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○大門実紀史君 大門でございます。 金子大臣、佐藤大臣、お忙しい中ありがとうございます。野田大臣も御苦労さまでございます。 以前にも申し上げましたけど、私は、消費者庁が発足して具体的に消費者庁の真価が問われるのは事故が起きたときにちゃんとした対応ができるかどうかだろうと、一番それが分かりやすく問われるのではないかということを申し上げて、ちょっとそのことにこだわって質問をしてきたわけですけれども、そこのところでまた事故の対応が遅れたりあるいは各省庁ももたもた対応すると、何のために消費者庁をつくったんだということになる問題でございます。 ですから、これは走りながら考えていくというわけにはいかなくて、何といいますか、午前中もありましたけど、消費者庁ができたら事故対応やりますとか情報の一元化進むから大丈夫というふうにありましたけど、私はちょっと甘いなと思います。そういう紙の上の話じゃなくて、ペーパーの上じゃなくて、もうちょっと実践的に詰めておく必要があるというふうに思っているところですので、その問題を取り上げたいと思いますけれども、この点で、今まで起きた事故からきちんと教訓を引き出すと、あいまいにしないということが大変大事だと思っておりまして、その点で、今日、市川さんを参考人にお願いして来ていただいているところでございます。 市川さんは、お聞きしたら、国会でお話しされるのが今日初めてだそうでございます。国土交通委員会は一体何やってきたのかというふうに思いますし、その点この委員会は大変温かい人がそろっているなと。今日も応援する質問をたくさんしていただきましたし、理事会でもみんなで呼ぼう呼ぼうということになったわけでございます。 資料の一枚目に事故の概要、詳しく知らない方もいらっしゃいますので一応用意しておきましたけれども、今日もいろいろもう既に御発言ありましたけれども、率直に申し上げて、市川さん、三年間ほったらかしにされたといいますか、今でもほったらかしの状態でございますけれども、もっと警察あるいは国交省に言いたいことがもっとたまっているんではないかと、もう三年間積もり積もったものがあるんじゃないかというふうに思います。 そういう点で、今日は金子大臣と佐藤国家公安委員長に来ていただいているわけですので、御遠慮なく、幾ら厳しいことを言われても、お二人とも優しい方でございますのでちゃんと受け止めていただけると思いますので、言い足りなかったことを含めて率直に警察と国土交通省におっしゃりたいこと、思いのたけを改めてお話しいただければというふうに思います。 ○参考人(赤とんぼの会、エレベーター事故犠牲者遺族市川正子君) 訴える場をいただいてありがとうございます。 事故から三年です。息子は十六歳でした。子を持つ親として、子供が先に逝ってしまう、この悲しみは一生終わることなく、時間がたてばたつほど私の中では重みが大きくなっています。 〔委員長退席、理事岩城光英君着席〕 被害者家族としてこの三年間、ずっと赤とんぼの会の方に支えられ、訴えてきました。本当にこの支えがなかったら、私ここで訴えていられたかどうか、ちょっと自信がありません。なぜなら、私たち家族が置かれた立場は本当に厳しいものであり、また今も厳しい状態です。 まず一つは、先ほどもお伝えしましたように、製造元のシンドラー社から、あれだけの不具合が続く中での説明、謝罪、それから利用者の全体の命を考えた上での協力をするという言葉がいまだにもらえません。 メーカーにも聞きました。これだけの、港区でシンドラー社の不具合は、港区発表では四十三件も出ている、この不具合に対してどう思いますか、教えてくださいと行きました。でも、メーカー側は警察に協力しているから言えない、もちろんシンドラー社も警察に協力しているから言えない。エレベーターの技術の方に聞こうとしました。しかし、エレベーター業界の中のしがらみがあるからといって何も聞くことができませんし、やはり警察に協力しているから言えない。独立系の方にも聞きましたが、やはり警察に協力しているために言えない。 〔理事岩城光英君退席、委員長着席〕 私たち家族は、先ほどもお伝えしましたように、息子があの日からいない、この事実だけを耐えるのみで、あとはずっと聞くことができない。