<赤旗記事> |
AIJ問題
金融庁 不正見過ごし
大門氏 政府調査求める
日本共産党の大門実紀史議員は13日の参院決算委員会で、AIJ投資顧問(東京都中央区)による年金資産運用の虚偽報告が長期間にわたり発覚しなかったことについて、金融庁の責任をただしました。
大門氏は、2009年2月にAIJが実質支配するアイティーエム証券(ア社)に金融庁が検査に入っていながら、虚偽や粉飾を見抜けず、その後も放置したことを指摘しました。証券取引等監視委員会の岳野万里夫事務局長は通常の定期検査で、「処分はしなかった」と答えました。
また大門氏は、同時期に、AIJを告発する情報にもとづき金融庁がAIJ浅川和彦社長をヒアリングしていたことをあげ、なぜその時に不正を発見できなかったのかと追及。金融庁の細溝清史監督局長は「不正の端緒や心証は得られなかった」と答弁しました。
大門氏は、年金情報誌に警告記事が出るなど、検査当時は年金業界で「AIJは大丈夫か」と疑問視する声が多くあったことを紹介。「金融庁の検査結果で『問題なし』とされたことで、逆にAIJは顧客を増やし、その後500億円もの損失を出した」とのべ、不正を見過ごし被害を広げた金融庁の責任を批判しました。
さらに大門氏は、顧客をだました監査報告書の偽造について、会計情報センター株式会社が関与したのではないかと指摘。「どの程度関与していたか確認していない」という金融庁にたいし、「監査人が文書偽造に協力すればどんな不正も可能になる」と述べ、徹底調査を求めました。 |
≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。
午前中もありましたが、AIJの問題を取り上げたいと思います。
これは、言うまでもなく金融行政の決算総括上大変重要な問題でございます。この問題は、今資料をお配りしておりますけれども、大変複雑怪奇な問題でございまして、まだまだ解明されておりません。今日も衆議院で証人喚問がまだやられている最中でございます。
最大の疑問は、なぜAIJが長期にわたりうその報告を行って顧客をだまし続けることができたのかと、なぜこんなに長期にわたって発覚しなかったのかというのが最大の疑問でございます。この点では、実は今から三年前に、二〇〇九年の二月の二十三日でございますが、金融庁はこのAIJと一心同体でありますアイティーエム証券を検査しておりました。どういう検査でどういう結果になったのか、簡潔に説明をしてください。
○政府参考人(岳野万里夫君) 先生御指摘がございましたように、二〇〇九年の二月、アイティーエム証券に対しまして立入検査を実施しております。
このときはアイティーエム証券に対する単独の検査でございまして、これまで、証券会社の検査でございますので、通常の市場仲介者としての内部管理体制、法令等遵守体制、リスク管理体制などの検査を行っているところでございます。仮に行政処分の勧告を行った場合には公表しているわけでございますけれども、当時そういった公表は行っておりません。
○大門実紀史君 つまり、おっしゃったのは通常の関東財務局の検査であって、問題がなかったということでございます。
ただ、二〇〇九年のこの時期というのは、アイティーエムが関与する今回の詐欺事件が既にもう進行していたわけでございます。なおかつ、当時は、関係者の間でこのAIJというのは大丈夫なのかと、それと、AIJとこのアイティーエムがもう一心同体というのは業界の関係者みんな知っております。そのAIJが大丈夫なのかという話が既に広がっていた時期でございます。ちなみに、二〇〇九年の二月十六日号の「年金情報」という雑誌がありますけれども、これは年金関係者はほとんど読んでおりますが、その中に既にもう、実名は挙げておりませんが、日本版マドフという記事が載りまして、AIJのことが業界の中では大丈夫なのかということが大きな話題になっていた時期でございます。その最中に、金融庁は、このAIJの投資信託、専門に販売しているこのアイティーエム証券に入られたわけでございます。
虚偽、粉飾の仕組みが一切発見できなかったという方が私は不思議なんですけれども、どういう検査をやったんですか。
○政府参考人(岳野万里夫君) まず、今回の不正事案と申しますか、AIJ投資顧問によります今回の問題につきましては、御案内のとおり、今回のAIJ投資顧問とアイティーエム証券に対する検査におきまして、AIJがファンドの基準価額の改ざんを行っていたこと、アイティーエム証券はAIJ投資顧問から渡された基準価額を受けて顧客に対する販売を行っていたこと、アイティーエム証券はファンドの監査報告の内容を確認せずに、AIJに言われるままにAIJの方に回付して渡していたと、こういったような事案でございます。
