≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。
今日は、経済団体から懸念が出されている乱訴の問題について質問をいたします。
今回の法改正が違法な企業の行動をなくすことにつながりますと、逆に真面目に頑張っている企業にとってはプラスになる、業界の健全な発展にもなると、ですから、今回の法案はむしろ経済界に歓迎されるべきものだというふうに思ってきております。ところが、経済団体の一部とか、あるいはビジネススクールの学者の方などから執拗にこの法案に対する乱訴の懸念が示されております。何度もこの委員会でも乱訴などあり得ないということを指摘してまいりましたけれども、それで改めてお伺いしておきたいと思います。
乱訴を懸念される方々は、そもそも基本的な考え方がちょっと私たちとは違うのかなと思いますけれど、企業活動を何か消費者よりも上に置いていらっしゃるのではないかという懸念があります。
といいますのは、この前、新幹線によくあります、ウェッジという雑誌がありますけれど、それを読んでいましたら、提訴によって企業の体力が消耗すれば日本経済全体にとってマイナスだとか、消費者の救済を目指すはずのこの集団訴訟制度が回り回って消費者の懐を冷やす結果になるとか、名前を出して申し訳ありませんけど、慶應大学の岩本隆先生なんかは、企業を守ることと消費者を守ることは対立概念でとらえられがちだが、企業を守ることで雇用が守られて、ひいては消費者が守られているんだと、だから企業の活動というのは消費者とは連動していると。もう少し言うと、企業あっての世の中みたいな、少々のことは泣き寝入りしろと言わんばかりのようなことをおっしゃっております。
もとより私たちも、企業と消費者、対立するものなどとは思っておりませんで、この法案もまともな企業の経済活動を阻害することは目的ではないと思うんですよね。企業が不当、不正行為を起こした場合に今まで救われなかった消費者を救おうという、まあそれだけの法案と言えばそれだけの法案でございますので、まだこういう、何といいますか、懸念があるんですけれど、森大臣、改めてそういう法案ではないということを一言お願いしたいと思います。
○国務大臣(森まさこ君) 本制度は、既存の制度では消費者がその権利を行使して被害を回復することが困難であることに鑑み、その権利行使の実効性を確保する観点から創設するものでありますから、そもそも法遵守を徹底し適法な事業を行っている良質な事業者においては、本制度が導入されたとしても特段の対応は必要ないはずです。むしろ、本制度によって被害の回復が容易となり、事業者が法律に違反して得た不当な利益を返還させることは、事業者による不当な行為の抑止にもつながり、悪質な事業者を市場から退出させることになります。
その結果、消費者が安心して経済活動を行えますので、良質な事業者が消費者と取引するチャンスが広がるということで、市場の活性化、そして消費の活性化、健全な事業の発展や公正な競争につながることとなり、良質な事業者にとってはメリットが大きいというふうに考えております。
以上のように、本制度の目的は、法律案第一条に規定されておりますとおり、「消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与すること」であります。また、米国のクラスアクションと異なるオプトイン制度等の様々な制度を整備しておりますので、乱訴の懸念はございません。
○大門実紀史君 配付資料を用意しましたけれども、まず指摘しなきゃいけないのは、経済界、そういう懸念を示されるような一部の経済団体に知ってもらいたいのは、日本は先進国の中で遅れているということなんですね。こういう損害賠償など金銭に係る集団訴訟制度、先進国、EUの各国では当たり前で、もう九〇年代から二〇〇〇年代にかけて既にできているわけでございまして、日本のような経済活動の活発な国では、ない方がおかしいという国際的な認識を持ってもらいたいと思いますし、二枚目の資料以降は適格消費者団体の活動状況を消費者庁に作ってもらいました。
これは何を示しているかといいますと、二〇〇六年の消費者契約法改正で適格消費者団体による差止め請求権が認められたわけですけれども、そのときの審議でもやはり乱訴を懸念する声が出されたわけですけれども、これ見てもらったら分かるとおり、乱訴など起きておりません。衆議院の参考人質疑でも消費者団体の方々から、やみくもに訴訟を起こすということ自体、当事者の消費者団体そのものが想像もできない、乱訴どころではないというような話もあったところでございます。
具体的に、衆議院の議論が終わっても、さらに、皆さんのところにも来たと思いますが、参議院の特別委員会のメンバーに具体的にさらにまた、衆議院であれだけの修正もあったにもかかわらず要望を出されているのが新経済連盟でございます。
