<赤旗記事> |
必需品 投機の対象に
金融商品取引法改定案を可決
26日の参院財政金融委員会で、金融・証券、商品を一括して取り扱う総合取引所創設に向けた制度整備などを盛り込んだ金融商品取引法改定案が日本共産党以外の賛成多数で可決されました。日本共産党は、原油や穀物など生活必需品が投機資金にさらされ価格の乱高下を招くものだと反対しました。
採決に先立つ質疑で日本共産党の大門実紀史議員は、民主党が、独立性が高く強力な権限を持つ「金融商品取引監視委員会」を創設し、投機規制を行うと公約していたにもかかわらず、業界の保護や振興を行う金融庁に規制・監督を「一元化」した理由をただしました。
大串博志政務官は「金融商品の融合、横断化の流れを踏まえたもの」と答弁。大門氏は米国の商品先物取引委員会が規則制定権など強い権限を持ち「業界から中立性を保っている」と紹介し、官庁は振興と規制を分離する必要があると強調しました。
大門氏は、経産省の産業構造審議会商品先物取引分科会の報告書が、FX(外国為替証拠金取引)を参考にした商品開発をすべきだなどとのべて、リスクの高い商品を導入し個人投資家を呼び込もうとしていると指摘。日本商品先物振興協会の研究会の報告書では、投機市場化したら参加しにくいとの懸念があることを紹介し、まともな事業者が参加できなくなると批判しました。 |
≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。
本法案の、店頭デリバティブの公正性、透明性の向上、あるいは不公正取引規制、これらは必要な施策だというふうに思っておりますが、問題は、今日も議論がありましたが、総合的な取引所の創設そのものというよりも、それが目指す方向が本当にいいことなのかどうかですね。このことについて絞って質問したいと思います。
まず、大臣に基本的な認識をお伺いいたしたいと思うんですけれども、総合的な取引所創設というのは、要するに、説明にもあったとおり、証券会社等が商品取引に参入しやすい環境整備をする、あるいは投資家の利便性を高める、出来高を増やして市場を活性化するということで、さらにはもっと様々なデリバティブ商品が開発できるように規制緩和、効率化、スピードアップをすると、それで世界の商品取引市場に追い付けというふうな流れ、話だというふうに思います。これはもちろん証券業界の要望にもこたえたものですけれども、そもそも、この商品先物取引は現物を扱う取引事業者のリスクヘッジという点では歴史的な役割もあったわけでございます。
しかし、昨今の世界の商品先物市場は、特に二〇〇五、六年、七年辺りから二〇〇九年に至るときに、もうみんな忘れたような話になっていますけれども、原油の高騰がありました。ニューヨークのWTIで乱高下繰り返したわけですね。それとか、二〇〇九年のリーマン・ショックも裏側には商品先物のことがございました。
そういう、何というか、現物の取引業者の、このリスクヘッジというよりも、今や莫大な投機資金が、投機マネーが流れ込んでマネーゲームの場所になっているということだというふうに思いまして、むしろ現物取引業者がこの商品先物市場を敬遠するぐらいになっていると。これは後で報告書を示しますけれども、そうなっているわけでございまして、さらに、原油、穀物などの生活必需品の暴騰や乱高下は普通に暮らす人々にも大打撃を与えてきたというふうなことが実はこの数年間の事実ではないかと思うわけでございます。
今必要なのは、そういうことに対してきちんと、本来、商品先物、商品取引はどうあるべきなのかというもっと深い分析、これだけの金融破綻があったわけですから、そういう深い分析なり、十年後の商品先物市場がどうあるべきか、これからの商品先物、商品取引どうあるべきかというふうなものをもう少しよく考えた、洞察といいますか哲学を持って今回の提案をされているならいいんですけれども、何か喉元過ぎれば同じように、世界から遅れているとか、もっともっと出来高だとか、十年前と同じような気持ちで今回提案されているように思えてならないんですけれども、この数年間のことの総括というかそういうものは、大臣、含まれて提案されているんでしょうか。
○国務大臣(松下忠洋君) 長年、時間掛けて議論してまいりました。今、金商法の改正案としてその中に一部が出てきているんですけれども、総合取引所を議論するときに、これは三年ほど掛かりましたけれども、経済産業省、そして内閣府、もちろん金融庁ですけれども、その中で、将来の世界の動向、そしてこの中で果たすべきこの総合取引所の役割、その未来図を含めてどういうことをするかということは議論してペーパーにまとめました。
