国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2011年5月17日 財政金融委員会  被災業者の二重債務問題解決を求めるとともに、被災金融機関への公的資金注入のあり方について問題提起。
○大門実紀史君 大門でございます。
 今日は、既に舟山康江さん、野上浩太郎さんからございましたけれども、被災地の抱える最大の問題が二重債務、二重ローンの問題でございます。今のところ一定の返済猶予とか凍結されている場合もございますが、これはもう時間の問題でございまして、いずれ近々返済を迫られることになって、返済ができなければ倒産あるいは自己破産、そして廃業というふうになっていくわけでございまして、一刻も早くこの二重債務、ローンの問題を解決しなければならないということだと思います。
 先日、資料をお配りいたしましたが、予算委員会では、こういう買取りのスキーム、いろんな形あると思うんですが、いずれにせよ、買取りのスキームをつくる必要があるのではないかということを提案いたしましたら、菅さんは、しっかり検討するという答弁をしていただきました。
 本来、こういうスキームをつくって金融機関からも事業者からも今まである債務、債権を一旦切り離して復興に再スタートしてもらうということが一番いいわけでございますし、先ほど野上さんからもございましたが、自民党の中でも何らかのスキームを検討されているということでございますので、これは超党派で一刻も早く実現しなければならないというふうに思います。
 そんな中で、二枚目に資料を御用意いたしましたけれども、五月の十三日に、先ほどもございましたが、自見大臣が談話を発表されました。これ、要するに、いろいろ書いてはございますけれども、被災地の信金、信組を含めた地域金融機関が融資が焦げ付いて損失が出た場合、公的資金で穴埋めをしてあげようという、そういう方向でございます。
 お聞きしたいのは、これは先ほど議論もありましたけれども、金融機関がリスケですね、リスケジュール、更に猶予するとか、若干そういうことには役立たないとは言いませんけれども、今ある、既にある債務、つまり、また借金を抱えるこの二重ローンの解決に本当に役に立つのかという点ですね。むしろ、危なっかしいのは、こういう被災された中小企業を不良債権処理をして、損失が生まれても公的資金で穴埋めをしてあげるよと、そういうメッセージにもなるわけでございまして、場合によっては、助ければ生きていける被災地の事業者の処理を促進してしまう危険性もあるのではないかと思いますが、大臣の認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(自見庄三郎君) 金融機能強化法でございますが、今お話がございました十三日に私の方から談話を出させていただきまして、これはまだいよいよ詳細は詰めていないところもございますが、地域における面的な金融機能を維持強化することとともに、預金者に安心していただくということでございまして、具体的には、これは国の資本参加の適用要件に係る震災の特例を設ける。それから、今後の財務状況の見通しが必ずしも付きにくい今お話がございました協同組織金融機関であっても、国と中央機関が一体となって資本参加を行う特例を設けるといったことでございまして、そういった意味で、いずれにいたしましても、地域の金融仲介機能の強化を図るためにやらせていただく趣旨の法律の予定でございまして、同法に基づく資本参加により、金融機関の財務基盤を強化することは、貸付債権の条件変更等、金融機関が被災地域の実情に合った対応を行いやすくする環境をつくる。
 金融機能が強化すればそうなるわけでございますから、そういったことを基本的に考えておりまして、他方、債権放棄などの個別様式の対応については基本的には各民間金融機関の経営判断でございまして、それを超えて民間金融機関に一律に被災者に債権放棄を行うように求めることは、これはもう私が何回も言っておりますように、民間金融機関の原資は主として個人からの預金でございまして、また、それぞれの金融機関がそれぞれのバリエーションがあるというところは民間金融機関のまさに経営者あるいは民間経営者のまさに自由主義社会の自由でございまして、そういったことを含めてきちっと一律に債権放棄をせいということはできませんし、そこがまた民間金融機関の限界でもございますから、今さっきの先生が御質問になりました二重ローンの問題、これがやはり公的金融機関あるいは国の財政出動等々を含めて、これは幅広く検討することが必要でございますから、政府として、一体として、全体として、金融庁以外にもたくさんの省庁が御存じのように公的金融機関を有しておりますので、そういったことを含めて政府全体として取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 もう大臣に聞いた私が間違っていたのかなと思いますけれども、和田政務官にお聞きいたしますけれども、要するに、不良債権処理後の生き残った中小企業に新たに融資をする場合、あるいはその金融機関を助ける場合には役に立つというふうには思いますが、申し上げているように、今債務を抱えて二重ローンになってしまう人にとってはもろ刃の剣で、処理を促進してしまう場合もあるということは大変危険性を感じるわけでございます。