国土交通省は、あのシティハイツ竹芝のあれだけの不具合の中でワーキングチームをつくって対策をしていただいた。しかし、事故原因究明をせずして、対策のみ。議員の先生方からの御指摘がなかったら、一度も事故機を見ずしてワーキングチームが解散してしまうと。そのような状態を聞いたときに、正直言ってもう愕然といたしました。息子の命は何て軽いんだろうと。行政にとって一人の人間の命は何でこんなに軽いのか。 息子は学校が大好きで、野球が大好きで、レギュラーになって、あの日、あの事故のときに、朝六時半に、授業の前の朝の練習のために、野球の練習のために出かけていきました。そして、いつものように帰宅。エレベーターに乗り、十二階で止まり、扉が開いて降りただけなんです、降りようとしただけなんです。なぜ扉が開いたまま上がったのでしょうか。なぜ三年も事故の原因究明がされないんでしょうか。教えていただきたいんです。 一人の命だけでないです。もちろん、親としては息子を返せ、息子の命を返せと気が狂うほど訴えたいんですが、それだけではないと赤とんぼの会の皆さんとともに、エレベーターはみんなが使うものであり、だれにでも起こり得る事故だと、私の中でもそういうふうに思っています。ですからこそ、何としても徹底的に原因究明をして、エレベーターの扉が開いたまま上がったり下がったりと安全基準で義務付けられているこの戸開走行、二度と起きない再発防止の一つとなるように調査していただきたいんです。 どうしても、悔しいという思いは、やはりこの事故は防げたと何度も何度も思ってしまいます。それは、先ほどもお伝えしましたように、エレベーターの不具合が四十三件と出たときに、住民アンケートを取りました。そのときに、事故の隣の同型機が七月から十一月まで二十一件、四か月弱で二十一件の不具合が出たんです。もうこれだけでも調べていただけると国土交通省に期待をしましたが、それでも調べていただけなかった。赤とんぼの会の方と、徹底的な事故の原因究明の調査と、それから独立した中立な事故の調査機関、これを設置していただきたいと訴え続けています。 今のでいいじゃないかというふうにおっしゃるお友達もいます。しかし、この三年の中で本当にどうしてこんなに進まないのかということを何度も何度も考えると、やはり様々な各省庁の影響を受けない、組織から影響を受けない、そういうところできちんと中立な調査機関として調査をしていただきたい。 そして、どうしても防げたというもう一つの思いは、シンドラー社のエレベーターは海外でも起きていました。二〇〇二年に香港で起きていました。戸開走行です。それは機種が違うとか、あるいは建物に付けた条件が違うとか、いろんなことをおっしゃいます。でも、エレベーターにとってあってはならない事故が起きているわけです。どうして調べていただけないのか。海外ではすぐに二重ブレーキを設置しました。何で、どうして、日本の中で早急にそういう対応をしていただけなかったんでしょうか。 それがもしなっていたならば、息子は命を失うことはなかったと思います。事故の前に同じ野球班の同級生のキャプテンから、すべてにおいて信頼できる友達だと言われたと、今でも耳に残っています。とてもうれしそうでした。一生懸命学校行事、そして勉強に、仲間に、人とのかかわりが大好きだった息子、正義感の強かった息子。いまだに何も報告することができないんです。 先ほどもお伝えしましたが、消費者のための事故の原因究明調査機関をつくっていただきたいんです。エレベーターだけでなくて、あらゆる生活の中で起きる、調査機関でいいのです。 この悲しみは終わることはないですが、事故は少しでも減らすことができます。どうか先生方、よろしくお願いします。 ○大門実紀史君 ありがとうございます。 独立した調査機関をつくっていくということはみんなでそういうふうに考えているわけですが、私はこの間起きたこのエレベーター問題をおろそかにして、どんなものをつくったって駄目じゃないかなと思っておりますので、今時点のこの昇降機等調査委員会の在り方も含めて、これはきちっとさせることがその独立した調査機関にも生きていくと思いますので、ちょっと金子大臣にお伺いしたいんですけれども。 まず、先ほどもあったんですけれども、市川さんのところにだれも事故の原因、まあ原因は分からなくても、途中経過も含めてだれも説明にいまだ行っていないと、これはどういうことなんですか。