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○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。私も、消費税と社会保障、年金財源について伺います。 先ほど峰崎さんから、この問題ではかなり精緻な議論がございました。私は、最後のところの話なんですけれども、つまり、社会保障のためと、消費税増税はですね、言ってきたけれども、今回のこの大型の経済対策で相当の国債を発行すると。結局やっぱり財政再建に使われるんじゃないかと、もう社会保障のためというのは事実上成り立たないんじゃないかと思っておりましたけれども、先ほどの峰崎議員とのやり取りで、後できちっとしたはっきりした言い方をされるということですけれども。 簡単に考えて、当たり前の話なんですよね。赤字国債のところを先に手当てしてから社会保障財源に来ると。そうですよね。財源が足りないから赤字国債を発行するわけだから、そういう順番になりますよね。そうすると、大臣おっしゃるとおり、安定財源のためとか結局は社会保障に行くんだと言いながらですけれども、こういうことは起きませんか。消費税増税をすると、しかし、先にその赤字の方を解消しますから、増税はするけれども社会保障給付は増えないと、こういうことは起きませんか。 ○国務大臣(与謝野馨君) まず、現行水準の社会保障制度を維持するということが一つ。それから、現行の医療、介護等でほころびが出ているところ、これは当然やらなければならない。それと、社会保障国民会議で言っておられる、国民が期待している医療、介護の分野の機能強化というものに使ってまいるわけでございますから、全体としては社会保障財源に充てることになるわけでございます。 ○大門実紀史君 そういう言葉ではなくて、具体的な話ですよ。 例えば、消費税仮に五%上げたとしますね。今のまず赤字、赤字国債で財源を担っていますから、それを解消していくと。舛添さんさっき言われたように一〇%いきなり上げるとか二〇%上げるならまた話は違いますが、まず起こり得るのは、赤字国債を発行しなくて社会保障財源を何とか担ったと、消費税増税と。しかし、結果的に増税しても現場での社会保障給付が全然良くならないということは十分起こるんじゃないかと思うんですよ。その点だけ聞いているんですけれども。 ○国務大臣(与謝野馨君) 仮に消費税を例えば五%上げても、それを全部社会保障制度に使ったとしてもなおかつお金が足りない、一般歳出の中から相当な部分を社会保障の中に入れていかなければならないわけでございます。 しかし、今まで借金をしていた分、一般歳出の中から入れていた部分がなくなるわけですから、機能強化とかそういうことには政策的な配分が私は可能になると思いますし、既に平成二十一年度の補正予算の中で、例えば介護の領域で給料が低いという問題があって、それに対して財政上の措置をしたわけですから、医療、介護の分野においては機能強化や現場におけるニーズを充足していくという考え方は当然出てくるわけでございます。 ○大門実紀史君 今日は時間短いので、また大臣と財政金融委員会でやりたいと思いますけれども、こちらも具体的な数字を示したいと思いますが、社会保障のために増税しますと、国民は納得してくれと。みんな良くなると思うじゃないですか。将来安心する年金制度になるとか介護も良くなると、そう思うじゃないですか。ところが、実際には、お金が先に財政再建の方に回って、社会保障は全然良くならないという可能性が十分あるということを私は指摘したいと思うし、先ほど峰崎先生からありましたけど、もうちょっとはっきりした率直な言い方をされるということですから、そのときにはもうちょっときちっとしたものを示していただきたいということだけ今日は申し上げて、次の方を聞きたいと思いますが。 資料をお配りいたしましたけれども、基礎年金を全額消費税で賄ったケースということで、この基礎年金の、最低保障年金と言ってもいいですけれども、この部分を全額消費税という議論は、実は経団連、経済同友会、大企業、財界の方がかねてから主張されておりました。経済財政諮問会議でも民間議員から提案されてきているものでございます。我が党も最低保障年金は全額税方式というふうに考えますけれども、消費税で、何ですぐ消費税消費税となるのかと大変不思議に思いますけれども、消費税で賄うとなると、単に財源論じゃなくて、それだけではない問題点が出てくるという点で、資料をお配りして指摘をしたいと思いますが、要するに、左の方は、現行どうなっているかということでございます。基礎年金、今二十・五兆の財源が必要ですけれども、共済年金、国民年金、厚生年金というところで、国庫負担も含めて、厚生年金は被用者負担、企業負担も含めてその内訳を書いてございます。一番上の雇用主の保険料負担というのは、共済年金の、これはもう今でも一般財源です。 これが全額消費税となったら右の方になるわけでございまして、今申し上げました雇用主の保険料負担、共済年金の〇・五兆円、これは一般財源のままで移行しますので、差引き二十兆円の財源が消費税で賄うと、こういう話が今あちこちから出ているわけでございます。これ税率にしますと、消費税率にすると約八%になりますので、すべてここに消費税をぶち込んだとしても、少なくとも今より三%引き上げないとこの全額消費税方式は成り立たないということでございます。 私は以前にも、中川大臣、額賀大臣のときでしたか、この問題で質問したことがございますけれども、問題は、もちろん消費税でやることそのものは我が党は反対でございますけど、こういうやり方をすると、企業の負担分、約四兆円、これは年によって変わりますけど、今のベースだと三・八兆円ですけど、これがゼロになってしまうと。これ、ゼロになるだけじゃなくて、全体で見てもらえば分かるとおり、その分を国民全体が消費税で負担すると、みんながかぶると、企業の負担分をかぶるということになりますですね。これは大問題だと、この方式の、私は思っているんですけれども、与謝野大臣の認識を聞きたいと思います。