国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2012年6月19日 財政金融委員会 多重債務問題の解消に、相談・支援体制の充実こそ必要だと主張。
<赤旗記事>
多重債務
相談・支援 充実こそ
参院委 大門議員が主張


 日本共産党の大門実紀史議員は19日の参院財政金融委員会で、多重債務問題の解消に効果をあげてきた貸金業法について規制緩和を求める動きを批判し、相談・支援体制の充実こそ必要だと主張しました。

 政府資料によれば、2006年の貸金業法改正後、行政や弁護士会、被害者の会などの社会的とりくみも含め、5件以上から借り入れている多重債務者が171万人から44万人に激減しています。しかし、日本共産党以外の与野党の一部議員が、貸付総額の総量規制の撤廃や、制限金利引き上げなどの見直しを求める動きが強まっています。政府の姿勢をただした大門氏に対し、松下忠洋金融相は「(改正法は)相応の効果があった。直ちに見直すべき点はない」と答弁しました。

 大門氏は、日本弁護士連合会の声明も紹介しながら、セーフティーネットの再構築や相談体制のさらなる充実、総合的な経営支援策こそ重要だと指摘。松下氏は「弱者に対する支援はいかなる場合もしっかり対応することが大事だ」とのべました。

≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。松下大臣、大変御苦労さまです。
 私も基本姿勢は一点だけお聞きしたいと思いますが、金融の専門家じゃなくても大丈夫です。亀井大臣という方がおられましたけれども、金融の専門家じゃありませんでしたけれども、大変、円滑化法の決断をされるとか、大変喜ばれております。郵政の民営化なんかも、郵政の正社員化ですね、正社員化していく問題も踏み出されたりするという大変決断をされたわけでございます。
 私がちょっと心配なのは、国民新党そのものがそういう亀井さんのような信念がなくなっているんじゃないかと。郵政さえ通してくれれば消費税でも何でも賛成すると。信念がないというか、信念が小さいというか、そこが一番私、それでも大臣やられているのかというところは、私、松下さんは副大臣のときに何度かやらせてもらったからお人柄は知っているんですけれども、ちょっと国民新党いかがなもんじゃないかと思っているんですけれども、その辺いかがですか。
○国務大臣(松下忠洋君) 六人の小さな政党で今踏ん張っていますけれども、今の激励と、そして御忠告もしっかりと受け止めて、切磋琢磨して日本のために励みたい、そう考えています。ありがとうございました。
○大門実紀史君 じゃ、本題に入ります。
 昨日は、実は貸金業法が改正貸金業法の完全施行から昨日がちょうど二年目になりました。大臣も替わられたので、私、大臣替わるたびに基本的なお考えを聞いておりますので、この貸金業法、サラ金問題について質問をいたしますけれども、これはかつてはサラ金問題、多重債務問題が社会問題になりまして、やみ金被害だの自殺だの家庭破壊だの大変な事態を引き起こして、被害者の会の方々、運動団体の方々、弁護士会、司法書士会という方々の運動、そして最高裁の判決もあって、二〇〇六年に国会でも党派を超えて良識的な議員の皆さんが力を出して、金融庁もいろいろ知恵を出して、国会では全会一致で通ったものでございます。
 これは何のための、当時私もかかわりましたけれども、何のための法改正かというと、一言で言えば多重債務者をなくすということが最大の眼目なわけでございます。つまり、返済し切れない借金を抱える人たちがかなり増えてしまって、それは、金利が高いから一つのサラ金に返すためにまたほかのサラ金から借りるということで、数軒のサラ金から借りるというような多重債務者が増えたということが最大の、それを減らすと、なくすということが最大の眼目だったわけでございます。
 この法改正によって多重債務者の数はどういうふうに変化したか、まずちょっと説明をしてください。
○政府参考人(森本学君) お答えいたします。
 多重債務者の数を知るための一つの指標として従来から、貸金業から五件以上無担保無保証借入れの残高のある人の数を参考にしております。その統計の推移といたしましては、十九年三月末が、御承知のように改正貸金業法、十八年十二月に成立したわけですが、十九年三月末が百七十一万人、翌年が八十四万人、翌々年が七十万人、そして今年の三月末が四十四万人と減少しておるところでございます。
○大門実紀史君 法改正だけではなくて、金融庁もそうですし、自治体でも相談窓口が設置されて、さっき言いました弁護士会、司法書士会、被害者の会の活動などもあってここまで減少してきたということで、かなり明確に法改正の効果があったというふうに思います。まだまだ全面解決とは言えないでいろんな問題があることは確かですので、それはこの方向で、法改正の方向で努力していくことが重要だと思います。
 ところが、ところがこの間、我が党以外の与野党の議員の一部の人たちですけれども、この貸金業法を見直せと、利息制限法も見直せと、とんでもない動きが始まっております。
 貸金業者の方々は大変なのは事実ですから、そういう方々の意向を受けてだと思いますけれども、自民党が小口金融市場に関する小委員会というので提案をまとめましたけれども、何と金利規制を三〇%に上げろと、総量規制を撤廃しろと、等々の政策を出しております。民主党の中でもワーキングチームがつくられまして、関係者からヒアリングを始めております。また、みんなの党も公明党の皆さんも、一部の議員ですけれども、含めて超党派の勉強会というものが開かれておりまして、二、三十人でございますけれども、実は私の仲のいい方もおられます。ふだんまともな方なんですけれども、どうしてこんなものにかかわるのかと申し上げたいですけれども、特に衆議院議員ですね。
 もうとんでもない。はっきり申し上げて、貸金業界から一定のパーティー券なりなんなりをいただいている方が堂々と国会の場でいちゃもんを付けて、金融庁のいろんな資料にいちゃもんを付けて、やみ金が増えているとか、やみ金に行くのが増えているとか、経済が悪くなるとか、むちゃくちゃな質問をやっている議員が自民党でおります。