(発言する者あり) ○委員長(草川昭三君) じゃ、小川審議官。 ○政府参考人(国土交通大臣官房審議官小川富由君) お答えいたします。 市川さんからも既に……(発言する者あり) ○大門実紀史君 いいよ、もう座りなさい。 ○委員長(草川昭三君) じゃ、金子国土交通大臣。 ○国務大臣(国土交通大臣金子一義君) まず冒頭に、大変今、市川さんのお母さんから、ダイスケさんのお母さんから事故の痛ましい報告を改めてお伺いいたしました。市川ダイスケさんの御冥福を、あっ、ヒロスケさん、失礼しました。大輔さんの御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げます。 この事故の対応で、今いろいろな、お母さんから御要請がありました。事故発生直後に国土交通省が実機調査、実機調査というのは実態の、エレベーターをすぐ確保してという意味になりますけれども、調査を行ってこなかったというようなことなど不十分な点がある点を、御指摘を踏まえまして、事故発生直後から警察とも連携しながら、昇降機等の事故発生再発防止の観点から原因調査及び事故再発防止等に係る調査検討、これを行うために、本年二月でありますけれども、常設の昇降機等事故対策委員会を設けたところであります。 それから、今、国土交通省はお邪魔してないのかということでありますが、平成十九年の三月、市川さん御夫妻、それから港区の区長さん等々と住宅局長お目にかからせて、おととしでありますけれども、お目にかからせていただき、事故原因の究明、いただいております。 それから、同じく十九年の十一月には、市川夫妻、弁護士さんと国土交通省でこれはお目にかからせていただくといったようなことで……(発言する者あり)全く、全くどうも、国交省と全く連絡はないのかよということについては、そうではなく…… ○委員長(草川昭三君) 大臣、分かりました。もうそれで。 ○国務大臣(金子一義君) お目にかからせていただいていると思います。 ○大門実紀史君 それは何度も要請に伺っていらっしゃるでしょう。私が申し上げているのは、市川さんのお母さんが言われたとおり、一度も事故についての、途中経過でもいいから、内容についてとか原因とかそういうことについて説明がないということを申し上げているんで、無駄な時間つぶさないでくださいよ。何やっているんだ。ちゃんと答えろよ、ちゃんと、聞いていることに。 じゃ、大臣、これからでも結構ですよ、これからでも…… ○国務大臣(金子一義君) 事前にちょっと聞いておいてよ。事前にちょっと聞いておいてくれなきゃ困るじゃないの、それ。 ○大門実紀史君 何言ってるんですか、何言ってるの。言ってあるよ、そんなことは。 ○委員長(草川昭三君) いやいや、大臣、大臣、議事の整理は委員長がやりますから。 ○大門実紀史君 そんなこと当たり前じゃないか、そんなこと。当たり前じゃないか、普通に答えるのが。何言っている。 じゃ、今からでも遅くないと思いますけれども、その昇降機等事故対策委員会で、市川さんからもありましたとおり、既に事故の前に不具合が出ている、そういうことは皆さんで調査されているんですから、今からでも遅くありませんから、少なくともこの昇降機等事故対策委員会で市川さんたちのお話をまず聞いてもらって、事故原因の究明に、国交省としての事故原因の究明に市川さんたちのやっていらっしゃることを役立ててもらいたいと思いますけれども、大臣の指示で、その委員会に市川さんたち呼んで話を聞くようにという指示をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。 ○国務大臣(金子一義君) 是非それは実現をさせていただきたいと思います。 ○大門実紀史君 私、別に、もう国交省随分反省もされているようですので改めてどうのこうのと言うつもりはなかったんですけれども、その余計なことを言う、余計なことで一々一々そうやって何かやってきましたということを示したがる態度を変えなさいと言っているんですよ。素直になりなさいというんですよ、言われたことに対して。 それで、もう時間がないんで。今日申し上げたかったのは、要するに、二枚目の資料にございますけれども、前回質問でもやったんですが、運輸安全委員会では警察庁と国交省で取決めをしているんです、この犯罪捜査、事故調査というのは対等、協力の関係だと。