国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2021年3月8日 予算委員会 中小企業淘汰を批判/消費税減税・富裕税求める
<赤旗記事>

2021年3月9日(火)

中小企業淘汰を批判
大門氏 消費税減税・富裕税求める
参院予算委

質問する大門実紀史議員
=8日、参院予算委

 日本共産党の大門実紀史議員は8日の参院予算委員会で、中小企業の淘汰(とうた)を狙う菅義偉政権の路線を批判し、消費税減税による中小企業支援や富裕層への課税強化を提案しました。

 大門氏は、コロナ禍で苦しむ中小企業を支援する持続化給付金を打ち切るなど中小企業への冷淡な姿勢の背景には、首相ブレーンらが主張する中小企業「淘汰・新陳代謝論」があると強調しました。

 大門氏は、持続化給付金などによる支援長期化は「新陳代謝を阻害する」として終了を求めた昨年の財政制度等審議会の建議について、“生産性が低い中小企業の半減”を持論とする実業家デービッド・アトキンソン氏の主張が背景にあると指摘。成長戦略会議の「実行計画」も同氏の主張に沿って、中小企業の生産性が低いのは規模が小さいからだとして規模拡大を前面に打ち出したと述べました。その上で、昨年9月に「中小企業の生産性を高めるには規模拡大が必要だ」と述べた菅首相に「成長戦略会議と同じ考えか」と質問。菅首相は「変わらない」と述べました。

 大門氏は、大企業と中小企業は労働生産性の伸びに大差なく、大企業による下請け単価の切り下げなどが中小企業の生産性向上を妨げているとの『中小企業白書』の分析を示し、「軽々しく『生産性が低い』と言うべきでない」と批判。菅首相は「中小企業は価格転嫁できないために労働生産性の伸びが低い面があることは認識している」と述べつつ、「小規模事業者の淘汰が目的ではない」と強弁しました。

 大門氏は、トヨタ1社だけで854億円(19年度)も減税する「研究開発減税」の見直しなど「大企業に軽く、中小企業に重い税負担構造を是正すべきだ」と強調しました。

 さらに、「消費税減税も有力な中小企業支援だ」と指摘。コロナ危機の下、何らかの形で付加価値税や消費税を減税した国・地域が56に上っているとして、「日本も消費税減税に踏み出すべきだ」と訴えました。

 麻生太郎財務相は「消費税を引き下げる状況にない」と拒否しました。

 大門氏は、コロナ禍で国民生活が苦しくなる一方、資産1000億円超の大資産家が直近11カ月で資産を12兆円も増やすなど「一握りの富裕層が大もうけしている」と強調。各国政府のコロナ対策で有り余ったお金が株式市場に流れ込み、バブルのような株高がつくり出されていると批判しました。

 その上で、富裕層への課税が世界で議論になっていると指摘。ウォルト・ディズニーの孫アビゲイル氏ら世界の富豪が各国首脳に向け課税強化を訴える書簡を公表したことについて認識を問いました。

 菅首相は「富裕層に応分の負担をいただくことは重要だ」と答えました。

 大門氏は「格差の是正にむけて、大企業や富裕層の富を社会に還元することは、経済回復にとってもコロナ後の経済社会を構築するうえでも重要だ」と述べ、富裕層への課税強化を求めました。