もうこの機会ですので、きちっとこういう懸念に対して消費者庁として見解を、懸念はないということを示されたらどうかと思いますので、私が代わりに質問するのも変ですけど、これに基づいて聞きたいと思います。
まず、本制度における乱訴というのは、乱訴の定義というのはどういうものなのか、ちょっと説明してくれますか。
○政府参考人(川口康裕君) 御説明申し上げます。
本法案の七十五条第二項におきまして、制度の担い手であります団体の行為規範といたしまして、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えを提起することを禁止しているところでございます。この内容でございますが、主張が根拠を欠いていたことを単に知っていた、あるいは知り得たということにとどまらず、自ら第三者の利益を図り、又は相手方を害する目的などの不当な目的が必要と考えております。いかなる場合に「不当な目的でみだり」に当たるかにつきましては、本制度の趣旨から定められるべきものでありますが、民事訴訟一般における訴えの提起が違法となる場合とは必ずしも一致するものではないというふうに考えております。
なお、この具体的内容につきましては、先ほど来大臣から御答弁しておりますが、法公布後にガイドラインを策定する際に具体的に議論をし、世の中一般に公表したいというふうに考えているところでございます。
○大門実紀史君 まあ分かりやすく言えば、これから具体化、そういうのがあるかも分かりませんが、不当にみだりにやるようなことが乱訴でありまして、そういうことはあり得ないという概念だと私は思っておりますし、実は、この新経済連盟の方々と一時間以上、私、じっくり話をしました。その上でお聞きをしております。
その要望書の中身でいきますと、まず一番目のところですけれど、消費者団体が第一段階のところで消費者の授権を要しないで訴訟の提起が可能だと。これは全く授権をしないで訴訟を提起するのは、何といいますかね、幾ら何でも行き過ぎじゃないかと、一定数は必要じゃないかというようなことをおっしゃっておりますけれども、これも前回、私、聞いたような気がいたしますが、角度を変えて聞きますけれども、もしも第一段階から消費者の授権を必要とするとした場合、逆にこの制度、どういうデメリットが生じるんでしょうか。
○政府参考人(川口康裕君) お答え申し上げます。
本制度では、訴訟の帰趨が不明な段階で消費者が授権をすることは、費用、解決に掛かる時間及び訴訟に関与することによる種々の負担等から困難であると。このため、第一段階目の手続においては消費者からの授権を要しないということにしているところでございます。
一段階目の手続におきまして、消費者からの授権を必要とするとした場合でございますが、訴訟に関与することによる種々の負担等を引き受けて授権をする消費者が一定数現れない場合には、本来取り上げられるべき事案も取り上げられないこととなりますので、本制度創設の趣旨と相入れないものであって適当でないと考えているところでございます。
また、特定適格消費者団体につきましては、授権をした消費者の意向に沿って訴訟追行しなければならなくなります。消費者全体の利益のために訴訟を追行する義務を特定適格消費者団体に負わせたことと相入れず、消費者全体の被害の回復を図りつつ紛争の一回的解決を図るという政策目的が達成できなくなるおそれがあるというふうに考えているところでございます。
なお、ほかの点も幾つか不都合がございますが、その一端を御紹介いたしました。
○大門実紀史君 次の懸念されている部分ですけれども、(2)ですけれども、要するに、訴訟の対象となる外延が不明確。つまり、現行法案の勧誘を助長する者、これがどこまで入るのかということを懸念されているわけでございます。この勧誘を助長する者というのはどういう者を想定されているのか、伺いたいと思います。
○政府参考人(川口康裕君) 本法案の三条第三項第二号に「勧誘を助長する」という表現がございます。これにつきましては、勧誘を容易ならしめる行為をいいまして、例えば個別の消費者に対する勧誘のために必要な物品を提供し、当該勧誘の手法を教示することなど、これは助長に当たるというふうに考えております。
ただ、例えばテレビのコマーシャルということを例に挙げますと、これにつきましては、一般大衆に対して商品を宣伝するものでございまして、意思形成に個別の働きかけを行っているものではなく、小売店に対しても個別の消費者に対する勧誘の手法を教示するものではございませんので、そういうものであればテレビCMをしたというだけで直ちに勧誘を助長しているということには当たらないというふうに考えているところでございます。
