国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2021年3月26日 本会議 高額所得者減税・地方歳出水準前年度並み/2税法改定、共産党反対
<赤旗記事>

2021年3月27日(土)

高額所得者減税・地方歳出水準前年度並み
2税法改定、共産党反対

 2021年度予算に関する所得税法改定案、地方税・地方交付税法改定案が26日の参院本会議で、自民党、公明党などの賛成多数で可決・成立しました。日本共産党などは反対しました。

 所得税法改定案の反対討論に立った日本共産党の大門実紀史議員は、コロナ対策として日本銀行が行った大規模な金融緩和が空前の株価バブルを引き起こし、日本の超富裕層三十数人の資産は12兆円以上増えたと指摘。

 一方、コロナ禍で年収200万円以下の低所得層の雇用は大幅に減少したとして「一部の富裕層に富が集中しても、国民多数のくらしが苦しくなれば国全体の消費が減少する」と主張し、「格差拡大は社会問題と同時に経済成長を阻害する」と批判しました。

 また高額所得者への新たな減税について「格差拡大を助長するもので社会正義に反する」と批判。「減税ではなく増税すべきだ」と求めました。

 地方税・地方交付税法等改定案について、日本共産党の伊藤岳議員が反対討論し、新型コロナはこれまでの地方行財政の根本的見直しを求めていると指摘しました。地方の歳出水準を前年度と実質同額とするルールを止め、地域の公衆衛生・医療体制を確立するための財政需要や社会保障関係費の自然増分を地方財政計画に反映するよう要求。地方交付税の法定率を抜本的に引き上げ、地方が必要とする一般財源総額を確保することが必要だとして、国が責任を果たすよう求めるとともに、地方債の特例発行に頼るあり方に反対だと表明しました。

 また、デジタル庁の設置、行政のデジタル化推進について、「自治体業務システムの標準化や全国規模のクラウド移行により、システムに自治体の仕事内容を合わせることになる」と指摘。自治体サービスの抑制や地方自治の侵害になるとともに、個人情報が置き去りにされるおそれはぬぐえないと批判しました。

