国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2012年11月15日 財政金融委員会 特例公債の三党修正案は健全財政主義をゆがめる

≪議事録≫
○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
 あした解散で総選挙にという、そういう国会の最後にやられたことが、今もございましたけれども、やり方も中身も三党合意のごり押しというのは大変残念だなというふうに思っております。
 この間、最後もこうですけれども、大事なことといいますか、肝心なことは全て三党合意でやられてきたと。ちょっと自民党の方にも私言いたいんだけれども、ふだんは何かいかにも対決して罵って、何かなると急に仲よくなってこうやると。だったらふだんから仲よくやって、何かふだん対決ポーズ示して、いざというときこうやってまとまるとややこしいですよね、国民の皆さんは。
 やっぱりこれ、大連立、まあ野田政権は最初から大連立も呼びかけておられましたけれども、そういう方向ならそういう方向だとはっきり国民の前で言わないと、また昨日のクエスチョンタイムもそうだけれども、いかにも対決しているような終わり方して、みんなそうかなと思ってどっちかに入れて、またまとまってこんなことをやられたら、これおかしな話なんですよね。大臣、そう思いませんか。
○国務大臣(城島光力君) いや、これはちょっと他党のことですから何とも言えないですけれども、十分話をして徹底して論議をして、よく言う熟議の国会という一つの例ではないかと私は思っております。
○大門実紀史君 例えばこの確認書の一番ですけれども、減額補正をやると。これ、いずれにせよ、解散・総選挙の後の、どういう政権の枠組みか分かりませんけれども、三党で相談をして平成二十四年度の補正予算を見直すということになりますと、補正予算を一緒に見直すなんていうのはこれ事実上の連立政権ですよ。しかも、補正の後に本予算が来るわけですよね。こんなものは事実上これから一緒にやっていこうということを宣言しているのに等しい確認書でございまして、やっぱりそれならそれではっきりと、今申し上げたのでもう繰り返しませんが、そういう方向で考えているなら考えていると、選挙ですからね、打ち出すべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。この確認書そのものがそういう構造になっております。
 中身に入りますけれども、時間がありませんので。今回、平成二十七年度までの間と。じゃ何で二十七年度なんだということを聞きましたら、これは、もう時間の関係でこちらで言いますと、政府の方は、例の中期財政フレーム、これは二十七年度までに、先ほどございましたが、プライマリーバランスの赤字を半減という目標があると。自民党さんは自民党さんで、財政健全化、何か法律があるんですね。両方とも大体二十七年度なので二十七年度を入れたんだということなんですけれども、先ほども、これ確認書の二番のところですけれども、現行の財政健全化目標を踏まえ、安定な財政運営を確保する観点から、その前に、特例公債発行額の抑制に取り組むことを前提に、いろいろ書かれておりますね。
 しかし、この中期財政フレームなんてものは、今までも目標を掲げたけれども、ずんずんずんずん先延ばしになって、これ、ただの目標じゃないんですか。何か枠はめられたものでもありませんし、先ほど城島大臣も努力していく、検討していくという話で、何らこれ担保されたものでもありません。抑制に取り組むことを前提に云々、取り組むことを前提に云々、これも、こんなものどうなるか分からない話じゃないですか。取り組んだって、取り組んだって、いろんな諸般の事情で公債、景気が悪くなったと、いろいろやらなきゃいけないと、やっちゃったと、何も抑制されるとは限らないわけですよ、ここに書いてあるからといって。
 私が申し上げたいのは、こんなことを書いて何の担保にもなっていないし、ただの精神的な、精神論を言われているだけでございまして、しかも、何かそれ、だから、いかにも抑制するのを前提に二十七年度までとおっしゃっているように見えますけれども、頭の部分はただの努力目標、そうならないかもしれないという話でございまして、かつての橋本龍太郎さんのときのあの経済構造改革法ですか、途中でやめましたけれども、ああいうものとは違いますから、ここに、ただペーパーに書いてあるだけですから、これ何の担保にもならないと。つまり、いろいろ二十七年度までやっていった場合、特例公債の発行額が抑制されるんじゃなくて増える場合もあると。ただ、努力はしました、でも増えました、増えたら自動的に二十七年度まではやりませんということにはなっていないんですよね。なっていない。
