国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2012年3月22日 財政金融委員会
<赤旗記事>
金融機関へ指導要求−大門氏 被災地二重ローン支援−参院委

 日本共産党の大門実紀史議員は22日の参院財政金融委員会で、東日本大震災で「二重ローン」の被災事業者を救うために金融機関に要請・指導するよう求めました。
 政府の産業復興機構による「二重ローン」買い取りは、現在、岩手、宮城両県で7件しかありません。中小企業庁の宮川正次長は、相談件数が801件、継続中が463件、買い取りや条件変更を検討中が43件あり、「引き続き支援する」とのべました。
 大門氏は、金融機関が損失計上を嫌い、機構への債権売却に消極的であることをあげ、「公的資金が注入されている。売却を進めるよう強く要請するべきだ」と強調。自見庄三郎金融相は「積極的、継続的に貢献するよう促す」とのべました。
 大門氏は、与野党議員立法で開始し、「二重ローン」問題に対応している再生支援機構について、「一定期間内の黒字化などを支援基準としているのは厳しいものさしだ」と指摘。安住淳財務相は「銀行、債権者の価値判断だけでやったら救済は難しい。保証枠の使用が高まるように関係機関に働きかけていく」と答えました。(3月27日しんぶん赤旗)

≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。
 被災地の二重ローン問題について質問をいたします。
 今資料を配ってもらっているかと思いますが、今、被災地の岩手、宮城、福島三県でどういうふうな状況になっているかという資料でございまして、要するに、返済をストップしてもらっているのと何らかの返済条件の変更を契約したという方々を含めますと、一万二千四百二十二の事業者が六千七百三十八億円という債権を、何といいますか、非常に支援しなければならないんではないかというふうになっているわけでございます。ただし、この条件変更した方々の中には、もう春からとか夏から通常どおりの返済ができるという意味の条件変更の契約もありますので、全部が全部支援対象とは限りませんが、まだ相当の債権者、あるいはその金額が支援対象のまま今塩漬け状態になっているという状況でございます。
 これについて財務省、金融庁の考えを聞きたいと思いますが、その前に、今どうなっているかということで関係省庁にちょっと聞きたいと思います。
 二重ローン問題はこれから本格的に始まるということになりますけれども、今は中小企業庁の産業復興機構が昨年から事業を開始しておりまして、もう一つは、与野党の議員立法で創設をいたしました、復興庁管轄ですが、再生支援機構が三月五日から事業を開始しております。
 まず、中小企業庁の方の産業復興機構なんですけれども、今までに買い取った債権が、何か月かたちますが、まだ僅か、岩手、宮城の二県で買取り決定としては七件だけという状況で、余りに少ないのではないかというふうに相当批判もされているわけですけれども、まず、なぜ七件にとどまっているのか、状況を説明してください。
○政府参考人(宮川正君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、三月九日の時点で、被災六県の産業復興相談センターにおきます相談件数は、全体では八百一件となっておりまして、このうちの最終実績が、先ほどおっしゃられたように、岩手、宮城の復興機構において債権買取りを決定した七件、また、それ以外に、債務の返済の期間延長など、金融機関と条件変更について合意したものが十一件ということになっております。
 ちなみに、八百一件の内数でございますけれども、まず、相談の第一段階で相談を引き続き継続しているというものが四百六十三件ございます。この段階では、再生事業計画が果たして策定できるのかどうか、また、買取り価格の試算などを通じて金融機関との買取り交渉が成立するのかどうか、事業再生に必要なニューマネーが出るかどうかと、こういった点で検討が行われております。
 その後、第二段階に入るわけでございますけれども、この段階では、具体的な事業計画をチェックし、不動産価格の鑑定、買取り価格についての債権者間の調整をセンターが行う一方で、金融機関では、センターからの融資要請を受けまして、ニューマネーの審査などが行われております。こうした買取り、条件変更に向けての検討中になりますのが四十三件ということになっております。
