<議事録>
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
お忙しい中、ありがとうございます。
せっかく中空公述人に来ていただいているので、やはり金融、日銀政策についてまずお聞きしたいというふうに思います。
コロナ対策で世界の中央銀行が金融緩和をやって、そのマネーがなかなか実体経済に回らないで株式市場に入ってバブルをつくり出しているんじゃないかということが大体の感覚じゃないかと思います。つまり、緩和マネーがつくり出したバブルと言えると思いますが、それだけでなく、日本銀行は今までも積極的に株価の下支えといいますか、ETFの購入を進めてまいりまして、今回のコロナ対策で、年間今まで六兆円だった購入額を十二兆円に増やしました。特に、株価が急落した去年の三月、四月ですかね、日銀が二か月で二・七兆円もETFを購入しております。特に三月、細かく調べてみると、ちょうど最安値になった三月十九日に、それまでの倍、一日で二千億円のETFを購入しております。まさに株価の下支えをしてきた面もあると思うんですね。
このことをある市場関係者の方にお話を聞きますと、僕らちょっと分からないんですが、現場の方じゃないと、午前中に株が下がると午後に日銀の買いが入ると、こんなことはみんな知っている話だということなんですね。これは健全な、先ほどありました、不健全とありましたが、健全な株価の形成、株式市場の在り方をゆがめているんじゃないかということと、もう一つは、バブルという点でいきますと、日本の株式市場は、下がったら日本銀行が介入してくれると。そうすると、海外の投資家も含めて、日本の株式市場はまあ安心だというんでよりバブルを膨らませるというようなこともあるんではないかという、現場の方ならではのリアルな話を聞いたわけであります。
中空公述人も現場でいろいろ見ておられると思うんですが、そういう、日本銀行というのは株式市場にとって今やそういう存在になっているんでしょうか。
○公述人(中空麻奈君) ありがとうございます。
それを言うんであれば、株だけじゃなくて日本国債市場もそうだと思います。
基本的には健全じゃない、そういう取引があっても、おかしい、おかしいよねという御指摘いただいたと思うんですが、本当はそうだと思っています。でも、かといって、いざ金融市場にいると、最後の買手がいるかいないかというのは、マーケットを安定して参加する上ではとても重要なポイントになってくるんですね。ここまでしっかりと介入してもらった以上、急に豹変されることは物すごいリスクだと思うんです。
なので、先ほど来しつこく言っているんですけど、どうやってモデレートに、緩やかにやめていってくれるかということが大事になってくるんですが、今までのところは逆にマーケットの安定にも寄与してきたと思うので、どれぐらい時間を掛けて正常化していくかということを見守る必要が出てきたなということです。
逆に言うと、今の現状というのはそういう、日銀が買ってくれる、最後の買手としての立ち位置がはっきりし過ぎて、それをマーケットも期待し過ぎてそれをやってくれると思っているので、逆にやらなかったら、とってもがっかりしちゃって株が落ちると思うんですね。そういうからくりをつくってしまったことは間違いでないのかと御指摘になれば、それは間違いだと思います。でも、訂正しようがないというのも事実で、それを緩やかに訂正していくという過程が始まるんだろうと思っています。
以上です。ありがとうございます。
○大門実紀史君 私、国会の財政金融委員会というところにおりまして、日本銀行とはそういう議論をしてきて、まあ最初から言ったんですけど、十年以上前に始めたときから、これ、買い始めると出口がないよといいますか、引き揚げられないと。引き揚げた途端、株が下がるということになりますので、結局、緩やかにといってもなかなか難しいところありまして、そもそもやるべきじゃない政策を踏み込んだんではないかと思っております。先ほど、浅田議員とのやり取りもありましたけれど、なかなかソフトランディングといっても、もう入っちゃったら出られないような政策に踏み込んだんではないかと思います。