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 私の方は経済の問題について質問をしたいと思いますけれども、質問に入る前に一言申し上げますけれど、コロナ対策、東日本の復興など議論すべきことが山積しているにもかかわらず、総務省の接待、総理の御長男の問題で時間が取られているわけでございます。一刻も早く全容を解明するために、野党の要求している資料とか参考人の招致、一日も早く実現して、早くこの問題をはっきりさせたいと、させるべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。
 コロナ禍の下で、特に中小企業は倒産、休業、廃業が相次ぐなど、大変厳しい状況が続いております。この間、各地の商工会議所や中小企業団体と懇談を重ねてまいりました。その声を踏まえて質問していきたいと思いますけれど、まず持続化給付金であります。
 給付件数が四百二十三万件、金額が五・五兆円ということで、まあ対象外にされた方々の問題などいろいろ課題は残されておりますけれども、全体として中小企業支援策では一番大きな役割を果たしたんではないかというふうに思っております。訪問した中小企業団体の方々からも、持続化給付金で一息つけたというふうに、喜びの声は本当に上がっております。
 東日本大震災のときにも中小企業庁が大変頑張ってくれて、私たちも与野党問わず知恵を出し合って、あのグループ補助金という制度、改善しながら今も使われておりますが、つくりました。今回も、中小企業庁、私、本当に頑張ったなと思っておりますし、要件の緩和とか個別問題でも、中小企業庁、できるだけ柔軟に対応してきてくれたと思っております。
 先日訪問した京都のある組合は、今まで中小企業施策から除外され、長い間除外されていたんですけれど、中小企業庁、まあ財務省も頑張ってもらって、今回、持続化給付金が六百、今まで対象にならなかったのが六百ですね、給付されて生き延びたということを代表の方がおっしゃっておりました。この点でも、梶山大臣の姿勢も含めて、中小企業庁の職員の方々、本当に日夜分かたぬ努力をされたというふうに思って、本当に心からの感謝をまず申し上げたいというふうに思います。
 梶山大臣、何かコメントございますか。

○国務大臣(梶山弘志君) 御評価ありがとうございます。
 とにかく、多くの方に少しでも早くその資金を届けるということを旨にして中小企業庁全体で頑張ってまいりまして、まだ、全体の申請数からすると九八%お支払をさせていただいたということで、申請、審査、給付とあるんですけれども、その九八%審査が通っているという形ですので、是非御理解を、こういった点も御理解をいただきたいと思います。

○大門実紀史君 それで、まあこれだけで終わるわけにはいかないわけでありまして、まず、全国的に言えば、まだまだ書類不備で不支給になっている方がたくさんおられます。で、残っております。
 昨日も、JRAの、何というか、不適正、不適切受給ですか、というのが出まして、確かに不正受給の防止は重要だとは思うんですけれど、一人の不正を防ぐために九十九人が取り残されると、排除されるということはやっぱりあってはならないというふうに思っておりまして、実は事務方にもいろんな提案を私今させていただいておりますけれど、最後の最後まで支援すべき人は支援するという姿勢で、柔軟にいろいろ知恵を働かせて最後の最後まで頑張り抜いてほしいなと思うんですが、一言いかがですか。

○国務大臣(梶山弘志君) 今、不備対応中の案件というのは三・四万件あります。こういった方に対して、今提出されている資料だけではなかなかやっぱり判然としないものがありますので、次善の策も含めてお願いをしているわけでありまして、可能な限り随時丁寧に申請者に寄り添って対応してまいりたいと思っております。

