国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2012年3月23日 参議院予算員会
<赤旗記事>
大企業の課税逃れ許すな―参院予算委 大門氏主張 消費税増税は復興に逆行

 日本共産党の大門実紀史議員は23日の参院予算委員会で、消費税増税は復興に逆行すると追及し、富裕層課税や大企業の課税逃れ対策こそ真剣に検討すべきだと迫りました。
 大門氏は消費税10%になると、宮城、岩手、福島の被災3県の増税額が5637億円となり、住民税3741億円(2010年度決算)を大きく上回ることを指摘。増税に反対する岩手県陸前高田市の意見書を紹介し、「本気で被災地のことを考えるなら、増税はやめるべきだ」と迫りました。
 野田佳彦首相は「復興はやりぬく」と述べるにとどまりました。

 大門氏は「税金は負担能力のあるところから取るべきだ」と述べ、日本でも金融資産100万ドル(約8000万円)以上保有する富裕層が増加していることを指摘(グラフ)。わずか1・4%の富裕層が日本の金融資産の22%を占有する「富の偏在」が広がっているとして、富裕層の高額資産に課税する富裕税の導入を迫りました。
 安住淳財務相は「中間層が細っている」と認め、「累進税率と所得再分配をどうするか議論しなければいけない」と答えました。
 さらに大門氏は、ペーパーカンパニーの増大などにふれ、タックスヘイブン(租税回避地)を使った日本の大企業の課税逃れを指摘。民主党政権がタックスヘイブンとみなす国や地域の基準について、法人税の実効税率25%から20%以下とするなど規制緩和してきたことをあげ、「国内でやるべき対応も取っていない」と述べました。
 大門氏が米国では31・5%以下をタックスヘイブンと規定して対策も講じていることを示して、「税の引き下げ競争ではなく、負担能力のあるところに負担を求める当たり前のやり方に立ち戻るべきだ」と主張すると、野田首相は「米国の取り組みは参考になった。今後、議論していきたい」と述べました。(3月24日 しんぶん赤旗)

≪議事録≫
○大門実紀史君 今日は私も税の問題について質問をいたします。
 我が党はもとより消費税増税には反対でございますが、特に今のこのデフレ不況の下で消費税の増税など、景気も財政も悪化させるまさに自殺行為だというふうに言わなければなりません。同時に、被災地の復興にとっても大変な打撃になります。
 パネルを御覧いただきたいと思いますけれども、(資料提示)消費税が一〇%になったら、被災三県、岩手、宮城、福島でどれくらい増税になるかというものを最新の二〇一〇年度決算に基づいて試算をいたしました。
 消費税の増税額は三県合計で五千六百三十七億円。ちなみに、この三県の住民税の合計は三千七百四十一億円でございます。今でも住民税だけでも重いと皆さん思っていらっしゃるところに、それを大幅に上回る負担がのしかかるということでございます。この間の新聞の投書を見ても、被災地の方々から、消費税増税やめてほしいと、もう今は復興最優先で考えてほしいという声が毎日のように新聞に載っております。
 配付資料の二枚目でございますが、今月十二日付けで、岩手県の陸前高田市から野田総理あてに消費税増税反対の意見書が提出をされております。中身は書いてあるとおりでございますが、要するに、大震災から一年が経過したけれど、まだ復興は緒に就いたばかりだと、市内経済も回復の兆しを見せつつあるけれども、再開の見込みが立たない事業者が大変多いと。こういう中で、消費税増税は被災者にとって大きな負担になる、消費税増税は被災地復興に大きな影響を及ぼしかねないというようなことが述べられておりまして、消費税増税やめてほしいという意見書でございます。
 これは総理あてに出された意見書でございますので野田総理に伺いたいと思いますが、これは決して陸前高田だけじゃなくて、被災地全体の声だというふうに思います。今、本気で被災地のことを考えるならば、この消費税増税、きっぱりと断念すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) こういう一つの議会からこういう御提起があったということは受け止めたいというふうに思います。
