が表示しているかのように装うというものですね。二つ目が利益提供秘匿型、つまり金を払ってレビューしてもらっているのにその関係を開示していないというものがあるわけでございます。対応している法律としては景表法と不正競争防止法というものがあるわけですが、景表法に関しては、消費者庁がこれ非常に頑張っているところでございます。
 まず、成り済まし型については、真ん中のところにARSとかリュウセンとか書いていますが、成り済まし型については執行例があります。また、利益提供秘匿型につきましては、真ん中のところに機能性表示食品事後チェック指針というのがありますけれども、これ、こちらに考え方を示しておりますので、今後執行が期待されるところでございます。
 しかしながら、ステマの最も根本的な問題というのは、その利害関係がある、金を払っているという関係を開示しないところにあるわけでございます。ここの点、日弁連はステルスマーケティングについての意見書を出しているところでございまして、景表法の五条三号というものがあるんですが、そこの指定告示に、もしレビューをお願いしたときにその具体的な利害関係があるのであれば、それを開示しないのであれば不当表示になるという指定告示を定めるべきというような意見書を出しております。指定告示はこれは法改正不要でございますので、是非前向きに検討していただきたいと思っております。
 次、不正競争防止法でございますが、誤認惹起行為というものがあるわけでございますけれども、誤認惹起行為というのはまあ不当表示のようなものでございます。で、不正の目的があって誤認惹起をするときにはこれは刑罰の対象となるところでございまして、有名な例としてはミートホープ事件等がございます。
 実務上その不正レビューを指南するコンサルティング等がいるというふうにお伺いしているところでございますが、こういった方々に対しては、その誤認惹起行為を不正な目的で、かつ共同正犯ということで立件可能ではないかというふうに思っておりますので、是非前向きに考えていただければと考えております。
 次でございますが、十一ページ目、大変駆け足で恐縮でございます。
 パーソナライズドプライシングというものも、これは積み残された課題としてあるわけでございます。パーソナライズドプライシングというものは、これ、個人データを活用するなどして個人ごとに異なる価格を提示するというものでございます。
 経済学上様々な議論があるわけなんですが、飛びまして十三ページ目ですね、規制すべきかどうかという点については、規制すべき場合もあるんだろうというふうに考えております。例えば、弱者に対してパーソナライズドプライシングが行われる場合ですとか、人種等のセンシティブ情報に付け込む、センシティブ情報を利用する場合ですとか、弱い状況に付け込むというような場合があり得るんじゃないかというふうに思います。
 規制のアプローチということで、十四ページ目に様々な手法を書いているところでございますが、消費者保護規制という意味では、情報提供をする、透明性を高めるということが重要ではないかというふうに思っております。その手法として様々なことは書いておりますが、消契法の三条の説明義務とか、景表法の五条三号の指定告示で書くとかというような方法があるんじゃないかということを申し上げたいと思っておりますが、いずれにせよ、実態が余り分かっていないので、実態の調査が重要だと思っております。
 最後でございますが、十五ページ目でございます。
 拝師参考人からも御指摘があったところでございますが、十分な予算と機構定員をお願いできればというふうに思っているところでございます。
 本法案だけでも、指針の策定、要請、官民協議会、申出対応と様々な業務があるわけでございますし、また、モニタリングや政策の立案、海外当局等の情報交換があるわけでございます。なので、課長補佐、係長、係員の一ラインでは当然およそ無理でございますので、少なくとも課は無理でも室ぐらいはあるとよいのではないかというふうに思っております。
 大変駆け足で恐縮でございましたが、私からの意見陳述は以上でございます。
 御清聴ありがとうございました。

○委員長(石井浩郎君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
 お疲れさまでございます。また、今日は、どうもお忙しいところ、ありがとうございます。
 まず、正木参考人にお聞きをいたします。
