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【午前の部 SFCG破たん問題】 ○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。 与謝野大臣、またよろしくお願いしたいというふうに思います。大変野党にも人気のある大臣だということで、私も与謝野さんとは今のところいい思い出ばかりでございますが、これからはそうはいかないのかなと思っております。 今日は一日で三回も質問ができるということでもううれしくて仕方ないんですけれども、午前中は、どうしようかと思ったんですけれども、今ありましたSFCG、日本振興銀行の問題で、森さんももっと本当はやりたかったと思うので、やはりやろうと思います。その後、その日本振興銀行と政治家との関与。午後は、定額給付金、株価対策等について質問していきたいと思いますので、どうか一日よろしくお願いしたいと思います。 SFCGですけれども、今もありましたけれども、もちろん借り手が中小企業五万社近くおります。その一割が仮に破綻、倒産しても大変な事態になりますので、先ほどありました借り手保護のいろんな相談はちゃんとやってほしいと思いますが、そもそもこの問題は何なのかということもきちっと深めないと救えるものも救えないと思いますので、ちょっと本質的な問題をちょっと触れたいと思いますが、要するに、このSFCGは、私ももう何回取り上げましたかね、この国会で。貸金業法のときから、この間もですから、もう四回、五回ぐらい取り上げているんですかね、この反社会的な企業については。申し上げたいのは、もう繰り返しませんけれども、金融庁としても二回処分をされているわけです、非常に甘い処分でしたけれども。その後、金融庁の管轄を逃れるために都道府県に子会社をつくってやり方変えたわけですね。 いずれにせよ、長い間反社会的な行為を度々国会でも指摘されてきたこの企業が、ここまで存続をして、そして一番みんなに迷惑掛ける形で破綻をすると。私、この破綻そのものがいかがわしいと思っているんですけれども、こういう形にまでなってしまったと。私は、ここまで来る前に金融庁としてもっとしかるべき対応をされるべきだったと思うんですけれども、金融庁の、何といいますか、この長い間の監督指導責任についていかが思われるか、できれば大臣にお答えしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(金融担当大臣与謝野馨君) 商工ローン、SFCGに対しては、これまで関東財務局登録業者として二度にわたり行政処分を実施するなど、監督当局として法令にのっとり厳正かつ適切な対応を行ってきたところでございます。 平成十九年六月、同社は会社分割によって各支店を子会社化し、各都道府県で貸金業登録を受けた結果、財務局の監督対象外となったところでございます。しかしながら、金融庁においては、都道府県登録の貸金業者についても、債務者等の利益保護の観点から、事案の状況に応じ、監督情報の共有や監督方針についての意見交換等、都道府県と緊密な連携を図ってきたところでございます。 今般、SFCGが民事再生手続に入ったことに関連し、これまで同社から借入れを受けていた中小零細事業者の混乱が生じることのないよう、関係省庁とも密接な連携を図る等、利用者保護の観点から適切な取組を進めてまいりたいと考えております。 ○大門実紀史君 全然与謝野さんらしくない答弁ですね、そういう官僚が作ったのを読んでいるだけというのは。よく、もうちょっと勉強していただいて、大問題になっていますのでね、与謝野さん自身のお考えを聞きたいと思いますが、先に参考人に聞きます。 警察庁、一月十九日に、このSFCGは、SFCGの前代表取締役の大島氏に対する詐欺未遂罪、恐喝未遂罪に対する刑事告発が提出されていると思いますけれども、いまだ受理されていないということなんですけれども、どういうふうになっているのか、私は積極的に対応してもらいたいと思いますが、いかがですか。 ○政府参考人(警察庁審議官西村泰彦君) お尋ねの件につきましては、警視庁におきまして告発相談を受け、現在事実関係の確認等を行っていると報告を受けております。 警視庁におきましては、事案の全体像を幅広く把握した上、具体的な事実関係に即して適切に対処するとの報告を受けております。 なお、一般論として申し上げますと、刑罰法令に触れる行為があれば、法と証拠に基づき厳正に対処するものと承知しております。 ○大門実紀史君 警視庁は恐らくSFCGと暴力団関係の不動産企業との関係も捜査されているのがあるので、併せていろいろ捜査をされているのかなと思いますが、これはこれできちっと、大島氏個人の問題ですから、余り総合的にという前に、まず受理して捜査に入ってもらいたいというふうに思います。 もう一つ金融庁に言っておけば、証券取引の関係でいきますと、ドイツ銀行との、去年の十月ごろに、SFCGはリーマンから余り借りられなくなって、身内がドイツ銀行にいたものですから、大島さんの。ドイツ銀行から融資を受けるわけですけれども、その見返り的な空売りをドイツ銀行にさせているというふうなことも疑惑として、に今日はしておきますが、ありますので、きちっと調べてもらいたいと。これも犯罪的なことじゃないかというふうに指摘しておきたいと思います。 その上で、今回の民事再生というやり方なんですけれども、私はもう率直に申し上げて、今までのSFCG、大島さんのやり方からすると、こんなものは、何といいますかね、過払い金返還と借金をチャラにするためのもう破綻劇じゃないかと、仕組まれて、もう計画的にやられたんじゃないかというふうに思っております。 事実、大島さん自身は、民事再生のわずか数日前に代表権を返上して、ですから、一月三十日に、自宅を、渋谷区の松濤ですから一等地にあります。そこにSFCGの関連会社、大島さんの妻がやっていた会社です。今は弟さんが経営しているのかな。その会社、ブルーバードといいますけれども、その会社に大島さんの自宅に対して百億円の抵当権を設定させております。何をしようとしたかというと、要するに、今回、破綻して、差し押さえされない、自分の資産だけは保全するということのためにやられたわけでございます。しかも、SFCGからそのブルーバードという関連会社に高額の賃借料といいますか、一千万以上になると言われていますけれども、も払われていると。 