 申し上げたいのは、せっかくこういうものを提案するならばもうちょっと考えてもらいたいんですけれども、金融機関そのものも、借り手の中小企業が再出発できるように、私はさっき言った買取りスキームとは別に、一部債務免除とか自主的に努力をすべきだと思うんです。今までも事業再生なんかの場合は関係する金融機関が協力して債務免除する場合はあったわけですね。ところが、こういう大規模な被災になりますと、相当の数でございますから、金融機関の判断で一部の債務免除というのはなかなかしづらいし、やってしまうと経営責任を問われる場合も起こり得るというふうに思います。
 したがって、行政の後押しで公的資金を入れるならば、相手を見ながらですけどね、もちろん、そういう一部債務免除をやった場合でも、経営責任は問わないし公的資金を活用してもらいたいというような強いメッセージがあれば、この公的資金も生きるお金になるというふうに思うわけでございます。
 ですから、せっかく公的資金投入するなら、金融機関を救うだけじゃなくて、今目の前に潰れるかどうか、生かすことのできる中小企業を助けるというふうな何らかの仕組みもセットで提案されると大変いいんじゃないかと思うんですが、その点、和田さん、いかがですか。
○大臣政務官(和田隆志君) 先ほどの大門委員と大臣の御答弁とのやり取りを少し補足させていただくところも含めてお答えしたいと思います。
 委員の問題意識として、今回、これから御審議をお願いいたしますが、金融機能強化法の法律のそもそもの意義についてもう一度御確認いただければというふうに思います。
 先ほど御指摘いただいたのは、資本的に少なくとも不良債権処理等で危なくなった金融機関に資本注入をする仕組みというふうに何となく取っていらっしゃるように感じたのですが、私ども、もう少し金融機能強化法は積極的に金融機能が、今回被災地をターゲットに置きますが、被災地の経済復興に積極的な役割を果たしていただくということを主眼としております。
 何が申し上げたいことかというと、金融機関としてはまだ傷んだ状態ではなく健全な金融機関であって、しかし、先ほど御指摘いただいたたくさんの債務企業を擁しておるわけでございますが、債務企業に対して幅広く過去の債務の扱いも含めてどのような対処が最も地域経済を復興させていくことに役立つであろうかと。つまりは、支払は非常に不可能な状態なわけでございますが、その中でもしっかりと救って次の事業復興を果たしていただけるような企業を探してほしいという気持ちを込めて資本注入をするものというふうにお考えいただければというふうに思っています。
 ですから、これから、法案として今確定作業をしておるところでございますので、お出しした際にしっかり議論に臨んでまいりたいと思いますけれども、その気持ちを是非御理解いただければということでございます。
 それから、今回の今の御質疑でお問合せいただいたような、委員の問題意識である一部の債務免除等も全て含んだ上で、金融機関の処理を後押しするという趣旨は含んで法改正をしていきたいと考えています。つまり、震災という事情は金融機関の経営者に責めを負うべき事象でもありませんし、ましてや債務企業の経営者に責めを負わせるべき事情でもございません。今回資本注入をお願いしようとしているその震災の特例の部分につきましては、経営責任を問わないということにさせていただければというふうに思っています。
 しかし、最後にもう一点だけ御理解いただきたいのは、やはり国の資本注入ということをする以上は、その原資は最終的には国民の皆様方にお出しいただく税金の中から工面するわけでございますので、そんなに安易に使うわけにもまいらないということでございまして、できるだけその資本注入したものはお返しいただくように努力していただくとして、しかし、先ほどいろんな御議論、ほかの質疑者の間でも出ておりましたけれども、最終的にこのお金を返していただくかどうかについては、もう少し大きな視野で臨んでいけるような法制にしていきたいと考えているところでございます。
○大門実紀史君 もう時間が参りましたので、和田政務官の言われたことと私が言っていることは同じなんです。それを、一部債務免除も含めて、そういうことも含めて、今回は非常事態ですから、いろんな扱いをきちっと金融機関が判断できるように、公的資金を入れるのならばそういうことだと思うんです。それをクリアにしないと、ただそう思っているんだということだけで待っていますと決してそうはならない。逆の、不良債権処理ができるんだというふうにも取られる可能性の方が、だからもろ刃の剣と申し上げているわけですが、今、和田さんが言われたことを是非何らかの形にしてほしいなと、そうしていただくと有効に機能するんではないかと思いますので、その点、法案作るまでにきちっと検討してもらいたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
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