○大門実紀史君 この持続化給付金で助かったという思いがあるからこそ、どの団体からも一番の要望として出されたのが、持続化給付金を打ち切らないで継続してほしいという声でありますし、我が党もほかの野党も打ち切るべきではないと再三求めてきたんですけれど、結局、政府は昨年のうちに打切りを決定しまったわけであります。その後、緊急事態宣言が出される中で、ちょっと本当に右往左往というふうな気はしますが、とにかく慌てて一時支援金制度が出されましたが、これ、現場の評判は良くないですね。金額が少ないということと給付が遅くなるんじゃないかという点ですね。だから、やっぱり持続化給付金を継続してほしいという声が根強くあるわけであります。
 なぜ持続化給付金が打ち切られたのかというその背景にあります菅政権の中小企業に対する基本的な考え方について聞いていきたいと思います。
 毎年の予算編成に大きな影響力を持つのが、財務省の財政制度等審議会でありまして、昨年の十一月に、パネルにしましたけれど、(資料提示)来年度予算編成に関する建議を出しました。これは、出たばかりのときに財政金融委員会で問題点指摘しましたが、改めて触れたいと思いますけれど、この中で持続化給付金の打切りが明言されておりまして、同時に中小企業に対する大変冷淡な見方が述べられております。持続化給付金などの支援の長期化はモラルハザードを生むとか、新陳代謝を阻害するとか、だから終了しろということであります。コロナ禍でみんなが苦しんでいるときに、よくこういうことが言えたものだなというふうに思います。
 この建議の背景には、総理のブレーンと言われてきたデービッド・アトキンソンさんの中小企業淘汰論といいますか、新陳代謝論があるというふうに思います。
 アトキンソンさんは、私も朝まで何とかテレビというので御一緒しましたけれど、非常にちょっと極端なことを言われる方でございまして、日本の中小企業は数が多過ぎると、生産性が低いと、半分に減らしてもいいんだというようなことを主張されてきた経済評論家でございます。
 この建議について、今回いろいろ回ったところで、ある商工会議所の役員さんは、これは、アトキンソンさんの主張に、補助金、お金を削りたい財務省の主計局が乗っかった、たちの悪い作文だというふうにおっしゃっておりましたが、そう現場で受け取られても仕方のないような表現があるし、そういう考え方だということでございます。
 もう一つございまして、財務省の建議だけではございません。成長戦略会議の実行計画というのが十二月初めに出されました。アトキンソンさんは菅総理が創設したこの成長戦略会議のメンバーにも登用されておりまして、いろいろ書いてありますけれど、先ほどの関連でいいますと、アトキンソンさんの主張が反映されております。
 中小企業の生産性は大企業の半分だと、五割だと、その理由は規模が小さいからだと、だから規模の拡大をする必要があると。そういう考え方の下に、実際に今回の中小企業税制の改正も出てまいりまして、MアンドA、合併、買収、大が小をのむ話ですけれど、それをやればいろいろ減税措置してあげるよという具体的な措置もこれに基づいて出てきております。
 総理自身にお伺いしたいんですけど、総理も、官房長官時代、去年の九月五日、日経新聞のインタビューに答えて、中小企業の生産性を高めるには規模の拡大が必要だと述べておられますけど、そのお考えは今も変わりませんか。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 変わりません。

○大門実紀史君 ちょっとあっさり答えられましたので気が抜けましたけど。
 なぜですか、そうしたら。なぜそう思われますか。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 私は、十六、七年前ですかね、経済産業大臣の政務官をやりました。当時から私は中小企業庁の在り方というものに対して、中小企業の足腰を強くして、そして、やはり海外に向けて中小企業が進出する、海外と関連の仕事を持つ、そうならないと、このまま私はこの中小企業そのものが立ち行かなくなってしまう、そういう実は思いを持っていました。そして、中小企業庁に、中小企業庁ですね、日本の中小企業を海外に行くことをどんどんどんどん応援をしてやるように当時から申し上げてきましたけど、中小企業庁が、それをやったら産業の空洞化につながる、まあそういうことだったんですが、ようやく十数年前から……(発言する者あり)了解です。
 ですけど、私自身のそういう思いというものをしっかり申し述べたいと思って今説明し始めたんですけど、ただ、やはり中小企業の足腰を強くして、日本の中小企業がこれからしっかりと国際化の中で進んでいくにはやはり中堅企業になった方がいいというのが私の当時の考え方であり、そのことがたまたまアトキンソンさんの本の中にも書いてありましたので、私自身の考え方と非常に近かったものですから、そういう中で今取り組んでいるということであります。

○大門実紀史君 私は、まあアトキンソンさんと近いということですけど、市場経済の下で既に淘汰というのは起きているわけですね。規模の拡大も縮小もこの市場競争の中でもう既に起きていると。市場経済ですから起きるんですね。それをあえて政府が、規模が小さいとか中小企業の数が多いから適正な数にするとか、そういうことをわざわざ言うべきではないと思うんですよね。もう計画経済じゃあるまいし、なぜそういうことを言うのかと。なぜそういうことが政策になるのかということで大変疑問があるわけでありまして。
 で、パネルですね。
 そもそも、じゃ、中小企業の生産性が、一般的にスケールメリットがありますから、大企業の方が生産性高くなるのは当たり前なんですね。通常そうなんですよね。逆になったらおかしな話ですよね。その上で、中小企業の生産性というのはなぜ低いのかと。もう一つ低い、低く抑えられている原因があるということで、これはこの中小企業白書からそのまま持ってきた資料でございます。梶山経済産業大臣、ちょっと分かりやすく説明してください。

