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○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。 三人の先生、今日はお忙しい中、ありがとうございました。 学者の方にもいろんな方がおられるんだなというふうに思いまして、いろんな意見聞けていいなと思っておりますけれども。 まず土居先生に伺いますけど、土居先生は何度も国会の参考人で来られておりまして、予算委員会でも私も何回か聞いたことがありますけど、毎回余り意見が私と合いませんが、率直な意見をいつも聞かせてもらっていると思いますけど。ただ、ちょっと先ほど気になったので一つだけ言いますけど、今回の政府の税制改正案が、何ですか、経済学者の中で高い評価を受けていると。私、初めて聞く話だなと思うんですけれども、それ本当なんですか。 ○参考人(土居丈朗君) すべてとは申し上げておりません。附則で中期的な方針をお示しになられたというその姿勢を高く評価しているという、そういうところであります。 ○大門実紀史君 つまり、消費税増税を推進の学者の方には高い評価を受けたということだというわけですね。 私、もう最後ですので、ちょっと大きな話をお聞きしたいんですけれども、土居先生の資料の十六ページにあるんですけど、これは三人の先生方にお聞きしたいなと思うんですが、法人税の帰着と国際間税率引下げ競争というのがございます。 申し上げたいのは、今百年に一遍の危機と言われておりまして、今までの市場経済の在り方とか、大きく言えば資本主義の在り方とか、市場原理主義に行き過ぎたんじゃないかとか、とにかくこの二、三十年ぐらいの資本主義の在り方、市場経済の在り方が大きく問われていて、それをはっきり見直すんだという世界の国々のトップリーダーもいるわけですけれども。 つまり、今までは、この経済危機が起きる前というのは、先生お書きになっているとおり、税でいえば所得税、法人税中心の税制から消費税といいますか、消費課税を重点にしておこうというふうに、流れもちょっとありましたし、まあなっていないところもありますが、叫ばれてきたのは事実でございますね。それは経済のグローバル化が進むものですから、企業利益とかあるいは金融所得とかに課税すると逃げていっちゃうということから、そういう方向といいますか、それが叫ばれてきたわけですが、その結果、こんな事態が起きたという面も指摘されているわけですね。 つまり、これからも、このお書きになったような引下げ競争を仕方がないと、これはもう歴史の流れだというふうに前提にしちゃって物を考えていいのかなというふうに私は率直に思うんです。それを突き詰めていくと、もう限りなく企業負担をゼロにしていくと、なっていくと思うんですよね、競争して引下げ、足の引っ張り合いになりますから。合成の誤謬ですよね、それぞれの国はいいと思っていても全体では企業負担が限りなくゼロになると。それのお金が仮に労働者とか雇用とかに回るならまだしも、土居先生、さっき経済学的には回るんだとおっしゃいましたけど、実際には回ってこなかったというのが、日本では特にそういう現実があるわけです。 そうなりますと、元々、大体海外に逃げるというのは、税よりも労働コストとか為替の問題がありますから、そちらの方が大きいと思うんですけれども、仮にこの税の話にしても、そういう方向を、この百年に一遍の危機が起きて、いろんなことを、もうパラダイム転換、考え直さなきゃいけないときに、同じように引下げ競争で国際競争だと、下げないと逃げていくんだという、そういう発想でこれからもとらえていいのかなと。 実は、国会の中でも、国際連帯課税とかあるいは租税回避についても、財務省もグローバルに考えなきゃとか、ちょっと国同士できちっと何らかの連帯をして、限りない引下げ競争というのはお互いマイナスになるからどこかで歯止めを掛けていこうというようなこともあってもいいんじゃないかと、これから、私は先生のこの資料とは反対の意見になりますけど、思ったりしたんですけど。 その辺、土居先生、浅羽先生、醍醐先生、それぞれ簡潔に、どういうふうに今経済学者が求められているのかということも含めて御意見あればお聞かせいただきたいと思います。 ○委員長(円より子君) では、土居参考人からお願いいたします。 ○参考人(土居丈朗君) 今御指摘にあったように、パラダイム転換というのは、これは起こっているという可能性が非常に高いと私は思っております。ただ、何といいますか、法人税の在り方も、当然ながら今までのようなやり方でいいのかということも、これまた問われております。 