国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2021年3月10日 本会議 コロナ禍で苦しむ中小企業への支援と税制について質問

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 会派を代表し、質問をいたします。議題となりました法案に関連して、特にコロナ禍で苦しむ中小企業への支援と税制について質問します。
 この間、商工会議所など中小企業団体と懇談を重ねてまいりました。異口同音に出されたのは、政府の支援策が後手後手、右往左往、継ぎはぎだらけだという厳しい意見でした。
 例えば、各団体の一番の要望は持続化給付金の継続でした。しかし、菅内閣は、コロナ第三波が襲来していたにもかかわらず、昨年のうちに打切りを決定してしまいました。
 ところが、年が明け、再び緊急事態が出されるようになると、持続化給付金を打ち切ったままというわけにはいかなくなり、慌てて、法人は上限六十万円、個人は三十万円の一時支援金を急ごしらえで打ち出しました。
 この一時支援金は、現場の評判が大変悪い。給付金額も少ない上に、事前に商工会議所や税理士などの登録確認機関の認定を受けてからでないと申請できないなど手続も煩雑です。こんな面倒な制度を新たにつくるくらいなら、持続化給付金を継続、拡充すればよかったのではありませんか。総理の考えをお聞きします。
 これでは、中小企業の皆さんから、後手後手、右往左往、継ぎはぎだと言われても仕方がありません。
 しかも、一時支援金の実施要項が発表されたのは、先週の三月一日です。これから持続化給付金以上の面倒な手続を行うとしたら、実際に給付されるのは一体いつ頃になるのですか。早くても四月半ば、ほとんどは五月以降になるのではありませんか。それまで現場の事業者が持ちこたえられると総理はお考えですか。お答えください。
 菅内閣の打ち出した新たな給付金は、内容が不十分なだけでなく、事業者の間に深刻な分断を生んでいます。
 一日六万円の時短協力金は、助かる飲食店がある一方で、六万円では固定費にもならない中規模以上の飲食店がたくさんあります。また、対象となる飲食店は、例えば二十日で百二十万円の給付が受けられますが、その飲食店に納入する酒屋さんなどの事業者は、売上げが半減していても、一時支援金の六十万円か三十万円しか給付されません。
 先週訪問した中小企業の経営者団体の事務局長さんは、今回の時短協力金や一時協力金について私にこう言われました。なぜあそこは助けてうちは助けてくれないのか、そういう不公平感が会員の間に分断を生んでいる。それがこの苦境を一緒に乗り切ろうと頑張ってきた連帯感を失わせ、会議にも人が集まらなくなった。組織にとって、お金の問題より深刻だ。こういう亀裂や分断を生まないためにも、一律の金額ではなく、売上高など事業規模に応じた公平な支援を検討すべきではありませんか。総理の考えをお聞きします。
 持続化給付金が打ち切られた背景には、昨年十一月末、財務省の財政制度等審議会が提出した来年度予算編成に向けた建議がありました。この建議は、持続化給付金などの支援はモラルハザードを生み、中小企業の新陳代謝を阻害するから終了すべきだという、現場の苦境を知らないとんでもない主張をしています。
 この建議の背景には、総理のブレーンと言われてきた経済評論家のデービッド・アトキンソンさんの中小企業の淘汰・新陳代謝論があります。アトキンソンさんは、日本の中小企業は数が多過ぎる、生産性が低い、規模を大きくして半分の数にすべきだと提言してきた方です。
 総理が創設した成長戦略会議のメンバーにも登用され、昨年十二月に出された成長戦略会議の実行計画には、中小企業の生産性が低い、規模の拡大を促進すべきだなど、アトキンソンさんの主張が採用されています。
 しかし、生産性や規模の大きさが全てでしょうか。日本の中小企業は小さくてもきらりと光る優秀な技術を持ち、それが技術立国日本を支えてきたのではないでしょうか。単に規模の拡大だけを追求すれば、中小企業の淘汰を後押しすることになりかねません。総理の考えを伺います。
 こういう考え方に基づいて、今回、中小企業のMアンドA促進税制が提案されています。生産性の引上げを目指し、中小企業の合併、買収の促進、つまり大が小をのみ込む形での規模の拡大を促進するための税制です。
 麻生財務大臣は、一昨日の予算委員会で、アメリカの有名なデパート、メーシーズは、人が少なくて生産性は高いがサービスは悪いという分かりやすい例を引いて、世の中、生産性だけが全てではないという見識のある発言をされました。
 それならば、今回の中小企業のMアンドA促進税制のような筋の悪い改正は見送るべきではないでしょうか。
 次に、コロナ禍による中小企業の過剰債務問題についてお聞きします。
 コロナ対応の特別融資は、中小企業、中小事業者のまさに命綱の役割を果たしてきました。民間金融機関のコロナ特別融資の残高は一月末現在で十七・五兆円、日本公庫で十二兆円にも達しており、従来の年の二倍以上の巨額の融資がコロナ対応として実施されております。長引くコロナ禍の下で、当面は返済の据置き、猶予がどうしても必要になりますが、その後のことも政治の責任として考える必要があります。
 コロナ特別融資は、平時における借入金とは性格が異なります。コロナ禍での営業損失の穴埋めに使われた借入金であり、言わばコロナ債務とでも呼ぶべきものです。コロナが収束し、仕事が動き始めると、事業者は仕入れのための運転資金や設備資金が必要になってきます。これは言わば前向きな借入金ですが、コロナ債務が残っているために、金融機関が新たな融資に応じてくれるかどうかは分かりません。過剰債務にある事業者への融資は、金融機関にとってもリスクを伴うからです。新たな融資が実行されなければ、中小企業、中小事業者は倒産、廃業するしかありません。このまま個々の金融機関と事業者に任せて放置すれば、今年の秋以降にも倒産が急増していく危険性があります。
 コロナ債務と新しい債務との二重債務問題をどう解決していくか、コロナ後の日本経済を立て直す上でも避けて通れない課題ではないでしょうか。総理の認識を伺います。
 二重債務の解決は、過去の経験からしても、コロナ債務を削減、縮減、整理するしか方法はありません。東日本大震災のときは、与野党を超えて二重債務、二重ローン問題を議論し、債権買取り機構や中小企業再生スキーム、私的整理ガイドラインなどを含め、過去の債務の削減、縮減、整理の仕組みが打ち出されました。
 一月末の財政金融委員会では、これらのことも参考にしながら、私は、コロナ債務の縮減、整理について検討されるよう麻生大臣に求めたところ、今後検討すべき課題だとの答弁をいただきました。先日、自民党の金融調査会からも、債務の返済猶予などの提言が出されたと聞いております。
 麻生金融担当大臣、頑張る中小企業を支援することは国の責務です。中小企業の過重債務をどう解決すべきか、金融庁としても具体的な検討に入るべきではないでしょうか。この点での早急な対応を求めて、私の質問を終わります。(拍手)