 一方で、これは、私どもの内閣は昨年の九月二日に発足をしましたけれども、復興というのは我が内閣の最大かつ最優先の課題の一つであります。そのことをしっかりとやり抜いていくということは是非被災地の皆様にも御理解をいただきたいというふうに思いますし、特に、二月に復興庁が旗揚げをしました。こういう組織であるとか、復興特区、復興交付金といった、こういう制度もつくっていただきました。復興に向けての加速度を上げた取組をしていくということでございます。
 その上で、社会保障と税の一体改革は、被災地の皆さんにおける社会保障を充実をさせていく、安定化させていくという意味においても、これも待ったなしの状況だというふうに思っておりますので、当然、これは、最初に消費税の引上げをお願いするのは二〇一四年の四月でありますが、その間にもできるだけ復興についてはスピードアップをしていきたいというふうに考えております。
○大門実紀史君 まだ被災地はそれどころじゃないんですよ、まだ復興の緒にも就いていない段階でございますので。総理、そもそも税金というのは、被災者とか庶民から取るんじゃなくて、負担能力のあるところからまずきちっと取るべきだというふうに申し上げたいと思います。
 パネルを御用意いたしましたけれども、これは、アジア太平洋地域で金融資産を百万ドル以上、いわゆる昔でいえば億万長者でございますが、今は八千万円ぐらいですね、保有する富裕層人口の推移でございます。
 中国の富裕層が注目されておりますが、日本もこの富裕層が急速に増加をしております。二〇一〇年で約百七十四万人に増えてきているわけでございます。この百七十四万人の方々が持っている資産総額は三百三十兆円。日本全体の個人金融資産が今一千四百七十一兆円と言われておりますので、つまり、人口でいきますと僅か一・四%の人々が日本の金融資産全体の二二%を持っていると、こういう状況でございます。
 我が党は、証券優遇税制の廃止あるいは所得税の最高税率の引上げとともに、やっぱりこういうふうに富が偏在しているわけですから、この新たな税制としてこういう富裕層、この百七十四万人全部でなくてもいいんですけれども、この中の更に富裕層でもいいんですが、そういう富裕層の資産に対してもうそろそろきちっと課税をする、アメリカでもそういう動きになっておりますので、そういうことを検討すべきだと思いますが、これは財務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(安住淳君) 昭和六十年から平成二十二年までの例えば給与収入の統計を見ても、私もちょっと気になっているのは、よく総理は分厚い中間層の復活ということをおっしゃっているんですが、こういう総理の御主張の背景には、今、大門先生が言うように、所得が高くなっている人の比率が高くなる一方、三百万円以下、二百万、百万の年収の方々もこれは増えていると。ということは、結果として中間層が細っていく傾向というのはございます。これは、社会全体の問題もあると思いますし、また、御提起のように累進税率をどうするのかという問題も出てくると思います。
 ですから、そういう点では、今回、四〇%の最高税率を四五%に引上げは行いましたけれども、今後、こうしたやはり所得の乖離、資本主義社会ですからある程度頑張った人がそれだけの富を得るのはやむを得ないにしても、今後この累進税率と所得再配分をどうやっていくかということはやはり議論をしなきゃいけない一つの課題だと思っております。
○大門実紀史君 とにかく、こういう富が偏在しているわけですから、こういうところに手を付けなきゃいけません。
 もう一つは、こういう資産家とか企業に増税すると海外へ逃げると、資産フライトという話が絶えず脅しのようにされるわけですけれども、そんなこと各国でみんなで税の引下げ競争をやったら、それぞれ自分の首を絞めるだけですね、税収がそれぞれの国減って。もうそろそろ国際連帯で、みんなで協調して税の引下げ競争はもうストップすると、むしろみんなで税を上げていくと。そうすれば、競争条件の問題ですから、財源も生まれますし、いいわけです。
