国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2008年12月16日  財政金融委員会(日銀報告に対する質疑)
 政府経済対策におけるJリート(不動産投資信託)救済策の問題点を追及。
○大門実紀史君 大門でございます。
 白川総裁、お忙しい中、お疲れのところ、御苦労さまでございます。答弁はもう短くで結構でございますので、簡潔に質問していきたいと思いますが。
 今日、先月この委員会で取り上げました金融機関の不動産投資、J―REIT問題ですね。七割暴落して大変なことになっておりますが、これはリスクを証券化して分散するという点では、私は日本のサブプライムローンと言ってもいいんじゃないかというふうに思って取り上げてきているわけですが、今日はその問題を日銀との関係で質問したいというふうに思います。
 まず、金融庁に伺いますが、私が質問した後、J―REITの一斉調査を行われたということでございますけれども、まだ集約できていないかも分かりませんが、どういう影響を金融機関あるいはJ―REITそのもの、投資法人ですね、どんな状況になっているか、分かる範囲で結構ですが、教えてもらえますか。

○政府参考人(三國谷勝範君) お答えいたします。
 金融庁におきましては、様々な機会を利用いたしまして、今般の経済金融環境の変化などが御指摘のJ―REITやその運用業者を含めまして金融に与える影響などを幅広く把握するよう努めているところでございます。
 一般論として申し上げますと、J―REITにつきましては、一つは、投資口価格が下落傾向にある、二点目といたしましては、増資や債券発行などによる資金調達も厳しくなっているのではないか、三点目は、金融機関等の融資姿勢も慎重になっているのではないかといった点が指摘されてきているものと認識しているところでございます。
 金融庁といたしましては、引き続きJ―REITをめぐる状況などをよく注視してまいりたいと考えているところでございます。

○大門実紀史君 白川総裁、伺いますが、この間、金融機関の不動産投資の在り方、特にJ―REIT、あるいはDCFですね、収益還元法、こういうことが様々な問題があるのではないかということで、参考人質疑でも私伺いましたら、皆さん、何といいますか、検討しなきゃいけない課題があると、問題点があるという御指摘がされました。
 日銀も考査の中でこういう銀行の不動産投資、融資、点検して問題点指摘を既にされてきたところでございます。例えば、二〇〇六年度の考査の実施方針等の中に二〇〇五年度を振り返ってというのがありますが、ここにもきちんと指摘をされておられます。将来キャッシュフローの見積り、担保評価の設定について問題のあるケースが見られたということで指摘されていると思いますが、その後もこういう銀行のリスク管理の点で指摘をされておりますが、この機会に白川総裁に伺いたいんですけど、この数年の金融機関の不動産投資が今、局地的かも分かりませんが、建設バブルが崩壊するということで、金融機関にも多大な不良債権を生んでおります。そういうことを引き起こしたわけですが、特にそういう不動産投資の在り方と、特にJ―REITとか収益還元法について総裁のお考えがあれば、短くて結構ですので、教えてもらえればと思います。

○参考人(白川方明君) できるだけ短くお答えしますけれども、不動産の問題を考えますときに、個々の金融機関のリスク管理の問題と並んで、あとそのマクロのやっぱり不動産市場の動きというのがどうしても関係してまいります。
 不動産市場をめぐる動きをやや長い目で整理をしてみますと、バブルの崩壊の後、長年にわたりまして地価の下落が続きましたけれども、景気の回復を背景に二〇〇五年ごろから地価、大都市部の地価でございますけれども、これが前年比でプラスに転じました。この間、不動産金融という面でも、大都市を中心にマンションやオフィスビルなどで先生御指摘のREITやあるいは私募ファンドなどへの転売を前提としたプロジェクトが増加をいたしました。昨年秋以降は、サブプライムローン問題の影響を受けました外資系金融機関等が不動産金融市場から撤退をしました。また、この間、景気減速の影響から、マンションの在庫が積み上がったり、あるいはオフィスビルの入居率が低下するということが起きてまいりました。
 こうした不動産金融面の変化やあるいは不動産需給の引き緩みを背景にしまして、いわゆる転売型のビジネスモデルを採用しました中堅不動産業者の倒産が増加したほか、地価等の不動産市況も再び下落に転ずというのがこれ全体的な動きでございます。
 先生御指摘の金融機関の問題でございますけれども、バブル崩壊時の苦い経験を踏まえまして、金融機関サイドでは不動産関連融資のリスク管理の強化に努めてきております。DCF法、ディスカウント・キャッシュ・フロー法の採用もそうした取組の一環というふうに理解しております。
 このDCF法は、これは不動産が生み出す将来のキャッシュフローを現時点での価値として評価する指標でありますから、それ自体は非常に大事な有用な指標であると思います。ただ、重要なことは、将来のキャッシュフローの見通しをどう立てるか、それから将来の価値を現在に引き戻すその割引率をどう設定するか、これが決定的に重要であるわけであります。
 REITでございますけれども、不動産を投資対象に組み込んで小口化した商品として投資家に販売する仕組みでございますけれども、この投資対象となる不動産の評価はこのDCF法によって行われているというふうに理解しております。
 今回の景気回復局面におきましては、大都市や地方都市などで需給見通しが甘めであった結果、その後の不動産業者の倒産により信用コストが増加しているという例があるのも事実でございます。また、一部の金融機関ではREITの保有に評価損を抱えている先も見られます。
 こうしたことを通じて私が感じますことは、DCF法というその手法自体はこれは非常に大事で、むしろそうした観念がない投資というのは非常に危険だというふうに思います。何らかの意味でそのDCFということだと思います。どうしても経済、金融の状況がいいときになりますと評価が甘めになっていくということになりますので、やっぱりリスク管理をしっかりしていく必要があるというふうに思います。
 リスク管理の重要性それ自体はもちろん一般論としてはみんな認識していると思いますけれども、これは日本のREITというか、もう少し広く不動産の金融を考えてみますと、実は、特にアメリカのサブプライムがそうですけれども、経済全体に影響を与えるマクロ的なショックが加わった場合は、実は分散の利益であるとか、そうしたこともうまくとらえられていないわけであります。つまりリスク評価が甘いわけであります。それから割引率にしましても、現在の金融環境がずっと続く、いつでも資金が調達できるという前提で考えますと、当然甘めの評価になってまいります。
 そうしたことにつきまして、先生から言及がありました日本銀行の各種のレポート、これは割合早い段階からそういうリスク管理の重要性あるいは問題点の指摘は行っております。ただ、そうした面でまだまだ日本銀行として行うべきことがあったなというふうにも思っております。

