国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2009年6月25日  財政金融委員会
 みずほ銀行の通貨オプション取引における不招請勧誘禁止違反問題について。与党提出政策投資銀行改正法案、銀行保有株式取得機構法改正法案への反対討論。
○大門実紀史君 日本共産党、大門でございます。
 本題に入る前にもう嫌な質問は先にしておきたいというふうに思いますけれども、与謝野さんとこの種の質問は余りしたくないというのが個人的な気持ちですが、私も職務上質問させていただきますけれども、まず申し上げたいのは、商品先物取引というのは、今までさんざん被害者を出してきた業界だということを前提でどうしても質問したいわけですけれども、今回報じられました先物業界ですね、政経政策研究会から与謝野さんへの献金ということですけれども、実は我が党、既にこのことは数年前から把握をしておりまして、二年前に、安倍内閣発足のときですかね、与謝野さんが官房長官のときにも赤旗で既に毎日新聞に載っていた内容は報道しておりますし、この問題というのはもっと歴史といいますか広がりがある問題でございまして、五年前にも我が党のしんぶん赤旗で報道していますけれども、先物業界から自民党の四十三人の議員に三年間で一億三千七百万円献金されていると。トップが与謝野さんでございました。三年間で二千九百八十万円ですから、今回出ている二十五万ずつ毎月で積もり積もってというよりもこのときの方が大きな問題じゃなかったかなと。残念ながら、ちなみにこのときは民主党の皆さんにも若干二人に献金が行っているということもありました。
 私も、先ほどありました証券取引法の改正のときに、この問題を一回だけ与謝野さんに質問しております。そのときに与謝野さんは大臣として、先物業界の献金に関係なく政策は決定しているというふうに信じておりますという答弁をいただいて、それ以上私は深く突っ込みませんでしたけれども。
 実は、この問題というのは、今回出ているオリエントだけの問題ではございませんで、九二年から〇二年にかけて先物業界というのは商品先物市場振興会というのをつくっておりました。その会則の中の目的にこういうふうに書かれております。先物市場の発展、振興を図るため、先物市場の制度に理解を有する国政関係議員及び候補者を後援すると明確に書かれていたわけでございます。このときから与謝野さんは献金を受け取っておられたので、そのことも含んでもらいたいと私は思うわけですけれども。
 この会は、実は政治資金規正法改正で政治団体に企業献金ができなくなったということを理由に、〇二年に解散をしております。そして、その後、今回問題になっているような個人献金形式でやっていくという平成の会、それと商取引政策研究会、そして今回問題になっています政経政策研究会が活発に個人献金という形式を取って献金をするというふうな流れになったわけでございます。これは全体の流れでございまして、元々はそういう国会議員を応援するというための献金が政治資金法改正に伴ってこういう形になったという流れなんですね。
 そういう点、いろいろ御答弁ありましたけれども、与謝野さん自身としてはもちろん御存じだと思うんですが、この流れは御存じだったというふうに思いますが、その点、いかがですか。

○国務大臣(与謝野馨君) 当然企業献金に関しては厳しくなったわけでございまして、各業界とも多分、この業界だけではなく、政治資金の調達、献金というものは非常に難しくなってきたと、一部政治資金規正法上できるパーティーという形に変わっていったと、そういう流れであると思っております。

○大門実紀史君 ですから、そのオリエントだけでいえば、加藤さんのことでいえば、おっしゃったようなこと、別に私うそだと思っておりません。多分そういう長い付き合いでそういうこともあり得るかと思いますが、与謝野さんはほかのところからも含めて、この業界ほかからも献金を受けられてパーティー券を買ってもらっているということありますので、そこだけクローズアップすると、何か個人的な関係で足長おじさんで、か分かりませんけれども、問題はそういうものではないということで御認識をいただきたいのと。
 もう一つは、この先物業界は実は取引法改正のときに規制強化しないでほしいというのは確かにあったんですけれども、実はこの業界の最大の要望は、長年にわたる最大の要望は税制改正要望でございます。これは先物協会の十年というのがありますけれども、毎年、自民党税調に対して金融関係の、取引関係の要望をすると。それが自民税調の中に取り込んでもらうとこういうふうにニュースで、今回の私たちの要求が自民税調に盛り込まれましたと、このときは申告分離課税は恒久化されましたとか、こういうふうに税制要望を毎年やって、自民税調に入れてもらっている、入れてもらっていないと、そういうことをやってきた団体で、これが一番の私は長い目で見るとこの業界の最大の要望だったわけです。
 そういう点でいきますと、与謝野さんが言われるとおり、大臣のときに直接何かを便宜を図るということは、なかなか私もそういうことはされないんじゃないかというふうに逆に思ったりするわけですけど、むしろ自民税調ですね、自民税調に入れば大体次の税制改正に入ってしまうということがありますので、自民税調との関係の方が私はちょっと気になるんですけれども。
 つまり、与謝野さんは自民党税調の副会長、そして会長、顧問と務めておられました。そういう税調メンバーのときに、こういう先物業界の方々からこういう税制改正の要望をお受けになったということはございますか。