 委員御指摘のように、債権買取りの件数が依然少ないと、こういう御指摘いただきましたので、これを踏まえまして、当省としては、事業計画の策定においては外部の専門家を活用するよう指導するなど、できる限り迅速な対応に現在努めているところでございます。ただし、例えば事業者の再生の可能性をしっかりと判断したり、外部からの不動産鑑定の取得や買取り交渉での債権者間の調整などを行うためには一定程度の時間が必要だという点については御理解を賜りたいと思います。
 今後、被災地における復興の本格化に伴いまして、事業再開に向けた資金需要の増加が見込まれることを踏まえまして、債権買取り等を通じた被災事業者支援に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 頑張っておられるのは私も知っておりますが、いろいろ物差しの問題、相手のある問題だからということだと思います。
 被災地では、もう毎週のように行ってますけれども、この中小企業庁の、政府が先につくった産業復興機構はもう駄目なんだと、今度できた、特に自民党の片山さつきさんが頑張ってつくったと、もう個人名も出ておりますけれども、片山さつき機構とまで言われておりますが、この再生支援機構は広く救ってくれるんだと、だからそちらに相談に行けばいいんだということとか、再生支援機構ならもう一気に、今まで停滞していたけれども、一気に買取りが進むんだというような話が広がっております。
 私は若干これは不正確で、少々ちょっと、何といいますか、意図的なキャンペーンもあるのかなというふうに率直に思っておりますし、率直に言って、自民党議員の皆さんがかなりそういう話を商工会議所とかいろいろなところでやっていると。逆に与党の民主党の議員は、そういう批判に対して何のカバーもしてあげないと。何か身も蓋もないような話に現場ではなっておりまして、政府が最初、民主党の案としてつくったこの産業復興機構の方は、現場では頑張っているのにもかかわらず、かなり風当たりが強い状況になっております。
 再生支援機構の方に伺いたいんですけれども、じゃ、再生支援機構なら買取りが一気に本当に進むんでしょうか。
○大臣政務官(大串博志君) お答え申し上げます。
 東日本大震災事業者再生支援機構でございますけれども、三月五日に業務を開始いたしました。復興機構とも連携をしながら業務を進めてまいりたいというふうに思いますが、一気に進むというようなことになるのか、あるいはどういうふうな仕組みなのかということのお問合せだっただろうというふうに思います。
 私たちとしては、支援機構を通じてできる限り多くの事業者に再生の機会が持ってもらえるように頑張ってまいりたいというふうに思っています。そのための仕組みとして、債権の買取りのみならず、出資やあるいは専門家の助言など、まず一つには多様な手法を使って支援するというのが一つと。もう一つは、債権の買取り価格、ここは非常に苦労しているようなところになろうかというふうに思いますけれども、最長十五年にわたる支援を前提として、事業再生の見通しやあるいは担保不動産の価値の見通しを踏まえ、それを価格算定に使っていくと。すなわち、長い期間を取ればそれだけある意味、事業が回復し再生していく可能性も見取りやすくなっていくわけであります。それによって買取り価格が一定レベルで認定できれば、それによる金融機関が持ち込みやすくなると、こういった効果も期待されているところであります。
 もちろん、その支援には、前提となる再生計画の策定やあるいは金融機関を始め関係者の調整が必要となります。機構ができたからには、できる限り一件一件早期に事業者の皆さんのニーズにこたえられるように頑張ってまいりたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 支援機構の方の支援基準も出ました。詳細を見させてもらいましたけれども、最長十五年という話もありましたが、十五年でいろいろ考えてもらうというのは事業者にとってはもちろん有り難いことでございますけれども、問題は金融機関がそれをどう判断するかということでございまして、追加融資をするわけですね。その相手先が十五年も掛からないと見通しが立たないとなると、そもそも追加融資をする相手として判断するかどうか、つまり機構に持ち込んで買い取ってくれと、再生の対象にするかどうかということにもなるわけでございまして、十五年というのは両面ある話でございますので、十五年したから価格が若干高めに設定して買取りが進むというふうにはならないんです、現実問題としては。