   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(菅義偉君) 大門実紀史議員にお答えをいたします。
 一時金についてお尋ねがありました。
 飲食店の営業時間短縮などの影響により売上げが大幅に減少した事業者には、一時金を支給することとしております。その申請手続については、不正防止と負担軽減の両面に配慮しており、例えば、所属する商工会や取引のある金融機関などの確認があれば簡素化するなど、できるだけ事業者の御負担にならないようにしております。
 全国に緊急事態宣言を行い、幅広い業種に休業要請を行った昨年とは状況が異なることから、昨年のように一律の持続化給付金を再度支給することは考えておりませんが、一時金に加え、資金繰り支援や雇用調整助成金など様々な支援によって雇用と事業をしっかり支えてまいります。
 一時金の給付時期についてお尋ねがありました。
 一時金は、三月八日より申請の受付を開始しています。給付までの期間は申請書類不備の有無などによって異なることとなりますが、厳しい経営環境に置かれている事業者に配慮し、可能な限り早くお手元にお届けできるようしっかり対応してまいります。
 事業者への支援についてお尋ねがありました。
 今回の緊急事態宣言では飲食店の時間短縮を中心に対策を行っており、その影響を受ける飲食店などに対して協力金や一時金を支給することとしております。これらは簡易な申請で迅速に支給するために、協力金は一律の金額、一時金は最大六十万円で売上げ減に応じた金額となっていますが、さらに一日最大一万五千円の雇用調整助成金による人件費の支援や事業規模に応じた資金繰り支援なども行っており、これらの支援で事業と雇用を支えてまいります。
 中小企業政策についてお尋ねがありました。
 人口減少、国際化が進む中であって、私は、中小企業政策については中小企業を淘汰することが目的ではなく、優秀な技術を持つ中小企業の経営基盤を強化することで、中堅企業へ成長し海外で競争できるような企業を増やしていくことが重要だと考えております。こうした問題意識は、私が経済産業大臣政務官であった二十年前からのことであります。
 あわせて、規模の大きさにかかわらず、地域の経済や雇用を支える小規模事業者が持続的に発展できるようにすることも重要だと思います。そのため、中小企業のデジタル化など、中小企業の生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを構築し、創意工夫する企業を応援してまいります。
 中小企業が抱える債務についてお尋ねがありました。
 多くの中小企業が厳しい経済環境にある中、事業を継続していただくため、資金繰り支援に万全を期してまいります。更なる資金需要については、中小企業に対する新規融資の積極的な実施を金融機関に求めるなど、環境整備に努めてまいります。今週月曜日にも、財務大臣から、政府系・民間金融機関に対して、改めて要請を行ったところです。また、既に有している債務のカットも含め、事業再生に向けた支援も行ってまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

○国務大臣(麻生太郎君) 大門議員から、中小企業のMアンドA促進税制、中小企業が抱える債務について、二問お尋ねがあっています。
 まず、中小企業のMアンドA促進税制につきましてのお尋ねであります。
 中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築などによって、生産性を向上させ、足腰を強くするという仕組みを再構築すること、これは重要だと思っておりまして、こうした観点から、今般創設をいたします準備金制度は、MアンドAを実施する中小企業が投資リスクに備えるためのものであり、必要な改正であると考えております。こうした改正によりまして、中小企業の生産性の向上や経営基盤の強化を支援してまいりたいと考えております。
 もう一点いただきました。
 中小企業が抱える負債についての話であります。フローではなくてストックの話だと思いますが、新型コロナウイルスによる事業者への影響が継続をする中で、資金繰り支援の徹底を図ることは極めて重要と考えておりまして、おととい、一昨日でしたか、私の方からも、官民の金融機関団体等々の代表に対して、新規融資を含む最大限柔軟な対応を改めて要請をさせていただいたところであります。
 加えて、政府として、コロナ禍で増大をする債務が原因で債務超過になるなど、将来的な事業運営の足かせになるといったことがないように適切に対応することが重要と考えておりまして、日本政策金融公庫等による資本性の劣後ローンとか、REVIC、地域経済活性化支援機構等々によるファンド等々を活用して、事業者の本業支援を進めているところでもあります。
 引き続き、事業者の実態を踏まえて、中小企業への支援の徹底を図ってまいりたいと考えております。(拍手)

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