○国務大臣(与謝野馨君) 私、副会長、税調会長、それから一昨年の暮れは税調の小委員長もやっておりまして、いろいろな税制について物事を決めたりしておりましたけれども、私が税調の幹部をやっているときの大きな懸案として、商品取引業界からの税制要望というのはなかったと思っております。

○大門実紀史君 今日は法案審議の日ですので、もうこれ以上今日は触れませんけど、申し上げたいのは、オリエントの献金の形はやっぱり違法性高いので、違法性がはっきりしたときはやっぱりお返しになるべきだというふうに思いますが、その点、いかがですか。

○国務大臣(与謝野馨君) 二十八年前に始まった話なので、どれだけ分かるかということは私は申し上げられませんけれども、大門先生言われるように、ある物事がはっきりしたというときには、私もそういう事実に基づいてきちんとした適切な行動を取らなければならないと思っております。

○大門実紀史君 もうこの問題はやめますけど、とにかくそういう違法献金の疑いがある問題と、大きな意味でいえば、私は与謝野さんだけじゃないと思っているんですね。名簿を持っていますけれども、ほかの自民党議員の方々にも先物業界はかなり献金をしておりますし、パーティー券を買っています。それがさっき言った、政策決定に自分たちの要望を入れてくれというところになっている深い問題だと、広い問題だと思っております。
 これは改めてまたどこかで取り上げたいと思いますけど、根本はやっぱりこの機会に企業・団体献金を本当に禁止すると。もうこれだけ次々出てくるわけですから、是非そのことも真剣に検討していくべきだということを申し上げて、本題の方に入りたいというふうに思います。
 ちょっと今日、時間が押しているようでございますので、ちょっと質問通告したとおりいけないかも分かりませんが、まず民主党の皆さんにお聞きしたいと思います。
 今回の民主党提出の法案は、もうすばらしいというふうに思います。文句の付けようがございません。ただ、今、中小企業の負担軽減といっても、今回法人のレベルが議論になっていますけど、私、法人にもならない、もっと、もう少し小さな、お父さん、お母さんでやっているレベルですね、このところにやっぱりいろんな手当てをする必要があると思っておりまして、この間でいきますと所得税法五十六条の問題、家族従業員の経費が認められない、そのために税負担も高くなっていると。この部分はずっとちょっとエアポケットになっていますので、こういうほんの小業者、小零細業者のところに光を当てるというためにもこの五十六条をもう早く撤廃して、世界でも恥ずかしいわけですから、こんなことをやっている国はないわけですから。
 ずっと取り上げてきて、与謝野大臣は研究してみると、税務当局も抜本改正の中で検討していきますというふうになっています。この先、政権がどうなるかということもありますけど、民主党として一度峰崎先生に議論の俎上にはのせましょうという答弁もいただいていますけど、改めて民主党としてこの五十六条問題どうお考えか、簡潔に言ってもらえればと思います。

○尾立源幸君 大門委員よりも、四月の二十三日、峰崎委員に質問がありお答えした件でございますが、もう請願も多数これまで提出されておりますし、問題点も非常によく分かりやすく国会でも議論させていただきましたので、我々も時代の流れに合った、また経済状況の変化に合った、そういう制度に、所得税抜本改革の中できっちりと取り上げて議論をして、前向きに検討していきたいと思っております。