そういう中で、世界の金融がやっぱり経済の中の血液として一定の約束事に基づいてしっかりと体中に回っていくことが大事だということの役割を日本の中で果たすためにどうするがいいかということも議論いたしました。完璧にできているとは思いませんけれども、そういう中で、やはり総合取引所というものは必要だと、区々ばらばらにそれぞれが魅力ある商品を持っているとも思えないし、また顧客がたくさん魅力を感じて集まってくるとも思えない、そういう形で一定の仕事をしているということはやっぱりどうにも不思議だということから、未来に向かって、成長産業あるいは日本の再生戦略、日本自身の再起動にしっかり役に立つような、そういう金融システムの中での役割を果たしてもらいたいということを申し上げました。
ですから、その中にはいろんなお金の使い方があると思いますけれども、現実の世の中が要求しているものから遠く離れたところにあってもいけませんし、やっぱりそこはしっかり受け止めながら我が国が孤立化していかないような努力をしようと、こういうことで方向性を出したつもりでございます。
ただ、昨日、私はグラミン銀行のユヌスさんと昼食を共にして、そして昨日は一日、この金融資本市場の中での自分たちの役割というその話をずっとシンポジウムでしておられましたけれども、あの人たちと話しておられたときに、私たちは、またもう一つのお金の使い方、これがアジアの中でしっかりあるということも思いました。ぬくもりのある、しかし小さなお金でもその地域が、全部の地域が救われるという使い方があるということですから、そういうことを含めて我々は今勉強してきたということもお伝えしたいと思います。
以上です。
○大門実紀史君 ちょっと松下さんに聞いたのが無理があったかも分かりませんけど、そういうことじゃないんですよね。グラミン銀行、何の関係もありませんよ、これは。何の関係もないようなことを話している。
この数年間のこれだけの金融破綻を引き起こしたマネーゲームの世界について何の反省もなくこういうことを提案しているんですかと聞いておるわけですよ。大臣のおっしゃったそのペーパーには何の反省もないからこうやって質問しているわけでございます。
もうちょっと具体的に言いますけれども、金融庁、農水省、経産省の三省で総合的な取引所検討チームがつくられて、資料を配りましたけれども、十二月の、これは中間整理ですが、この後、骨子が出て、取りまとめが出て今回の報告なんですけれども、最初に、この総合的な取引所の最初の中間整理では、書いてございますが、A案、B案、C案とあったんですね。このうちB案が今回の法案に具体化されたものでございまして、金融庁に監督権限を一元化するというものでございます。
A案が元々民主党の公約に、マニフェストに基づくものでございます。このA案はなかなかいいことを書いてございまして、独立性が高く、強力な権限を有し、かつ金融当局と現物所管官庁の人材を結集して証券・金融、商品等の幅広い金融商品取引を一括して監督する、金融商品取引監視委員会を創設して一元化する、その際、監視委員会と現物所管庁が十分な連携を確保し、現物の観点から問題がある場合には適切な措置をとることができるようにする云々と書いてございます。
これは民主党の政策インデックス二〇〇九年にもございまして、ここではもう少し踏み込んで、この金融商品取引監視委員会を創設して、投機筋に攪乱されない健全で信頼される市場を構築するということが書かれております。数年前、この委員会で大久保勉さんが大変このことを力説されておりまして、我が党も賛成の方向で議論したことがございます。これは、三条委員会としてつくる監視委員会でございます。
私は、本来ならばこの民主党のマニフェストどおりA案でいくべきだったというふうに思うわけですけれども、なぜB案になったのか。これは民主党のことがかかわりますので、副大臣か政務官にお答えいただければと思います。
○大臣政務官(大串博志君) お答え申し上げます。
今般、先ほどおっしゃいましたように、二十二年の十二月に中間報告をまとめて、今年に入って最終的な取りまとめになったわけでございます。
今回取りまとめている案は、二十二年、中間取りまとめで取りまとめた際のB案そのものというよりも、金融庁に一元化するという形の中で、さらに金融所管官庁と商品所管官庁の協議、連携の枠組みを整備しておって、商品の生産、流通に対する悪影響の発生の防止、こういったこともできるようにしていると、こういったものにしています。
