<赤旗記事> |
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質問する大門議員=23日、参院特別委 |
富裕層に応分負担を
参院特別委 大門氏が主張
日本共産党の大門実紀史議員は23日の参院社会保障・税特別委員会で、社会保障の財源は、能力に応じて負担する応能原則で調達すべきだとして、富裕層に応分の負担を求めるよう主張しました。
大門氏は貧富の格差を是正するための所得再分配効果の国際比較(グラフ)を示し、「日本の再分配効果は、社会保障と税の両方で極端に小さい」と指摘。その原因について内閣府の年次経済報告では「所得税の最高税率の引き下げや税率のフラット化」をあげ、政府の社会保障・税一体改革大綱では「高い所得階層に負担を求める」ことを明記していると追及しました。
安住淳財務相は「累進税率などを再検証しなければならない」と答弁。岡田克也副総理は「所得税、相続税など全体的な見直しは必要だ」と認めました。
大門氏は証券優遇税制の是正や高額所得者への課税強化、所得税の最高税率引き上げで合計2兆円前後の財源が生まれることを指摘。米国でも投機的な株運用に割高課税をしているとして、「証券優遇税制は廃止し、総合課税にして高い税率を適用すべきだ」と迫りました。
安住財務相は「(証券優遇税制は)延長しない」と答弁。「(欧米では)富裕税の復活という動きがある。わが国でも当然、議論になる。検討する」と述べました。
また、大門氏はフランスでは所得税の最高税率引き上げ(41%↓71%)を表明していることを指摘。日本でも所得税の最高税率(現行40%)を60%に引き上げれば5400億円の財源が生まれるとの試算もあることを示し、「少なくとも1999年度税制『改正』前の段階、所得税50%、住民税15%ぐらいを視野に入れるべきだ。そういう税制改正をすれば消費税増税など必要ない」と迫りました。
安住財務相は「世の中の流れからいうと、新たな累進税率を検討する時期にきている」と答えました。
(グラフ)社会全体の格差を示す経済指標・ジニ係数を、再分配前と後で比較し、改善度を数値化したもの。日本はOECD平均をはるかに下回っています。 |
≪議事録≫
○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
先週の委員会で、社会保障と税の重要な役割は所得の再分配であるということを申し上げました。したがって、消費税の増税はこの所得の再分配に逆行しますよということを御指摘したわけでございます。
そもそも、日本の所得の再分配の現状がどうなっているかということで、資料を一枚お配りをいたしました。これは内閣府が出した年次経済報告書にある数字をそのままグラフにしたものでございます。各国の所得再分配効果の比較ということです。所得の格差が公的移転、すなわち主に社会保障の現金給付でございますが、これによってどれだけ所得の格差が改善されたのかというのが緑の部分でございます。税によってどれだけ改善されたのかというのがオレンジ色の部分でございます。社会保障と税、それぞれの再分配効果を示しております。
内閣府の年次経済報告も指摘しておりますけれども、日本の再分配効果は諸外国に比べて、見てもらって分かるとおり、大変小さいと。社会保障の効果もほかの国に比べて小さいんですけれども、特に税の再分配効果、格差を是正する役割が、オレンジ色の部分ですけれども、極端に小さいと。これは数字はジニ係数の改善度ですから、〇・〇幾らとなっております。税の改善度はもう外国に比べたら一桁違うと、一桁低いというふうになっております。
特に、安住大臣にお聞きいたしますが、日本の税の再分配効果がなぜこんなに極端に小さくなっているか御存じでしょうか。
○国務大臣(安住淳君) 先生の御指摘のように、これはOECDのデータでございますが、税の再配分効果の大きさだけ見ますと、我が国はOECDの中で最も小さくなっております。
大体どこの国でも、この公的移転の再配分というのは、これは要するに社会保障の現金給付の部分ですが、比率からいえば税よりは平均すると大体二・五倍程度にはなっていますけれども、日本の場合、残念ながら税の再配分効果が低いということは、やはりそういう意味での税の、例えば累進税率等々含めて再検討しなければならない課題があるというふうにこの資料からは見えるのではないかと思います。
○大門実紀史君 これはこの内閣府の報告にもそういうことが書かれてございます。税については、所得税の最高税率の引下げ、税率のフラット化など、近年の税制改正の影響などによって所得再分配機能が低下したためと考えられるということで、これは政府もそういうふうにお考えになっているということでございます。
したがって、なぜこうなったかというと、累進税率の大幅な緩和、あと、税率の刻みが簡素化されますと、いわゆる適用税率の、何というんですか、はい上がりというんですかね、これが少なくなるということで、これもちょっと超えたところで上がるという部分がかなり少なくなるということも、こういうふうな分配効果が少なくなっているところでございます。
もう一つは、政府が今年二月の十七日に閣議決定されました社会保障・税の一体改革大綱の中にも、その中の三十四ページかな、とにかく、個人所得課税、基本的考え方という中にこのことが規定されておりまして、我が国の所得税については、昭和六十年代以降、税率構造の大幅な累進緩和を実施してきた云々とありまして、高い所得階層の割合は近年むしろ高まっており、お金持ちが増えているということですね、増えており、格差が拡大する傾向が見られると、このような所得構造が変化する一方で、この税率構造の累進性が低下したままであることによって再分配機能が近年低下しているということを、今年の二月十七日閣議決定の大綱の中にも書かれております。今後、消費税率の引上げにより、税制全体としての累進性が更に低下することも踏まえれば、所得税については、高い所得階層に負担を求めるなど所得再分配機能の回復を図る改革を進める必要があるということが書かれておりまして、消費税引上げ云々は別にして、的確な現状認識だというふうに思います。