 同時に、同時に大事なのは、今日もお話ございましたけど、国際的な脱税行為を許さないことです。いわゆるタックスヘイブンの問題でございます。租税回避地なんですけれども、タックスヘイブンというのは、税金をゼロにしたり、あるいは極端に低い税率にしている国とか地域のことでございます。
 例えば、今日も話が委員会で出ていましたが、AIJ投資顧問、あるいはオリンパスが所得隠しで使ったのがケイマン諸島でございますけれども、ケイマンは法人税などの直接税がゼロの国でございます。ただ、タックスヘイブンというのは、ケイマンのような極端な国だけじゃなくて、日本の場合ですと、外国で法人税の実効税率が二〇%以下の国はタックスヘイブンだと、地域はタックスヘイブンだというふうにしておりますので、幅広い概念でございます。
 何をしているかというと、そういうタックスヘイブンにペーパーカンパニーをつくるわけですね。ペーパーカンパニーをつくって、そこに日本の企業、個人投資家などはこういうペーパーカンパニーをつくったり、あるいはファンドをつくる、証券口座をつくって課税逃れをしているわけでございます。そのペーパーカンパニーの数が、このグラフにしましたけれど、急速に増えておりまして、二〇〇六年の三千四十一が二〇一〇年の四千四百七十と、莫大な金額の課税逃れが行われているわけでございます。これは事実上の脱税行為でございます。
 金融庁も国税庁も全部は把握しておりませんけれど、例えばケイマン諸島だけで証券投資と直接投資で約四十七兆円のお金が流れ込んでおります。それが、利益を上げても上げてもほとんど課税されないと。国税庁がつかんでいるのはわずか八百何十億だけで、ほとんど把握されていないと。莫大な金額の課税逃れが行われているわけでございます。
 今まで日本はこういうタックスヘイブン、課税逃れに対してどういう対策を打ってきたか、財務大臣、お願いいたします。
○国務大臣(安住淳君) ペーパーカンパニーという言葉は国としては使ってはいませんけれども、今、先生の御指摘のその表でいうと、外国の子会社の合算税制というのはあるわけです。つまり、我が国の税負担に対して、言わば税負担の低い水準にある子会社を親会社である内国法人の所得に合算をするというふうな課税制度です。これに対しての適用はやってきたわけでありますから、その分でいえば、適切な課税はその分は行われたと。
 しかし、様々、マスコミ報道等を含めて、いわゆる所得の把握をうまく世界のそれぞれの主要国がどうもできていないのではないかという指摘はありますので、そうしたことに対しては、やはり外国の税務当局等ともこれはしっかりと話し合いながら対応していかなければならない課題であると思っております。
○大門実紀史君 いろいろおっしゃいましたけれど、もちろん外国との協調も必要なんですが、まずその国がやれることはやるべきだと思います。
 そういう点で、日本はこのタックスヘイブン対策が大変遅れてきた上に、民主党政権になって逆に規制緩和をやってきております。二〇一〇年に、タックスヘイブンとみなす基準、先ほど二〇%と言いましたが、それまでは二五%だったんです。ところが、それを二〇%以下の国だけが、それだけの低い税率の国だけをタックスヘイブンとしたと。
 これによって、ここにございますけれども、中国などアジア四か国にあるペーパーカンパニー、この部分、大体この辺の国は実効税率でいくと二〇%から二五%の間でございますから、二〇%以下だけがタックスヘイブンということはタックスヘイブンじゃなくなったわけですね。したがって、今おっしゃいました合算税制もないし、このペーパーカンパニーが増えているにもかかわらず野放しになっているということになったわけでございます。こういう、何といいますか、規制をするどころか、規制緩和を民主党政権のときにしたわけでございます。
 それに比べてアメリカというのは、世界的な大企業とか大金持ちが多い国ですけれども、このタックスヘイブンには大変厳しい国でございます。アメリカがタックスヘイブンとみなす基準というのは税率は三一・五%以下、それ以下のところは全部タックスヘイブンだといって、いろいろ課税の取締りをやろうと、幅広くやるわけですね。日本はさっき言ったように二〇%以下の国だけで、狭いわけですよ。アメリカはそれぐらい厳しいわけです。