 一度、経団連の方とお話をしたかったんですけど、この特別委員会は消費者保護のための様々な法改正をやってきているわけですけど、常にあるのが、消費者団体側といいますか、消費者側の要望と事業者側の要望といいますかが、何というの、擦れ違ったり、あるいは項目によっては対決したり、折り合いが付かなかったりということがいろいろ繰り返されてきて、本来、正木参考人言われたように、共通の敵は悪質業者だと、これあるわけですね。
 ただ、その悪質業者の被害を防ぐための改正なんだけど、それはまともな事業者にも負担を掛けるとか足かせになるとかいうようなことがあって、事業者側としてはこのままでは困る、反対ということになって、結局、妥協点で法改正が出てくるというようなことが、そして国会で審議というようなことがあるわけですね。
 それは、現場的に言いますと、特に消費者相談員の方々にとって言えば、一歩前進ならまだいい方で、半歩前進とか、ないよりましだみたいな、そんな法改正が現実に、ちょっと長くいるんですけど見てきて、したがって、これ大体三年に一遍ぐらいとすると、三年ぐらいでもう変えなきゃいけないことが、もう半歩ずつだから六年も掛かるとかね。そうすると、現場の方は、もうみんなたけていますから、悪質業者は次々いろいろやってきて、いつも後手後手後手後手になって、なかなか、法改正やって良かったねといったって現場では全然もう追い付かないというのがずっとあるわけですね。そういう、何というんですかね、このことは、別に消費者庁ができても同じなんですよね、不思議なことに。
 拝師先生ととか一緒にやった割賦販売法というのは、経産省、事業官庁だったんだけど、大変経産省頑張って、事業者側の方を説得してもらって、いい法改正をやったことがあるんですよね。消費者庁にはもっと期待されるわけだけど、結局同じようなことが続いていて、今回のデジタルプラットフォームもそうなんですけど、義務規定なんか当然じゃないかと思うんですけど努力規定になるとか、いろいろ指摘されているようなことで実効性があるのかと疑われるようなものになっていると。なぜもっと一番苦労されている現場の相談員の方々の身になって改正が実行されないのかというのは、ずっと思っております。
 どうすれば、もうずっと続いているこの法改正の事態ですね、私たちも半歩前進であれど前進ならば反対はしませんけれど、なぜこんなことが続いているのかというふうにいつも思うんですけれど、いろいろ消費者庁の姿勢とか、先ほども指摘あったようにもっと頑張れるところいろいろあるんですけど、大本にあるのは、事業者側の方々の考え方として、確かに、まともにやっているのに、ちゃんとやっているのに負担が増えるというのは困ると、足かせになると、商売の邪魔だというのは分からなくはないんですよね。ただ、そういう立場もそろそろ変わっていただかなきゃいけないんではないかと。例えば、今自民党の、今はちょっと分かりませんけど、若手の方々で公益資本主義という勉強会があったり、何というんですか、ただ企業は自分たちのもうけとか追求するだけではなくて、ステークホルダーといいますかね、消費者とか従業員とか取引先をもっと大事にしてこそ企業も発展があるんだという考え方ありますよね。
 そういう立場に立って、少々負担が増えても、自分のところはそのルール守るためにまともにやっているけど、負担は増えても、それで業界が良くなれば、悪質業者も駆逐されて業界の健全化につながって自分のところの企業も良くなるというふうなちょっと発想を、全てじゃなくていいんですけど、ちょっとそういう発想を持っていただいて、負担になるからちょっといかがなものか、反対だということから、業界の健全化のためにもルールを自らしょってやっていくことが世のため人のため、企業のためにもなるという、こう、何というか、その発想の転換がやっぱり海外の事例を見ても求められているんじゃないかと思いますが、経団連としてといいますか、正木さんとしていかがお考えですか。

○参考人(正木義久君) ありがとうございます。日本共産党の方とサステーナブルな資本主義について語り合えるというのも私の喜びでございます。
 経団連としてもサステーナブルな資本主義というのをやってきておりますし、消費者庁でも消費者志向経営という考え方を入れていこうじゃないかと。まさに、例えば原料の調達のところで児童労働が行われていないかとかですね、そういったことまでよく見て、それできちんとした商品を出していこうじゃないかというようなことなんかもやっているということでございますので、我々としても、消費者志向経営というものには是非やっていくべきだと思っていますし、そういうものが世の中で評価されて、そういうものについてはそれに適正な価格で消費者にも買っていただけるという世の中を目指しております。