当然ながら、国際的な税率引下げ競争は、恐らく日本の財務省とてそんなに歓迎していることではないとは思っておりますが、ただやはり、何といいますか、国際協調がそれほど容易にできるかどうか。例えばOECD加盟国の中でもどこまで協調できるのかということになりますと、確かに、原則的には協調しそうだけれども、やっぱり例えば今回も、オバマ政権は、民主党の政権に替わったんだけれども、景気対策の中には法人税の税負担軽減ということがパッケージで盛り込まれていたりするというようなことがあると。やはり政治的誘惑として、法人の税負担の軽減ということに駆られるというところは政治的にはあって、グローバル化がどうなるかいかんにかかわらず、今既にある法人税負担を何かいろいろな政治的な思惑を込めて引き下げたいというふうに思う節が、私が見ている限りでは欧米ではまだ残っているというふうに思います。 もちろん、経済学者の中でも今後の世界経済の動きをにらんでどう法人税制考えていくべきかということについては議論がありまして、イギリスでマーリーズというノーベル経済学賞を受賞した経済学者が中心になって、マーリーズ・レポートというものを今議論し、まとめつつあるんですけれども、もちろんそこでも意見がいろいろあるので、その経済学者の意見はぴったり満場一致で合っているというわけでは全然ありませんが、一つの方法としては仕向地主義法人税というようなもので課税していくというのはどうかと。 つまり、どこに物を売ったかと。例えば日本企業がアメリカに物を売ったということだったら、それで税金を掛けるという、そういうような考え方も出されておりまして、今までの発想は、その会社がどこに立地しているか、どこに本社があるか、そこで上がった利益に課税するという考え方があったりとか、そういうことばかりが多かったんですが、そうじゃなくて、どこに物を売って利益を稼いだかということを基に課税してはどうかという発想も出てきている。 ところが、よくよく気が付いてみると、どこに物を売って稼いだかという法人税というのは、実は付加価値税に近い発想だったりするわけです。そうなると、法人税と言いながら、実は日本で言うところの消費税に近いような発想の法人税になっていたりするというようなことからすると、私は、引き続き消費課税へのシフトという潮流は、そういう意味も含めて言えばまだまだ今後も続くのかなというふうに思っております。 ○参考人(浅羽隆史君) 大門先生、ありがとうございます。 グローバル化が今後どうなるかという点につきましては、ちょっと直ちに答えを用意しておりませんで申し訳ございませんけれども、ただ、行ったり来たりいろいろと動きはあるでしょうけれども、一度これだけグローバル化したものがいきなりそうでなくなるということは、常識的にもそう考えづらいのかなというふうに私は思っております。 方向として、先生おっしゃったように、連帯税とか国際協調税とか、それができるのであれば、当然各国政府ともその方が望ましいというふうに第一義的には考えていると思います。少なくとも、私はそれの方がいいとは思います。ただ、それが現実にできるのかという点につきましては、例えばEU諸国だけ見ましても、先ほど私、環境譲与税なんということを提案として申し上げましたけれども、炭素税一つ取りましてもなかなか協調ができない。でも、中にやっているところもある。ですので、楽観と悲観の両方があるのかなというふうに思っています。 ただ、現実の問題として、税率の引下げ競争が少なくともこれまであったことは事実ですし、今後もしもそれが続くようであれば、やはり日本としては両面で、楽観と悲観の両方の方、楽観の方としては連帯の方向で行けないのかという道を探るのと同時に、しかしながらということで、悲観の方向である程度引下げ競争に乗らざるを得ないんじゃないのかなというふうにも思っております。 ただ、先ほど大門先生がおっしゃいましたけれども、企業が移転するときに考えるのは税だけじゃないんじゃないかということは確かにそのとおりで、ただ、そのときに税の関連する分野で社会保険料が、またこれが非常に常に議論になるところだと思います。私は、税で引下げ競争と言っているうちがまだいいのかなと、これが社会保険料でということになると、ちょっと日本も社会保険の制度の制度設計がすごく難しくなるなというふうに感じております。そうなると、次もう一歩、更に深刻化するわけですから、考えなければいけないなと思っています。 ただ、大門先生からの御質問の最もメーンのところであります、ある程度法人税率の引下げ競争を念頭に置かなければいけないのかということに関しては、ある程度は置かないといけないんじゃないのかなというふうには悲観的ですけど思っております。 ○参考人(醍醐聰君) 一般に競争と言うときには、例えばイノベーションといいますか創意を大いにかき立ててパイを増やすような競争を、私は積極的にこれは推進するべきだと思いますけれども、今回の法人税率の国際間引下げ競争というのは、一つのパイの中で所得をどこの国のところに帰属させるかというその取り分の問題だと私は基本的に思っているわけですね。 そうすると、例えば日本の取り分が多くなったと、アメリカの取り分は少なくなった。日本は輸出依存国ですね、今。輸出依存国が、パイの総枠は変わらないで、日本の方に多く持ってきてシフトしたからといって、ではそれが輸出の方面になって跳ね返ってきたら、これはそもそも何をやっているのかと。大門議員がおっしゃった、これも一種の合成の誤謬だろうと思うんですね。果たして、国際競争率の引下げ競争で日本が不利に立たないようにしたことが、合成した結果何をもたらしてくるのかと、そこのところをそもそも考えてかからなければ、これは真っ当な議論にはなっていないんじゃないかというふうに私は考えております。 ○大門実紀史君 それでは、私も消費税の問題お聞きしたいというふうに思いますけれども、醍醐先生にお聞きいたしますけど、私、もうほとんど考え方一緒でございますが、特に今政府が言い始めています社会保障目的税といいますか、社会保障財源に消費税というのは、実は財務省は元々社会保障目的税に反対だったんですよ、ほかにも使いたいというので。余り国民からの反対が根強いものですから、社会保障に使いますからと。じゃ、ほかの財源はどこへ行くんだという疑問はあるんですけれども。それで最近、社会保障目的税になってきていると、流れからいくとそういうことなんですけれども、これは本当にもうレトリックというよりも大変なごまかしの話だというふうに私は思っております。 もう一つは、世代間の公平のためには消費税の方がいいんだというのは、先ほど若干ちょっとやり取りありましたけど、私もう少し詳しく醍醐先生の御意見を聞きたいと思いますが、それは要するに、先ほど土居先生が言われたように、高齢者のお金持ちからどうやって税金を取るかと考えたら消費税というふうに言われましたけど、高齢者のお金持ちだけ消費税掛けるわけにいかないですよね。全般に掛かっちゃいますよ、年金生活者の人にも掛かっちゃいます。 これをおいておいて、世代間の公平のために消費税は違うというふうに言うのは違うと私は思いますけど、先ほど醍醐先生もう少しおっしゃりたかったような気がいたしますので、この世代間の公平という理屈を付けた消費税増税について、御意見あればもう少し詳しく聞かせてもらいたいと思います。 ○参考人(醍醐聰君) 社会保障目的税として消費税というふうにやれば納得が得られるんじゃないかという御指摘でしたけれども、先ほどの質疑にも、あるいは土居先生のお話にもありましたけれども、消費税は社会保障財源で、それ以外の財政再建は別途の財源でというお話ございましたですね。別途とは何ですかというと、歳出の徹底的な削減とおっしゃいましたけれども、いろいろ質疑を交わしていく中で、それでもどうも難しいということで、そうなれば所得税というお話がされましたけれども、実は目的税というときに、どこまでが社会保障の目的なのかということは、これは特別会計でも附帯業務というのが付いて、道路特定財源がそうですね、道路が、どんどんどんどんと附帯業務付いて変わってくるわけですね。 じゃ、社会保障財源としたときに、財政赤字の方については具体的なものがないと。先ほどのお話は、私は具体的な財源論ではないと思うんですね。何とか徹底的にやりますということはおっしゃっていますけれども、どこに、具体的にどれだけをということではない。そうなったら、財政再建の方で足りないから一部消費税の方を回せないかという議論が必ず私は出ると思うんですね。 ですから、目的税化するということは、言葉はきれいですけれども、実際の運営で、どこかで財源必要になってきた、所得税の方もなかなかそうはいかないという形で、結果的にぐるぐる回ってきて、消費税が社会保障目的税以外のところに使われるという可能性がだれがないというふうに保証できるのかということを私はまず非常に痛感しております。 それから、所得分配というのは、じゃ、仮に使い道が社会保障だったらいいんじゃなくて、再分配というのは財源と使途とをセットで考えるわけですね。使途が社会保障だったらいいというわけではなくて、その社会保障の財源を何に取ってくるかということも価値判断なんですね。そこの価値判断を避けることはやっぱり私はできないんじゃないかというふうに思っております。 ○大門実紀史君 よく分かりました。 終わります。 |
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