○大門実紀史君 丁寧な御答弁、ありがとうございます。
 この問題の本丸に伺いますが、国交省はこのJ―REITについてどういうふうに今の段階で評価されていますか、簡潔にお願いします。

○政府参考人(内田要君) J―REITでございますけれども、優良な賃貸不動産を取得、保有しましてその賃料等を投資家に配当する仕組みということで、優良な土地ストックの整備等につきまして一定の役割を果たしてきているところというように考えておるところでございます。
 昨今、例えば東証REIT指数が昨年五月のピーク時から大きく下落したことは事実でございますが、サブプライムローン問題以降の世界的な金融の混乱、信用収縮の影響が大きいものというように考えているところでございます。

○大門実紀史君 その程度の認識だから、次に移って、もうずぶずぶのものを昨日出されたんだというふうに思います。
 昨日、住宅・不動産市場活性化のための緊急対策というのを出されました。この中でJ―REIT救済策というのはどれになるか、簡単に説明してくれますか。

○政府参考人(内田要君) 先生御指摘のように、昨日、国土交通省は、十二月八日の総理からの指示を受けまして、住宅・不動産市場活性化のための緊急対策を取りまとめ、公表いたしたところでございます。その総理の御指示は二点ございまして、健全な事業を営む住宅・不動産事業者の資金支援、二番目といたしまして住宅需要の下支えのための住宅取得者の負担軽減ということを中心に取りまとめたところでございます。
 このうち、御指摘の、まあJ―REITを特記しているわけではございませんが、日本政策金融公庫の危機対応円滑化業務を活用した健全な事業を営む住宅・不動産事業者等への資金支援策ということで、健全な事業を営む住宅・不動産事業者等に対する資金繰り支援を挙げているところでございます。その中にはJ―REITも含まれているというように考えております。
 以上でございます。

○大門実紀史君 ちょっと何か飛ばされたのもあるんだけど、今言われた政策金融公庫の危機対応円滑化業務を活用して低利の融資をしてあげるというのにJ―REITも含むわけですね。あと、合併等のための環境整備というのは、要するに合併交付金とかをJ―REITにも使いやすくしてあげるということですね。三つ目は、これは後で日銀に伺いますが、投資法人債、J―REITが発行する社債みたいなものですけれども、それとか、銀行からJ―REITに証書貸付けした債権、これを日本銀行の適格担保化してほしいというふうなことが昨日出されたものに盛り込まれております。
 最初の、危機対応円滑化業務を活用してJ―REITにも低利で融資をしてあげるということなんですけれども、これは財務省に聞いた方がいいかな。財務省が、政策金融公庫のこの円滑化業務ですね、それで十一日ですか、今月の十一日にこの円滑化業務の対象となる者ということで、国際的な金融秩序の混乱により云々ということとか、先ほど何度も言われた健全な事業を営むというふうなところが対象だということですが、これはちょっと財務省に聞きますけれども、このJ―REITの投資法人のやってきたということは、普通の中小の不動産会社は助けてあげなきゃいけないと私は思いますけれども、助けてあげないところもあると思いますが、このJ―REIT一般が健全な事業を営んできたとか国際的な金融秩序の混乱とは言えないんじゃないですか。これはそもそも今回の金融危機の前から下がり続けているんですよ、J―REITの指数。こんなやり方やってきて、収益還元法もいいかげんな将来期待値を盛り込んで割引率を変えてバブルを起こしてきたわけですね。どうしてこんなところが健全な事業を営んできたとか国際的な金融秩序の混乱によってそういうところに至ったというような判断になるんですか。