つまり、この破綻を見越して自分の資産だけは保全するということもやられているわけですけれども、金融庁、こういうことを御存じでしたか。 ○政府参考人(金融庁監督局長三國谷勝範君) 個別の事案についての言及は差し控えたいと思いますが、一部にそのような趣旨の報道があることは承知しております。 ○大門実紀史君 さらに、これはもう時間掛けてやっていきますので、今日は最初の質問と思っておいてもらって、覚悟してほしいと思いますけれども。 更に大きな疑惑は、このSFCGから日本振興銀行に債権譲渡がされているという話でございます。今、森さんからもありましたけれども、直前にですね。実は直前じゃないんですね。十回に分けて債権譲渡がされております。五か月間で十回ですね。計七百八十二億円の債権がSFCGから日本振興銀行に移りました。 この日本振興銀行、どんな銀行なのか、ちょっと説明してくれますか。 ○政府参考人(三國谷勝範君) 日本振興銀行は、平成十六年四月十三日に銀行免許が付与されまして、平成十六年四月二十一日から営業を開始しております。当行は、定期預金を受け入れまして、これを原資とした中小企業に対する貸出し、これを主な業務として行っているものでございます。 ○大門実紀史君 そういうビジネスモデルなんですけれども、もう御存じの方は御存じですが、この銀行というのはもう大変いろいろ話題になるといいますか、なってきた銀行でございます。 今、会長が木村剛さんですね。かの木村剛さんです。竹中平蔵さんとはもう大変親密な方でございました。金融庁の顧問もやっていらっしゃったわけですね。あのころは、そうですね、竹中さんの後ですから伊藤大臣でしたかね。伊藤大臣と五味長官のころですかね。そのころにこの木村剛さんは金融庁のメンバーとも非常に親しかったわけでございます。当時の福井総裁とも、日銀の、大変親密だった方でございます。そういう方がつくって、非常にスピード認可で、認可が下りた銀行でございまして、大変いろいろ疑惑が最初からあったんですけれども。 この日本振興銀行が自分で出している今回のSFCGの申立て、民事再生に関する文書によりますと、自分で言っているんですけれども、日本振興銀行はこのSFCGから優良債権だけを買い取ったということを言っております。 破綻する前に優良債権だけSFCGから日本振興銀行に譲渡されたわけですね。これはおかしいと思いませんか、金融庁。 ○政府参考人(三國谷勝範君) 債権譲渡自体は所定の手続に従って行われる一般的な方法論としてはあろうかと思っております。ただ、その個別の事案につきましての言及は差し控えさせていただきたいと思います。 ○大門実紀史君 つまり、不良債権だけSFCGに残して民事再生に入る、優良債権は先に振興銀行に譲渡して移したと、これはもう明らかに民事再生に掛かったときにもう返す原資はありませんよということのためにやっている以外の何物でもないわけでございます。こんなことを今まで金融庁も許してきたのかと、日本振興銀行は金融庁の監督下ですよね、こんな取引を許してきたのかというふうに問われるべきだと思います。 日本振興銀行は中間決算で経常利益八十七億も最高益計上していますけれども、これは全部こういう商工ファンドとか日栄ですね、元の日栄とか、そういう事業、商工ローンを買い取ってそれで利益を上げているというふうな、非常に、何といいますか、これ銀行なんですかね、この日本振興銀行というのは。何かノンバンクといいますか、実はここが今日本最大の商工ローンじゃないかと、なっているんじゃないかと私は思いますけれども、こんなおかしなビジネスモデルをよく許可しているなと私は思うんですが。 しかも、時間の関係で触れませんけど、高い金利で定額預金で集めて、それをリスクの高いところに貸しているわけですね。これどこかで、うまくいくんですか、このモデルも。こんなことも金融庁にまた問うていきたいと思いますが、よく精査された方がいいと思います。非常に金融庁は甘かったんですよね、この日本振興銀行に。これも指摘されておりますので、今回厳しく対処されるべきだと。 その上で申し上げますが、このSFCGの元社員が日本振興銀行に出向したり中途採用されたりもしております。その商工ローンの、SFCGから引き継いだローンの回収に当たっているわけですけれども、この中で日本振興銀行が売掛債権、売り掛け先、売掛金を押さえるという手法を取っております。これは実はSFCGがずっとやってきたことで、借り手のさらに売り掛け先の売掛金を押さえてしまうという、やっちゃいけないことですけれどもやってきたわけですね。それを引き継いで日本振興銀行もそういう取立ての仕方をしております。こういうやり方を仮にも銀行という看板を持ったところがやっていいんでしょうか。 ○政府参考人(三國谷勝範君) 金融機関が業務を適切に遂行していくためには、各種法令等を遵守すること、それから法令を踏まえまして社内規則を整備するなど必要な法令等遵守体制、それから内部管理体制を構築しまして適切な業務運営に努めることが重要と考えているところでございます。 ○大門実紀史君 三國谷さんもずっとサラ金とか商工ローンやられてきたんだから、もう少しリアルな答弁をしてくれませんかね。 資料をお配りしましたけれども、一枚目にお配りしたのが、これは日本振興銀行からの催促、取立ての案内です。これは名前消してありますが、川崎市の中小企業なんですけれども、SFCGから債権譲渡を受けたので今度は日本振興銀行に払ってくれというふうなものなんですけれども、これ、その中小企業の方はよく御存じでございまして、これは過払い金が入っちゃっていますでしょうと、商工ローンですからね、高い金利でグレーゾーン取っていましたから、過払い金入っていますでしょうと振興銀行に聞いたら、もう電話をぷつっと切っちゃって何の説明もしなかったそうです。 つまり、申し上げたいのは、過払い金を含まれたものでそのまま請求をしていると、本来減額すべきものなんですけれども、その高い金額のまま請求しているわけですね。気が付いて言われると説明しないで切っちゃうと。つまり、知らない人にはこのまま過払い金で本来払わなくていいものまで含まれた金額をずっと請求しているんです、この日本振興銀行は。これおかしいんじゃありませんか。 ○政府参考人(三國谷勝範君) ノンバンクに係ります債権、こういったものを譲り受ける等などしてそういった営業を行っている場合におきましては、銀行法のみならず、貸金業法や利息制限法等の各種そういった法令も全部遵守して対応することが必要かと考えているところでございます。 そういった観点から、私どもも、業務の適切な運営が図られるよう、そこを重視してまいりたいと考えております。 ○大門実紀史君 私の調査によりますと、この件に関して日本振興銀行は金融庁に何を言っているかといいますと、SFCGから債権譲渡を受けた債権、日本振興銀行としては一五%以上の利息はいただきませんということを金融庁には報告をしております。もう一つは、過払い金の請求などが来た案件については、その債権はSFCGに返す、戻す特約付きで譲渡を受けておりますと。この二つのことを金融庁に報告しているという、これは私の調査ですけれども、でございます。 事実、その特約については、過払い金請求を受ける、つまり本人が気が付いて、あるいは弁護士さんが入って気が付いていろいろ請求されたものについてはSFCGに戻すと。文句言われる債権はSFCGに戻すと、文句言われないのはそのままいただくと、こういう変な特約ですね。 この特約、こんな特約、付けさせていいんでしょうか。金融庁、どうですか。 ○政府参考人(三國谷勝範君) 個別の事案についての言及は差し控えたいと思いますが、私どもは、そういった金融機関は法令にのっとった対応をすることが重要と考えているところでございます。 一般論といたしまして、私どもは、各金融機関から必要に応じまして常日ごろからヒアリングに努めておりまして、業務の適正化を促しているところでございます。今後とも、そういった取組を着実に進めていきたいと考えております。 ○大門実紀史君 もう時間、少なくなりましたので。 私は、この今回の破綻はSFCGの非常にうさんくさい破綻劇だと申し上げましたが、更に言えば、これはSFCGの独り芝居ではないと、日本振興銀行と一蓮託生の破綻劇だと、私は非常に計画的な破綻劇だというふうに思っていまして、その日本振興銀行も金融庁の監督下で、しかも金融庁が非常に親密につくった、当時ですね、銀行だということに非常に憤りを感じているわけですけれども、この振興銀行と政治家との関係は時間なくなったので午後にやりたいというふうに思いますけれども、ここまでお聞きになって、与謝野さん、いかがお考えですか。 ○国務大臣(与謝野馨君) 日本には幾つかの破産関連法規がございますが、今度の民事再生の申請も、やはり真実性の高い民事再生でなければならないと思っております。 民事再生法というのは、従来我々が持っていた和議法というのが動かないものですから民事再生法という法律を作りました。このときは、やはり経営者の善意を前提として作っておりまして、やはり中小企業であれ中堅企業であれ、経営資源が散逸することによって従業員及び関係者が多大な損害を被ると。これでは社会的にいろいろな困難が生じるから、再建を前提とした破産法制を作ろうという法律だったわけですが、当然この中でも、言わば申請前に理由なく財産隠しをやるとか、そういうことは言わば詐害行為として許されていないはずでございますので、個別の事件でどういうふうになっているかは私は存じ上げませんけれども、裁判所は厳正に御判断くださるものと思っております。 ○大門実紀史君 じゃ、終わります。 【午後の部 銀行等株式買い取り機構問題】 ○大門実紀史君 大門でございます。 午前中、日本振興銀行が商工ローンと変わらない取立てをやっていることを指摘しましたし、SFCGの破綻とも一蓮託生ではないかという疑惑を申し上げましたけれども、こういう問題に対して政治家がどうかかわるかという点で、今日は武士の情けということでさらっと取り上げておくだけにしておきたいと思いますが、ちょっと注意を喚起したいという意味で政治家のかかわり方、取り上げたいと思います。 ちょっと大臣、与謝野さんはもう政治家としての大先輩ですから、一般論で結構なんですけれども、私、ちょうど去年ですかね、マルチ商法で、残念ながら野党の議員の方でしたけれども、国会でマルチ業界のために質問を度々されている方のことを指摘いたしました。後から、業界から献金を受け取っているということが判明して今度の選挙にはお出にならないという残念な結果になったわけですけれども、その場合は受託収賄罪まで問われる以前に社会的、道義的責任を取られたと。党内でもいろいろあったんだというふうに思いますが。とにかく、業界から、あるいは企業から献金を受けて国会で質問をするというのはもう過去にもありましたとおり受託収賄に問われるというのはもう明らか、そういう時代でございます。 もう一つは、ある企業の役員をやっている国会議員がその企業のビジネスモデル、あるいはその企業がやっているマーケットですね、それをそのために国会で質問するというのは、考えてみれば、オリックスの宮内さんが規制改革会議でいろいろ発言をされてあのかんぽの宿の問題で大問題になりましたけれども、ましてや国会議員が会社の役員をやっていて、自分の企業あるいはその産業といいますかマーケットのために質問を繰り返すというのは、ある意味じゃ、もう私は大変危ないことじゃないかなと、献金をもらって質問する以上に、ストレートに問題があることじゃないかなというふうに思いますが、一般論で結構なんですが、政治家としての与謝野さんのお考えを聞きたいと思います。 ○国務大臣(与謝野馨君) 国会議員が閣僚等のポストに就いていないときに企業の役員をやっているということは、これは許されることだと思いますが、立場を利用して国会で質問をすると、しかも自分の企業のために質問をするということがあるとすれば、それはやっぱり企業の規定に関して責任を問われかねないことであると思いますし、それ以前に、やはり政治家としての廉潔性を保持するためにも、自分の企業にかかわるようなことについて質問をするということは厳に差し控えるべきだと私は思っております。 ○大門実紀史君 ありがとうございます。 実は、取り上げてきました日本振興銀行ですね、この社外取締役議長、その日本振興銀行設立にも、木村剛さんという人にかかわられた自民党の衆議院議員がおられます。平将明さんという方ですけれども、まだ若い方なので、一年生議員なのでね、これ指導してほしいという立場で、余り名前は言いたくなかったんですけれども、申し上げますけれども、国会質問を度々なさっております。 