≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。今日は、お忙しいところありがとうございます。
まず、大石参考人に伺います。大石参考人はうちの兄貴と大学が同窓で大変お世話になった仲で、ちょっと質問しにくいんですけれども、これも仕事でございますので、御理解をいただきたいと思いますけれども。
今回の国土強靱化法案は、率直に申し上げまして、国会にしばらくおりますと、大変うさんくさい法案だなと率直に思っております。流れがございまして、我が党は別に国民の暮らしに必要な公共事業はきちっとやるべきだという考え方ですけれども、この公共事業というのは、どうしても、昔から建設業界がどうしても自分たちの仕事が欲しいし増やしたいしというところがあって、政治家なり官僚なりとの癒着関係がどうしてもでき上がってきてしまって、そういう中で公共事業が、借金して増やせるときは増やしたんでしょうけれども、結局やっぱり建設国債、地方国債の発行で借金を増やして、もうこれ以上いかがなものかというふうな、そういうところがあって切り替わってきたわけですね。
二〇〇〇年代に入ってやっぱりそういうところから公共事業の見直しということが進んで、小泉政権のときがそうでしたけれども、特に公共事業の費用対効果とか、あるいは乗数効果、経済効果とかが割と厳しく自民党の中でも検証されるようになって削減が進んできたと。
しかし、建設業界にとってはこれはもうたまらない話で、悲鳴に近いものが上がっておりました。実は、私も建設分野出身でございますので分からなくはないんですけれども、そういう声が上がってきて、かなり自民党の中でも、特に参議院の皆さんは公共事業については余りにも減らし過ぎだというのがあったし、実は私も必要な公共事業までもできない状態になっているというのは一部知ってはいるんですけれども、そういう流れになってきたわけですね。
そういう流れにあったわけですけれども、第二次安倍内閣が発足といいますか、自民党が今度政権に復帰する中でまた再び公共事業という流れになってきたと。ただし、昔のように同じような名目ではなかなかできなくなって、いろいろ新しい理屈を付けないと公共事業を増やすというふうにならなくて、そこのところで出てきたのがこの国土強靱化という言い方とか、中身でいいますと、防災・減災あるいは国際競争力というようなことをくっつけて、そうすると、例えば防災というと、もう費用対効果というのは測りようがありませんよね、ある意味では。国際競争力もそうですよね。
だから、前みたいにうるさく言われないような、そういう看板を付けて、結局はやっぱり公共事業を増やしたいと。その公共事業を増やすために逆に強靱化とか防災とか、あるいは国際競争力ということをくっつけてきたんではないかと、流れで見るとですね、非常にそういうことを思うわけでございます。
大石参考人も、うちの兄貴もそうですけれど、技術屋さんだから、技術屋さんというのは純粋にこの公共事業は必要だと思って進められるわけですね。だから、気持ちは分かるんですけれど、背景としては、そういう業界でそういう流れで来たというのがあると思うんです。したがって、私は今回の国土強靱化法案というのは、そういう点では大変うさんくさく思っているわけでございます。
私は、大石参考人のように、先ほどからありましたけど、八ツ場だって何だって必要なら堂々と必要と言えばいいんですよね。それで論戦すればいいのに、こういう何か隠れみのを作って出してくる方向、やり方について大変こそくだと思っているんですけれど、大石参考人の御意見はいかがでしょうか。
○参考人(大石久和君) 友人の大門の弟さんに答えるのもあれなんですが、私は、先生のような見解を持ってはおりません。やはり冒頭に御説明しましたように、我が国が抱えている自然条件の厳しさはもう世界の中で群を抜いておりますし、先進国でこれだけ悪い条件が重なり合っている国はありません。これは全てが公共事業で解決できるとは申しませんけれども、公共事業によって防ぐだとかいなすだとか、それから逃げる場合でも、公共事業によって例えば警報装置を付けるだとかというふうなことだとか、逃げる道を造るだとかというふうなこともあるわけですから、そういった施設が必要だと、それは他国よりもより必要な国だということは間違いないというように思います。
また、競争力の話にしましても、今日御紹介しました首脳も競争力のためにインフラストラクチャーが必要だと言っておりますが、今日これ御紹介した首脳以外にも、フランスでもイタリアでもドイツでも皆同じような認識を述べておりまして、やはりインフラが国の経済競争力を規定する重要な要素だというのは、どこの国の首脳も思っております。
そういう状況の中で、私たちの国が一九九六年比で見て〇・五に下げてきたというのは、やはり下げ過ぎたのではないかというように思います。その結果、建設作業員が仕事がなくなった、あるいは賃金が下がった、あるいは将来の見通しがないがゆえにほかの産業界に行っちゃったといったようなことになっているのではないかと、このように思っておりまして、強靱化というのが単なる名目で公共事業だけが目的なんだということではないのではないかと私は思っております。
○大門実紀史君 ですから、そういう議論を正面からやればいいのに、防災にかこつけてというのがちょっと違うと。大体、災害特別委員会でやるテーマなのかということを私は思っているんですね。
そうはいっても、実際問題、大石参考人、大石参考人いらっしゃいましたけど、関係省庁の連絡会議では今後の強靱化の推進に向けたプログラムの対応方針、重点化というのが八月に出ているんですけれども、この中で、今後の対応方針の中に新東名高速道路とか高規格道路、新幹線ネットワーク、果ては一旦中断していた六海峡の海峡横断プロジェクトまで出てきているんですよ。ミッシングリンクというんですか、一万四千キロの道路、道路整備ですね、これも最後までつなげようと。これは昔、いわゆる、先ほどもありました全総にあった中身がばあっと復活してきているわけですね。だったら、もう最初からあの全総は必要だったんだ、やるべきなんだという議論をすればいいのに、ここにかこつけて出てきているのが大変おかしいなと私は思うわけでございます。