こういった中で、先生から先ほど来、アイティーエム証券の平成二十一年の検査は何を見たのかということでございますが、先ほど申し上げましたように、市場の仲介者としての証券検査を実施した次第でございます。
○大門実紀史君 だから、なぜ発見できなかったのかということを聞いているわけです。
専門家というか、関係者のところではみんなAIJとアイティーエム証券は一心同体というのは知っておりましたし、そのAIJがまさにうわさになっていたその最中の検査でございました。
あれですか、ひょっとして、そもそもAIJとアイティーエムの関係そのものを知らないで検査に入って、検査終わっちゃったということですか。知っていたら、当然もっと入るはずなんですけれども。
○政府参考人(岳野万里夫君) アイティーエム証券につきましては、平成十年に設立されまして、その後いろいろなビジネスの変遷がございまして、前回検査に入りました時期におきましては、AIJ投資顧問の運用しております海外私募投信の販売を中心として行っているブローカーであると、こういうことは認識した上で検査には当然入っていたと思います。アイティーエム証券がそういったビジネスをしていたこと自体は何ら秘密でもなく、当局でも事前に分かることでございますので、そういう意味でのブローカーとしての検査に入ったということでございます。
ただ、振り返ってどうだったかということで、今後のために先生の御質問もされていると思いますけれども、当時、私どもはアイティーエム証券に対しまして継続的な検査を続けてきておりました。そういった中で、AIJ投資顧問との関係あるいはさっき申し上げましたような今回のような不正の構図、そういったものを意識して検査に入っていたわけではございませんでしたので、先ほど申し上げましたように、今回の構図というのは、非常にAIJ主導の、まあアイティーエムもそれに結果として加担をしてきたということではございますけれども、アイティーエム証券の通常の証券検査の過程では、今回の全体の構図をつかむ端緒を把握するには至らなかったということでございます。
○大門実紀史君 私、事前にレクを受けたとき、これは何日間検査されたのかと聞いたら、大体一か月ぐらいじゃないかという話を聞いたわけですが、私が調べてみたら、これはそんなにやっておりませんね。僅か九日間ですね。
つまり、これはもう、何というかな、通り一遍の順繰り、定期的な検査の一つであって、特にこのときに問題になっていたAIJの情報とか、そういうものをきちっとつかんだ上でやっていないですね。見過ごしちゃっていますね。そういうことじゃないですか。僅か九日間の検査というのは、そういうことでしょう。通常、今、今回のやつは四十日以上やられましたですね、検査ですね。全然違いますよね。つまり、そういうさらっといっちゃったということだと思います。
当時から、何度も言いますけど、もう関係者の間では、AIJとこのアイティーエム証券はもう、AIJが実質支配しておりますから、一心同体というのはみんな知っていたわけでございまして、逆に言うと、そういううわさがありましたから、AIJ危ないと、怪しいと。逆に、この金融庁の検査が注目されていたんですよ、皆さんの結果が。それが、わざわざ白だということをやっちゃったものだから、これが、この浅川は逆に心配していた人たちとか年金基金の人たちに対して、どうだ、大丈夫だったろうと。金融庁が来たって白と出たんだと、全然大丈夫なんだということで逆宣伝に使われたんですよ。で、この後、V字回復しているわけですね。この雑誌が出たころは解約したいという年金基金が幾つも出たんだけれども、金融庁の検査で白というふうに出たものだから、浅川はもう強気で営業をまた展開してV字回復しているわけですね。
これは皆さんが、意図的とは言いませんけれど、ぼけたことをやったものだから、それがもう使われちゃったんですよ、白だということで。その後、二年間だけで五百億以上の損失を出しておりますから、このときにつかんでいたら、この五百億の損失は、少なくともその後の二年間のはなかったということになるわけでございます。
大臣、いかがお考えですか。金融庁のやっぱりミスがあったんじゃないかと思いますが。
○国務大臣(自見庄三郎君) 前も国会で御答弁させていただいたんですけど、二〇〇九年、今先生が御指摘されたAIJ投資顧問に対するヒアリングを実施したことは事実でありますが、これは、外部からの情報提供に基づき、事実を確認するために行ったものであること、そして、その時点では残念ながら不正の端緒や心証は得られなかったとの報告を、これは証券等監視委員会は基本的に金融庁から独立した独立性のある機関でございますから、そういう報告を受けております。