大体、議事録全部ありますけれども、二つに分かれまして、一つはミドルバンクのビジネスチャンスを増やせといいますか、ミドルって何かといいますと、要するにサラ金があって商工ローンがあって銀行があると、その間の金利ですね、ミドル金利と、そういう意味のその部分のマーケットを育成しろということを度々質問をされております。まさに日本振興銀行のビジネスモデルでございます。 もう一つは、私自身大変憤りを感じておりますけれども、これは貸金業法改正に絡んで、この方は元々反対をされてきたみたいですけれども、貸金業法の改正、グレーゾーン廃止が間違いだったと、与謝野さんと一緒に議論したあれが間違いだったということで、少なくとも事業ローン、商工ローンについては見直すべきだということを論陣を張って国会でも質問されておられます。 振興銀行は大体上限一五%ぐらいの利息を取っておりますけれども、これはグレーゾーン廃止ということを見てやっているわけですが、できればもうちょっと取りたいというようなこともあるわけですね。私は非常に危ないところで質問を繰り返されているなというふうに思います。本当に、まだ四十一歳で若い方でございますし、国会議員になったばかりかな、だから余り国会議員の節度というか、まだよくお分かりになっていないのかも分かりません。そういう点で、自民党の中でよく指導もされた方がいいと思いますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(与謝野馨君) 日本振興銀行、個別の銀行のビジネスモデルについて、その是非を私がここで表明するわけにはまいりませんけれども、いろいろな誤解を生ずるような発言というのは国会議員は慎まなければならないというのは先生の御指摘のとおりだと私は思っております。 ○大門実紀史君 まあ今日のところは親切で申し上げているというふうに取られて、よくよくその辺をお酌み取りいただきたいというふうに思います。これ以上ちょっといろいろ続くと違うレベルで取り上げなきゃいけないし、調査もしなきゃいけないということを、御本人にも伝わると思いますが、思います。 委員長にお願いをしたいんですけれども、午前中、SFCG、日本振興銀行のかかわりを質問してまいりました。是非、このSFCG破綻問題の集中審議をこの委員会でお願いしたいということと、参考人としてSFCGの前代表取締役であります大島さん、そして今、度々申し上げてきました日本振興銀行の代表であります木村剛さんを参考人としてお呼びいただきたいと思いますが、御検討いただきたいと思います。 ○委員長(円より子君) ただいま大門君申出の件につきましては、後刻理事会において協議いたします。 ○大門実紀史君 それでは、次のテーマの株価対策について質問いたします。 二十四日にTOPIXが一時バブル後最安値と。今日も大変な安値になっていますけれども。とにかく日経平均、二十六年ぶりぐらいの安値でずっと今うろついているというところでございます。 それもあってでしょうか、与謝野大臣は、今回、株買取りの法案が審議されておりますけれども、さらに、公的資金で市場から株等々を買い上げる案などを与党に、自民党に検討してほしいという要請をされたということが、新聞報道ですけれども、されております。その辺、そういう要請されているんでしょうか。 ○国務大臣(与謝野馨君) 株価対策というのは言葉で言うのは実に簡単なんでございますけれども、株価というのはやはり経済や企業業績を反映したものであって、それに人工的に手を加えていいかという基本的な問題があります。それからもう一方では、やはり株価が急落することによって起きるいろいろな経済的な現象、こういうものを未然に防ぐ社会的な価値があるかどうかという判断がもう一方であると私は思っております。 株価が急落をいたしますと、金融機関及び生保等の経営に重大な影響を与えますし、一般の大中小すべての企業に対する経営を何らかの形で圧迫をする、またそのことによって雇用が不安定になるという全体がつながっている問題でございます。 したがいまして、株価をどう支えるかというのは、一般的な経済の原則のほかに、日本の経済が一体今どういう状況にあるかということに対する深い情勢判断、洞察の下で行うべきことであると思います。ただし、これもふだんからきちんと緊急時にはどう対応することが可能かという、そのことはやはり検討をしておかなければならないと思っておりまして、先般、柳澤議員にお目にかかって、政府の方ではなかなかできないので与党の方でそういうことも図上演習として御検討いただきたいということをお願いしたところでございます。 ○大門実紀史君 大臣が前段に言われたことは非常に私は重要だと思うんですけれども。 確かに株が下落するといろんな影響が出て、いろんな事態が起きていますよね、雇用にまで影響するというのはそのとおりでございまして、私は何もやらなくていいとかという意味で言っているんじゃないんですが、株を公的資金で支えるとかこういうことは、本当に気を付けないとちょっと飛びはねた議論がすぐ出るんですけれども、よくよく考えなきゃならないんじゃないかなと思っております。 小手先でいろいろやっても、結局元に戻ってしまうと。それは、やっぱり株というのは実体経済の反映、鏡でございますから、何かやらなきゃといって焦っちゃって、もう一喜一憂して、今日下がった、何かやらなきゃと、もう右往左往してしまうのは気持ちとしては分からなくありませんが、政治こそどんと構えて、本来の対策を打たないといつまでたっても逆に政治が翻弄されるということにもなりかねないんじゃないかなというふうに思っています。 特に、この間株価の、私もこの間ずっと見ているんですけれども、動きをですね。ついこの間までは、大体海外投資家が引いているわけですね。これ大体、日本株というのはまだ利益が出ていましたから、日本株を売って利益を確定するために、日本株で稼ぐために売っていたと。ところが、この前のGDPの発表以来、今度は日本経済がもうひどいと、だからストレートに日本株売りがやられていると。 こういうふうに見ますと、こういうふうに見ますと、結局やっぱり一番大事なのは、一番今回落ちているのは、昨日はアメリカのAIGの影響ありますけれども、全体で株価が下落しているのは、どうしても実体経済、日本のGDP、これが落ちたせいだと思うわけですね。そうすると、まずそれを引き上げると、あるいはそれが引き上がるであろうと人々が思ってくれる政策を打ち出すことが一番大事で、余り右往左往して小手先の何やったらいいかということではないんではないかと思いますけれども、もう一言、いかがでしょうか。 ○国務大臣(与謝野馨君) 人間も耐えかねる激痛に対して、一時的な鎮痛ということは必要な場合はあるわけです。しかし、薬物による鎮痛に依存するというのは、決して健康を取り戻すゆえんではないと。経済ももちろん同じことでして、耐え難い激痛に対しては政策的な配慮は必要だとしても、やはり本来の健全な経済を取り戻す、このことを忘れていろいろな対策を講ずるというのは、私は正しくないと思っております。 ○大門実紀史君 もうそういうお考えでしたらちょっと慌てないで、また何か、せっかくこの株買取り、せっかくといいますか、株買取り法案を審議しているのに、これでは足りないから次のもっと拡充したものをなんという議論にならないようにしていただきたいなと思うわけですね。 実際は私、柳澤議員もそういうふうに思っていらっしゃるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○衆議院議員(柳澤伯夫君) 先ほど来申し上げているとおり、私の立場は、御提案させていただいているこの銀行保有株の取得機構法案、これの御説明要員ということでございますので、その他のことについて私が何か申し上げるというのは本来はばかられるべきだと思います。 ただ、先ほど大臣からも私の名前に言及されるということがございましたので申し上げますが、本当に株式市場対策というようなもので株価をどうこうするということについては、よっぽどの検討を経なければならないことであるというふうに考えておることは、大臣の仰せのとおりと思っております。 ○大門実紀史君 何かそうすると大臣も柳澤議員も、何か余りやりたくないというか、やってもどうかなとか、渋々、仕方がないから検討しているみたいなんですね。そんなことが感じられるんですけれども、だったらもう検討しない方がいいんじゃないですか、やめちゃった方がいいんじゃないですか。何でそんな、そう思いながら次の対策を何か検討しなきゃという話になるんでしょうか。 ○国務大臣(与謝野馨君) 私、図上演習という言葉を使ったんですけれども、やっぱり図上であっても、どんな問題が起きてもその場合にはこういうふうに対処する方法があるとか、あるいは対処する方法はないとか、そういうことをやっぱりきちんと検討しておく必要がある、また検討しておくことが国民に対する誠意だろうと私は思っております。これは、やりたいとかやりたくないとか、腰が引けているとかということではなくて、やはりあらゆる事態に対応できる、やっぱり少なくとも頭の上ではきちんと物を考えるということはやっておかないと、怠惰のそしりは免れないと思っております。 ○大門実紀史君 私、もうこの場では余り細かい議論入りたくないんですけれども、ちょっとそもそも論としてお聞きしたいんですけど、公的セクターが株式市場、CPでも社債でもいいんですけれども、そこに介入するということそのものが、市場経済の中においてはそのものが自己矛盾を起こすわけですよね。 もう今日の日経新聞一面読んでいても、何を愚かなことを言っているのかなと思ったんですけどね。まあさっきもありましたけど、何か社債、CP、借換えでいくと二十兆円ぐらいの穴埋めをしなきゃいけないと、だから政府が今言っている規模だと金額が少ないと、こんなことを言っているわけですね。 じゃ、まあ何でもいいんです、株でもCPでも社債でもいいんですけれども、仮に、仮に十兆円つぎ込んで効果なかった、二十兆円つぎ込んだら効果が出た、支えられた、引き上げられたと。この瞬間に、この瞬間に市場経済のメカニズムといいますか、機能を公的セクターが崩しちゃったわけですよね。いいことなのかですね。仮にしばらく行ってまた下がったときにどう思うかというと、また公的セクターがやってくれるだろうと。こんなことを思うのは市場経済とは言えないわけですよね。だから、この間、アメリカも対策打って、織り込み済みで株が一時上がってまた下がると、こんなことばっかり繰り返しているわけですよ。日本だってそうなわけですよね。 今、大臣が言われたように、いざというときのために用意しておくんだと、これではマーケットが納得しないと日経新聞は言っているわけですね。実際に幾ら入れたかだと。こんなことにどんどん巻き込まれていったら市場経済じゃなくなるし、資本主義じゃなくなってしまうと。まあ私が言うのも変ですけど、何かおかしな話になってくるんじゃないかなと思うわけでございますよね。 だから、もうそのそもそもの、この日経新聞も言っているんですよ。こういう言い方はよくあるんですよね、市場の機能を壊さない程度に、機能を壊さない程度に介入すべきだと。こういう議論があるんですけど、効果が出たときは機能を壊しちゃっているわけですよね、市場の機能を、メカニズムを。これは非常に大事な議論を私していると思うんですけれども。これが基本にあるから、あるから、私は慌ててばたばたと手を打つようなことをしないで、もっと実体経済そのものをどうしたら、人々が、上がっていくなと、良くなっていくなと思うような対策を重視すべきだというふうに思うわけでございます。 柳澤さんとはもうこれで多分質疑できないと思いますので、最後にお聞きしたいのは、まさか社債やCPやそんなものをどんどん政府が機構をつくって買っていくと、ましてや、J―REITとかETFとかいろんな話が出ていますが、そんな方向はないと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○衆議院議員(柳澤伯夫君) ますます何か私の答弁範囲を超えた大変高度な御質問でありまして、私がお答えする立場にはないと思うんですけれども。 しかし、今、委員の仰せの箇所でいいますと、日本では銀行が大変いまだに多額の株式を持っているとか、あるいは株式で申せば、この日本における株式取引の中で、あるいは保有高の中で外国人の投資家の占める割合というのが非常に高いとかという特殊な事情もあるわけでございまして、私どもとしては、とにかく万般常に勉強していかないとこのような非常に難しい局面に的確に対応するということがかなわないというおそれもあるので、勉強は怠らないでまいりたいと、このように考えております。 ○大門実紀史君 ありがとうございました。 終わります。 