<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
総理はデジタル戦略を進めようとされておりますけれども、税制でいいますと、グーグルやフェイスブックなど国境を越えて事業展開をする巨大IT企業に課税しようと、課税するといういわゆるデジタル課税がこれは国際的にも課題となっております。
デジタル課税について、総理の御見解をお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) デジタルの技術を使って国際的に活動する多国籍企業に対して、支店、工場等の拠点を持たずにインターネット等を通じて活動する企業に対するまずは課税の見直し、さらに、税率が低い国を利用した租税回避の防止は、公平な競争条件を確保するためにここは重要だという認識を持っています。
このため、OECDやG20、ここを中心に議論を行い、本年半ばまでには国際的な合意の取りまとめを目指しております。そして、我が国もこうした議論に積極的に参加しているところです。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
せっかくなので総理のそのデジタル戦略に関連してちょっとお聞きしたいんですけど、判こをなくせ、できるだけ紙をなくせというのがありますけれども、総理のお考えになっているデジタル戦略というのは、この世の中全ての書面、紙の契約、こういうものをなくせと、デジタル、オンラインにしろというようなことを求めておられるとは思いませんが、要するに申し上げたいのは、デジタル、オンライン化できるものはすればいいと思うんですけれど、どうしてもそれにそぐわないもの、例えば安全に関するものとか、あるいは消費者保護とか、紙だからいろいろ防いできたというようなものもあると思うんですよね。
そういうものは、やっぱりきちっと安全性や消費者保護という観点は貫いていくべきじゃないかと。何でも紙とか、何でも判こなくていいというのとはちょっと違う分野があるので、その辺については慎重にすべきだと思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 誰もがこのデジタルの恩恵を最大限受けることができる世界に遜色のないデジタル社会の形成に当たっては、国民が安全、安心で暮らせる社会の実現がこれは大前提だというふうに考えています。
技術的に対応可能な全ての契約書面のデジタル化を進めていますが、書面での手続の廃止を求めているものではありません。今般のデジタル改革関連法案においても、押印、書面の見直しを図り、デジタルによる手続を可能にする一方で、例えば保険契約における契約条件の変更の通知は、消費者保護の観点等から配慮を要する手続についてはデジタル化の対象とはしない、そうしたことをしっかり対応しながら、そうしたことを考えながら対応していきたいというふうに思います。
○大門実紀史君 おっしゃるとおりだと思うんですけれど、実は今、この国会に特定商取引法、特商法の改正案が提出されております。これから衆議院で審議なんですけれども、この特定商取引法というのは、トラブルの多い訪問販売等々、そういう商取引から消費者を守るための法律でございます。
改正案そのものは全体いい改正で、みんな賛成ということなんですが、ただ、急遽総理が号令掛けられたデジタル化戦略をちょっと勘違いした人がいるのか分かりませんが、今の総理のおっしゃったことと違って、この特定商取引法、特商法で今まで、やっぱり危ない世界なんで、書面での契約というのを義務付けてきたんですよね。ところが、今後は本人の同意があればオンライン、デジタル化でやれるような改正案がこれ入っちゃっているんですね。
私はジャパンライフ問題というのをずっとやってきましたけど、本人の同意というのは、だまされるときはもう関係ないですよね、もう本人の同意取ってだましているんですね。だから、本人の同意取ればというのは、何というか、歯止めにならないんです、この消費者問題というのは。お年寄りの被害なんかそうですね。それをオンライン、ボタン一つ、ワンクリックでやると。しかも、契約書はパソコンかスマホの中のブラックボックスに入ってしまうと。
そうなると大変心配だということで、例えば私がいろんな相談乗っていたジャパンライフでいいますと、大体お年寄りなんですよね。横に若いジャパンライフの社員が座って、おじいちゃん、おばあちゃんに、まあ一応、契約書読んでと、それで、代わりに読んであげようかと、で、判こ出してきてと言って、そのときに、ちょっと待ってねと、息子に聞いてからにするわねとかですね。これ、ちょっとワンクッションあるんですね、紙とか契約書とか判この世界は。ところが、あのときに、オンライン化オーケーとなったら、ジャパンライフの社員は恐らく、一緒にクリック押してあげて、次、チェックしたらいいのよとやって、もうぽんぽんぽんといってしまうと。したがって、まず入口でいろいろ考える時間、ためらう時間がデジタル化によってなくなってしまうんじゃないかと。
これ、現場の相談受けていた相談員の方々からそういう声がいっぱい出ておりますし、被害が発見するのも、家族が発見するんですよ、大抵。本人、いいと思ってやっていたりするわけですね。ところがお金がどんどんなくなっていくと。何でなくなっているんだろうと。で、娘さんがお父さんに、おじいちゃんに、何でこんなお金減っているのと。で、いや、分からない。聞いてみたら、たんすの中に契約書があって、これ何の契約書ということで娘さんが電話して、消費者センターに電話して発覚していくということで、契約書を見て、あ、これだなという気が付く場面があるんですね。ところが、ブラックボックスになっちゃいますと、パソコンとかスマホに入っちゃいますと、お金減っている理由は分からない、本人も言わないと。いいことやっていると思ってもう黙っているというようなことで、発見が遅れるというのがあるわけですね。
したがって、この特定商取引法の、特商法の世界では、やっぱり書面交付義務とわざわざ付けたのはそういう歯止めにいろいろなるからなんですけど、それを今回、先ほど申し上げたように、デジタルでいいと、書面じゃなくてもいいというような改正案が入ってきたんですね。これで、消費者団体、弁護士会、消費者相談員協会も、みんながもう物すごい今反対の声が起きていて、大変な事態になっているんです。