 しかも、再生支援機構の支援基準の中には決して復興機構よりも必ずしも緩やかとは限らない部分も含まれておりまして、例えば支援決定後およそ五年以内に営業損益が黒字となると、これもかなり、そういうものを支援すると、こう書いてあるわけですけれども、これだって、そのような中小企業がどれぐらいいるのかと、そもそも赤字でやってきたところが多いわけですから、そういうこともあるわけでございます。
 私が申し上げたいのは、その産業復興機構、再生支援機構、二つできたわけですけど、私は、どちらでもいいから幅広く早くたくさん助けてあげてほしいと、それに尽きるわけで、どっちの機構が駄目だとか、どっちの機構は何だとか、そういうもの、ちょっと政争の具的にいろいろ現地の人を巻き込んでやるべきではないと。それぞれもう二つできているわけですから、すみ分けもしてもらっても結構ですし、早く進めばいいわけですけれども、そういう何か幻想を抱かしたり、逆に批判し合ったり、そういうことはもうやめて、力を合わせて早く一緒に買取りを進めてほしいと思うわけでございます。
 その点で何が問題か若干指摘しておきますと、どちらの機構でも、恐らく再生支援機構でも、一気にわあっとこの春から何百件と買取り進むわけがないというふうに思います。なぜならば、全体状況として今まだ地域の復興計画が定まっておりませんから、土台が決まらないわけですね。地盤沈下のかさ上げが、その後に上に物を建てるわけですから、土台が決まっていないのに上物が決められないというふうな、復興計画ができていないと。中小企業グループ補助が二千四百事業者、安住大臣の努力もあって二千億以上今交付決定されています。これが取りあえず行き渡っていますが、それでちょっと落ち着いているとか、あるいは、金融機関もこの時点で返せ返せと言えない状況があって、先ほど言った、まだ返済猶予を続けているとか、こういうことがあって、全体としてわあっと動いていないのは確かですから、それがまずあるわけですね。相談の件数ももっと来ていいはずですけれども、あるわけです。
 個別の状況でいきますと、私は、やっぱり金融機関の姿勢というのが大事でございまして、機構に持ち込むと損失を生むと、そうすると自分たちも損失計上しなきゃいけないと、できればそれはやりたくない、自分のところに置いておいて時間が掛かっても返してもらいたいと、そんなことが働いているために、なかなか機構に持ち込もうというふうなインセンティブが働かないというのが事実あるわけでございます。
 こういうことを考えますと、再生機構であれ復興機構であれ、今の物差しだと、個々のさっき言ったいろんな買取りのいろんな物差しでこれをぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ個別にやっていますと、恐らく一向に、恐らく百億も使われないと思いますよ、このまま行くと一年間で。二千億とか五千億の予算を組んでいますけれども、到底そんな使うような買取りの数にならないです。
 やっぱり金融機関と復興機構、御本人とのこの三者の、買取りするかどうか、支援する基準は何か、ここのところでもっと思い切った新たな物差しを設けない限り、二千億とか五千億というふうな規模が支援に使われるというのはあり得ないというふうに思っております。
 先に、自見さん、御都合があると思いますのでちょっと金融庁関係聞きますと、その点で大事なのは、資料の二枚目に配りましたけど、被災地の金融機関に公的資金が資本参加、公的資金が注入されております。これは、やっぱりそういう復興機構に被災した事業者の債権をきちっと持ち込んで、自分たちも損を出しても、引き当てをこれでできるようになりますから、引き当てをして損をきちっと処理するというふうなことの覚悟もきちっと求めるような公的資金の注入でなければならないというふうに思うわけでございます。
 この公的資金の注入、資本参加に当たって、そういう要件はきちっと求められているんでしょうか。
○大臣政務官(大串博志君) 事実関係も含めて私の方から御報告させていただきたいと思いますが、金融機能強化法、震災特例というのを作るのを認めていただきました。国の資本参加を受けて金融機関を後押ししていくというものでございますが、その経営強化計画を出してもらいますけれども、その中において、被災者への支援を始めとする被災地域における東日本大震災からの復興に資する方策、これをきちっと定めてこの経営強化計画に書きなさいということになっております。