先ほど根本参考人からもありましたけれど、この老朽化対応だけでも相当の予算が掛かるという中なんですが、私が心配するのは、やっぱり老朽化対策はきちっとやる必要があるんですよね。ところが、こういう今言ったような、昔の全総の公共事業みたいなものがわあっと復活してきますと、結局、業界といいますかそういう人たちは、維持補修よりも新規事業の方がやっぱりもうかりますから、そちらに傾倒していって、老朽化対応の方が、一番大事なところがおろそかになるんではないか、後回しになるんではないかという危惧を大変持っているんですけれども、根本参考人の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(根本祐二君) 後回しになるかどうかというのは、結果として後回しにするかどうかということだろうと思います。
私の立場は、まさに今おっしゃっていただいたとおり、今あるものすら十分に維持できない状態で新しいものを考える余裕があるんでしょうかということであります。特定の何々がいいとか悪いとかと言っているわけではありません。
一般論としてそのような問題提起をさせていただいておりまして、これは国というよりは、むしろ私は地方自治体を対象に、よく見かけるのは、新しい図書館を建設している傍らには古い学校がそのままになっている、体育館の屋根が落ちそうになっているのにそれが放置されているというようなのは、やはり国民生活にとって決してプラスではない、お金の使い方として真っ当な考え方ではないだろうと思っておりますので、私の主張は、維持管理更新というふうに言っておりますけれども、そちらを優先して新規は後回しにするということを明確にメッセージとして出すべきであると思います。
維持管理が大事であるというのは実はもう何十年も前から言ってきたんですけれども、なぜこれが維持管理にお金が回らなかったか、十分になされていないかというのは、同時に新規も大事であるというメッセージを出し続けてきたからだろうと思うんですね。新規と維持管理とどっちを取るかと言われれば、やっぱり新規を取りたくなるのがこれ人情なので、結果としては維持管理がおろそかになったということは、ちょっと我々としては非常に反省をしなければならないことではないかと思いますので、その反省を踏まえて今なすべきことというのは、そこの原則を少し入れ替えて、今あるものがしっかり保全するのに必要な間は原則をやはり明確に出すべきであろうと思います。
○大門実紀史君 中林参考人に伺います。
防災といえば何でも幾らでも公共事業をやっていいのかということにはならないと思いますし、そのやり方も、数百年ですか、数百年に一度の災害に備えるのか、あるいは百年に一度に備えるのか数十年に一度に備えるのかで、幾ら掛けて何を造るか変わってくるわけですね。ダム一つだって、全部せき止めるのか、あるいは緑のダム方式でやっていくのかとか、今回の東日本もそうですけれども、高い防潮堤を造ってもう絶対町を囲んでしまうのか、あるいは、そうではなくて高台に移転していろいろ考えていくのか、水は入れちゃって、考えるといろいろあるわけですね。
一番大事なのは、やっぱり防災のことを考えると、その住民の皆さんの合意がなしにそういうことは難しいと思うんですよね、実際問題。ところが、この強靱化法は、その脆弱性の評価のところから市民とか地域がかむ仕組みになっていないんですよね。私、最大の欠陥はこれだと思うんですけれども、防災の、先ほどの事前防災もそうですけれども、住民の合意とか住民の参加とか、こういうものなしにはあり得ないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○参考人(中林一樹君) 私もそれは考えております。
今日、自助がやはり大事なんだというのは、まさに一人一人の民の取組というのが基本にあって初めてそのインフラも有効に生かせるんだと思うんですね。ですから、ハード、ソフトというふうに防災を分けるとすれば、ハードはやはりソフトではカバーできないという意味で、一定のインフラ整備というのは確実に必要だと思います。しかし、それだけで終わるのではなく、言わば背骨を生かしていく、動かしていくためには個々の筋肉がないといけませんので、その筋肉を強化するというところがその地域のまちづくりであったり、あるいは一人一人の民のかかわり方だというふうに思っています。
その民にどれだけかかわってもらうかと。公共事業に民がかかわるというのはPPPという根本参考人のお話ですけれども、例えば個々の耐震化ですとか不燃化ですとか、これも小さいけれどもPPなんですよね。国が助成をして、個人が自己負担をして達成されると、そこの個々のPPの部分ももっと活性化していくような取組が必要だと思っています。
ただ、全てを一本の法律でやるというよりも、私、最後の表を少し参考に付けたんですけれども、いろんな法律が実はありますので、そこをうまく統合して、先ほどのプログラムとして、きちんと国がやるべきこと、地方公共団体がやるべきこと、それから民がやるべきこと、あるいは企業がやるべきこと、そこをきちんと位置付けていくというプログラムが非常に大事かと思います。
PPPがなぜ有効かというのは、もう一つは、スピード感が出る、すぐやってもらえるというか、やるということが可能です。しかし、大型のインフラはどうしても時間が掛かりますので、更に大きな災害が来る百年後を目指して、こうじゃなくてなだらかに、持続的に展開していくということが何よりも大事だと思っております。
○大門実紀史君 ありがとうございました。終わります。 |