この原則を、対等、協力の関係だという原則をきちっとしないと、私は、独立した調査機関であろうと何であろうと、結局実践的には現場ではうまくいかないと思っているところでございます。 もう時間がないんで、じゃ、佐藤さんの方にお伺いしますけど、私は別に、これは運輸安全委員会ですから、航空機等は大きな事故かも分かりませんが、人の命に数は問題ございません。すべてについて、警察庁と、消費者庁とも含めて、消費者庁とも国交省ともこういう覚書を交わすことは別に十分可能じゃないかと、こういう対等、協力の原則を文面にして交わすことは重要だと思いますし、可能じゃないかと思いますが、いかがですか。 ○国務大臣(国家公安員会委員長佐藤勉君) 協力関係ということでよろしゅうございますでしょうか。 警察におきましては、消費者事故を認知した場合には、消費者安全情報統括官の枠組みを活用しつつ、事故の発生状況や被害の程度等の情報を内閣府及び関係省庁へ提供しております。そして、警察といたしましては、今後も、その関係省庁との事故情報を共有して、関係機関との調査に配慮しながら綿密な連携を図ってまいりたいというふうに思っております。 ○大門実紀史君 それは知っているんです。それは知っているんですが、それは前回質問でやったんですけど、要するに、国交省が協力をお願いして、こたえてあげるという関係なんですよ。そうではなくて、この運輸安全委員会というのはほとんど同時に調査に入るわけです、事故調査委員会と。これは別に何条委員会とかいうことじゃなくて、こういうきちっとした覚書を、歴史もあるんですけど、交わしているものですから、スムーズにやって現場でもうまくいっているわけですね。こういうものを今後消費者庁あるいは国交省と交わしていただきたいと、そういう方向はいかがお考えかを聞いているわけですけれども。 ○国務大臣(佐藤勉君) 先生がおっしゃられることは当然のことだろうというふうに思いますし、今後スムーズにいくようなこと等々は警察庁としては決してやぶさかではないというふうに考えております。 ○大門実紀史君 警察庁としては構わないということですので、金子大臣、是非交わしていただきたいと思います。 ○国務大臣(金子一義君) 先ほど市川さんに多少失礼なことを申し上げたかと思いますけれども、やはり本件について、実機がなかなか、警察が物件を押さえますので、国交省は実際の現場検証をできなかったというこういう反省が今回ありました。そこで、今、佐藤長官からもお話しいただきましたように、警察とも文書で取り交わしまして、事故が起こったら直ちに国交省も今度は警察と一緒にすぐ調査へ入れるようにさせていただくという、それは対応として取り交わす、お互いに取り交わすということにさせていただきました。多少、隔靴掻痒の部分が国交省自身にもありましたけれども、これで直ちに事故調査、事故直後から今度は入らせていただけるようになると思っております。 ○大門実紀史君 その文書はあくまで協力要請なんです。こういうきちっとした対等、協力の関係の覚書文書ではございませんので、それをちょっと見ていただいて、警察庁の方は交わしても構わないということですので是非検討してもらいたいと思いますし、消費者庁として発足したらまずやっていただきたいのは、組織論とか一元化とかいろいろ言葉ではあるんですけれども、実際にまず警察庁あるいは消防庁とこの覚書をきちっと取り交わしてもらうことが、実効性のある、情報の一元化を含めて重要なことだというふうに思っているんで、ちょっと時間をオーバーしましたけれども、野田大臣、いかがお考えか、是非取り交わしてほしいと私は思うんですけれども。 ○国務大臣(野田聖子君) 以前も委員にお答えしたと思いますけれども、現在、消費者事故の原因究明の在り方については国民生活審議会の方で昨年の秋からずっと議論していただいていまして、その中に、今の運輸安全委員会の例を引っ張り出してきて、やはり消費者庁、関係府省庁と警察との間の密接な連携等の実現に取り組むべきであるという御指摘をいただきました。 私としては、所要の体制整備にしっかり努めてまいりたいと思っております。 ○大門実紀史君 終わります。 |
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