国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2013年5月31日 経済産業委員会、財政金融委員会、消費者問題に
関する特別委員会連合審査会
事業者が強い事業者に対して消費税の転嫁ができるかどうか

≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。
 この法案の中心のテーマは、立場の弱い事業者が強い事業者に対して消費税の転嫁ができるかどうかというところにあると思いますけれども、そこで伺いますが、法案の中の、特定事業者が、つまり大きな立場の強い事業者が消費税の転嫁を拒否してはならないという中に、商品又は役務の対価を通常支払われる対価に比べて低く定めることにより消費税の転嫁を拒否してはならないというところがございます。
 これは具体的にどういう例を指すのか、具体例でちょっと分かりやすく説明してください。
○国務大臣(稲田朋美君) 本法案は、第三条第一号において、商品又は役務の対価の額を同種又は類似の商品又は役務に対し通常支払われる対価に比し低く定めることにより消費税の転嫁を拒むことを買いたたきとして禁止をいたしております。
 ここでいう通常支払われる対価とは、特段の事情がない限り、消費税率引上げ前の税込み価格に税率引上げ分を上乗せした価格であり、税率引上げ後の税込み価格をこれより低く定めることは買いたたきに該当すると考えております。
○大門実紀史君 それはその法文を解釈しただけで、もっと具体例で聞いているんですけれども。
 じゃ、私の方で言いますけれども、こういう理解でいいですか。もう大変分かりやすくシンプルな話にいたしますけれども。メーカーがあって部品を納入する業者がいたとしますね。今まで、分かりやすい話で、百円で部品を納入していたと。五%消費税が上がったんで、本来ならば百五円メーカーからもらわなきゃいけないということになったけれども、メーカーは消費税分を払いたくないと拒否するというわけですから、その百五円のうち五円は払わないで今までどおり百円にしてくれと。ただ、そのやり方として、単に五円を値引くんじゃなくて、元の百円、これを下げさせて、例えば逆算すると、百円ですから九十二円何十銭になると思いますけれども、下げさせて、それに五%オンして結果的に同じ百円にさせると。これは結果的には消費税五%分を拒否したということに当たるので、そういうことをしてはいけないと、そういう理解でいいんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今御指摘の例、税込み、税率引上げ前の税込みの取引価格が百五円、そして税率引上げ後に税率分、税率引き上げずに百五円。済みません、百円のものの、百五円あったのを百五円のままということですね。済みません。本体価格が百円のものについて、税金を上乗せすれば百五円であるときに、税率引上げ後に本体価格を引き下げて全部で百五円にするという例だったと思います、御指摘の例は。済みません。
 それは、本体価格を引き下げる特段の事情がない限り、買いたたきに該当すると思います。
○大門実紀史君 ちょっと大臣お疲れのようですけれどもね。百円のままという話なんですね。まあ、いいです。
 要するに、多分、僕が言ったような例のことをおっしゃったと思いますので、その場合ですけれども、例えば、そんな消費税を引き下げる、拒否するために本体価格を百円だったのを九十二円ぐらいに下げさせたということが、実際問題、現場でどうやって証明できるのかなということを現場の取引を見ると思うわけです。
 例えばですよ、例えばメーカーの方は納入業者に、消費税が上がった分下げろと絶対言わないで、うちの経営も大変になったから、今まで百円だったけれども、九十二円に下げてくれと、それでのんじゃったと。これを意図的に消費税を拒否するためだというふうに証明するのは、これ、公取がもしその現場に入ってもなかなかこれは難しいですよね。だから、私は、実際問題、こういうことは無理なんじゃないかと、現場を知っている人なら誰でも分かりますけれどもね。
 だから、今、中小企業団体の方々が、この法案、アナウンスメント効果としては、つまり消費税拒否しちゃいけないよというアナウンスメント効果は分かるんだけれども、一個一個、経済の現場ではそんなことは難しいというふうにおっしゃっているのはまさにそのことだというふうに思うんですよね。その辺、ちょっと御認識いかがですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 衆参の参考人質疑の中でも、この法案の意義は認められつつも、実効性をどう担保していくかということが重要だというお話がございました。そういう意味において、今委員が御指摘のような点もあるかと思います。
 ただ、買いたたきに該当しない特段の事情というのは、例えば原材料価格が客観的に下落をしていて、当該原材料価格の下落を反映した価格交渉が行われた結果、取り決めた単価が従来の単価よりも低くなる場合。特定事業者と特定供給事業者との間で包装資材の簡素化や配送頻度の縮減など共同して事業の効率化を図る取組が行われ、これにより特定供給事業者にとって明らかにコスト低減効果がある場合に、当該コスト低減効果を反映した結果、価格が従来の価格よりも低くなる場合。かなり特段の事情だと思います。そして、その特段の事情は、特定事業者の方が説明責任を負っていると思います。