その点で、この合理的バブル論というのを大変興味深く読ませていただきまして、あのリーマン・ショックのときはですね、サブプライムローンという、まあアメリカの住宅バブル、実物を介したバブルがあって、それにマネーが絡んで、それが破綻してというのがありましたが、今回は、先ほどもございましたとおり、中央銀行のこの金融マネーがつくり出したマネーバブルといいますか、金融のバブルでございます。
その点で、中空公述人も先ほど、最後の買手がどうするかというのが、言わば中央銀行がつくり出して中央銀行が最後の買手として支えているようなバブルでございますので、中央銀行が今後どうするかという、今の日本、日銀でいえばETFも国債も同じなんですけど、そういう中央銀行の出口戦略はどうなるかというのがバブルの今後を左右するんではないかと思うんですね。
ただ、FRBとかECBと違いまして、日銀はコロナ以前から大規模な金融緩和をやって、ETFだけじゃなくて、おっしゃったとおり国債も大量に購入しておりますので、そう簡単にFRBやECBと違って出口に向かえないと。この点でも、元々出口なんかないからこんなのやめるべきだと言ってきたんですけど、やめないんですね。もうどん詰まりになっているんですけれども、そういうところにあります。
私、この出口の問題では常に、出口というのはもう難しいから、せめて正常化に踏み出すべきだということを日本銀行に何度も提案してきておりまして、一つは、今の物価上昇目標の二%ですね、もう今は意味がないからやめたらどうかと、誰もそんなの見ていないし、期待もしていないからやめたらどうかということと。今はちょっとコロナ禍ですからすぐは難しいんですけれど、もうちょっと落ち着いたときにやっぱり正常化できますと、日銀の国債保有残高は減らしますと、これから、いう方向を明確に打ち出すということと。三つ目は、やっぱり、中空公述人、詳しい世界ですけど、投機筋の動きが必ず、国債の空売りとか仕掛けがこの間も、何年か前にもありましたけれど、そういうことがありますので、投機筋の動きを規制する空売り規制とかですね。
何より大事なのは、マーケット、国民の皆さんに、日本銀行はこれからゆっくり国債については減らしていきますから協力してほしいと。例えば、長期で国債を保有してくれる人には優遇して日銀の国債を売却するとか、このコロナ禍での積み上がった債務というのは一緒にできませんので、私どもは、特別会計にして特別な長期償還でやるべきだというようなことも含めて、正常化には、出口なくとも正常化には踏み出すべきだということを提案はしてきているんですけど、なかなか難しい話ではあると思うんですが、中空公述人のお考えをちょっと聞かせてもらえればと思います。
○公述人(中空麻奈君) ありがとうございます。
いずれも、タイミングを間違わなければ本当にいい政策だというふうに思います。
タイミングを間違わなければという言い方をわざわざした理由は、今は、もう先ほど来申し上げているように、マーケットは期待感で、金融政策と財政政策が動くだろうという期待感で動いていますから、それが急になくなったときのクラッシュはできれば人為的に動かす、つくりたくないわけです。
そうすると、例えばおっしゃっていることももう超まともで、正常化を促しますとか、あるいはその長期の保有者を見付けていきましょうとか、いずれもそうだと思うんですけれども、タイミングを間違えると、あっ、国債を減らすんだというメッセージだけ伝わる、それだけ伝わって、金融緩和やめるんだというふうになって、日本発のクラッシュシナリオに火を付けることは間違っているというふうに思うんです。なので、やり過ぎちゃった以上は、そこはちゃんとメンテナンスをしつつ終えていっていただく責任もあるんだろうと思います。
じゃ、タイミングはいつかというと、金融緩和は財政再建ができるときとセットだと思いますので、財政再建をしていくという目途をきちんと政府も立ててもらって、それとのセットで金融緩和は語られるときが来るということを固く信じたいというふうに思います。
以上です。
○大門実紀史君 鈴木公述人に伺います。
鈴木公述人は金融政策専門ではないかも分かりませんが、日本銀行出身ということで、もう思い出したくないかも分かりませんけれども、今の日本銀行をどういうふうに見ておられるか、御感想でもあれば。
○公述人(鈴木亘君) ありがとうございます。