○国務大臣(梶山弘志君) 委員御指摘の図は、製造業の大企業と中小企業のそれぞれについて、一人当たりの名目付加価値額、すなわち労働生産性の伸び率の要因を分析をしたものであります。中小企業の一人当たりの生産量に相当する実質労働生産性の伸び率は大企業と遜色ない水準である一方で、価格転嫁ができていないために、結果として労働生産性の伸び率が低迷をしているという分析の結果になっております。このため、中小企業の労働生産性を高めるためには価格転嫁が重要な要素であると認識をしているところであります。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 要するに、このグラフ、ちょっと複雑そうですが、そう難しいことを言っているんじゃないんですね。この黄緑の部分は労働生産性の伸びを示します。これは、大臣おっしゃっていただいたように、リーマン・ショックとか波はありますけれど、中小企業と大企業、それほど変わらない、遜色はないということですね。じゃ、赤い部分です。赤い部分というのが、お客さんとか取引先に価格を転嫁する力、価格転嫁力を示します。それが中小企業はマイナスになっていると。つまり、お客さん、取引先、大企業に対して立場が弱いですから、単価をたたかれたり値引きをされるんで、価格転嫁、本来もらうべき価格に利益が転嫁できないと。
 それで、この黒い折れ線グラフですけど、結果的に利益が下がると一人当たりの付加価値、働き手の付加価値が下がりますから、生産性が下がるということを示したグラフでございまして、要するに、やっぱり大企業のコストダウン圧力あるいは取引先とのこういういろんな関係、元下関係、こういうことが中小企業の生産性を引っ張っていると、足を引っ張っているということを示す資料でございまして、こういうことも知らないで、軽々しく中小企業の生産性は低いと、規模を大きくすりゃ良くなるんだということは言うべきではないと思うんですね。
 総理は、これ、このグラフを見て、いかがお考えですか。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 中小企業は価格転嫁ができないために労働生産性の伸びが低くなっている面がある、ここは認識しています。こういう中で、ポストのコロナに向けて経済成長を実現していくためには、大企業と中小企業が共に成長していくことが、ここが必要不可欠だと思っています。補助金や税制により中小企業の生産性向上を後押しするとともに、価格転嫁などの取引適正化をこれ進めていかなきゃならないと思います。
 具体的には、事業活動による果実を適正なバランスで分配をし、中小企業が収益を確保できるような大企業と中小企業のパートナーシップの構築や、約束手形の利用の廃止などといった取引慣行というものを改善などもしていかなければならないというふうに思います。
 私、先ほど途中でやめましたけれども、小規模事業者の淘汰を目的とするのではなくて、ポストコロナを見据えて、経営基盤をしっかり強化することで中小企業が成長し、海外で競争できるような企業にするべきだというふうに思っています。このことは、私自身、先ほど申しましたけど、十数年前から一貫をしていまして、それは少子高齢化、そして国際化、そういう中にあって、私は、地方の所得を上げる、東京圏の消費が約七割であとは地方ですから、地方の一定の所得水準を上げないと、私は、消費もなかなか活性化、活発化しない。そういう意味で、やはり中小企業の足腰をしっかりして海外にも進出できるような、そうした思いで、頑張ってほしいという思いの中で私自身は言い続けています。

○大門実紀史君 成長戦略実行計画にもそういうことは書かれてはいるんですね。私は何にも否定しません。問題は、具体的な政策になったときに、規模拡大を促進するような政策、税制も含めて出てきていることを問題視して、その考え方を問うているわけでございます。
 そもそも、生産性とか規模の大きさが全てなのかということがそもそもあるわけですね。日本の中小企業というのは、小さくてもきらりと光る優秀な技術を持っていることが誇りだったわけでありますし、技術立国日本を支えてきたわけであります。
 麻生財務大臣は昨年十一月十九日の成長戦略会議で、生産性だけが全てではないと、麻生さんらしい発言をされております。改めてお聞かせいただけますか。