【給付金財源法案・銀行等株式買取機構法案の総理質問、白川日銀総裁】 ○大門実紀史君 日本共産党、大門でございます。 総理、大変御苦労さまでございます。お元気そうで何よりでございますけど、支持率が残念ながら大分下がってまいりましたが、先ほど大塚さんの方から小泉さんとの対比もありましたけど、私、個人的には、麻生さんよりも小泉さんの方が嫌いでございます。人の痛みは分からないというか、もう大変冷たい方でございました。そういう方が何でまだちょっと人気があるのかな、ちょっと私には理解できないぐらいでございます。 なぜ麻生さんの支持率が上がらないのかなとも思っておりますけれども、総理自身、いかがお考えでしょうか。 ○内閣総理大臣(麻生太郎君) 余り子供のときから人に好かれるという努力もしなかったし、好かれたことも余りなかったんだと。そういう環境でしたんで、なるべく余りそういったような環境は、まあだれだれの孫というのはよくいじめられる環境でしたし、何とかの孫だろうとかいってよくいじめられましたんで、そういう環境に育っちまった割には結構素直に育ったんじゃないかなと、自分ではそう思っているんですけれども、なかなかそういったことにはなっていないんで、ちょっとどうしてかと言われると、大門先生、なかなか返答にはちょっと窮します。 ○大門実紀史君 私は、今回問題になっています定額給付金というのは非常に支持率に大きな影響を与えたんではないかというふうに思っています。 もう議論はさんざんやられましたんで、もう繰り返しません。一つだけお聞きしたいんですけど、新聞を見ておりまして、これは申し訳ないんですけど他党の話で、公明党さんのマニフェスト原案のポイントというのがありまして、そこに、お聞きしたら別に全部のまだコンセンサスを得ていないということなんで、ただ報道されていたんでお聞きしたいんですけれども、新たな定額給付金を支給すると。これが、こういうことを考える方も与党の中にはおられるということだと思うんですが、自民党といいますか、麻生総理は選挙に向けて新たな定額給付金という発想はございますか。 ○内閣総理大臣(麻生太郎君) この定額給付金は単年度限り。先ほど大塚先生の言っておられます給付金付きというのと決定的に違うところは、こちらは恒久だと思うんですが、私どもの方は単年度で出しておりますんで、そこが一番違いだと思っております。 ○大門実紀史君 また新たなというのはもう本当に懲り懲りされるんじゃないかと思いますので。本当にもうどうしても譲らないと、三分の二でもやるということですけれども、本当にこれは後々考えて、麻生内閣の致命傷になったと言われることになるということはもう重ねて申し上げておきたいというふうに思います。 株価対策の質問をしたいと思いますが、大変民主党さんには申し訳ないんですけど、民主党さんの方はもっとやれということで、私の方はやるなという、そういうやり取りで申し訳ないんですけれども、申し訳ないというか、答弁もいろいろ変えなきゃいけないというのがあると思うんですが。 私は、先ほど柳澤元金融大臣と与謝野大臣にお聞きしたんですけれども、本来余り、何といいますか、市場経済、特に株価、株のマーケットに公的セクター、公的資金とかで介入するべきではないと。これは守るべきものであって、守るべき原則であって、百年に一度だから何でもありと、この何でもありというのはちょっと危ないなと思います。 それと、ついでに言えば、百年に一度という言葉が何か検証もなく飛び交っておりますね。日本って何でいつもこうなるんだろうと。七、八年前でいきますと構造改革という言葉が独り歩きをして、もうみんなが賛成と、やらなきゃいけないと。規制緩和もそうでしたね。国会では我が党は私なんか竹中さんと最初から議論いたしましたけど、みんなが一つの言葉にのまれてしまうと。この百年に一度という話もちょっと危ないなと思っているんです。だから何でもありと。まあ一々言葉じりをとらえちゃいけませんが、と思いますが、固定観念払って何でもやれと。 私は、そうじゃなくて、こういうときこそ守るべきしっかりしたルールを守りながら、しかし大変な事態ですからやるべきことを思い切ってやると、やるべきところは思い切ってやると。しかし、株の問題とか個別企業のCPとか社債とか、こういうものについては本当によく考えて対応すべきだと思うんですけれども、ちょっと総理、その辺の基本的なお考え、いかがでしょうか。 ○内閣総理大臣(麻生太郎君) 百年に一度という言葉は、多分アメリカのFRBの元議長が発したのが初めてなんですが、正確には一九〇七年、JPモルガンの話からスタートした、したがって多分百年に一度とこの人は言ったんだと思います。ただ、今巷間言われておりますのは一九二九年の話ですから七十年前とか八十年前というのが正確だと思いますが、百年前と、あの人の頭は多分JPモルガンのあの騒ぎを思い出しているんだと思っております。 いずれにいたしましても、少なくともさきの大戦が終わってこの方、六十数年間で世界が同時で不況というのは多分初めてです。大抵どこかいいとこあったんですが、今回同時、全部悪い。加えて、インフレではなくてデフレで不況という気配が極めて濃厚になってくるというのは少なくとも過去に経験がなかったという意味で、多分百年に一度という言葉がぱっと定着しておる背景はそれが理由だと、私はそのように分析をいたしております。 しかし、いずれにしても、この国が一つの言葉にばっといきますのは、それはいろいろ漢字で、不思議と漢字で四文字ということに決まっている、決まっているというわけじゃないでしょうけど、まあ文明開化からずっとこの国がばっとまとまるのは大体漢字で四文字熟語ということが多いんですが、そういう意味では、所得倍増にさかのぼって、今は多分構造改革というのが非常に大きな要素になって、随分いろいろ意見が分かれました。 これは、自由民主党の中でもいろいろ意見が分かれたということをちょっと申し上げたら、おまえなとかといって郵便の話で随分言われましたけれども、当時いろんな意見が出てくるのは私はいいことだと思っています。みんなが一つしか意見なくなったらそれこそ、大門先生に言うのはいかがと、それこそ何とか主義になっちゃうんで。大門先生が自由主義を説かれると、ちょっと私らとしてはいろいろ考えにゃいかぬところだといつも思ったりするんですが。私は、基本的にはいろんな意見が出るのはいいことなんであって、一人の党首の意見以外は全部駄目なんていう意見は私は駄目です。