 よく野放しにされているなと思いますけれども、特定の業界、特定の企業からお金をもらって国会質問をすると、これは受託収賄の大変危険性ありますよ。ましてや、そういう人たちが集まって議員立法をやると、議員立法でそれが通ったりしたらこれはもう本当に大変な問題ですから、そういうことを分からないで多分やっていると思うので、西田さん辺りから注意しておいてほしいなというふうに思いますけれど。今、そういうことが始まったのがちょうど二年ですので、注意を喚起しておきたいと思います。
 昨日、日弁連が、そういう状況を踏まえて、資料をお配りいたしましたけれど、抗議声明、会長の、まあ簡単に言えば抗議声明を出しております。これはそういう民主党、自民党、あるいはちょろちょろっと参加していますけど、ほかの党の議員を含めた超党派の皆さんに対して出しております。
 これはもう全面的に、もし出てきたら全面的にやるしかありませんし、当時、二〇〇六年のときは国会も騒然とするほどの状況でございましたし、まともな議員の方もたくさんいらっしゃると思うので、やるしかないと思いますけれど、まず金融庁の姿勢として、大臣が替わられましたのでお伺いいたしますけれど、金融庁として、政府として貸金業法の見直し、あるいは利息制限法の見直しというお考えはあるんでしょうか。
○国務大臣(松下忠洋君) この法律は、現行法ですけれども、委員御指摘のように、全会一致で平成十八年十二月に成立したものでございます。全会一致でございます。施行後の状況を見ましても、今、局長の方から話がありましたけれども、多重債務者対策の上で相応の効果があったものと、こう認識をしています。
 現時点で、制度につき直ちに見直すべき点はないのではないかというふうに考えています。
○大門実紀史君 それで、ちょっと政府参考人で結構なんですけれど、政策的なものが出てまいりましたので伺いますけれど、例えば金利を今一五から二〇というところに、まあ二〇まで下げたわけですけれども、三〇%に戻すと、何か変動金利みたいな言い方もしていますが、要するに三〇%まで取れるようなことになったら、多重債務者というのは増えるんでしょうか、減るんでしょうか。仕組みからいってどうなりますか。
○政府参考人(森本学君) 上限金利を変えた場合に多重債務者が増えるかどうかというのは、一概に申し上げることは難しいと存じますが、上限金利を引き下げることの効果といたしまして、返済能力の少ない、乏しい方に対する貸出しが減るであろうといったことが当時前提として考えられていたということはあろうかと思います。
○大門実紀史君 森本さん、当時どこにいらっしゃったか知らないけれども、もうちょっと勉強しなきゃ駄目ですよ。一概に言うことが難しいなんて問題じゃないですよ。簡単ですよ、これ。なぜ多重債務者が生まれてきたかとかね。
 何が問題かといったら、こういうことなんですよ。返済能力関係なく貸しましょうと、リスクは金利で担保しましょうと、高金利でね。これだけのこの仕組みが多重債務をつくってきたわけです。当時、あの三國谷さんが、前長官の三國谷さんがあなたの立場だったかと思いますけれどね。
 それで、みんなでその仕組みを、その仕組みがつくるから、つまり、関係なく貸すからリスクを取るために金利を高くできるようにすると。だから、金利を高くできるようにするということが幾らでも貸すということになって、多重債務者を生むわけですね。もう簡単なんですよ。この仕組みがつくってきたから、だから三〇%にしたら、前の二九・幾らよりも更に三〇%なんかにしちゃったら、多重債務が増えるのは当たり前じゃないですか。分かりますか。
 じゃ、もう一つ聞きますよ。この自民党が出しているような総量規制を撤廃したら、多重債務者はどうなりますか。増えますか、減りますか。
○政府参考人(森本学君) 総量規制は、返済能力の乏しい方に対する貸付けがみだりに行われないようにという観点から設けられているものでございます。
○大門実紀史君 撤廃したらどうなるの。
○政府参考人(森本学君) 多重債務者というのはある意味では結果でございますので、制度を変えたときに結果がどうなるかということを、あらかじめ明確に申し上げることは困難でございますが、総量規制を撤廃いたしますと返済能力の乏しい方に対する貸付けが増えるおそれがあるということだと思います。
○大門実紀史君 もうちょっとよく勉強してください。
 大事なことは、今、全ての金融問題が解決したわけでもございません。事業者なんかはすぐお金借りたいと、そうしないと手形が落ちないとか、いろんな事態があるわけです、今でも。それに対してきちっといろんな政策的な手当ては考えなきゃいけないわけですけれども、それを、まさにこの日弁連の中にあるように、本来のそういう、だからといってまた短期の高金利に戻すんじゃなくて、やっぱり本来の経営支援策を政府としてはきちっと考えていくということに尽きるわけであって、だからといって三〇%に戻す、総量規制、元のもくあみに戻すなんというのはとんでもない方向だというふうに思います。
 大臣にもう一言お聞きいたしますが、基本的に考えなきゃいけないのは、政府が、国会議員が考えなきゃいけないのは、この日弁連のところにもありますけれども、本来の中小事業者なりそういう生活困窮者に対するもっと厚い支援だと、もっと機敏な支援だというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(松下忠洋君) 弱者に対する支援というのは、どういう場合であれ、いかなる場面であれ、やっぱりしっかりと対応していくのが大事だと、そう思っています。そのことが、私がいつも言っていますけれども、人の不幸の上に自分の幸せを築いてはいけないんだと、こう言い聞かせて政治してきましたけれども、そういうことを気付かせる一つの大きな大事な基本だというふうには思っています。
 以上です。
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。

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