 もうちょっと分かりやすく聞きますと、平成二十七年度としますと、消費税増税の前にいろいろやらなきゃとお考えになっているみたいですが、それで特例公債を発行して、平成二十七年度ですから、例えば二十五年度の時点でどう考えても二十七年度中にプライマリーバランスの赤字を半減できないということがもう誰が見ても明らかになった場合であっても、二十七年度まで特例公債の発行を認めるということになってしまうんじゃないですか。何の担保もないんじゃないですか、これ、発行抑制なんていうのは。ただ紙に書いてあるだけじゃないですか。違いますか。
○衆議院議員(道休誠一郎君) 委員の御指摘にお答えしますと、やはり、書いてあるだけじゃないかというようなことを御指摘でございますけれども、私ども、やはりある程度中長期的にいろんな目的を、目標数値というのを挙げて、それに対してやはり真摯に国会の議論も通しながら、国会のチェック機能も生かしながらしっかりと財政支出の抑制を目指していくと、これはやはり非常に大きな意味があると思うんですね。
 決して、先生が御指摘になるような、もうこれ野方図にいわゆる特例公債の発行を認めるとか、そういうようなことは私ども、これはもう三党の間でも同じ認識だと思いますけれども、そういうことは全くございませんので、しっかりとここで掲げていくことについては政府そして各党頑張っていくということも我々は含んで書かせていただいておりますので、その点御理解いただければと思います。
○大門実紀史君 今までみんなそういうことを言いながら借金ここまで増やしてきたんですよ。分かりますか。それで、橋本内閣のときにもう法律ではめなきゃ駄目だとなって、またこう来ちゃっているわけですよね。みんなそう言ってきてここまで増やしたんですよ。だから、そんなときにこんな規律緩めていいのかということで、これは私たちだけではなくて有識者の方々も心配されているわけでございます。そういう言葉だけでは駄目だということなんですよね。
 私はこれちょっと財務省にいろいろレク受けて驚いたんですけれど、通常財務省はこういう財政規律を少なくとも緩める方向というのは難色を示したり渋い顔をしてきたんです。ところが、今回、何か喜んじゃっているんですよね。大臣も、うれしそうにうれしそうに、これいい法案だ、早く通してくれと。本来は財務省が、これはやっぱりちょっといかがなものかと、もし政治家が判断としたらですね。私は、逆に財務省が知恵を出したんじゃないかと、今回についていえば、それぐらい思っているわけでございます。余りにも特例公債法案が通すのが苦しくなったものでね、と私は思っているんですけれども。
 そもそも、この修正提案理由は中期財政フレームとは何の関係もございません。大臣も総理もお答えになっているとおり、とにかくこの間、特例公債法案が通らないというのが何年か続いてきて、もうおっしゃっていますよね、発行せざるを得ないんだけれども、ねじれ国会等でこういうもう通らない状態、この悪弊とおっしゃっていますけど、悪弊とは思いませんが、それを断ち切るために、予算と一体のルールを作らなきゃいけないから提案をしたと、もうそれだけですよね。別に中期財政計画、何の関係もないんです。ですよね。
 ですから、そうなりますと、何のことはなくて、ねじれ国会だから、あるいは特例公債法案が政争の具に使われてきているからいろいろ通らなかったと。もちろん臨時国会開く時期が遅かったとかありますが、根本的にはそういうことですよね。それだから提案したと、それだけのことだと思うんですね。そういうふうにお答えになっていますけれどもね。
 そうすると、この法案の後、二十七年度までとおっしゃいますけれど、二十七年度の後、当然、今の状況からいきますと、特例公債の発行しなければいけないという状態は一遍には解消されませんですよね。二十七年度以降も、二十八年度も特例公債発行しないで今の規模の財政やれませんから、発行するということになります。つまり、この二十七年度以降も特例公債を発行すると。なおかつ、その時点で参議院のねじれが解消しているとは限りません。限りません。
 となると、何が生まれるか、何を心配するかといいますと、結局、今、今回こうやってやっちゃったものがまた恒久法のように延長されていくんではないかと。つまり、特例公債法そのものは最初は一年限りと。それで、ちょっと辛抱して、また苦しくなって何年かやって、もう一遍借金できるというこの誘惑は恐ろしいものでございまして、借金してあれやろうこれやろうになって、これは自民党政権のときですけど、ずっと増やしてきて、一回特例がずっと続いてきたということなんですよね。
