国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2012年3月14日 参議院予算委員会
<3月15日 しんぶん赤旗>
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原発賠償金 非課税は当然 大門氏追及に財務相「考える」

 日本共産党の大門実紀史議員は14日の参院予算委員会で、東電福島原発事故の損害賠償金に対する課税は許されないと追及しました。安住淳財務相は「どういうことができるか考えてみる」と答弁し、課税方針の見直しを検討する考えを初めて示しました。
 東京電力からの損害賠償金については、精神的苦痛や資産の損害に対する賠償金は非課税ですが、風評被害や出荷停止などへの賠償金は事業所得の収入金額とされ、課税対象になっています。
 大門氏は「国にも事故の責任があるのになぜ賠償金に国が税金をかけるのか」という福島県民らの怒りの声を突きつけ、当時、財務相だった野田佳彦首相に対して、非課税にするよう求める福島県の要望を無視するのかと追及しました。野田首相は「課税しない方がいいものにはしないという流れの中で対応してきた」と答えました。
 所得税法を課税の根拠にあげる財務省側に対し大門氏は、平時の民間同士のケースであり、国の責任が伴う大事故の損害賠償を想定したものではないと強調。東電による賠償金は実質的に「慰謝料込み」の金額となっており、所得税法で慰謝料は非課税だと指摘しました。
 さらに大門氏は、賠償金の代替として国が支払った手当金を非課税にした例は過去にもあると追及。藤田幸久財務副大臣は、宮崎県の口蹄(こうてい)疫やオウム真理教、水俣病被害者に対する手当金などは非課税にしたことを認めました。大門氏が「国として判断すべきだ」「知恵を絞るべきだ」と迫ると、安住財務相は「気持ちは十分にわかる。どういうことができるか考えてみる」と答えました。
 大門氏は「政府が判断すれば早い」と強調し、「されない場合は議員立法で非課税を実現する決意だ」と表明。他党議員も拍手で応じました。

≪議事録≫
○委員長(石井一君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門君。
○大門実紀史君 昨年の十一月からようやく原発事故の損害賠償金が支払われるようになりました。東京電力からの損害賠償金については、今資料をお配りしてもらっていますけれども、昨年の七月二十一日付けで福島県から税金を掛けないでほしいと、課税しないでほしいという要望が強く出されておりました。この損害賠償金の課税についてどういう扱いになったか、財務省説明してください。
○副大臣(藤田幸久君) 大門委員にお答えをいたします。
 東京電力が支払う損害賠償金、かなり複雑でございますので説明をいたしますが、まず損害賠償金については、一つは避難生活等による精神的な損害、二つ目は避難・帰宅費用や一時立入り費用、それから検査費用など資産に加えられた損害、これは賠償金など幅広く非課税とする扱いになっております。また、商品廃棄費用などの追加的費用にかかわる賠償金についても、これは所得が発生せず課税は生じないということになります。
 他方、営業停止等による逸失利益の補償として受け取る賠償金については、これは被災がなかった場合には本来課税対象となるべく収入を補填するものでございますし、被災者であっても事業継続や転業、転職により収入を得ている場合には事業収入等になるということから、事業所得等の収入金額とされております。
 しかしながら、実際にはその収入金額からは必要経費あるいは各種控除等を差し引くことができますし、しかも必要経費に関しては、今回の被災に関して発生した費用などについて、様々な実情に応じて計上することができることになっておりますし、また被災に伴う雑損控除等の適用に当たりましては、幾つかの震災税の特法に基づく各種の特例も適用されて更に拡充をされておりますので、被災された方の税負担の軽減に十分配慮しているというのが現状でございます。
○大門実紀史君 要するに、精神的損害、資産の損害などは非課税ということでございますが、これはもう過去の例から当たり前でございまして、問題はお配りした資料のAの(2)なんですけれども、今ありましたけれども、風評被害、出荷停止などの減収分に対する賠償金なんですが、これは事業所得の収入金額にされます。必要経費を引けるというふうな話がありますが、引けない場合は所得として残って課税の対象になると。