○大門実紀史君 ありがとうございました。
 それでは、与党の方の法案なんですけど、質問しようと思ったんですけど、もう前回この株買取りはさんざん質問いたしました。もう論外だと、こんなものはと。今回更に論外の中身になっておりますので、もうお聞きすることも、聞いても唇寒しという感じがあります。
 政投銀のことと関連して一つ指摘だけさせてもらうと、今回どうしてこういう状況で更に出てきたかというと、私、あのJ―REIT、今回、この委員会でも取り上げましたけれども、不動産業界のJ―REIT救済が具体的な目的じゃないかというふうに思っております。これも質問しても、いや、特定の業界のためではありませんと、同じ答えが返ってくると思うのでもうあえて質問しませんけど、あの推移を見れば必ず分かるのは、このJ―REIT救済のためにいろんなスキームが組まれているという点で、先ほど大塚先生からありました郵貯マネーをそれに呼び込むということも含めて、私、今回の法案は、つまらないものをまた出してきたというよりも、そういう具体的な目標を持っているという点で厳しく指摘しておきたいと。もちろん反対でございます。
 もう法案についてはほかに議論もありましたので、ちょっと緊喫の問題で取り上げさせてもらいたいと思うんですけど、通貨オプション契約の問題で今新しい問題が起きています。銀行と中小企業の間で大変な事態になっていますんで取り上げたいと思いますけど。
 通貨オプションというのは先物取引と並ぶデリバティブ取引でございます。どう言いますか、通貨をある一定の時期に売る権利、オプションですね、売る権利、買う権利を取引するというようなことで、大変ややこしい仕組みなんですけれども、素人にはなかなか分からない、普通の中小企業には分からないような仕組みでございますが、トラブルが急増しております。ちなみに、みずほ銀行から資料を提出してもらいましたけど、この二年間で百件を超える苦情が出ておりまして、これは氷山の一角でございます。銀行自身の調査でこれだけ出ているということでございます。
 これ、法律上は店頭の金融デリバティブ取引の一つと位置付けられていますけれども、リスクが大変高いものでございまして、不招請勧誘は原則禁止ということになっております。つまり、お客さんの方から説明してほしいとか勧誘の要請がなければ電話とか訪問による勧誘は禁止されているという商品でございます。
 ただし、例外規定がありまして、これが今問題になっているんですけれども、不招請勧誘を禁止しない場合ですけれども、例外規定ですが、外国貿易その他の外国為替取引に関する業務を行う法人については不招請勧誘をしてもいい、つまり訪問販売とか電話勧誘を行ってよいということになっています。この例外規定というのは、具体的に言えば貿易業者とか、何なんですかね、外貨取引を行うような業者で、極めて限定的に解釈されるべきものだと私は思うんですけど。
 改めて確認しておきたいんですけど、一般論で結構です。この例外に当たる業者なんですけど、例えば、ある建設業者が国内の材木業者から材木を買って家を建てるとします、建てるとします。この材木というのは確かに輸入材が多いので為替の変動の影響を受けないとは限りません、受けるといえば受けます。こういう場合がどうなるのかとか。あるいは、町の小さな、商店街のちっちゃなおもちゃ屋さんがあるとします。おもちゃというのも今外国で生産が多いわけですね。おもちゃの卸屋さんから仕入れると。ですから、その商店街の小さなおもちゃ屋さんは為替変動の影響を受けるといえば受けるということも言えるわけですけれども。
 こういうふうな一般の仕事をしている方で、たまたま仕入れに輸入品が絡んで為替の影響を受けるかもしれないと。こんな人までこの例外規定に入るのかどうか。入るとこういう人たちは不招請勧誘の禁止の対象から外れてしまうわけですけれども、こういう一般の国内の問屋さんから円で材料を仕入れている、こういう人までこの例外規定に入るのかどうか、金融庁の見解を聞いておきたいと思います。

○政府参考人(内藤純一君) お答えいたします。
 あくまで一般論としてお答えをさせていただきますが、先生御指摘のようなケースについてでございますが、国内の建設業者が国内の材木業者から輸入物の材木を日本円で仕入れるというようなことをもって、当該建設業者に対する店頭金融先物取引の勧誘が御指摘のような不招請勧誘の禁止の例外になるというふうには考えておりません。
 したがって、例外規定といいますか、この例外というものには当たらないというふうに考えております。