先生から今大変お叱りをいただきましたが、例えば、私、これ、日本経済新聞、大変権威のある新聞ですが、最大の株主でございます。これ、「年金情報」という、この業界では大変有名な週二回出す雑誌がございまして、これは「年金情報」にこの順位というのを実は付けているんですね。そうしますと、これ、二〇〇七年から、今先生が言ったように二〇〇九年含めて、二〇一〇年、一一年までですね、五年連続このAIJがアクティブ運用能力の定量評価では一番なんですよ。これ、いや、だから、何を言いたいと……(発言する者あり)ちょっと待ってください。
それで、それよくお分かりになっていただきたいと思います。これ、ゴールドマン・サックスとか住友信託銀行系よりも上なんですよ。そして、また、これまたほかの……
○委員長(山本順三君) 大臣、答弁は簡潔にお願いいたします。
○国務大臣(自見庄三郎君) ですから、いろいろなこの業界、情報があるんですよ。ただし、これは非常にやっぱり権威のある、ある意味でそういう、これを信じた人もおるわけですからね。だから、後から、結果からしたら確かに、私は、いろいろあったけれども、やっぱりそういう五年連続、日本経済新聞が一番の、この年金情報誌では五年連続一番だったということもこれ一方あったわけですから、そのことも御理解をいただければと思っております。
○大門実紀史君 もう大臣、ふだんから財政金融委員会でやっていますから、今日は決算委員会でまでお会いしたくなかったんだけれども、聞くしかないから聞いたけれど、聞いたことだけ答えてくださいね。「年金情報」が、その前にアンケート調査ですよ、アンケートで一位になりますよ、利回りいいから、それを掲載しただけですよね。しかし、そうはいってもおかし過ぎるというんで調べて、さっき言った二〇〇九年の二月号に書いたわけでございまして、何の話をしているのかさっぱり分からない。私が聞いたのは、責任がないかということを聞いているだけですよ。何で「年金情報」の話をしているんですか、あなた。聞いたことに答えなさいよ。何言っているんだ、本当に。
もう一つありまして、参考人質疑で私が浅川社長に聞いたんだけれども、この同じ二〇〇九年の二月か三月の時期に浅川社長が金融庁からヒアリングを受けたかどうかと、浅川ですよ、AIJの浅川がヒアリングを受けたかどうかと。で、受けたということを彼が言ったわけですね。この同じ時期に浅川社長が、このアイティーエム証券とは別の話なんですけれども、ヒアリングを受けたと言ったわけですね。
これは、時期が全く同じなんですけれども、アイティーエム証券の検査と関連があるんですか。
○政府参考人(細溝清史君) 委員御指摘のとおり、二〇〇九年の初めごろにAIJ投資顧問に対して金融庁がヒアリングを実施しておりますが、これはたまたま同じ時期だったということでございまして、関連はしておりません。
○大門実紀史君 ということは、さっきも言ったように、アイティーエム証券は定期的な順繰りの検査だったと。特別にAIJの浅川社長に金融庁がヒアリングをするというのは、これはふだんない特別なことだと思います。
そうすると、なぜそういうことをやるのかというと、やはりあのころですから、AIJは怪しいんじゃないかと、調べた方がいいんじゃないかと、そういう外部からの情報が寄せられたからヒアリングをされたんじゃないんですか。
○政府参考人(細溝清史君) 御指摘のとおり、外部からの情報提供に基づきまして、その事実を確認するため行ったものでございます。ただ、その時点では不正の端緒や心証は得られなかったとの報告を受けております。
○大門実紀史君 これも、聞きましたら、浅川社長にのらりくらりと逃げられたと、かわされたという話ですが、やはりこの時期に浅川社長を呼んでおいて、呼んでおいて逃げられちゃうと、かわされちゃってそれっきりと。
今日、実は衆議院の証人喚問で、我が党の佐々木憲昭議員がこのことを浅川社長に聞いたんです、金融庁からヒアリングを受けた様子について。そうしたら、金融庁から運用報告書の提出を求められたと、自分はないと言ったと、そうしたら金融庁はああそうですかということで終わっちゃったということですね。これ、証人喚問での浅川社長の発言ですから、ほとんど真実だと、重いと思わなきゃいけないと思いますね。
このときに、運用報告書の提出をきちっと求めるとかなぜ出せないのか理由を聞くとか詰めていれば、三年前ですよ、この事態をつかむことができたのではないですか。
○政府参考人(細溝清史君) 当時の担当者に確認いたしましたところ、当時の記憶によれば、AIJ投資顧問に対して運用報告書についてやり取りを行ったことはないというふうに聞いております。
それで、なぜその運用報告書のやり取りにならなかったかということでございますが、ヒアリングの場におきましてAIJ側から、AIJ投資顧問の運用手法はファンド等を活用した手法ではなく直接運用を行っている、直接オプション取引等を行うなど直接運用を行っている手法であるという旨の趣旨の説明を受けたというふうに記憶しておるということでございます。