 これは、もちろん特定の方策の記載を一律に求めるものではありませんけれども、これまで、この資料にもありますとおり、十先資本参加決定をしております。これらはいずれも、二重債務問題を抱える被災企業の事業再生支援策の一つとして、産業復興機構や東日本大震災事業者再生支援機構等を活用していくという旨をこの経営強化計画に記載しておりまして、この取組を私たちもしっかりフォローしていきたいというふうに思います。
○大門実紀史君 是非、その計画には入っているわけですから、具体的にこうやって公的資金を入れる理由は、金融機関の体力強化だけじゃないよと、借り手の被災した中小企業を救うことにもあるんだよということを明確に更に要請してもらって、自分たちが身を切るということも含めて、二つの機構をちゃんと活用して一刻も早く救済するように、再度ちょっと要請をしてほしいなと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(自見庄三郎君) 被災地におかれまして、今後の本格復興のフェーズにおいて金融機関が果たす役割は極めて大きいというふうに考えておりまして、今、大串大臣政務官からも、金融機能強化法の特例をこの委員会で認めていただいたわけでございますから、そういったことを十分活用しながら、被災企業の立場に立って、それぞれの実情を踏まえてきめ細かな対応をしていくことが、今先生御指摘のように、二つの機構あるいは支援機構をつくっていただいたわけでございますから、そういったことをしっかり積極的に連携を取りながら、再生に向けて積極的かつ継続的な貢献をしていくように、引き続き緊張感を持って促してまいりたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 じゃ、最後に財務大臣に伺います。
 今申し上げたように、今何がネックになっているかというと、現場の物差しの問題があります。このまま行きますと、幾らやっても、どちらの機構であってもそんなに一気に進むわけはありません。やっぱり新たな物差しを考えなければいけないと思っております。これはまた別個提案していきたいと思いますが、大事なことは今言った金融機関の対応ですね。復興機構の方も、そういう何か二千億あるいは五千億という組んだ予算に見合うような対応をしていないですよ、それだけの買取りをやるような。一個一個何か個別の経済合理性ばかり言っているんですね。これは、そもそもこの非常事態につくられた復興機構あるいは支援機構のこの考え方に現場の物差しが合っていないといいますか、相変わらず平時の経済合理性みたいなことで言っているというのがあります。
 その根っこには財務省の影響があるかどうかと言い切れませんけれども、できるだけ国民負担は少なくしなければなりませんけれども、このまま行くと恥ずかしいことに、二千億、五千億の予算を組んでおいて、実際には一年たって百億も使われないというような大変恥ずかしい、政治としては恥ずかしい事態になりかねないわけですね。こういう点で、財務省が足を引っ張っているとは言いませんけれども、きちっと予算を執行するようにという意味で、しかも被災地を救済するという意味で安住さんのお考えを一言聞いて、終わりたいと思います。
○国務大臣(安住淳君) 被害を受けた方から見ますと、産業復興機構であっても再生支援機構であっても入口は一緒でございまして、私も、しばらくぶりにこの土日戻ってやっぱりお話を聞くと、やはりローン問題をどうかしてくれという声が非常に多うございます。これを、通常の銀行とその債権者の価値判断だけでやったら、なかなか委員おっしゃるように救済するのは難しくなります。そこで、まずとにかく買取り価格をどうするかということでガイドラインを作ったということなので、これで金融機関とどう折り合うかと。
 金融機関に対しても、先ほどお話ありましたけれども、政府としても、これは資本注入やっているわけですから、どちらの側に立ってこのことは仕事をしなければならないのかというのはもう私も十分分かっているつもりなので、決して財務省として足を引っ張るようなことはいたしませんので、むしろ、そうはいっても限度があることは事実でございますけれども、やはり債権者の方々が次のステップに、やっぱり暮らしを次の段階に、意識もそうですけれども、ある意味で前向きな姿勢に立てるようなやっぱりそういうことをするためには、この一年の中でこの機構の保証枠の指標がやっぱりその多寡によってそこは十分分かるので、そこが高まっていくようなことを私としても努力をいたしますし、関係機関にもそのことは働きかけていきたいと思います。
○大門実紀史君 終わります。

戻る▲