景気予測の主任をしておりましたので、懐かしい議論を聞いておったわけですけれども、バブルのときを思い出しますと、バブルがどうして起きたかという、いろいろ諸説あるわけですけれども、やっぱりバブルって一種の妄想ですので、もう妄想が膨れ上がっちゃうわけですよね。なので、そういうシナリオを断っていくということが非常に重要で、つまり、将来こういう条件だったらやめますとか、こういう条件になるまでやりますとか、そういういろんな対話の回路があの頃は全くなくて、そういうことを全く、時間軸とかやっていなかったわけですけれども、やっぱり時間軸でこういう条件だったらこうするという先のことをどんどん発信して、妄想の種を断っていくというのが結構重要かなと思うんですね。
先ほど中空さんが言ったように、もう一つは、あのときの過ちは政策協調できていなかったということですので、今回かなりできておりますけれども、やっぱり政府の財政再建シナリオに合わせて日銀はこういう条件だったらこういうふうにするというような、両方が協調してやるということがないと、例えば金利は上げるわ融資規制はやるわと、ダブルのことをやってクラッシュさせるとかそういうことが起きるわけですので、やっぱり将来との対話、将来のむしろいろんなシナリオを政策協調で発信していくということが多分重要なのかなというふうに思った次第でございます。
以上でございます。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
鈴木公述人にもう一つお聞きしますけれど、今回、このコロナ対策で大量の国債がまた発行されて、一年間の予算に匹敵する規模になるような国債が発行されております。このコロナ対応で発行した国債をどうするかというのは、先ほどちょっと申し上げましたけど、通常の国債と同じように考えると大変なことになると。やはり特別会計にして長期償還、考え方としてはMMTという考え方もございまして、いいんだと、借金はどんどんしてもいいんだというような考え方。で、私申し上げているのは、特別会計にして長期で償還するというような別個の償還の方を考える。もう一つは、もう増税で、財務省はそういうところに傾いていますが、増税で、あの復興のときそうでしたけどね、増税で償還していくというようなことがあると思います、言われていますけれど、経済のことを考えますと、鈴木公述人の率直な御意見で結構なんですが、どれが一番ふさわしいとお考えでしょうか。
○公述人(鈴木亘君) 大変難しい御質問をいただいたと思うんですけれども、ちょっとまだしっかり考えてはいないんですが、特別会計というのは一つの考え方かなというふうにちょっと思っております。つまり、財政再建のシナリオは捨てないということが言えるわけですね。これは特殊な事情で膨れ上がったものであるので、既存の財政再建のシナリオは捨てずにそれは達成するんだということが両立できますので、それは一つ模索していいルートかなと思うんですね。
ただ、非常に難しいのは、どこまでがこの今回の問題で生じたものなのか、どこまでがそうじゃないのかというのを分けることは非常に難しいので、そこは大きな宿題になると思いますけれども、一つの考え方だなと思った次第でございます。
ありがとうございます。
○大門実紀史君 同じ質問、中空公述人、お願いいたします。
○公述人(中空麻奈君) 私も、先ほどのプレゼンの中でも少しだけ申し上げたんですが、今、鈴木さんもおっしゃいました、特別会計にするかどうかは別として、別勘定にしておくというのは大事だと思うんですね。コロナで増えた分というのは、あとはドイツと同じで、どうやって返すか、いつ返すかということを彼らは言い始めているので、そういう発想を日本でも持つ。日本国債の格付を下げないための秘策は、この政府の方々、政治家の方々が日本国債というのの格付を下げないために財政再建をちゃんとしますよということにコミットしていただくことなので、それをやっていただくことが大事というふうに思います。
増税がいいのか、何がいいのかというと、どちらにしろ誰かに負担が行くので、そこはうまくやっていただくしかないとは思っているんですが、会計を分けて、きちんとこれは返していきます、財政再建はしていきますという意思表示をするということに意義があるというふうに思います。
以上です。ありがとうございます。
○大門実紀史君 どうもありがとうございました。
終わります。