○大門実紀史君 そうしたら、あれですか、浅川さんは証人喚問での発言はうそを言ったということになるわけですか。そういうことになりますね、そんなこと求めていないと担当者がはっきり言うんだったら。これは後ではっきりさせてもらわなきゃいけないと思います。
いずれにせよ、細溝さんが言われたとおり、外部からの情報があって浅川を呼んで、しかもそれを、単に運用報告書を求めた、求められたけど、僕は浅川さんが言っている方がこれは正しいと、証人喚問で言っているわけだから、と思いますが、で、そちらはむしろ記憶がなかったみたいな話をするんじゃないかと。実際、ペーパー残していないわけですよね、そのときのやり取りをですね。だから、担当者に今ごろ思い出せって聞いているわけでしょう。そんなレベルですよ。浅川さんの方ははっきりと証人喚問の場で言っているわけだから、向こうが私はこれについて言えば正しいと思います。それがどうかということは別として、きちっとなぜそのときに浅川社長にもっとたださなかったのかということが非常に問われるわけでございます。
ですから、私は、金融庁として、もちろん今後に生かしてほしいから質問しているわけですけれども、最初のアイティーエム証券の検査の問題、そして外部情報に基づく浅川社長へのヒアリングの問題、この二つで見過ごしていると、見過ごしてきたと、三年前に。その三年間で五百億以上の年金基金に穴を空けていると。これを考えると、やっぱり金融庁が、いろんな情報にしろ検査にしろ、もっときちっとつかんでやらなければいけないと思います。
もちろん、体制が非常に不十分だというのもよく承知しておりますけれども、そういうこともやっぱり真摯に、今反省するならすると、総括するなら総括すると。それで、やっぱりこんなこと起きないように体制増やしてくれとか堂々と、やっぱり反省するところは反省して、なおかつきちっとした体制を求めるというふうにやってほしいわけです。こういうことをうやむやにして、誰かのせいで済まさないでもらいたいなというふうに思って質問しております。
もう一点、今回の発見を遅らせたものの一つとして、私、これ大変大きいことだと思うんですけれども、監査報告書は偽造されていたと。これは資料の二枚目の左下でございますけれども、虚偽の基準価額を、お客さんが、年金基金が、AIJ大丈夫かと、ちゃんとした報告書を見せてくれと言ったときに、虚偽の運用報告書、監査報告書付きのものを提示していたわけでございます。これがもしも虚偽のものを出せないとかいうことだったらここで発覚したはずですね、年金基金幾つかこれを求めたわけですから。ところが、虚偽のものが作成されてしまったと。これ普通あり得ないことなんですね。
それで、調べてみましたけれども、浅川社長にこういう監査報告書を作成する実務能力はございません。専門家が関与しているはずです。率直にお聞きしますが、株式会社会計情報センター、これは実はこの新規契約と解約との転売といいますか、このからくりに使われた投資事業組合の監査をしているところでございますけれども、この会計情報センターの人間がこの虚偽の監査報告書付きの運用報告、これをお客さんに渡していたわけですが、この報告書、虚偽の報告書を作ることに関与したんではないですか。金融庁、つかんでおられますか、そのことを。
○政府参考人(岳野万里夫君) 参考人質疑におきましてAIJ投資顧問の浅川社長が、知人の公認会計士に私が水増しのNAVの数字を渡して作ってもらったといった趣旨の答弁を行ったことは承知しております。
また、私どもの監視委員会が行いました検査におきまして、浅川社長が主導して虚偽の基準価額の算出等を行っていたことは確認しているところでございますが、今御指摘のありました公認会計士がどの程度関与していたかどうか、あるいはその他の者も含めてプロの共犯者がいたかどうかにつきましては、現時点で明確に確認されているわけではございませんし、個別のことでございますので、ここでのコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
○大門実紀史君 時間が参りましたので今日は終わりますが、監査人が文書偽造までやるようになっちゃったら、もう幾ら外的な規制強化やろうがこんなこと幾らでもやられてしまうわけでございますので、これはきちっと本人に、名前も私分かっておりますが、ちゃんときちっと聞き取って、決定的な重要人物の一人でございますので、その調査きちっとやってもらうことを求めて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
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