 ですので、今のお話でいえば、今回の法案についても、努力義務というふうになったということについては、このスピードの速い中で、やはり、先ほどアジャイルと申し上げましたけど、硬直的なルールの義務をいきなり課してもかえってうまくいかないと、むしろ抜け穴ばかりになってしまうということなので、柔軟に、官民で話し合いながら、ここはもうちょっとこういうふうにできないかということができるような仕組みということで、今回は努力義務になったというふうに理解をしております。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 拝師参考人は、消費者行政ウォッチねっとということで、消費者庁をつくるときから一緒に議論したり運動をされてきた方でございます。ちょっとこの間起きていることに御意見を伺いたいと思うんですけれど、もう御存じかも分かりませんが、消費者委員会のことでございます。
 二〇〇九年に消費者庁設置法で与野党で全会一致で修正案があって、当初の政府案は消費者政策委員会というのを消費者庁にくっつけて消費者庁の審議会みたいな形でやりたいといったのを、与野党修正で、それじゃ駄目だということで、もっと独立した第三者機関として、消費者委員会と名前も変えて、大きな、大変な議論をして設置したわけであります。その目的は、消費者庁、消費者行政も監督すべきだと、つまり消費者庁も監督すべきだという議論があって、あの修正協議で消費者委員会が設置されたんですよね。
 当然、事務局長も民間からということで、を民間を中心にというふうになって、なってきたんですけれども、この間、あれから十年たって、私も最初ちょっと気が付かなかったんですけれど、どういうわけか、内閣府の中で勝手に相談をして消費者庁から消費者委員会の事務局長を送り込むというようなことが行われていてですね、監視される側の人間が監視する方に人を送り込んだということで、これはちょっと関係者にとっては看過できない問題でございます。
 ですから、何というんですかね、実質的に、あの二〇〇九年、最初に内閣府が提案した、あっ、ごめんなさい、ああ、内閣府ですね、あのときの提案、提案した、消費者庁にくっつける審議会に実質的に戻そうみたいな動きになってきておりまして、当時大議論がありまして、参加した国会議員をばかにする話じゃないかと私は思いますし、国会そのものが愚弄されているんじゃないかと思いますが、自民党、当時は提案者は岸田文雄先生でございましたので、岸田先生には事実だけはお伝えしてあります。判断はもう先生がされればいいと思っていますけど。
 もう一方、ウォッチねっとというのは、消費者行政をつくっただけでなくて、後々見ていこうということがありましたので、当然その消費者委員会の問題もいかがなものかと思っていらっしゃるんじゃないかと思いますけれど、当時のこともありますけれど、その後もウォッチねっととして、消費者行政全体を見てきたはずのウォッチねっととして、今回の問題いかがお考えでしょうか、拝師先生。

○参考人(拝師徳彦君) この法案に限らずという御質問でよろしいですかね。
 特に最近、消費者委員会の大きな動きとしては、今国会に提出されている特商法、預託法の改正法案に関連して、書面交付の電子化に関する問題についての建議というのが大きなものとしてあったというふうに思っています。それについてはかなりいろんな、消費者団体であるとか弁護士会が強く反対をしているところですし、幾つかの地方自治体からの地方議会請願という形で反対意見が出てきているということで、消費者にとって非常に問題のある中身だろうなというふうに思っております。
 それについて、当然我々の立場からすると、消費者委員会というのは、今委員おっしゃったような、消費者の立場で消費者行政を監視していくという独立性の高い監視機関としてあのとき議論をし、国会で、わざわざ審議会の位置付けから切り離して、消費者庁の審議会ではなく内閣府の一組織として独立性の高い監視機関として位置付けて、自ら調査等の権限も与えてという形でやってきたわけですので、当然そういう問題のある法案については反対していただけるんだろうというふうに思っておりました。
 ところが、実際出てきた建議を見ると、反対するどころかですね、その書面交付デジタル化が通る前提でその中身についての意見を述べられているということで、非常に残念な思いをしております。