今お話のありましたA案についてですけれども、これ、先ほど大臣からも話があったように、いろんな議論があってここに行き着いております。A案に関するメリットもデメリットももちろんあると思います。しかし、いろんな世界の金融の流れ、あるいは世界の金融規制監督の流れを今次見ておりますと、現在は金融市場あるいは金融商品の融合、横断化という流れが非常に強く出ています。当局の組織の在り方にも横断化という流れが顕著に出てきていて、リーマン・ショック以降の流れを見てもそういった動きが出てきておる。こういったことも踏まえて今回、いろんな議論の末、金融庁に一元化した上で各省と連携強化するというような形にしているわけでございます。
ただ、大門先生、先ほどおっしゃいましたように、投機にいろんなものがさらされて、いわゆる金融市場を利用される方の利便に害するようなことになってはいかぬという思いは私たちも当然持っておりまして、そのために、市場の厚みを持ち、かつ規制監督をしっかり取れる枠組みをつくっていくというのが大筋だというふうに思いますので、基本的な考え方はそういう考えに立っているというふうに御理解いただければと思います。
○大門実紀史君 そうおっしゃるなら、やっぱり民主党のマニフェストに基づいたことを貫かれるべきだったと思います。
例えば、アメリカの商品先物取引委員会、CFTCですけれども、何をやっているかとか、そういうことをあれですか、金融庁は分析したりちゃんと分かった上で、勉強した上でこういう提案をされているのかしら。
もう時間の関係で私の方から言いますけれども、やっぱりかなり投機化していると、いろんなマーケットがですね、これについてはかなりアメリカの方が厳しく対処しようとしております。アメリカのCFTCは規則制定権を持っております。市場が過熱したときにいろいろ規制を掛けるとか、証拠金の引上げとか値幅制限などの処分権限など強い権限を持っております。これはやっぱり、なおかつ業界から中立、独立性を保ってやっているということなんですね。
民主党はそもそもそういうことをお考えになっていたわけで、私たちもそこのところは賛成を、一緒に頑張りたいと思ったところでございますけれども、結局、金融庁が一元化して、言わば原発じゃありませんけれども、この行政、業界を保護したり振興する官庁が規制もやるというふうなところに落ち着いてしまったわけでございます。もちろん、この間、金融庁は割ときちっと規制も掛けておられますけれども、これはまた人が替わったり長官が替わったらどうなるか分かりませんから、仕組みとしてきちっとこういうものをつくるべきだというふうに思います。
民主党のマニフェストというのはもうぼろぼろですけれども、自民党からは取り下げろ、取り下げろと言われて取り下げてきましたけれども、私はやっぱり貫くべきだと。貫いて駄目だったら、また野に下ればいいわけですよ。それでまた政権を交代すると、出てくればいいわけであって、こんな、もうことごとく取り下げて、妥協して、それで政権にいたって仕方ないと思うんですよね。そう思いませんか。やっぱりそういうのは政党政治の私は自殺行為だというふうに思います。
もう一つは、先ほど言いました投機市場化するという話は、これは具体的に資料の下の方に書いてございますが、産構審、今日も取り上げられましたが、六月十八日の産構審の商品先物取引分科会ですね、実はもうむちゃくちゃなことがここに、ほかのことで書かれているんですよ。FXを見習おうですよ、これからこの商品先物でFXを見習おうと。バイナリーと呼ばれるオプション取引もやろうと、高速自動売買ですね、今も問題になっていますが、それもやろうと。
バイナリーって何かといったら、バイナリーオプションって今FXで大変問題になっておりまして、素人がやれるように、十分後、円高ですか円安ですかと、これだけでどちらかにやると。これはもうあれですよ、投資でも何でもないですよね。丁半ばくちですよ。どっちかだと、これだけですよね。こんなことまでこの商品先物で考えていこうなんというばかなことをこの産構審で言っているわけでございます。
今問題になっているのはCTAというのがありまして、コンピュータープログラムを駆使してヘッジファンドが自動売買システムでやるというのがありますけれども、これ大問題になっていますよね。そういうものまでここでやろうみたいな話になっているわけでございます。