岡田副総理に伺いますけれども、この認識は今も堅持されているということでよろしいですか。
○国務大臣(岡田克也君) 今委員御指摘の点で一つだけちょっと付け加えさせていただきますと、この税による再分配効果が低いと、日本のですね、ということの一つに、やはり税収が少ないということはあると思うんですね。つまり、国債によって一般会計でいえば半分賄っているということですから、そういうものが国債ではなくて全体が税で賄われていれば、その税による再配分効果のウエートというのはもう少し高まるはずであります。そこのところは一点申し上げておきたいと思います。
その上で、私は、消費税というのは特に世代間の公平ということを考えたときに再配分効果があるというふうに考えておりますけれども、世代内の公平ということから見たときに、それは所得税のフラット化とか、あるいは最高税率、まあ同じことですが、最高税率を下げたことなどの影響が出てきていることは事実でありますので、そういう意味で、所得税あるいは相続税などの全体的な見直しということは私は必要なことであるというふうに考えております。
○大門実紀史君 税収とこの再分配効果は関係ありませんので、申し上げておきます。
この所得再分配機能が低下していると分かっているならば、ヨーロッパに何回か伺いましたけれども、ヨーロッパの国会議員はやっぱりこの再分配機能についてはかなり敏感でございます。日本は割と鈍感で、ここまで世界でも落ちていても、まあ一時、格差、貧困の問題が問題になりましたけれども、この税と社会保障において再分配効果を高めるということは、文言では出てくるわけですけれども、余り積極的に行われてまいりませんでした。したがって、世界でも低過ぎるこの再分配効果、また閣議決定ですね、この大綱でわざわざここまで規定されているわけでございますから、特に税の部分で今日は言いますけれども、小手先の是正でお茶を濁すような、そういうことで終わるべきではないというふうに申し上げておきたいと思いますし、我が党の財源論という点でいいますと、もちろん無駄を削るわけですが、やっぱり応能負担できちっと財源を図っていくと。
前回も若干議論いたしましたけれども、何もこの所得税だけで十兆円を引き出すとか、そんなこと申し上げているわけではございません。所得税の部分でいえば、証券優遇税制を是正する、高額所得者への課税を強化する、さらには最高税率の引上げ、これを、等々やっていけば一・五兆から二兆はひねり出すことは十分できるわけでございますし、今世界の流れは、前回も申し上げましたけれども、フランスにしろ、オランド政権にしてもアメリカにしてもそういう方向になっているわけでございますから、ここはやっぱり思い切って、世界でもこういう状況ですから、踏み出すべきだというふうに思います。
具体的に伺いますが、まず証券優遇税制なんですけれども、これは延長しないと、廃止すべきというのはもう再三にわたって自民党政権のときから指摘してまいりましたけれども、これは確認のために聞きますけれども、次は延長しないということでよろしいですか。
○国務大臣(安住淳君) 延長いたしません。今の段階で全くそのことを変えるつもりはございません。
○大門実紀史君 これも二十六年、二〇一四年一月からですね。これは、実は私、財政金融委員会ですからもう何年もこれ取り上げてまいりましたけれども、前回のときも、前回これを延長を今は決めちゃっているわけですけれども、その前も数年にわたって、実は財務省もこれは何とか再延長しないでやれないかということで、自民党政権の尾身財務大臣のときにかなりもうやめようかというふうになったのがまたこうやって延長されているわけでございまして、民主党政権になった政府税調の中でももうやめようというふうになったのがまた延長になったと。
これ、なぜ二年後じゃなくて今回、来年から、来年から廃止ということでできなかったんですか。誰が反対したんですか、これ。
○国務大臣(安住淳君) 二年間ということで、株式市場の低迷等、そういったこともありましたので、そういう議論がありました。
ただ、野田総理は、とにかく二十六年の一月にはもうやめると。二〇%に、本則に戻すということでございますので、今度は必ずやろうと思っております。
○大門実紀史君 これも、今回は三党合意というのがありますが、そういう政治的な判断ということもあったようなことを聞いております。ですから、今度、三党合意でいろいろ進んでいくとなると、これも今のところ延長しないということですけれども、どこかで、どこかでまたやっぱり延長と、経済状況によってという文言が付いておりますから、そういう心配をしているわけでございます。
もう一つ、この証券優遇税制ですけれども、仮に二〇%に戻しても、世界的にいえばこれでも低いんですよね。外国の例、もう一々説明いたしませんけれども、アメリカなどは、金融大国と言われていますアメリカでさえ段階的課税と総合課税を加えてやっておりますし、十二か月以下の株の保有、つまり投機的な株の運用については割高の課税をするということまでやっております。
私は、基本的にはこの分離課税じゃなくて総合課税にして、高い税率が適用されるように、そこを目指すべきだと思いますけれども、少なくとも諸外国並みの課税に持っていくべきだと、そこを目指すべきだと思いますが、安住大臣、いかがお考えですか。