○政府参考人(川北力君) お答え申し上げます。
 先生御指摘ございましたように、日本政策金融公庫法によります危機対応業務につきましては、主務大臣が対象や実施期間を定めまして、その内容を指定金融機関や政策金融公庫に通知することとされております。
 先日の危機認定の際には、対象とすべき事案といたしまして、国際的な金融秩序の混乱に関する事案、対象となる者につきまして、国際的な金融秩序の混乱により、一時的に業況又は資金繰りの悪化を来している中小企業等で、中長期的には、その業況が回復し、かつ、発展することが見込まれるもの又はその資金繰りが改善し、経営が安定することが見込まれるものとする通知をしてございます。
 私どものこの通知あるいは危機対応業務の中では業種、業態の区別なくこうした資金繰りに着目しました通知を出しておりますので、一義的にはこの通知を受けた指定金融機関が対象者に該当するかどうかを判断いたしまして融資判断を行うということでございます。

○大門実紀史君 時間ないんだから聞いたことに答えてくれないかな。J―REITがこういうものに該当するのかどうかと聞いているんですよ。何でそれを答えられないの。制度の説明なんか分かって聞いているんだよ。

○政府参考人(川北力君) 失礼いたしました。
 繰り返しになりますが、危機対応制度は不動産とか住宅とかそうした特定の業種、業界を一律に限定する、あるいは排除をするという制度になってございませんので、先ほど申し上げましたような対象事案に該当するかどうかにつきまして指定金融機関が融資判断の中で対応するというものでございます。

○大門実紀史君 これからの対策ですから、実際にやられる前後にもう一度厳しく指摘したいと思いますが、日銀も、これは日銀に要請するというふうな対策で、日銀がという意味じゃないですが、日銀にも、先ほど言いました適格担保化ですね、それを求めると。このJ―REITの投資法人債あるいは銀行がJ―REITに貸している債権について日銀に対して適格担保化を求める。つまり、適格担保制度というのがありますよね。日銀が担保として受け取ってあげるというふうなことですね。で、資金供給ということですけれども。私は、これ慎重に日銀はやられた方がいいんじゃないかと。こんなものまでどんどん適格担保にしちゃうと、もう日銀はごみ箱じゃないんだから、こんなものをどんどん持ち込まれてやったらもうおかしくなってくると私は思っております。
 この間、先ほど、中小企業対策を含めてトリプルBまで受け入れるということで、それはまあそれで意味があると思うんですが、J―REITの場合はよく吟味しなきゃいけないと私は思っております。昨日、具体的に要請したところはどこかというと不動産証券化協会ですね。これはこの委員会でも私言いましたけど、三菱地所とか三井不動産とか住友不動産とかいう日本最大のディベロッパーと、それに金融庁と国土交通省がお墨付きを与えた団体でございまして、もう大変な圧力団体だというふうに思いますし、この間の不動産バブルを引き起こした元凶だと私は思っていますから、相当な圧力で日銀に適格担保化してくれと来るとは思うんですけれども、これから来ると思うんですけれども、具体的には、非常に慎重に吟味して対応してほしいと思います。
 これはもう時間がありませんので、総裁の姿勢をお聞きしたいと思います。

○参考人(白川方明君) 日本銀行では、取引先金融機関、これは適格担保制度について申し上げたいと思いますけれども、取引先金融機関に対しまして貸付けなどの信用供与を行うに当たりまして、資産の健全性を確保する観点から担保を徴求しています。また、その担保は、信用度や市場性が十分であり、権利行使に支障がないものに限定するということを基本原則としております。日本銀行では、こうした基準を満たす資産として、具体的には国債や社債、企業に対する証書貸付債権等を適格担保として公表しているところであります。
 先ほどの社団法人不動産証券化協会からですけれども、これは御要望はいただいております。
 日本銀行としては、先ほど申し上げました原則の下で、資産の健全性を確保しつつ、金融調節の円滑な実施とそれを通じました金融市場の安定確保を図る観点から、本件を含め必要に応じて適格担保の範囲や要件について検討を行っていくということでありまして、そうした考え方で対応したいというふうに思っております。

○大門実紀史君 昨日出た国土交通省の緊急対策全部を否定するわけではございません、中小の不動産企業大変ですからね。そのどさくさに紛れ込ましてこのJ―REIT救済策をはめ込んでいると、このこそくさを私申し上げているんです。J―REITは、まず、今までのやり方、経営責任、在り方、全部きちっと問うべきです。その上で合併なり救済支援なりする必要があればまた別の判断をすべきで、こんなどさくさ紛れに昨日の夕方出して、その中でだれも分からないだろうと思ってやったのか分かりませんけど、私は絶対これ見逃しません。
 もうそういう点ではこれから具体的になると思いますが、そういうところできちっとした日銀の対応も金融庁の対応も求めて、質問を終わりたいと思います。
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