 実際に、今確定申告の時期になっておりまして、この部分で課税された方々が、なぜ損害賠償金で国が税金を取るのか、損害賠償の金額、手取り額減るじゃないか、元々国だって責任のある事故じゃないか、なぜこんなもので税金を取るんだという、福島県民、JA、中小商工団体から強い怒りの声が、今現在、確定申告のときですから、出ているわけでございます。
 これ、福島がこういうことを想定して、県が非課税にしてほしいということをかねてから要望してまいりました。当時は野田総理が財務大臣でございました。どうしてこの福島の要望をきちっと実現してあげなかったんでしょうか。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 先ほど副大臣の答弁にもありましたけれども、様々な損害項目についてそれぞれ課税するのかしないのかを考えてきているという中での整理をさせていただきました。
 基本的には、課税をしない方がいいというものについてはしてきていないという、そういう基本的な制度をしっかり堅持していくことが大事だということだと思いまして、特段新たに何かということではありませんが、その分、雑損控除等の工夫などはさせていただきましたけれども、そういう流れで対応してきたということでございます。
○大門実紀史君 それではお聞きしますけれども、今回の扱いの根拠は所得税法の九条、三十条、九十四条というふうに聞きました。どういう内容か、簡潔に説明してください。
○副大臣(藤田幸久君) お答えをいたします。
 所得税法第九条それから所得税法施行令三十条においては、心身に加えられた損害や不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害にかかわる賠償金は非課税としております。
 他方、事業所得等の収入金額に代わるべき性質を有するものについては、所得税法施行令第九十四条の規定により、これは非課税所得とはならず、それら所得の収入金額となるものと、そういう扱いでございます。
○大門実紀史君 総理、よろしいですか。今も説明あったように、今回の判断は、以前からある判断、つまり平時の民間同士の損害額も確定したような場合の課税の扱い、これがこの大事故に適用されたわけでございます。今回の場合は国の責任もありますし、国から損害賠償の原資も出ております。民民の話ではございません。しかも、これからも損害額はまだ膨らみます。こういうときに過去の今までの平時の事例を持ってきて判断をしたということなんですね。これはもう到底こういうものを適用すべきではない。きちっとした福島の要望どおり特別の配慮をすべきだったんじゃないですか。総理、いかがですか、当時の財務大臣として。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) かつて、宮崎の口蹄疫が発生したとき等の対応したことというのは何か記憶しておりますけれども、今回はほとんど大半については対応できると、既存の制度の中で対応できると判断をしたためでございます。
○大門実紀史君 じゃ、もう一つ違う角度で申し上げますけれども、この営業損害に対する賠償金の性格について聞きますけれども、これはあれですか、通常は営業損害の場合は裁判とか訴訟になった場合、経済的な損害だけではなくて精神的な損害、つまり慰謝料なども普通の場合は請求して勝訴すればもらえるわけですね。今回の紛争審査会の中間指針ですけれども、こういう営業損害に伴う精神的損害、つまり慰謝料、これは指針の中に入っておりますか。
○委員長(石井一君) 藤田副大臣。まずやってから。
○副大臣(藤田幸久君) 所得税法施行令三十条では、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料を非課税としております。営業損害に伴う慰謝料の内容が、これは個々の事実関係によって違いますけれども、これが心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料に該当するかどうか、法令等に照らして判断をするということでございます。
○国務大臣(平野博文君) 議員の御質問は、中間指針にはお尋ねの事業者の営業損害を受けたことによる精神的損害についてどうなんだということで、中間指針には明記はされておりません。しかしながら、事故との因果関係が相当あると、こういう場合には私はその対象になると、このように考えております。
○大門実紀史君 営業損害に伴う慰謝料というのは非課税でございます。今回、東京電力は営業損害に対する慰謝料は出さない方針でやっております。したがって、被害者にとっては、東電から受け取っている今の営業損害にかかわる損害賠償金というのは、被害者にとっては慰謝料も含まれた込みの金額という事態に実質的にはなっているわけですね。したがって、当然その営業損害は非課税分が含まれるという判断するのが当たり前ですし、課税当局はいつも言うように実質が大事だと。実質が大事だということは、この営業損害分についても非課税分が含まれているという見解を持つべきだと思いますが、財務省、いかがですか。