○大門実紀史君 それは私も読みましたけれどもね。それは紙の上で書いた話でございまして、その価格を下げさせる時期が消費税増税されてから三か月後かも分かりません、半年後かも分かりません。だから、そういうことを事実上証明するのは非常に困難であって、私は、はっきり申し上げて、ほとんど実効性のない法案だと思います。
 実は、税と社会保障の特別委員会のときに、当時は民主党政権でございましたけれども、当時の岡田副総理とこの議論をいたしまして、私はこの根本の、先ほど中西さんからもありましたけれども、今の下請法とか独禁法があっても、これだけ買いたたきがやられる、値引きがやられるこの世界を変えない限り、消費税だけ取り出してうまいこと転嫁をやるというのは事実上あり得ない話だということを指摘したんですけど、当時の岡田副総理は、いや、やれるんだと、消費税だけ取り出して転嫁することはできるんだというふうにおっしゃって出てきたのがこの法案なんですね。
 ところが、今申し上げたように、現場の経済を考えますと、私はほとんどこれは実効性ないと言わざるを得ないというふうに思っております。やってみれば分かると思います。公取が入っても、今おっしゃったようなことを証明するのは、個々の関係で、言った言わないの関係になりますし、それぞれの言い分もありますし、ほとんど難しいというふうに思っております。
 それで、もう、そういうことよりも、私はやっぱり独禁法、下請法の改善そのものに踏み込むべきだと思っておりまして、その点で少し問題提起も含めてお話ししたいと思います。
 資料をお配りいたしましたけれども、一枚目が、今現在、日本でこういう、公取、少ない人数で頑張っておられるのはよく承知しておりますが、日本が今、公取が下請法にかかわって勧告、指導している件数です。そのうち消費税に係る指導件数というのはこの程度の数字でございまして、ほとんど分からないですね、消費税だけで、転嫁の問題といえば。
 これが現状ですけれども、二枚目見ていただきまして、これは隣の韓国です。韓国と日本の違いなんですけれども、日本は、告発とか是正命令というのはほとんどありませんで、先ほど言いました勧告、指導止まりですね。ところが、韓国の方は、告発、課徴金、是正命令という大変厳しい処分が多くなっております。警告も多いです。中小企業の数は、日本が四百万ちょっとですけど、韓国は三百万ちょっとという数字を頭に入れながらですけれども、かなり韓国はこういう下請保護に厳しい姿勢で臨んでいるということが言えると思います。
 是非研究してもらいたいんですけれども、今日は時間の関係でもう結論だけ申し上げますと、何が韓国と日本が違うかといいますと、もちろん国の姿勢が違います。もう徹底的に下請保護だということでこの間頑張っておりますし、もう一つは、法律が違いまして、適用範囲が大変広うございます。今回の転嫁法の程度、下請法そのものは広くなっています。今、中西さんからあったように、下請法そのものを、転嫁法の方が広くなりましたよなんて本会議で答弁されていましたけれども、下請そのものを広くすべきなんですね、本体の方ですね。それをもう韓国はやっておりますし、親業者の義務というのはかなり厳しくなっておりまして、書面交付も、下請が書類でくれと、契約書くれと言っても親業者がうんと言わないですから、親業者の方に書面交付義務を課すとか、あるいは発注者責任まで規定しているとか、様々厳しい内容になっております。
 運用基準も、日本の方は親業者の禁止行為についていえば運用基準止まりが多いんですけれども、韓国の場合は法定でなっています。法律で定めておりますので、争う余地がないケースにしているわけですね。課徴金も下請代金の二倍取るというふうに厳しくなっておりまして、様々こうあるわけですけれども、いずれにせよ、ここのところの本体の下請法なり独禁法を抜本強化することなしにこの消費税だけ転嫁するというのは現場知っている人ならあり得ない話でございますので、是非、公取担当の大臣として、今回のこの転嫁法にとどまらず、下請法の抜本強化あるいは独禁法の抜本強化、ここのところに踏み出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今委員が御指摘になったように、韓国の下請法では、適用範囲が我が国とは違って、建設委託も対象になる、そして下請事業者も義務を課せられておりまして、書類の保存ですとか建設下請契約における履行の保証等、様々違いがあろうかと思います。また、一方で、我が国の下請法においては、例えば建築委託については建設業法で規制が行われているように、我が国の法制度全体としては遜色がないという部分もあるのではないかなというふうに思います。
 いずれにせよ、公正取引委員会において、まずは我が国の下請法をしっかりと運用して、下請事業者の保護を適切に図ってまいりたいと思います。
○大門実紀史君 建設の下請こそざる法になっておりまして、大変ひどい法案でございます。元請責任がきちっとしておりません。
 したがって、日本の法律というのは大変遅れているんですよ。韓国は一九八四年に決めましたけれど、もう十二回も改正して、どんどん厳しくしているんですね。日本はもう遅れたままずっと放置されているという関係でございます。
 こういう中でこの消費税の増税をやると、ただでさえ転嫁できないのに、中小事業者は大変なことになります。経済のこと、いろいろなことを考えても、消費税の増税こそまずやめるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

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