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 会派を代表して、所得税法等改正案及び特例公債法改正案に反対の討論をいたします。
 所得税法等改正案に反対する最大の理由は、所得の再分配に逆行するからです。
 この二十数年、世界でも日本でも弱肉強食の新自由主義が横行し、金融緩和も進む下で、株の取引など金融所得を増やす富裕層と、低賃金、不安定雇用に苦しむ人々との経済格差は広がる一方でした。さらに、コロナ禍の下で格差は一層拡大をしています。
 昨年、日本銀行を含む世界の中央銀行は、コロナ対策として従来にない大規模な金融緩和を行いました。しかし、大量に供給されたマネーは実体経済にはほとんど回らず、株式市場に一気に流れ込みました。それが空前の株価バブルをつくり出し、大株主、富裕層を大もうけさせています。
 株価上昇が始まってからの十一か月で、資産一千億円以上を持つ日本の超富裕層三十数人は、資産を十二兆円以上も増やしました。一人当たり三千億円以上の増加です。日本人世帯の資産の保有割合も、僅か一%の人たちが資産全体の約二割を保有するまでになっています。
 株価バブルを背景に、銀座の百貨店では貴金属だけが売上げを伸ばし、都心の新築高級マンションは即時完売の状況が続いています。
 その一方で、コロナ禍で仕事を失ったり収入が減少した人が急増しています。特に、年収二百万円以下の低所得層の雇用が大幅に減少しており、中でも、職を失った非正規雇用の女性や一人親世帯が厳しい生活に追い込まれています。今日明日の食べ物にも困り、食料支援を受けざるを得ない人たちも少なくありません。
 格差の拡大は、社会問題であると同時に、経済成長を阻害する重大問題です。一部の富裕層に富が集中し、そこで幾ら消費が増えたとしても、国民多数の暮らしが苦しくなれば、国全体の消費は減少します。経済の六割を占める消費が減少すれば、経済成長は止まります。政府が所得の再分配政策によって格差を是正し、国民全体の消費購買力を引き上げることは、持続的な経済成長を図る上でも不可欠です。
 二〇一四年に世界的ベストセラー「二十一世紀の資本」を著したフランスの経済学者トマ・ピケティの主張が、今、改めて世界のエコノミストから注目され、各国の政府指導者にも影響を与えています。
 ピケティは、歴史的な分析を通じて、資本の収益率が所得の成長率を上回ることを明らかにしました。分かりやすく言えば、額に汗して働くより株取引などでお金を転がした方がもうかるという話です。
 したがって、富を持つ者と持たざる者との格差は必然的に拡大します。特に、長期にわたる金融緩和で実体経済の何倍にもマネー経済が肥大化した現代において、格差拡大のスピードは一段と速くなっており、政府による所得の再分配も急いで実行しなければなりません。それゆえ、ピケティは、早急に富裕層に課税し、富を国民に還元すべきだと主張してきたのです。
 ピケティの主張はアメリカの民主党にも影響を与え、バイデン氏が富裕層への課税強化を掲げて大統領に当選、現在、高額所得者をターゲットにした所得税の引上げや金融所得への課税強化に加え、相続税などの優遇措置の見直しが検討されています。イギリスでも富裕税導入の機運が高まり、学者などで構成する専門委員会が、高額所得者への課税によって大幅に税収増を見込めるとの報告書をまとめるなど、課税強化へ動き出しています。
 ところが、日本はどうでしょう。菅政権は、金融所得課税の税率引上げを見送っただけでなく、今回の改正で高額所得者への新たな減税を打ち出しました。富裕層から預かったお金を運用するファンドマネジャーへの減税です。ファンドマネジャーは、年収何億円のプレーヤーと言われるように、自らもファンドに出資をして大もうけをしている高額所得者です。これら株高で大もうけしている人々に減税を行うことは、格差拡大をわざわざ助長するものであり、もはや社会正義に反する行為と言わなければなりません。彼らには、減税どころか増税すべきです。格差是正に逆行する本改正案に賛成するわけにはいきません。
 次に、特例公債法の改正案について反対の理由を述べます。
 そもそも財政法では、赤字を補填するための国債の発行は原則的にできないことになっています。そのため特例公債法を制定し、一年限りの特例として赤字国債の発行を認めてきました。
 しかし、参議院で野党が多数になるいわゆるねじれ現象が生じる下で、予算は通っても、裏付けとなる特例公債法案が参議院でなかなか通らないという事態が続きました。そのため、二〇一二年十一月、民主、自民、公明の三党合意によって、予算と特例公債法案を一体的に処理することとし、二〇一二年度から二〇一五年度までの四年間の特例公債の発行を認める改正案が可決、成立をしました。
 また、二〇一六年には、安倍自公政権の下で、衆参のねじれが解消していたにもかかわらず、引き続き二〇二〇年度までの五年間の特例公債の発行を認める改正案が、自民、公明などの多数で可決されました。
 我が党は、放漫財政を戒める財政法の趣旨からも、特例公債については毎年きちんと国会で審議すべきものであり、複数年度の発行を一遍に認めることは国会のチェック機能と審議権を奪うものであると一連の改正に反対し、厳しく批判をしてまいりました。
 そういう批判も意識してか、二〇一二年の改正も、二〇一六年の改正も、その時々の財政健全化目標との関係で特例公債を発行する期間が決められていました。
 例えば、二〇一二年改正が二〇一五年度までの四年間とされたのは、二〇一五年度にプライマリーバランスの赤字を半減するという当時の財政健全化目標の期限に合わせたものでした。二〇一六年改正の二〇二〇年度までの五年間という設定も、二〇二〇年度までにプライマリーバランスの黒字化を目指すという当時の目標期限に合わせたものでした。少なくとも、財政健全化目標を意識した法改正になっていたのです。
 ところが、今回の改正案では、プライマリーバランスなどの具体的な財政健全化目標との関連付けを放棄しています。これでは、安易な国債発行を禁じた財政法の趣旨が形骸化され、今後も政府の裁量次第で何年でもまとめて赤字国債を発行できることになってしまいます。
 私は、二〇一二年、今から九年前の財政金融委員会において、こんなやり方を一度認めれば恒久的に継続していく危険性があると指摘をいたしました。まさにそのとおりになってしまったのではないでしょうか。
 コロナ対応も含め、赤字国債の発行なしに財政運営が立ち行かなくなっているのは事実です。だからこそ、国債発行についての議論から逃げるのではなく、毎年真摯に与野党で議論すべきではないでしょうか。それが国会の責任です。
 国会のチェック機能と審議権を奪い、放漫財政につながる特例公債法改正案は撤回をすべきです。
 以上申し上げて、反対討論といたします。(拍手)

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