○国務大臣(安住淳君) 御指摘のとおり、様々なヨーロッパやアメリカではこの所得税と似たような課税対応をしております。今、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガルのを見ておりますけれども、やはり富裕税の復活というようなこと、つまり金持ちからもう一回、お金持ちから取らせていただくと。その中で、この不動産やそれから金融証券に伴う課税をしようと。
これは多分、リーマン・ショックの後は一時的にやはりそういうことは見合わせていましたけれども、今財政再建の問題が大きく取り上げられるようになって、端的な例はオランド政権ですね、フランスの。これは大胆にこういうことを打ち出しているということですから、今後我が国で、じゃどうしていくのかということは当然議論になると思います。
例えば昭和六十一年のころの所得税のこの累進の段階刻みは、たしか十五段階だったわけですね。現在はそれは六でございますが、当時は課税所得で七〇%も課税をしていて、まあそれが私は健全だとは思いませんけれども、しかし今はそれは四〇%、今回提案したのは四五%だったわけです、政府では。同じように、金融等の資産に対してどうするかというのは、これは今後是非検討していきたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 急いで金融のこの証券の部分は検討していただきたいというか、踏み込んでいただきたいというふうに思います。ここでひねろうと思えば、証券優遇税制だけでも数千億円、二〇%へ戻すだけでも入ってまいりますし、分離課税を総合課税的なものに幾つか変えていくだけでもここで相当の財源が出てまいります。
もう一つは、今ありました最高税率の問題ですけれども、これは当初の政府案にあった四〇%を四五%ですかね、五千万以上ですか、が原案から削除されて先送りと。ただし、安住大臣は旗を下ろしたわけじゃないんだと、年度改正でしっかりやると。先ほども累進の強化というお話もありましたのでやられるとは思うんですけれども、ただし、政府案の原案の五千万以上、五%の引上げだと、これは税収どれぐらいを見込んでいたんですか。
○国務大臣(安住淳君) 四百億程度でございますので、この五%自体で税収が大幅に上がるわけではございません。これは、ちょっと経緯を言いますと、やはり東日本大震災で、これは復興特別所得税をお願いすることになります。そうしたこともありまして、バランスからいうと、最高税率のところを上げさせていただいたことは、一つの政府の考え方を表したというふうに見ていただいた方が私はいいのではないかと思っております。
今後、三党においてこの累進の強化ということは合意をしておりますので、社会の在り方に深くかかわってくる問題でございますので、十分三党間で協議をして具体の方向性というものを示していきたいと思っております。
○大門実紀史君 最初の一歩ということでございますけれども、消費税増税をお願いするというようなときですから、その検討じゃなくて、もっと今回踏み込んで、踏み込んでやれば、積み重ねでいえば消費税の増税必要ありませんから、何度も申し上げておるように。
国税庁の資料によると、この全体がどうなっているかといいますと、所得二千万円を超える層ですね、この方々の所得に対する所得税の比率というのは、もちろんさっき言った最高税率下がっていますから下がっております。一方、この層の所得が所得全体に占める、お金持ちが所得全体に占める割合というのは増加しております。
そこはやっぱり課税の在り方として考えるべきだということで、三菱UFJ銀行が試算しておりますけれども、そんな五千万円以上を五%なんてもう四百億ぐらいですから、そうじゃなくて、やっぱり所得三千万円以上を五〇%にすれば三千三百億円、五千万円以上を六〇%、これは八八年当時ですね、そこまで持ってくれば五千四百億円の財源になります。
世界はこういう抜本的な課税強化の方向ですよね。先ほど御紹介あったオランド政権は四一%から最高税率を七五%にすることを目指しておりますし、オバマ政権も三五%から四〇%台ということを目指しているわけでございます。少なくとも九九年度改正の前の段階ですね、つまり所得税五〇%、住民税一五%、これぐらいを視野に入れるべきだと。そうすれば、先ほど申し上げました、財源は証券優遇税制、総合課税、そして最高税率、これを含めますと二兆円近い財源が生まれるわけでございます。そういうことは真剣に検討されるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(安住淳君) 五千万以上の例えば所得者は、この十五年ぐらいを見ますと、やっぱり一・一万人が二・七万人になっております。それから、例えば三千万超だと、これもやっぱり全体には、デフレ下でありますが、実は増えております。ですから、そういう意味では、高所得階層が増えていて、同時に所得の低い方も増えていて、中間層が狭まってきたと。
そういう中であると、ここの部分をどういうふうに税でフォローアップしていくかということがまさに累進の問題を考えるときに一番重要なことだと思いますので、先ほども申しましたけれども、社会のありようにかかわることではありますが、私としてはここについて、世の中の流れからいうと、やはり新たな累進率をお願いをするということを検討する時期に来ているというふうに思っております。
○大門実紀史君 ありがとうございました。終わります。
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