なお、共通義務確認の訴え、この第一段階目の訴えでございますが、被告が共通義務を負うべきことの確認を求めるものでございますので、被告が不法行為をしたことを主張する必要がございまして、勧誘を助長したと、これに当たる場合におきましても、勧誘を助長したことが不法行為である旨を原告の方で主張する必要があるということでございます。
○大門実紀史君 そうですね。例えばテレビCMで、ある商品が後で大規模な被害を起こしたと、それはテレビでCMで宣伝されていたと、そういうケースの場合ですけれども、これは一般的にはテレビCMの広告会社とかテレビ局がこの助長した対象にはならないと。ただ、故意に、故意にといいますか、分かっていて宣伝しちゃったとかいう場合は、もちろんこれはなるというふうに思いますし、むしろこれは集団訴訟の範囲というよりも一般的訴訟の範囲に該当していくんだと思います。
この新経済連盟は、全部じゃないんですけれども、ネット販売をやられるようなベンチャーの方々がおられる。まあ三木谷さんがそうですけれども。そこまでおっしゃっていただくならば聞いておきたいんですけれども、ネット販売で、楽天なら楽天市場というのがありますけれども、通信販売、通販ですね。
一般的に、そこで販売した、手数料を取るわけですが、紹介して販売した商品が後から何らかの被害を生んだと。これは、テレビCMと同じ考えでいきますと、テレビCMの先ほどの見解と同じことでいきますと、ただネットで紹介して販売の仲介をしただけではこの助長したということにはならないと思うんですよね、一般論で言うと。一般的にはならないと。ただし、そういう被害が出ているのを知りながら引き続きネットで紹介して販売したという場合はなるかも分かりませんが、これ、いずれにせよ、集団訴訟というよりもそもそもの訴訟の対象になるというようなことになるかと思いますが、一般的に言えば、ただネットで紹介、販売しただけではテレビと同じようにこの助長する者の対象にならないということでよろしいですか。
○政府参考人(川口康裕君) お答え申し上げます。
ネットにおきまして単なる紹介をした場合には、この勧誘を助長したというものには当たらないというふうに考えております。
○大門実紀史君 そこのところが、この新経済連盟が一番この法案に反対も含めて懸念されていたところだと思いますので、割と彼らもすっきりしたのではないかというふうに思います。
この要望書の三番目なんかになると、乱訴したらペナルティーを付けろというのは、これはもう過剰反応だと思います。
(4)のところなんですけれど、これはかなり誤解があるんじゃないかと私は思うんですけれども、つまり、そういう特定適格消費者団体が受け取る報酬、報酬という言葉に何か勘違いを彼らはされているんじゃないかと。何といいますか、何かもうけると、これによってもうけるみたいなね。これはそういう意味の一般的にとらえられる報酬という意味ではないと、もっと実費が含まれたそういう概念だと思うんですが、ここはちょっと丁寧にこの報酬の意味を説明してもらえますか。
○政府参考人(川口康裕君) お答え申し上げます。
第七十六条におきまして、特定適格消費者団体は、授権した者との簡易確定手続授権契約又は訴訟授権契約で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができると規定していることでございますが、本制度におきまして特定適格消費者団体が受け取る被害回復関係業務の報酬でございますが、これは一定の事務を処理するための労務に対する対価でございまして、その実質は人件費等相当額の費用、費用に近い性質のものであると考えております。
そして、特定適格消費者団体が被害回復関係業務を遂行するに当たりまして人件費等一定の支出が不可避的に生ずるところ、被害回復関係業務において生ずる支出について、制度の持続性を確保するために、団体に対する認定、監督によって適正性を確保しつつ、消費者の利益の擁護の見地から、不当なものではない範囲におきまして被害回復関係業務において生じた支出を回収できるようにすると、こういう趣旨から七十六条を定めたところでございます。
また、その内容につきましては、特定認定要件の内容にかかわりますので、ガイドラインの中で具体的に示していきたいというふうに思っているところでございます。
○大門実紀史君 よく分かりました。つまり、こういう消費者団体がこの仕組みでもうかると、もうかるとどんどん乱訴しちゃうんじゃないかという誤解と不信感があってこういう項目になっているわけですが、今の説明が伝われば誤解は解けるんではないかというふうに思います。
もうこの要望書全て、今日の川口さんの話で、そんな懸念することじゃないというのが新経済連盟の方々もお分かりになったんではないかというふうに思います。
今日はこれで終わります。
|