こういう国民の生活に、マネーゲームをお金持っていてやりたい人が自分でやって自分で損するのは勝手ですけれども、これは商品先物になりますと、国民の生活に深い影響のある原油、穀物、いろんなものがかかわるわけですよね。こんなところを、政府が率先してこういうマネーゲームのおもちゃをここに入れていこうなんというばかなことを、時代錯誤のことを言っているわけでございます。
こんな方向で本当にやるんですか。許しちゃうんですか、金融庁は。
○大臣政務官(大串博志君) 今お話をいただきました総合的な取引所でどういった商品を扱っていくかということですけれども、これは政令で指定していくことにしておりますけれども、具体的にどのような商品を扱えるとするかは、今後、各省ともいろいろ協議しながらやっていきたいというふうに思います。
そのときに、基本は民間の取引所でございますので主体的な経営判断というものがあろうかと思いますが、いずれにしても各省と協議しながら決めていきますが、そのときに、今御指摘ありました産構審のこの報告も承知しております。一方で、先ほど申しましたように、利用者の皆さんの利便に資する市場でなきゃいかぬし、利用者の皆さんをきちんと保護できる市場でなければなりません。そういったものにしていくためには、一定の市場の厚みあるいは流動性があることで、例えばいろんな投機的な動きに対して、それが大数の法則の中である程度吸収できるという面が市場の役割なんじゃないかというふうに思います。
ですから、行き過ぎた投機にならないようにするという点においてはきちんとした規制監督を行っていく。一方で、流動性のある市場をつくっていくことによって、デリバティブ取引というと勢いいろんな投機と結び付けられがちになりますけれども、一方でリスクに対するヘッジの手段を与えるという意味においての価値もあるわけでございます。これらのバランスの良いメリットが発揮できるような規制監督をしっかりやっていくということに尽きると思いますので、その意味での今回の金商法の改正案を提示しているという面もございまして、この点を御理解いただければというふうに思います。
○大門実紀史君 無理ですよ。そういうものじゃないですよ。この商品取引市場が今低迷しているのは事実ですよね。ところが、流動性といったって、もう過剰流動性ですから、肥大化しちゃっているわけですから、池に鯨を泳がせるようなそんな話なんですよね。そういうことが分からないのかな、どうして分からないのかなと思いますけれども。
これは、日本商品先物振興協会、つまり、事業者そのものが何を言っているかというのをちゃんと踏まえるべきなんですよね。現物の取引事業者そのものは、もう今、元々商品先物というのは、何といいますか、投機マネーじゃない、もっとうさんくさい世界だったわけですね。これが若干規制されて健全化しつつあるんだけど、今度こういう投機市場になったら自分たちはもう参加しにくいということを逆に報告書ちゃんと、御存じだと思いますけれども出しているわけですよ。逆にこういうふうにやられちゃうと、自分たちは参加しにくいと。
現物を扱う人たちが参加しにくい、じゃ誰がこんなことで得するのかと、誰がこんなことやりたいのかといったら、証券業界でマネーゲームをやりたい、それで手数料稼ぎたい人たちになるわけですから、ここのところはよくお考えになるべきだということを申し上げて、質問は終わります。
○委員長(尾立源幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○大門実紀史君 日本共産党を代表して、本改正案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、総合取引所創設に伴い、監督権限を金融庁へ一元化する点です。規制監督権限は、業界の保護、振興を進める官庁から分離し、独立性と強い権限を持った行政機関が担うべきです。本法案の検討過程では、民主党のマニフェストを踏まえ、独立性と権限を持った金融商品取引監視委員会も構想されておりました。業界などの圧力に屈せず、マニフェストで掲げた政策を進めるべきでした。
反対理由の第二は、穀物、エネルギーなどの商品市場に投機マネーの流入を促進しようとしているからです。政府は、商品取引所の活性化のためとして、FXと同じような商品開発、高速取引システムの導入などを提言しています。これでは、商品取引市場の活性化というよりも投機マネーゲームの場をつくるだけで、まともな当業者、事業者が参加できない市場となってしまいます。
なお、本法案の店頭デリバティブ規制の整備と課徴金制度の見直しなど不公正取引規制のための法改正は必要な措置でありますが、以上述べた点から、本改正案には反対をいたします。
以上。 |