 同じように、今回もこれ、二十七年度までのと言いながら、一遍こういうことをやっちゃうと、これを更に延長していこうと、二十八年だって借金しなきゃいけないんだからと、こうなるおそれ、懸念が当然今までの歴史を見るとあると思うんですけれど、これはどうなんですか。ちょっと財務大臣にお考え聞きたいんですけど。
○副大臣(大久保勉君) 大門先生とは財政金融委員会の理事を通じていろんな意見交換をさせてもらいましたので、今回説明させていただきます。
 今回の特例公債法、いわゆる平成二十七年度以降に関してどうするんだということでありますが、ここに関してはまだ取扱いは決まっておりません。そのときの政権がしっかりと財政規律を守るという観点から決めていただくことでございます。
 一方で、平成二十七年度以降に関しましては、例えば財政収支を二〇二〇年までにプライマリーバランスを黒字化にすると、こういった決定もございますから、そういったことをしっかりと踏まえて、次の政権がしっかりと大門委員の指摘も踏まえて決断していただけると思っております。
○大門実紀史君 これは後で歴史を見れば判明することになるかと思いますが、私は、一回こういうことをやると、延長しちゃおうと、それからだんだん恒久法的になってくるという懸念を強く指摘しておきたいというふうに思います。
 やっぱり、さっきも言いましたけれども、財務省がもう、何というかな、特例公債に対する感覚が財務省自身が麻痺しているんじゃないかなというふうに思いますし、政府の財政制度審議会はかなり厳しく特例公債問題をずっと指摘してきたんですよ。この特例公債法案の単年度主義という話がありましたが、複数の年度でやる例外措置もつい最近まで非常に厳しく、例外で、東日本大震災の復興債がそうですし、その前の消費税を三%から五%にするときの先行減税の財源、このときもそうですが、それはいずれ税収で入ると、財源を明らかにした上の例外的な単年度を越える複数年度のという、そういうやり方はあったんですよね。つまり、東日本大震災の復興債のときまでは財務省もそこは厳しく財政規律の問題として考えていたわけです。ところが、今回、こんなものを財務大臣が喜んで早く通してくれというのは、私は財務省どうなっているのかなと大変危惧しております。
 単年度主義、これについて言えば、おっしゃるとおり、一応予算の総則の中に入れて、予算審議の中で駄目なら駄目と、そこで反対なら予算に反対しろということなのかも分かりません。しかし、ならばですよ、財務大臣にお聞きしたいんだけれども、今までなぜそうしなかったんですか。今までなぜ特別に特例公債法案を別途に審議してきたんですか。
○国務大臣(城島光力君) 先ほどから、財政規律が緩むんじゃないかと、これからどんどんそうなっていくんじゃないかという御指摘でありますが、少なくとも、先ほども御質問の中にありましたけれども、例えば今の財政規律あるいは財政状況というのは、日本の場合、極めて悪いわけですよね、数字上だけでも。これが、もしそういう規律が緩んでどんどんどんどん日本の財政が悪化していけば、日本に対する信認がもっともっと悪くなり、国債の格付も下がっていき、金利が上がっていくという。今でも海外から見たときに、やっぱり日本の財政再建に対してはかなりそういう面で極めて注目をされているということもございます。
 したがって、財務省として、仮にそれが中期的な今回の三党合意みたいなものがあるにしても、それでどんどんどんどん財務省として財政規律が緩んでいくということを放置しておくという立場には全くありません。そこは是非御理解いただきたいと思います。先ほどからそういう御意見ありますので、財務省としての見解はそういうことであるということであります。
 それから、五十一年以降は、御指摘のように毎年この委員会で御審議いただいておりました。そういうことで、それぞれの一定の緊張感を持って国会で審議されてきたと思います。ただ、近年は当時と違いまして、先ほど申し上げたように、もう既に一般会計予算の四割をこの公債に依存するという財政状況になってきている中で、国会情勢ということでこの法案の成立が遅れるということになると、財政運営が不安定化して、国民生活やあるいは経済に極めて大きな悪影響を与えかねないというような状況になってきておりますので、先ほどから修正案の提案者が言っているように、野田総理の方から提案があって、従来の法案審議の在り方を超えて、予算と法案を一体化で処理するルールというのを必要になってきているときではないかということでこういうふうになってきたというふうに思っております。
○大門実紀史君 城島大臣とは今日が最初で最後のやり取りだと思いますが、その程度の認識で財務大臣になられたというのは大変残念ですね。後ろから余計な関係のない答弁書出すなよ、時間ないんだから。聞いたことに答えなさいよ、政治家同士。何言っているんですか。