 さらに、今年の二月の二十二日、アメリカがタックスヘイブンへの課税強化策を打ち出しました。一つは、ちょっと専門的ですけれども、要するに海外のこういう子会社の所得に一定基準で必ず課税すると、ミニマムタックス制度ですね。もう一つは、知的財産の所有権をこういうタックスヘイブンに移転させたら、それはもう意図的だということで上乗せ課税をやるということですね。
 ほかにもございますが、もう一つ注目すべきなのは、これはタックスヘイブン対策ではないんですけれども、産業空洞化対策でもあるかと思いますけれど、アメリカが今回乗り出そうとしているのは、企業が海外移転をする、これにブレーキを掛けると。日本はもう好き放題やっていますが、アメリカはブレーキを掛けようとしています。どうやるかというと、企業が生産拠点を海外に移転するための経費について損金に認めない、つまり税金を掛けますよとやるわけですね。逆に、海外から生産拠点をアメリカの国内に移した場合、その場合は税額控除、つまり税制上優遇しますと、こういうことまで踏み出しているわけですね。
 日本だけが海外に逃げる、海外に逃げるといって、もう税の引下げ競争ばっかりやっているわけですけれども、アメリカはもうここまで踏み出してきているということなんですね。こういうことこそやっぱりアメリカからきちっと学ぶべきだと、今こそ学ぶべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(安住淳君) 大門先生の御指摘の話というのは二十二年改正だと思います。
 このときの事情というのは、やはり日本企業の海外進出に対して、日本の場合はやはり企業形態が子会社等を設立をしていくということから、やっぱりそういう意味での法人税の負担水準というものを少し緩和をさせてあげた方が競争力が付くという要望がかなりあったので、これは対応しました。その結果として、御指摘のとおり、いわゆるトリガー税率は二〇%以下にしたと。
 今御指摘のそのペーパーを見ましても、その結果として、確かに中国などアジア四か国で大体四百社、約四百二十程度ですか、これについては御指摘のように言わば税回避が起こるのではないかという御指摘があります。他方、今アメリカ合衆国のことについて御指摘がありまして、これは海外に進出するアメリカ企業のやっぱり形態も違うとはいえ、やはり租税回避行為に対して厳しい監視をしなければならないということについては、これは国際会議、G20等でも出始めている議論の一つでございます。
 ですから、今後私どもとしても、決して税逃れをする企業のために便宜供与を図るなんということは毛頭考えておりませんので、適正な課税をしていただくためにどうするかということは考えていきたいと思っております。
○大門実紀史君 総理のお考えもお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 先ほどのアメリカの取組なんか大変参考になりました。今後、私どもの議論にも生かしていきたいというふうに思います。
○大門実紀史君 消費税増税ばっかり、もうそれ以外眼中にないような状態に今入っておられますけど、もっとやるべきこといっぱいあって、本当焦ることないですよ。やっぱり経済は大事ですからね。財政だって逆に悪化する場合もありますので、こういう税の引下げ競争をやめるということ。そして、やっぱり税ですから、負担能力のあるところにきちっといただくということをやれば、私は消費税増税しなくともいろんな財源は生まれてくると。
 我が党はそういう試算を具体的に出して、衆議院の委員会で志位委員長から野田総理にうちの提案をお渡ししておりますので、今の話だけではなくて、もっとうちの提案をきちっと勉強してもらって、いろんな方法があるということを学んでいただきたいということを申し上げて、今日は終わりたいと思います。
○委員長(石井一君) 以上で大門実紀史君、日本共産党の質疑は終了いたしました。(拍手)

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