<赤旗記事> |
 |
質問する大門実紀史議員=19日、参院消費者特別委 |
純米酒偽装防止策を
食品表示で 大門氏求める
参院消費者特別委
日本共産党の大門実紀史参院議員は19日の参院消費者問題特別委員会で、大阪府内の業者が醸造アルコールを加えた製品を「純米酒」と偽って販売していた事件を取り上げ、食品表示にかかわる再発防止策を求めました。
酒税保全法では是正の指示に従えば偽装の事実が非公表とされます。大門氏は、業者が社告の「おわび」でたんなる「ラベル表示の誤り」とごまかして説明していることを指摘し、「このままでは、お酒の世界では引き続き偽装表示が閉ざされたままになってしまう」とただしました。
国税庁の刀禰俊哉審議官は「指示を行った場合は、公表しなければならないという食品表示法案の規定を踏まえ、必要な検討をする」と答えました。
大門氏は「消費者庁としても検討課題とすべきだ」と指摘。森雅子消費者担当相は「国税庁とも相談していく」と答弁しました。食品の原材料などの表示を一元化した食品表示法案は、同委員会で全会一致で可決。 |
≪議事録≫
○大門実紀史君 最後の質問でございますので、この偽装表示の問題で残された問題の一つとして、お酒の問題を取り上げたいと思います。
資料を今配っていただいていますけれど、今年の二月の二十六日に、浪花酒造というお酒の造り酒屋からおわびとお知らせという社告が出ました。この浪花酒造というのは大阪の阪南市にあるんですけれども、創業三百年の老舗でございまして、全国新酒鑑評会で四年連続金賞を受賞すると、北海道の洞爺湖サミットでも各国代表に純米吟醸酒が提供されるという会社でございましたが、その会社がおわびとお知らせという社告を出しまして何を言っているかといいますと、当社が販売している商品の一部について、特定名称酒表示、原材料表示とは違う清酒が混和されていたことによるラベル表示の誤りが判明しましたので自主回収いたしますと。これだけ読むと、何か製造過程でミスがあって回収するのかということかと思ってしまいますけれど、その下に同じ日の新聞記事が掲載してございますが、実は何があったのかといいますと、意図的な偽装表示があったということでございまして、国税庁が摘発をしたということです。
要するに、純米酒に醸造アルコールを加えていたということで、醸造アルコールというのは、何といいますか、香料といいますか調味料といいますか、そういう役割を果たすアルコールでございます。これが混じっていたわけですけれども、誰も見抜けないで、おいしい、おいしいと飲んでいたわけですね。この浪花酒造の社長は、味がほとんど変わらないのでその場しのぎでやってしまったと、在庫がなくなったときにやっていたということを言っているわけでございます。
消費者は、この社告だけ見ていると、のおわびでは分からないわけですね。この新聞報道を見て初めて偽装が確信的に行われていたということを知るようになったわけでございます。たまたまこれ新聞報道出ていますけれど、新聞報道はあくまで新聞報道でございまして、この偽装表示事件で公にされた、公の場でやられたのはこの浪花酒造のおわびの社告しかございません。しかも、ごまかしの入った中身でございます。
国税庁は、この浪花酒造に、そんなもの混ぜちゃいけないということで是正するように指示をしたということでございまして、この国税庁の指導の中身はいろいろありまして、指示をして改善をしたら企業名とかあった事実を公表しないと、もし指示に従わなかったら命令という段階になって、その段階になりますと企業名とか事実関係を公表すると、こうなっているわけですね。今回の食品表示法では、そういう指示を出した段階で公表するということになっております。
国税庁は個別のことは答えられないと思いますので一般論で結構なんですけれども、ある酒造会社が清酒の製法、品質表示基準に違反して偽装を行ったと、国税庁は発見すると、是正するように指示を出すと、その指示に従ってもう変なものを混ぜないと、やめたと、適当な理由でこのように自主回収しますと。そうすれば一件落着で、特におとがめなしなわけでございますけれども、これでは消費者にとっては偽装表示という事実はやみに葬られたことにならないかと思うんですね。
今回の法改正で、資料の二枚目に付けておきましたけれども、どうなるかといいますと、これからも酒税保全法の世界が継続されるわけでございます。今言ったような醸造アルコールなどを混ぜるなどの根本的な偽装は、引き続き国税庁の方でやると。したがって、内々で指示をして従ったら公表されないと。偽装はやみのままで、やみの中に葬られるということが続くわけでございます。
下の方に、今回は、食品衛生法、健康増進法にかかわることは食品表示法に移行されるわけですけど、これは、例えば食品衛生法は、果実酒なんかで何のフルーツが入っているかを表示しなさいという程度ですね。健康増進法でいえば、今、糖質ゼロのビール、ゼロビールってありますけれども、そういうものを表示しなさいということでありまして、根本的な偽装は引き続き国税庁の方が摘発していくようなことになるわけですけれども、このまま行きますと、せっかくこういう食品表示法が施行されてきたにもかかわらず、お酒の世界では引き続きこの偽装表示がクローズされたままになってしまうんではないかと。
こういう時代の変化もありますんで、これやっぱり消費者にクローズな今の仕組みを改めていくべきではないかと思いますが、国税庁、いかがですか。
○政府参考人(刀禰俊哉君) お答えいたします。
今御指摘のございました純米酒の表示などにつきまして表示義務違反が発生した場合でございますけれども、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律におきまして、酒類の表示基準を遵守しない酒類業者に対し、その基準を遵守すべき旨を指示することができることとされております。当該指示を従わない酒類業者があるときは、その旨を公表することができることとされておるところでございます。
この規定につきましては、他の法令で定められました表示に関する制度を参考に現行の規定が設けられているものでございますが、今お話もございました今般の食品表示法案におきまして、表示に関する指示を行ったときは、その旨を公表しなければならないこととされているところでございまして、この点も踏まえまして、今後、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 実は、私の本家も造り酒屋なんですよ。大阪の北河内で大門酒造というんですけど、安心して御用命いただければと思いますが。うちの大門酒造も、実は十年ちょっと前にこの新酒鑑評会で賞を取ったんですね。で、よく知っているんですけど、お酒というのは生き物でございまして、この浪花酒造みたいに四年連続賞を取るというのはなかなかできるものじゃないんですよね。そういう、何といいますかね、プレッシャーといいますかね、無理に、売れますから、売れることを維持するために、そういうことが動機でこういう偽装に走ったんじゃないかと、気持ちは分からなくはないんですけれども、これ、全体の清酒に対する信頼を失うわけですね。
是非、国税庁として検討していっていただきたいし、森大臣にもお聞きいたしますけれども、こういうふうに、引き続きこの部分は国税庁ではあるんですけれども、消費者庁としてもどう関与していけるのか、これだけはちょっと、何といいますか、検討課題として意識しておいていただきたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) 御指摘のとおりでございまして、また付け加えさせていただくならば、景品表示法にも違反することになる場合が多いと思うんですね。その場合には、景品表示法で不当表示に該当すれば、措置命令が発出されれば、その内容が即公表されるわけでございますので、そうした観点からも、食品を摂取する際の安全性の確保、そして消費者が自主的かつ合理的に選択をする機会の確保、その権利の保障ということを図るためにも、国税庁とも相談しながら検討してまいりたいと思います。
○大門実紀史君 お疲れさまでした。終わります。 |