○大門実紀史君 この本当に府令ですね、正確に言えば、もうそういうことになるわけですけれども。
 ところが、今、大のみずほが、メガバンクのみずほが何をやっているかというと、この例外規定を拡大解釈して、どんどん通貨オプション取引を売りまくっているという問題でございます。
 具体的な例を申し上げますと、私のところに相談が来た例でいきますと、東京の建設業者の方で、仮にA社としておきます。売上げは年間十数億ですから、中堅以上の規模の建設業者でございます、会社でございます。もちろん今、材料は大体輸入材が多いんで、輸入された建材を使用されているというふうなことですが、ここにみずほ銀行から突然電話が掛かってきて、まず当座貸越しについていかがですかというセールストークの電話が掛かってきたと。それまでみずほとは全く取引のない会社でございます。当座貸越しの話、融資関係の話は、メガバンクからだったら、それは聞いてみたいとなりますね。それで来てもらったと。そのときに通貨オプションの勧誘が始まったんです。
 結論的に、みずほが言うには、材料費が上がったときの保険のようなものだということで入ってもらえませんかということで勧誘されたということで、当時は金融危機の前ですから円安ドル高の傾向だったと思いますけど、みずほは、今後は円安が基調になると、円安が基調になると。円高ドル安になってもせいぜい百五円ぐらいで、百円までなることはない、だから損はしませんということで説明をして、結局このA社の方は、当座貸越し契約と通貨オプション契約を同時に契約しております。つまり、訪問によって契約をしたと。不招請勧誘を外れてやっているわけですね。
 これが大変な事態になりまして、もう御存じのとおり、どういう契約かというと、契約した金額よりも円安になればみずほがその方にお金を支払う、円高になればその方がみずほに対してお金を支払わなきゃならない、こういう通貨オプション取引でございますけれども、その後、金融危機が起きまして急激な円高になったということで、このA社は一千万円以上の大損失を被りました。それがどんどんどんどん続きますので、契約の解除を、もう契約しているとどんどん取られると。解除を申し入れたら、解約費用が一億円以上掛かると言われてびっくりされまして、これも五年契約、こういうリスクの高いものを五年で契約させるというのもどうなのかと思いますが、それでこういう違約金が生じたということでございます。
 この場合、みずほのこのやり方の問題点は、一点目は、先ほど申し上げましたけど、当然これは不招請勧誘の禁止の対象になる業者でありますけれども、さっきの例外を拡大解釈して、為替の変動を受けるところはすべて例外なんだというふうに拡大解釈をして売りまくる、訪問販売、電話勧誘をやっていると。大のみずほがですよ、全国でやっているんですよ、大問題ですよね、これ。
 もう一つは、解約費用についても、金融商品取引法の三十七条の三では書面によってきちっと説明しなさいとなっていますけれども、解約したときにそんなに莫大なお金が取られるということは一切説明しておりません。
 ちなみに、名前は言わないでくれということなので言いませんけど、もう一つのメガバンクですね、大体分かると思いますけれども、そのもう一つのメガバンクは、解約のときにどれぐらい解約費用が掛かりますかというのを具体的な数字で、あなたの契約の場合は幾らですということをちゃんと親切に説明をしております。みずほは一切説明をしておりません。これでいきますと、この金融商品取引法三十七条の三の契約締結のときの説明義務にも違反しているんじゃないかと思いますし、更に言えば、こういう融資と一緒にとか、あるいは融資先にこういうものをどうですかというのは、三井住友で大問題になりましたああいう優越的地位の濫用にも引っかかる可能性が高いと私は思っております。
 メガバンクのみずほのことでございますし、この通貨オプションというのはもう大量にこの間販売されているものでございますので、この不招請勧誘禁止違反、契約事項の説明も不十分と。さっき言った優越的地位を濫用している可能性も高いということで、みずほ銀行全体にかかわる大問題でございますので、至急、私の方で資料もございますので、金融庁に提出もしても構いませんので、調査も含めて厳正に指導してもらいたいと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(三國谷勝範君) お答えいたします。
 個別の事案についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、金融機関がデリバティブ商品などを販売する際には、金融商品取引法などの関係法令にのっとった勧誘を行うこと、優越的な地位を不当に利用し、取引において顧客に不利益を与える行為を行わないこと、また、中途解約時の解約精算金の発生可能性、その計算方法について創意工夫をしながら書面を交付して説明することが重要と認識しております。
 金融庁といたしましては、各金融機関が関係法令等を遵守するとともに、説明体制の整備に万全を期すよう十分な取組を行うことが重要と考えており、このような観点から、適切な検査監督に努めてまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 まあ三國谷さんとはもうあうんの呼吸で、そういう一般論としてと言われたときは必ず指導していただいておるので、信頼したいと思います。
 三國谷さんは今日の報道によりますと御栄転だそうでございまして、恐らく私としては今日の質問が三國谷さんに対する最後の質問になるというふうに思います。貸金業法の改正、あるいは個々にはいろいろありますけど、全体として、金融行政が利用者保護の方にかじを切るときに大きな役割を果たされたというふうに思います。心から敬意と感謝を申し上げておきたいと思います。
 今日は、これで質問を終わります。

○大門実紀史君 日本共産党を代表して、銀行の株式保有制限法改正案、日本政策投資銀行法改正案については反対、民主党提出の二法案の原案並びに修正案に賛成の討論を行います。
 銀行の株式保有制限法改正案は、公的資金で買い取る銀行保有資産を株式だけではなくETFやJ―REITなどの金融商品にまで広げるものです。株価引上げのために公的資金を使うことは金融機関の自己規律を失わせ、かえって金融システムの弱体化をもたらすものであり、反対です。
 次に、株式会社日本政策投資銀行法改正案についてであります。
 既に政投銀は個別大企業に対する直接融資という異例の救済策を実施していますが、この資本増強により更に最大十五兆円の大企業向け支援を上乗せすることになります。このような救済策の拡大は、大企業の経営責任を不問に付すだけではなく、過剰融資の焦げ付きによる巨額な国民負担の危険を高めるものであり、反対です。
 民主党提出の二法案は、経済危機の直撃を受ける中小企業の経営を支援するものであり、賛成です。
 以上で討論を終わります。
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