国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2009年3月17日  参 予算公聴会
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 湯浅公述人にお伺いいたします。
 まず、湯浅さんとか宇都宮健児弁護士さん、そして労働組合の皆さんが年末頑張られた派遣村、あれが国会にといいますか政治に大きな示唆を与えた、大きな影響力を与えられたということをまず心から敬意を表しておきたいというふうに思います。
 私自身は、宇都宮先生とは多重債務、クレサラ問題で、自民党の後藤田正純衆議院議員なんかも一緒でしたけれども、みんなでクレサラ問題やって、結局、多重債務の根底にあるのが貧困問題だと、貧困をなくさなきゃいけないということで、宇都宮先生始め弁護士の皆さん中心に反貧困問題やろうとなって、それと湯浅さんたちがやっていらっしゃるホームレスとか貧困の問題、この流れが一つになって大きな反貧困の運動になってきたんだというふうに思っておるところでございます。その最初のころに湯浅さんともお会いしたことがございますが、非常に現実的な提案を今日もしていただいてありがとうございます。
 私の方も具体的なことを今日はお聞きしたいと思いますけれども、湯浅さんの資料の十ページのところの右の上の方に書いてございますが、雇用保険機能の強化と。まさに今、国会で、衆議院の方で今改正案が審議に入っておりますし、我が党も我が党なりに保険料の納付期間の問題とか給付日数の問題で修正提案もしているところですけれども、この枠の中でもう少し、ちょうど今焦点になっておりますので、どういうことを要望されているのか、余り時間気にしなくて結構ですから、教えていただけますか。

○公述人(湯浅誠君) ありがとうございます。
 雇用保険についてはいっぱいあると思うんですね、制度面の手直しの問題もあるし、運用の手直しの問題もあるし。
 とにかく、この間、派遣切りなんかで現場で今深刻になっているのは、派遣切りというからには会社都合だと思ったら自己都合のを発行されちゃう人が結構いるとか、また、会社都合のが欲しいんだったら一月待てと言われて、しかも、会社都合の離職票をもらって、そこから登録して、登録というかハローワーク行ってからまた雇用保険説明会があってそれから支給ですから、結局二か月ぐらいかかっちゃう。そういう問題をじゃどう、その間をどうやって生活するかとか、そういうことが運用面でも山積みだと感じますが。
 基本的に、私は前から言っているのは、有期雇用期間と雇用保険の整合性を基本的には取ってほしいというふうに言っていて、例えば、今回、一年以上だった雇用見込みから六か月以上までは雇用保険の対象にしますという改正になっておりますが、一方で、日雇派遣については、一か月以上なら、禁止して一か月以上の雇用を認める、あるいは二か月以上を認めるということになっている。そうすると、二か月以上、一か月以上の有期雇用は認めるけれども、でも雇用保険の加入資格は六か月以上だよということになればここが落ちてしまうと。だったらば、六か月以上の雇用に対して雇用保険も認めない、六か月以上でないと認めないというんだったら有期雇用も六か月以上にしてくれと、一か月以上のものを認めるんだったら一か月から入れるようにしてくれと。
 やっぱり、そうやって継ぎ目ない状態にしていかないと、結局現実的には人が漏れていっちゃうんですよね。そこはそういうふうな形で整合性を取っていただきたいと思っていますし、自己都合にしろ会社都合にしろ、実際にそこまでたどり着けない現実がありますから、そこをつなぐものを解雇時に早急に出すのと同時に、それでもそこまで行き着かない状態を解消するためのつなぎ融資、やっぱりそれはつなぎ融資ということになるんだと思うんですが、そういうのも開発してもらいたい。そうでないと、もちろんある程度の人はそこで支えられるでしょうが、そこで支えられない人というのが確実に出てきてしまうということになります。
 あとは、雇用保険そのもののトランポリン的な機能を持たすと。これは既にもういろいろ言われていることだと思いますけれども、そこから職業訓練を受けて次のステップに至るということですね。
 ただ、私、このときに重要なのは、きちんと資格が評価されるようなある程度の強制的な規制を掛けていかないと、結局、何の資格を取ったかんの資格を取ったといっても、雇う側がそれを評価してくれなければゼロと一緒だということになると、取った資格の強制力がないんですよね。なので、それだと、結局職業訓練校でいろんな資格を身に付けましたけれども、結局働いてみたら全く資格持っていない人と同じ賃金でしたということであれば、やっぱりそれは何か頑張って取ろうという気にならないのが普通なので、職業訓練を充実させると同時に、それがきちんと評価される仕組みですね、労働市場の中で、そういうのを同時に組み立てていってもらいたいと思っています。
 雇用保険以外のことにもだから当然影響しちゃうと思うんですが、今言ったような、雇用保険については基本的な発想はそういうことで。

○大門実紀史君 もう余り時間がないんですけれども、もう一つ、湯浅さんと一緒にちょっと取り組んだことがございますけれども、生活保護の問題で、制度と現状でこの機会に言っておきたいことがあれば発言してもらえればと思います。

○公述人(湯浅誠君) ありがとうございます。
 私、この間厚労省の方と、事務方の方と会ってびっくりしたのは、さっきも触れましたけれども、申請は受け付ける、水際作戦はやらない、だけど、その間、住居のない人に住居を確保するのは国の責任じゃないよと。一か月、決定のときに住居が確保できていなければ、それは支給はできないよと。つまり、自分で確保してきなさい、自分で見付けられなかったらそれはもう受けられなくてもしようがないんだ。しようがないんだとは言いませんでした。だけど、それは、その状態が好ましいとは思っていませんと。じゃどうするんですかと言ったら、社協の緊急小口貸付け使ってくれればいいんだと言うんですけれども、これは使えないんですよという話をしたら、えっ、使えないんですかという顔をそのとき初めてしたことに私はショックを受けたんですね。つまり、知られていない、実態が分かっていない。
 そういうところで、生活保護みたいな最後のセーフティーネットが、そこからも漏れる人をつくっちゃって、それを厚労省がしようがないみたいなことを言うのは極めてまずいと思います。
 私、厚労省の事務方の人がああいうことを言うのを聞いたのは初めてなんですね。なので、そこはさすがに、ちょっと考え方を直す、何とかつないでいけるような仕組みをつくるという方向に持っていかないと、今後非常に、何かそこからほつれていってえらいことになっていくんじゃないかという気がしていて、それはもう一度国のナショナルミニマムの責任というところを思い起こしていただきたいと思うので、それは厚労省に働きかけていただければと思います。

○大門実紀史君 赤井公述人、失礼いたしました。
 終わります。
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