→資料(PDF) ○国務大臣(与謝野馨君) 企業がやはり社会保険料を負担するというのは当然のことでして、国民年金の負担分をまさか逃れようとして全額税方式を主張しているとは思いたくありませんけれども、三兆八千億ものお金、これはやはり企業に御負担をいただく必要があると思いますし、加えまして、非正規雇用に対する社会保障に関する負担もやはり企業はきっちりやらなきゃいけないと、私はそう思っております。 ○大門実紀史君 この話が最初指摘されたときに、御手洗さんが、非正規雇用対策にそういうのはおっしゃるとおりだから使わなきゃと、すぐにやらなきゃとおっしゃったけど、その後あの大派遣切りをやったわけですね。そんな話は信用できませんよ。ですよね。 だから、私は、それと、まさかこれを自分たちが逃れたいから主張しているわけではないと思いますけどって、そうじゃないんです、逃れたいから主張しているんです。経団連の要望書を見てください。自分たちの社会保障負担を減らせということで強く要望している中の一つですから、もう明らかなんですよ、彼らの方が正直なんです。ですよね。 そういうものにこたえるのはもうとんでもない話だというふうに思いますし、もう一枚資料をお配りいたしましたけれども、今こういう企業が負担していた分を国民に押し付けるなんてとんでもないんですけれども、そもそも日本は社会保障に対する企業負担が少ないんです。 現在、各国の社会保障財源がどうなっているかと、社会保障財源の構成比でございますけれども。まず言いたいのは、よく言われますけれども、ヨーロッパというのは消費税の税率が高いから社会保障が充実しているんだと、だから日本はもっと消費税を上げなきゃいけないんだと、すぐそういう話がまことしやかに言われておりますけれども、それは全くのうそでございます。ヨーロッパは別に付加価値税で社会保障財源を賄っているわけではございません。その他の税とか社会保険料、これを中心に社会保障を賄っているということでございます。 ですから、こんな状況なのに更にさっきの基礎年金全額消費税論なんて言われると企業負担はますます下がると。消費税、付加価値税が社会保障を占める割合はひょっとしたらもうヨーロッパを逆転してしまうかもしれないというふうな認識をきちっと持ってこういう議論を私はすべきだというふうに思います。 ですから、税と社会保険料負担を合わせますと、国際的に見て日本の、特に大企業の負担は軽いわけでございます。ですから、すぐ消費税の増税の話ばっかりになるんですけれども、まず大企業に、特にこの社会保険料負担低いわけですから、現在のですね、こういうものの在り方を見直す、ちゃんと応分の負担をしてもらうと、まずそういうところから財源論は考えるべきじゃないかと思いますが、与謝野大臣、いかがですか。 ○国務大臣(与謝野馨君) ただ、先生にお考えいただきたいと思うのは、やはり日本の付加価値税率、これはもう五%の水準にあるのは日本と台湾だけであって、EUに加盟する基準というのは付加価値税一五%がほとんど義務化されているわけでございまして、やっぱりそういう意味では、どこかで国民に御負担いただかないとあらゆる制度、あらゆる政策が支えられなくなる。消費税について目的税化するということを申し上げているのは、やっぱり国民にきちんと説明可能なのはこの分野ではないかというふうに我々が考えたからでございます。 ○大門実紀史君 いや、もうEUはEUなんですよ。日本は日本なんですよ。そんなの関係ないですよ。せっかくこの資料を示しているのに、この資料を見た上で御答弁をお願いしたいと思いますけれども。 舛添大臣は、この社会保険料負担ですね、あとほかの税、そして付加価値税のバランスといいますか、日本の議論は今ちょっと違うところにあるんじゃないかと私は思っているんですけれども、もっと正すべきところは正してからだと思うんですが、いかがお考えですか。 ○国務大臣(舛添要一君) ヨーロッパ、EUは長い歴史ありまして、スウェーデンなんかは社会民主党が戦前からずっと政権を取っている。そして、例えばドイツなんかは、これはミットベシュティムングという共同決定法で、労働組合を含めてそこに大きな力がありました。そして、ドイツの社会民主党、SPDは一九五六年、バートゴーデスベルク綱領から非常に現実的な政策を出してきておりましたんで、日本のがこういうふうになっているというのは、やはりずっと野党でおられた政党がもう少し現実的な政策を取り、政権交代が頻繁に行われていたならばヨーロッパ並みになったような気もいたします。 しかし、いずれにしましても、企業の社会的責任ということはやっぱり考えないといけないということと、それと、要するにこの話をすると企業の国際競争力の話になります。私は、やっぱりこういう数字を見ていると、日本の企業も更なる努力をして、こういう負担を増やしてもなお国際的な競争力のある、そういう企業に更に成長してもらいたいと思っております。 ○大門実紀史君 すぐそういう国際競争力とかいう話があるんですけれども、今ちょっと舛添さん言われたようなところあるんですけれども、まだ余裕があるんですよね、こうやって見ると日本の企業、負担能力にですね。まずそれを正すべきですよ。それから低所得者まで税金が掛かるような消費税の話をすべきです。我が党はそもそも反対ですけれどもね。 そういう順番抜きに、しかも、企業の負担を軽くしてあげるような年金財源全額消費税、基礎年金の全額消費税化なんていうのは、今あれですよ、国民の半分は社会保障財源と言われても消費税増税反対ですからね、今は、世論ですね。そう言われても反対だというところをきちっと押さえて、しかも、こんな企業の負担をみんなでかぶるなんというのは絶対だれも賛成するわけはないというふうに思いますし、是非、総選挙で審判は下されると思いますけれども、堂々とその辺をきちっと打ち出してお互いやりたいということを申し上げて、質問を終わります。 |
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