○国務大臣(麻生太郎君) 経営やったことのない人が多いんですよ、経営というのをね。経済とか財政とかいろんな、知っている人はいるけど、経営って自分でやった人って本当に少ないですよ、国会議員でも、一〇%台ぐらいでしょう、今。全部、略歴見ても、役人だったんだろう、ねえ、みんな。そういう方ですよ。それがみんな分かったような話をみんなするから、経営というのはそんな簡単なものじゃありませんよという話をして。
 あれは、それこそアトキンソンっておられましたね。たしかアメリカのメーシーズという、あの人はイギリス人だと思いますけど、メーシーズというデパートの例を引いて、あれは生産性は間違いなく高島屋やら三越よりはいいですよと。だって、行ったら分かりますけど、売り子いませんから。従業員がいないんだもの。まず、買いたいと思ったらまず売っている人探さないかぬ。日本だったら、まず、うるさいぐらい来ますよ。あれ、全部過剰人員ですなということになるわけでしょう。だって、生産性上げるというのは、あの人たちを切れば生産性はぼおんと上がりますよ、間違いなく。そういう簡単な話じゃなくて、そのサービスが欲しくて行っているわけだから。
 だから、そういったことを考えないといけないんであって、ただただ減らせばいいという話ではないですよというのが一つ。
 それから、先ほどは、もう一点は、あのときもたしか、とにかく生産性の話をされますけど、生産性もありますけど、それに付随しているものがあって、上げてもそれを買ってくれる、購買する、このところ、いわゆる孫請だったらその下請する、そういったような上のところで買ってくれる人たちがその生産性が上がったところを認めて、それで、今までどおりの値段だったら生産性上げた値打ちが、価値出ますから、だけど、生産性上げた分だけ値段下げられたら何の意味もないじゃないですかという話を申し上げたと記憶しています。

○大門実紀史君 本当に大変意気に感じる御発言だと思いますね。時々麻生大臣もいいことをおっしゃるわけでございます。
 生産性云々の前にまず正すべきはこの大企業と中小企業の負担の問題でありまして、例えば税負担ですけれども、細かいこと抜きで結論だけ言いますけど、一番巨大企業ですね、資本金百億円以上の税負担というのは実質負担が一三%でございます。ほかの中堅とかよりも大きな、一番大きな企業が一番負担が減っているというグラフでございます。
 もう一枚、済みません、次の。
 なぜなのかということなんですね。これは、法人税率というのは二三・四%とあるんですが、いろんな租税特別措置など減税措置でさっきのようなことになるわけですが、大企業への優遇税制があるからさっきのような結果になるわけであるわけでありますね。中でも最も大企業に優遇になっているのが、パネルで示しましたが、研究開発減税でございまして、二〇一九年でいえば減税の総額が五千五百七十四億円、うち減税額の大きな上位十社で何と三割を占めております。たった十社で全体の三割の減税を受けておりますし、中でもトヨタ、まあ国税庁の資料では匿名なんですが、トヨタの研究開発費を見ると、もうこれは公然たる事実でありますが、トヨタ一社で八百五十四億円です。営業利益が二兆円もあるトヨタにこれだけの減税が必要なのかと、それが、そんな余裕があれば中小企業の減税に回せということであります。
 もう一遍、済みません、さっきの。
 これはもう麻生大臣と何度も議論しておりますので、大きなところで聞きたいんですけれど、総理に聞きたいんですが、ポストコロナを見据えるなら、中小企業頑張ってもらわなきゃいけないわけです。早く回復してもらわなきゃいけないわけですね。そうすると、大きな意味で、これはもう総理としての考えを聞きたいんですけど、こういうやっぱりもっと中小企業を大事にした、大事にした、細かい税制のことはいいですから、大きな方向として中小企業を大事にした税制の改革をやる必要があるんじゃないでしょうかね。総理、いかがですか。