これは、総理はそんなことを思ってデジタル化進めてくれとおっしゃったわけじゃないと思うんですけれど、ちょっとよく分かりませんが、新任の消費者担当大臣が、全体がもうデジタル化だというのでもうやっちゃえ、やれというふうに御指示されたのかどうか分かりませんけれども、ちょっと総理が思っていらっしゃる、先ほど御答弁いただいたことと違うことが今現場でうわあっとなっているということなので、このこと、総理、御存じでしたか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私自身、正直承知していませんでした。ただ、当然、本人の同意、それと歯止めだとか、そういういろんなことがあるんだろうと思います。
いずれにしろ、今御指摘をいただきましたので、そこについてはちょっと考えさせて、検討させていただきたい、こう思います。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
是非担当大臣に本当のデジタル化戦略の意味を伝えていって、現場はちょっとこれはもう大変な事態になっているので、せっかく何年ぶりのいい改正案がこの点で、この点でもう全部、賛成だった人がみんな反対に回ろうかというような大変な事態になっているので、デジタル化戦略とはこういうものではないということを、よく担当大臣に話を聞いて、正すところは正していただきたいなというふうに思います。御要望しておきます。
もう一つお聞きしたいのは、富裕税でございますが、これはもう麻生大臣とは何回も議論してきたことなので、予算委員会で一度、菅総理ともお話をいたしましたけれど、格差が広がっているということもございまして、世界ではアメリカもイギリスも富裕層に増税していこうということが動きになっています。
今までの御答弁は、いや、日本も金融所得課税、かつて一〇%だったものを二〇%に上げましたというふうに繰り返しおっしゃるんですけど、もう何年もたつわけですね。最初一〇%のときも低過ぎるということで、特別措置だから低過ぎるというので、本則に戻すべきだということを何度も何度も、もう尾身大臣のときからですね、もう何度も何度も、あっ、塩川さんのときからですね、もうずうっと議論してきてやっと引き上げられたと。
で、それからまた何年もたって格差も広がっているから、やってきましたということよりもこれから上げるべきだと、今上げるべきだということを繰り返し、我が党だけではありませんけれど、お話をしているわけですけど、今回には、今回の税制改正には入っておりませんが、やはり富裕層がもう一遍に今資産増やしておりますので、やはりこのままじゃなくて、やっぱり負担能力ありますから、もう少し負担をしていただくというような方向で次に向けて検討してほしいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私も前回答弁させていただいたこととほぼ同じ答弁にこれ当然なるわけでありますけれども、所得再分配というのはまさに税制の持つ重要な機能の一つであり、富裕層の方々に応分の御負担をいただくことは、ここは重要であると考えています。
ただ、税制によるこの再分配機能の回復を図るために、これまでも、先ほど言われましたが、所得税については、最高税率の引上げだったとかあるいは金融所得に係る税率の引上げ、こうしたものを行ってきました。また、相続税についても最高税率の引上げ、これも行ってきています。
今後の税制の在り方については、所得格差や資産格差の状況を含めて、経済社会情勢の変化を丁寧に見極めた上で検討をしていきたい、こういうふうに思います。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
もう一問だけ、せっかくですから。中小企業に対する幾つかの税制あるんですけれど、今回、従来からやってきた部分をちょっとそぎ落として、これからMアンドAも含めていろいろ展開するところにちょっとシフトしているんですけど、やっぱりコロナ禍ですから、まず今生き延びてもらうというふうな、従来やっていた中小企業向けの税制もやっぱり手厚くしていく、そしてもちろん次のことも考えていくという点が必要かと思うんですけれど、それは予算委員会でも議論させてもらいましたが、やっぱり中小企業、ただ大きくなればいいというものじゃなくて、小さくても技術を持って頑張って、別に大きくならなくてもいいと、小さい方がやりやすいという企業もあるわけですから、ただ大きくする方向で税の支援をするだけじゃなくて、全体を見て中小企業税制というのはお考えいただきたいと思いますが、一言、総理からいただければと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) やはり中小企業税制、その形でなくて、やはり足腰を強くしてこれは生き延びていく、そうした中小企業をつくる、ここも当然大事なことだと思っています。
いずれにしろ、そうしたことの中で中小企業もやはりしっかりしなきゃならないということは全く変わっていませんので、そうした中で、合併して大きくなるということだけでなくて、やはり足腰を強く、また柔軟に生き抜くことのできる、そうした中小企業を目指すべきだと思っています。
○大門実紀史君 以上で終わります。ありがとうございました。
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
両改正案に反対の討論を行います。
所得税法等改正案に反対する最大の理由は、所得の再分配に逆行するからです。日本でも世界でも経済格差が拡大する中、政府に求められているのは所得再分配政策です。
ところが、今回の税制改正は、金融所得課税の税率引上げを見送っただけでなく、高額所得者であるファンドマネジャーへの事実上の減税措置が新たに盛り込まれています。これは、この間、日本を含む各国政府が取り組んできた国際的な税の引下げ競争をやめて公正な税制を構築しようという流れにも逆行するものと言わなければなりません。
ウイズコロナ、ポストコロナで取り組むべき課題は、貧困と格差の是正です。今、世界はその打開の方向を模索し始めています。アメリカ、イギリスでは法人税率の引上げ、富裕層への課税強化の方向を打ち出しました。研究開発減税など、大企業優遇、富裕層優遇税制の是正こそ日本が進むべき道です。
特例公債法については、質疑でも指摘したように、プライマリーバランスなどの具体的な財政健全化目標との関係を放棄しました。これでは、今後も、何年でもまとめて特例公債の発行ができるようになってしまいます。国会のチェック機能と審議権を奪うものであり、賛成できません。
以上、主な反対理由を述べて、討論といたします。