そういったところは僕はくみせぬのです。いろんな意見が出てくるのは私はいいことだと思っております。 したがって、今のように、こういったときに株価対策というのは、確かに企業若しくはその裏で静脈というか動脈になっております金融というものを考えたときに、その動脈とか静脈というベースに銀行が、システムがひっくり返るとかいうことになりますと、それ、ほかの部分が全部影響しますので、そういったところを救済せざるを得ないほど悪くなっているがためにとか、よほどの理由がない限りなかなか安易にこういったものはやるべきではない。 したがって、日本銀行も極めて慎重、また我々としてもそういったのは慎重、先ほど大塚先生の意見もほぼ同じだと思いますが、基本的なところは極めて慎重、保守的でなければならぬものだという御意見は、私も全くそう思っております。 ○大門実紀史君 百年に一度という意味は、大塚さんとちょうど私は「朝まで生テレビ」というので、ちょうど十月末でしたから、株価が暴落した夜中かなんかでしたから、もうまさにその議論をやった仲なんですけれども、後のとらえ方がちょっと違っているのかなと思いますが。百年に一遍というのは、何でこうなっちゃったのかと思うと、やっぱり経済がグローバル化していますから一遍に広がるわけですね、危機が。それと、金融も肥大化しちゃっていると、マネーが肥大化しちゃっていると。だから、そういう資本主義の在り方がやっぱり問われているんではないかと、この二十年、二、三十年の。そういうことを考えた上で手も打たなきゃいけないと。そういうことを置いておいたまま、大変だから何でもありというのは違うんじゃないかなという意味でいろいろ申し上げているわけでございます。 その上で、日本銀行にお聞きしたいというふうに思いますけれども、先ほども同じような質問があったんで恐縮でございますけれども、これまで日銀がいろいろちょっと異常なといいますか、イレギュラーな対策を取られてきた部分ですが、金額でいくと、私が言っているイレギュラーというのはすべて否定しているわけではございませんよ、CPとか社債、それと株の買取り、この三つです。つまり、株のマーケットあるいは個別企業がかかわるもの、これはちょっと私はやるべきではないという考えで、ちょっと異常だという言い方をさせてもらっているわけですけれども、その部分で五兆円の対策ですかね、これは白川総裁の認識としては正しい政策といいますか、方針だというふうにとらえておられるんでしょうか、それとも違うんでしょうか。 ○参考人(日本銀行総裁白川方明君) お答えいたします。 現在、中央銀行として異例の行動を取っておりますけれども、その背景について御説明いたします。我が国の経済金融情勢は、今先生御指摘のとおり大変厳しい状況にあるというふうに思っています。企業金融に即して申し上げますと、CP・社債市場において発行が難しい、厳しい調達環境が続いております。それから、資金繰りあるいは金融機関の貸出し態度につきまして厳しいとする企業が増えております。それから、金融システムの面で見ましても、株価の下落やあるいは信用コストの高まりを反映しまして資金仲介と金融機関経営の両面に大きな影響が出ているというふうに思っております。 こうした厳しい情勢を踏まえて、日本銀行としてはCPの買入れをこの一月から開始し、社債についても明日から買入れを行う、それから金融機関の株式も買入れを二月から再開いたしました。これは現在、これはいずれも個別企業の信用リスクを問うと、これは確かにもう異例のことであります。中央銀行の長い歴史を取ってみて、もちろん全くなかったわけではありませんけれども、これは極めて異例でございます。 日本銀行がそうした異例の措置に踏み切ったことでありますけれども、これはあくまでも今の経済、金融の厳しい現状に照らして日本銀行の使命、つまり物価の安定と金融システムの安定、ここに照らしましてこれらの措置を実施することが適当だ、必要だというように判断をしました。 急いで申し上げないといけないことは、これは先ほど来大門先生御指摘のとおり、市場経済、市場金融、これは非常に大事であります。現在は、残念ながらCPにしてもあるいは社債にしてもその機能が大きく壊れていた、あるいは壊れかかったというその現状を踏まえて、これを放置しますと経済が更に深く落ち込んでいく、このことはやはり更なる大きな混乱を防ぐためには必要であるという話でございます。それだけに、介入に当たっては我々自身しっかりとした原理原則を持つ必要があるというふうに考えております。 これは、実はどの中央銀行もそうですけれども、通貨に対する信認を、これ、しっかり維持するということに心掛けております。こういう状況でこれを申し上げますと、あたかも中央銀行が保守的なことを言っているかのような印象を与えるかもしれません。これ、決してそういうことではございません。これは別に日本銀行に限らず、どの中央銀行も実はこの点にしっかり配慮をして施策を打っているということでございまして、よく言われていますFEDもいろんなものを買っているというふうに言っていますけれども、実はあれも十分な信用補完手数料を取っているとか、あるいはABSについては、あれは一兆ドルでございますけれども、あれは最初の損失負担、損失の一千億ドルはこれは政府が負担をするということで行っておりまして、中央銀行がただ単に買っているということではございません。 そういう意味で、私自身も、市場経済、それから通貨の信認ということもしっかり考えながら、しかし最終的に物価の安定、それから金融システムの安定ということに尽くしていきたいというふうに思っております。 ○大門実紀史君 どうもありがとうございました。 私は、この間、バブル以来の最安値というところで、与党の中にも、あるいは民主党さんの中にも、もっと早くやらなきゃいかぬということを、法改正間に合わないから、日銀にいろいろ早くやってもらおうという、何といいますか、圧力とまではいきません、いかないか、期待ですかね、強い期待が高まっているのを、ちょうど速水さんが総裁をやられるときに、かなりあのときはこの委員会で自民党の議員さんなんかが速水さんをつるし上げるぐらい、あれやれこれやれという議論があったりしたんですね。もう見るに堪えない議論があって、私は速水さんを守る質問をやったりしたことがございます。そういう点では、日銀の独立性というのは本当に堅持してもらいたいなと、圧力に屈しないでほしいなと思います。 