 そういう意味で、消費者庁、消費者委員会という仕組みが、かなり激論の中で、国会で議論をしていただいてできたそのときの趣旨が、今の消費者委員会の動きを見ていると生かされていないのではないかなというふうに認識をしています。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 全体として、私は、日本の消費者運動も決して強くないと思うんですよね。やっぱり現場の運動、現場から消費者委員会に人を送り込むぐらいの勢いがないと、なし崩しでこういうこと起きたりするというふうな、一緒にやってきたから申し上げるんですけど、やっぱり消費者運動ももっともっと強化、強くなってほしいなと思います。
 染谷参考人に伺います。
 もう法案のことはいろいろあったんで、染谷参考人は消費者庁におられたということで、今の話もあるんですけど、ちょっと消費者庁そのものの強化といいますか、健全な発展といいますか、その点で、それが全ての基本になることもありますのでお話を伺いたいと思うんですけど、染谷さんは消費者庁の課長補佐を任期付きでやられたんですね。任期付きだからまた現場に戻られたということで、消費者庁の経験をまた現場に生かしてもらうというのは大事なことだと思っております。
 一方で、消費者庁のプロパーを増やさないと、やっぱり内閣府にちょっかい出されるようでは駄目だと思うんですね、消費者庁そのものの人材を。その点では、やっぱり弁護士さんが消費者庁に何人か来られていて、任期付きで帰られる人もいるんですけれど、もちろん帰って現場で生かすのも大事ですが、プロパーでやっていただくようなことも重要かなと思っております。
 ただ、一言言うと、消費者庁に来られた弁護士さんもちょっと分かれちゃって、勉強してまた現場に戻る方もいれば、消費者庁にいて何かこう、あれ、どういうんですかね、法律を作る側、権力の側、どういうんですかね、何かこう体制側、自分がちょっと権力持ったような感じになって、ちょっと傲慢になって、誰とは言いませんけど、そういうふうに変わってしまう方も中には今いらっしゃるかも分かりませんが、大抵はやっぱり、今いらっしゃる課長もそうですけど、現場の経験を生かして頑張ってもらっているわけですね。そういう方がやっぱりプロパーでやってほしいなと私なんかは思うんですけれど。
 言いにくいこともあるかも分かりませんが、あえてお尋ねしますけど、やっぱり弁護士さんが消費者庁に入ってプロパーでやっていくとしたら、何が、これからですね、何が足りなくて、何が必要なのかというのを、染谷弁護士のお考えをお聞きできればと思います。

○参考人(染谷隆明君) ありがとうございます。
 非常に難しい御質問をいただいたというふうに思いますが、本当、個人的な感想でいうところで申し上げますけれども、私が消費者庁にいたとき、まだ創設五年で板東久美子長官のときでございます。
 あのときにも、やはり、基本的にはそのほかの省庁から出向で来ているという者がもうメーンでございましたし、私がいた表示対策課とかはもうほとんど公正取引委員会と一部農水省というところでございました。それはそれで皆さん二年後には親元に戻るわけでございますので、ある意味非常に風通しがいいといえば風通しはいいわけでございます。
 ただ一方で、何というんですかね、これ記者クラブの方とかとも話したことがあるんですけれども、消費者保護を何とかしたいだとか、消費者保護が重要ですというようなマインドがすごく強いかというと、余りそうは、余り感じなかったというのが正直なところであると。
 一方で、私自身も消費者庁に入って、非常に消費者保護、重要だなということは理解したつもりでございますけれども、やはり任期は二年間しかないと。幸いなことに、私はまさに法改正担当させていただいて、非常に最前線の経験をさせていただいたところであるんですけれども、その知見というのがやっぱり残らないんですよね。任期付きなのでやっぱりすぐ抜けてしまうと。在野で一応貢献できることはありますが、その消費者庁というところにその人材という意味では残らないというふうには思っていたわけでございます。
 一方で、プロパーの方も今どんどん増えているというふうには聞いているところだと思いますので、かつ、そういった方もどんどん課長補佐になったり、又は課長になったりということでどんどん偉くなるでしょうから、是非、消費者を守るというマインドを持ったプロパーの職員の方が増えてほしいというふうに心から思っている次第でございます。

○大門実紀史君 ありがとうございました。

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