○国務大臣(麻生太郎君) これはもう前々、何回かこの話をさせていただいたことがあるんですが、これは、個別の会社の適用状況ということに関しましてはちょっと差し控えさせていただきますけれども、研究開発税制というのの話は、これは御存じのように、目的はもう言わずもがなの話なので申し上げませんけれども、大企業をこれ優遇するものではなくて、むしろ中小企業についても控除率は優遇されているんだと、私どもは基本的にそう思っています。
 その上で、減収額を見ますと、大企業の数字は大きくなっているとは思いますけど、適用件数というのを見ていただくと、どう考えても、全体で九千七百件ありますけど、中小企業約七千ということですから、どう考えても七〇%ぐらいになっていますので、幅広い企業にこれ、中小企業に利用されていると思っております。
 加えて、適用額がそれだけ大きいということは、その企業の研究開発費に積極的に取り組んでいるということでもありますし、その企業の所得が大きくて法人税を大きく負担しているということでもありますので、その両方が現れておりますので、租税特別措置については、これはいろいろ毎年もうよく言われておるように、不断の見直しをやらせていただいておりますので、財政効果を見極めながら更にいろいろ対応していかねばならぬところだと思っております。

○大門実紀史君 もうこれは何度も議論を、研究開発、しておりますけれど、かつてはそれぞれの企業、研究開発頑張ってくれというインセンティブの意味があったんですけど、今はもう固定したところに、額に減税してあげるというような制度にずうっと変わってきたものですから、これは我が党だけが言っているだけじゃなくて、政府の税制調査会等でも、もうその政策的な効果が減ってきたと、これはもう縮減すべきだという声が出ているようなものでありますので、額だけとか、これ何か比べられますけれども、その効果がないということを、私たち言っているんではなくて、政府の税制調査会あるいは与党の中からの意見が出ているということで、見直しのテーマに上がってきた問題でありますので。
 で、改めて総理に伺いますが、やっぱり中小企業をもっと大事にする税制に変えるべきじゃないんですか。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 私は、中小企業を大事にするというその意味合いでありますけれども、中小企業が、それぞれの会社のその専門性ですか、そうしたものを高めて連携をしながら進めていくとか、そうした前向きの税制というのは、そこはあるべきだというふうに思います。いずれにしろ、そういう中で中堅企業というところまで持っていって、足腰をしっかりするべきだというのが私の考え方であります。
 いずれにしろ、中小企業を淘汰するということではなくて、中小企業の中でそうした海外に向けて取り組むことのできる企業を育てていくべきじゃないかということが私の基本的な考え方です。

○大門実紀史君 まあ、そういうお考えなら、いろいろ中小企業、もっと手を打つところはあるということを申し上げているわけであります。
 次のパネルでございます。
 消費税減税がやっぱり一番有力な現局面でおいての中小企業支援になるというふうに思うんです。パネルにしましたのは、このコロナ禍の下、世界の国々は次々と付加価値税、消費税の何らかの形での減税に踏み出しております。現在で国・地域は五十六になりました。その国旗を並べてみました。我ながら美しいパネルだなと思いますけれど、もう小学校に寄附したいぐらいでありますけれど。
 総理、ここに日の丸があったらもっとすばらしいというふうに思いませんか。

○国務大臣(麻生太郎君) 今、きれいな日の丸が見えないじゃないかと共産党の方に御指摘いただきまして、有り難いと思っておりますけれども。
 全ての国について詳細に承知をしているわけではありませんが、少なくとも付加価値税という、こういった消費税を含めまして付加価値税というものを見ましたとき、軽減税率の適用税率とか適用範囲というのを拡大するといった部分的なものを含めまして、少なくとも何らかの措置を行っているという例があることはこれは承知をいたしておりますが、例えばドイツとかイギリスとか、そういったところは元々付加価値税は日本より高いですから、二〇%超えていませんか、一九・幾つだと思いますけれども、財政状況はもちろん日本より良いですし、また日本みたいに一律十万円というような給付金をなんということはドイツもイギリスもやっておりません。そういった意味では、私どもとして三回の補正予算等々着実に実施してきたんだと思ってきております。
 これまで申し上げたように、日本の場合は何たって少子高齢化というものが急激に進んでおりますから、このままいきますと生産年齢人口が激減していくのは、あと二年でそういった形になりますので、そういったような状況になりますと、これはやっぱり社会保障という国家予算の約三〇%、三三%占めるようなものに対応するためには、これはどう考えても公平にみんなで負担し合うということをやっていかない限りはとてももちませんので、そういった意味では、私どもとしては消費税を引き下げるというようなことの状況にはない、これは今社会保障に対する目的税化いたしておりますので。