具体的には、先ほどからあったように、三十八条で総理か財務大臣が要請をして、それを日銀が判断をするという仕組みになっていますので、与党とか民主党の圧力というよりも総理か財務大臣の要請というのが具体的になると思いますが、今のところそこまで強い要請をすぐ出すという話ではないということでちょっと安心いたしましたけれども、慎重に対応してもらいたいと。 これだけはやめてもらいたいと。今までも随分、そうはいっても日銀、ずるずる譲ってきたなと。また、白川さんも苦しかったでしょうけど、白川さんでもここまで譲っちゃったかと思っているところがありますが、どうしてもやめてもらいたいなと思うのは、今出ています、ETFですね、上場投資信託、これも買えという話が出ておりますけれども、ここまでもう入ってしまうと違うんではないかなというふうに思います。白川総裁、いかがお考えですか。 ○参考人(白川方明君) お尋ねの件でございますけれども、日本銀行に対してそうした要請が来ているわけではございませんので、現時点で私から具体的にコメントすることは差し控えたいというふうに思っております。 そういうふうに申し上げた上で、一般論として申し上げますと、株価あるいはETFの価格というのは、これはもう言うまでもございませんけれども、内外の多数の市場参加者による企業業績の見通しに基づいて形成されるものでございます。したがって、市場から株式やETFを買い取る対策については、現在のようにもう極めて金融市場がグローバル化しているということを念頭に置いた上で、その効果があるのかどうか、あるいは市場取引をゆがめる可能性はないのかといった点での検討が必要ではないかというふうに考えております。 日本銀行は、株式という面では、金融機関の保有する株式は買い入れています。これは、現状、金融機関の抱えているリスクの中で株式のリスクが一番大きい、そのために金融機関が経済を支える力が十分に発揮できないという現状に照らしまして、この金融機関保有株式リスクを日本銀行が軽減する、その言わば安全弁を提供するというものでございます。そうした考え方に従って行っております。 いずれにしても、私としましては、これは四月九日に、去年の四月九日に総裁を拝命してからずっとそうですけれども、日本銀行は物価の安定とそれから金融システムの安定というのがこれは使命でございますから、その使命達成ということに照らして自分の仕事をしっかりやっていきたいというふうに考えております。 ○大門実紀史君 この白川さんの御本ですね、私はもう本当に何度も読んでおります。人にもお薦めしております。非常に今までの日銀の政策の反省も込められているので、これは白川さんが総裁になる前に書かれた、大学の先生のときに書かれた本で非常に学者としての良心と日銀の、中央銀行のあるべき姿が書かれておりまして、私は本当この読者を裏切らないようにしてもらいたいなと。本当に学者としての良心、そして中央銀行の独立性というのを、こういうときだからこそ圧力に屈しないで守っていただきたいということをつくづく強く思う次第でございます。 もう白川総裁、これで質問は終わりましたので、委員長。 ○委員長(円より子君) どうぞ御退席いただいて結構でございます。 ○大門実紀史君 もう一つ税の質問をしようと思いましたけれども、時間がもう少なくなりましたので、今の点で、今後の株価対策のちょっとイレギュラーな部分で与謝野大臣に最後に一言お聞きして終わりにしようと思いますが、ETFを日銀に買ってもらうとか、もうひどい話だと、不動産のJ―REITまで、というのは三月ですね、三月の期末対策では法改正だと間に合わないと。今回、今日通るんでしょうか、その株買取り法案もまた改正するのも間に合わないし、新しい機構をつくるのも間に合わないと。 したがって、日本銀行にこの三月末対策、年度末対策をやってもらおうというところで、先ほど申し上げましたETFとか、社債とかCPの買取りを日銀にもっと増やしてもらうという話が出ておりますが、あくまで、申し上げたとおり、要請するのは財務大臣中心になると思いますが、今のところそういうお考えがあるかないか、お聞きしたいと思います。 ○国務大臣(与謝野馨君) 現時点では全く持っておりません。 ○大門実紀史君 ありがとうございました。 終わります。 【反対討論】 ○大門実紀史君 日本共産党を代表して、提出三法案に対する討論を行います。 初めに、財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案です。 本法案には反対であります。本法案は、特別会計の剰余金を定額給付金などに活用できるようにするためのものです。定額給付金は国民の税金を二兆円も使うのに経済効果はほとんどありません。生活支援というなら、そのお金をリストラや倒産で職を失った失業者や低所得者、年金生活者などの支援に集中して回すべきであります。 次に、与党提出の銀行等の株式等の保有の制限に関する法律案です。 本法案には反対です。本法案は、急落した株価を引き上げ、安定させるためと言いながら、実際には株価安定に寄与する保障は何もなく、公的資金を使って特定の銀行、事業会社を救済するだけのものになりかねません。特に、本法案による銀行と事業会社が新たに株を買っても、それを一定期間、答弁では六か月ということでありますが、保有すれば機構に売却できるというスキームの創設は、持ち合いの解消どころか、むしろそれを促進することになりかねません。また、上昇した銀行株を利益確定のために売却する際に機構が利用されたり、あるいは一定以上の売買価格を保障する役割を機構が担わされる可能性も排除をできず、銀行や事業会社の個々の利益のためにこのスキームが使われる危険性があります。 本来、株価は実体経済を反映するものです。株価引上げのために公的資金を使って株を買い取るなど、結局金融機関のモラルハザードを招き日本の金融システムをかえって弱体化させます。現在のこのような経済危機のときこそ、日々の株価の動きに一喜一憂、右往左往せず、実体経済、特に内需を温めるしっかりとした政策を取ることこそ最大の株価対策であります。 次に、民主党、社民党、国民新党、三党提出の法律案は、定額給付金の実施を阻止するためのものであり、賛成です。 以上で討論を終わります。 |
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