 今の話にも出てきたけれども、何が今危ないと思われているか分かりますか。特例公債も毎年毎年発行してきたと、もう四割にもなっていると、だから一緒でいいんじゃないかと、この素人的な、それが今みんな心配しているんですよ。四〇%にもなってきて、これだけ巨額になっているからこそ逆に、もう一緒くたでいいじゃないかじゃなくて、きちっと別個に別途審議をするべきじゃないかと、そう考えるのが財務省の普通の今までの考え方だと私は思うんですよね。非常に危ないですよ、財務省、これは。
 もう一つ最後に、時間ないから申し上げておきますけど、参議院の問題でございます。参議院の問題だから大久保さんに聞きたいなと思うんだけど、この特例公債法が別途にやられている場合ですと、やっている場合ですと、これは参議院で少なくとも最後チェックができるんですよね。分かりますよね。予算と一緒だったら、衆議院で一緒くたで、衆議院の優位でもう決まっちゃいますよね。参議院がチェックできるんです、これは別個の法律だったらば。
 これは参議院の非常に重要な役割であるチェック機能にもかかわることだと思うんですけれども、これは三党合意、審議された方、参議院議員いなかったのかな、どうか分からないけど、そういう面はちゃんと検討されたのかどうか分からないんだけど、もう最後だから大久保さんにお聞きしますけど、参議院議員としていかがお考えですか。
○副大臣(大久保勉君) 特例公債法に関しましては、私も言わば筆頭理事ということで、何とか早く通したいと思っておりました。といいますのは、もしこの法律が通りませんと、いわゆる国民生活に影響する、のみならず、いわゆる国債の発行ができない、若しくは乱高下するということで、日本国債の格付が下がります。ですからこれは、ねじれにおきましては安定的に通す必要があると思います。
 一方で、いわゆる特例公債を多年度化するということに関しては、この財政金融委員会でしっかりと審議ができないんじゃないかと、こういった御指摘もあると思いますが、でも、委員と一緒に財金の理事を長く務めておりましたが、財政金融委員会そのものは、いわゆる財政に関することは何でも質問できます。また、予算関連法案、特に三月には所得税、いろんなものがございますから、そこはしっかりとそういったところで審議できると思いますから、是非この委員会でもって財政規律を守ると、こういう覚悟で御審議をこれまでと同様に行ってもらえたらと思います。
○大門実紀史君 もう終わりますけれども、もうちょっとよく、深く考えた方がいいですよ。軽過ぎますよ、参議院のチェック機能の問題から、こういうものをこんな簡単に提案してくるということそのものもですね。
 いろいろこういう私の指摘が当たらないように願いますけれども、本当にこれは大変な法案だと、そんなものを三党でごり押しされたことに改めて抗議の意思を示して、私の質問を終わります。

【反対討論】

○大門実紀史君 日本共産党を代表して、公債特例法案に反対する討論を行います。
 まず、審議に至る経過です。
 本法案は国家財政の根幹にかかわる法案です。審議時間を十分確保し、国民に問題点を明らかにすることが必要です。しかし、民自公の三党は、本法案を解散・総選挙の駆け引きの道具にした挙げ句、談合、合意し、その上、三党以外の会派に対し急遽本日の審議、採決を押し付けてまいりました。議会制民主主義を踏みにじる三党のやり方に厳重に抗議するものであります。
 法案の中身に入ります。
 本法案は、消費税増税を前提とし、年金や子ども手当の削減を求める本年度予算と一体のものです。これらは内需の中心である個人消費を冷やし、中小企業と地域経済に重大な打撃となります。政府はデフレ脱却と日本経済再生を最重点課題としていますが、それに全く反するのが消費税増税ではありませんか。消費税と社会保障削減を中止し、予算と本法案を見直し、家計支援を最優先にした内需拡大策への根本的な転換を求めます。
 次に、三会派提出の修正部分についてです。
 日本の国家予算は憲法に基づき健全財政主義が原則であり、公債特例は例外です。また、毎年度の予算はその都度国会の承認を得なければなりません。特例として認められる公債発行なら、なおさら厳格な審議が必要です。しかし、本修正案は複数年度にわたる特例公債の発行を認め、憲法が求める財政規律、国会のチェック機能を著しく弱めるものです。公債発行の抑制を掲げているものの、単なる努力目標で、何の保証もありません。また、数年後には恒久法化され、更なる放漫財政を招く仕掛けとなる懸念は払拭できません。
 以上で反対討論といたします。

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