○大門実紀史君 税率の高い低いにかかわらず、いろんな形で減税がされているということが一点と、どの国も多かれ少なかれ社会保障の財源に付加価値税はなっているんですね、目的税じゃありませんけどね。その中でもやっぱり今大変だからということで、期間限定も含めて減税に踏み出しているということなんで、一般論を言っているわけではありません。まだまだ決断する時間はありますので、決断をしてほしいというふうに思います。
 もう一つは、このコロナ禍の中で、これはもう連日のようにいろんなところで指摘されておりますけれど、貧富の格差、お金持ちと国民の、庶民との経済格差がどんどん広がっております。日本でも一握りの富裕層に巨額の富が集中しておりますけれど、ビリオネアというカウントがあります。
 これは何と資産一千億円を超える大資産家三十数人の資産の合計額ですけれども、日本もそうですが、世界の中央銀行がコロナ対策ということでどんどんどんどん金融緩和をやって、じゃぶじゃぶに金融緩和をやったと。ところが、実体経済は悪いですから、そのお金が実体経済に回らないで株式市場に来たものですから、世界中で株高が起きております。そのために、富裕層というのは大株主でございますので、みんな一気に大もうけをしたということで、これは日本のビリオネアでございますが、資産一千億円を超える大変な超富裕層でございますけど、とにかくこの三月十八日ですね、株価のほぼ底値のようなところから、コロナで、今三万ちょっと下がりましたが、三万円まで僅か十一か月で急速に資産を増やしております。資産額は十二・二兆から二十四・五兆ですから、僅か十一か月で十二兆円も資産を増やしているわけであります。
 これは世界的な現象でございまして、もう一枚のパネルを出してもらっていますが、こういう資産格差の拡大が進む中、富裕層への課税問題が世界中で議論になってきておりまして、アメリカのバイデン政権も株の売却益の税率を大幅に引き上げようとしております。イギリスでも税率引上げの議論が出てきております。
 また、パネルで示しましたが、富裕層自身も声を上げ始めました。私たちのお金よりもヒューマニティー、人類、人間が大事だということで、これはウォルト・ディズニーの孫のアビゲイル・ディズニーさん始めとして、女性の方ですね、始めとして、世界各国の富豪たちがつくった団体があります。ミリオネアズ・フォー・ヒューマニティーというんですね。それが、ウエブサイトで世界のリーダーに対して、日本なら菅総理に対してこういうメッセージを発しております。貧困層がコロナの中で急速に増えている、私たちのようなミリオネアにはお金がある、たくさんのお金がある、各国のリーダーたちは私たちのような人に恒久的な増税を行うことによって医療制度、学校、安全保障に適切な資金を供給することができます、是非私たちに課税してくださいと。
 これは日本でいえば菅総理に向けられた公開書簡でございます。いかがお答えになりますか。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 所得の再分配というのは税制の重要な機能の一つであるというふうに思っています。こうした富裕層の方々に応分の御負担をいただくことは、ここは重要だと思います。
 こうした観点から、これまでも所得税の最高税率引上げなどを行ってきており、一定の効果が見られています。今後の更なる対応については、経済社会情勢の変化を適切に見極めた上でこれは検討していきたいというふうに思います。
 なお、税制に限らず、最低賃金の引上げだとか同一労働同一賃金などの改革を通じて、格差の問題についてはしっかり対応していきたいと思います。

○大門実紀史君 格差の是正、つまり大企業や富裕層がため込んでいる富を社会に還元するというのは、当面の経済回復だけではなくて、ポストコロナの経済社会を構築する上でも大変重要だというふうに思っております。日本では、株の取引に関わる増税について再三申し上げてきたけど、どんどんどんどん先送りになっております。
 我が党は、資産家への資産課税、富裕税も提案しておりますので、是非そういうところにも踏み出すべきだと、そういうときに来ているということを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

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