○国務大臣(安住淳君) 本当に、先生、要するに収入の中で相当部分はもうほとんど非課税にさせていただいておりますけれども、本当にごく僅かな部分だけ今所得課税をしているということに対してクレームが付いているということなんですが、法体系上は今お話が、私どもからるる説明させていただいたような体系でやっています。ですから、総理もさっき御説明ありましたが、これを言わば慰謝料的取扱いをして非課税ということにすれば、それはまあ口蹄疫等の例でいえば議員立法でやっていただいたということだと思うんです。
 ですから、私どもとしては、現時点でやっぱり所得は少しあることに対しては、私も何か報道で随分それを福島の方で聞いてはおりますけれども、今の現時点ではこの出ている所得に対しては、大変申し訳ありませんけれども、課税をさせていただいているということです。
○大門実紀史君 今もう確定申告の時期ですけど、僅かではございません、相当の課税がされております。過去に、今ありましたけれども、こういう国がかかわる、国が関与する、国が賠償するような例については非課税にした例があると思いますが、いかがですか、財務省。
○副大臣(藤田幸久君) 先ほど来出ておりますのが、一つが一昨年の宮崎県で発生しました口蹄疫でございますが、これは議員立法による特別措置法によりまして、国とか地方公共団体から農場等に対して一定の基準により、これは手当金等の給付を行うということでございます。
 それから、あと事例ということでございますと、オウム真理教によるテロ等の犯罪行為により障害が残った方々に対する、これも議員立法でございます。これは犯罪被害者等を救済するための給付金ということでございますけれども、これは給付金であるということでございますので、いわゆる営業不能等による逸失利益の補償とは異なるということでございます。
 それから、事例ということであれば、水俣病でございますけれども、これもこの関係事業者から一時金が支払われておるということで非課税になっておりますが、これもいわゆる営業不能等による逸失利益の補償とは異なるということでございます。
 加えまして、先ほどの口蹄疫の場合でございますけれども、これも議員立法ということと、それから手当金ということでございますので、賠償金とは異なると。ですから、類似でございますけれども、それぞれ事例が違っておるという状況でございます。
○大門実紀史君 いろいろ言われましたけれども、結局、国が関与するものは逸失利益だって非課税にすると、もう議員立法ですから理由はなし、すると、この社会的常識から課税すべきじゃないと、こういう判断をしたわけでございます。
 したがって、今回は、今回国の責任が大きいわけですから、国としてそういう判断をすべきじゃないかということを申し上げているわけですが、安住さん、いかがですか。
○国務大臣(安住淳君) 今るるお話ありまして、やはり立法府の方でそうした意思を持っていただいて、そこでかぶせたんですね。それで、政府としては最大限非課税措置や控除措置はやってきたつもりでございます。
 ただ、私も議員として考えれば、そうしたことに対する要望があるということは十分聞いてはおりますので、今後、十分議会の中でも話し合っていただければと思います。
○大門実紀史君 それは質問でやることじゃございません。政府としてもうちょっと知恵を出したり、ここまで来ているんですから、研究したりする気持ちはありませんか、安住さん。
○国務大臣(安住淳君) お気持ちは十分分かるんで、それでは、私の方で少しどういうことができるのか考えてはみます。その上で、なかなか難しいとなれば、また相談させてもらいます。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 静粛に願います。
○大門実紀史君 これだけの国の責任もある原発事故ですから、政府として、政府が判断すれば早いわけですから、早くやってもらいたい。それがされない場合はもちろん議員立法でみんなで考えるということになると思いますので、他党の皆さんにも、そのときには御一緒に議員立法として非課税を実現するという決意も申し上げて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。

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