国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2008年9月19日  財政金融委員会
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 伊吹大臣、茂木大臣、初めて質問いたしますが、よろしくお願いいたします。今日が最後かも分からないということでありますが。
 茂木大臣とは立ち話をした経験がございますが、伊吹さんと初めてお話をいたします。今日聞いていて大したものだなと私思いました。あの田村耕太郎さんが 提案される大胆といいますか、荒唐無稽な提案に対して本当に忍耐強く諭すようにお答えになっていたというのを見て、御立派だなと、私も見習わなきゃという ふうに思っているところでございます。せっかくですから、そういう伊吹大臣来られておりますので、基本的なお考えを幾つか聞いていきたいと思うわけですけ れども。
 今日いろいろお話も、リーマンのお話ありました。余りもう具体的なことよりも大本の話といいますか、このリーマンが破綻に至るのがサブプライムローン と。サブプライムローンは何なのかというと、やはり過剰な投資マネーといいますか、投機マネーがかかわっていたと。そして、そこから逃げたお金が原油市場 に行って原油を高騰さし、穀物に入って物価を高騰さすと。だから、今日一切どうも触れられていないんですけれども、金融庁の報告にも。やはりこの巨額の投 資マネー、投機マネーと言われたくないという人もいるみたいですが、いずれにせよ、長中期以外のものは私はもう投機マネーと言ったっていいんじゃないかと 思っているところでございます。それが大変な被害をもたらしておりまして、この間、農協とか漁協とか回っても、農家の方とか漁師の方が、余りふだん金融と か小難しくてという方まで投機マネー何とかしてくれやというふうな、国民にとって身近な問題になっております。
 このリーマン破綻、リーマンというのは、その投資マネー、投機マネーを扱っているところまで破綻しちゃったというわけですから、もう大変な被害をもたらしている、この背景にある投機マネーについてお伺いしたいと、その規制について伺いたいと思います。
 この間、前にも質問したことがありましたけれども、日本政府というのはこの投機マネー規制に及び腰だといいますか、アメリカも余り積極的じゃなかったわ けですね。ヨーロッパのドイツなんかは積極的に規制すべきだと前から言っておりましたけれども、そのアメリカも、この間調べてみましたら、もう金融自由主 義の本家といいますか、規制緩和の本家のアメリカでさえすごいなと思うぐらい投機マネー規制の動きを強めております。
 時間の関係で幾つかだけ御紹介しますと、アメリカの商品先物取引委員会、CFTCですね、これが投機マネー規制、商品先物の場合は、もう御存じのとおり、建て玉を規制するということと証拠金を引き上げるという二つの大きな道筋あるわけですけれども、それを今まで店頭取引については建て玉規制が例外扱い されていたものをもう店頭も規制するとか、あるいは大口取引については報告義務を課すとかいろんなことが、もう全部紹介するとあれですけれども。
 例えば農業法の改正なんかで、御存じの方いらっしゃるかも分かりませんが、エンロンのループホールという抜け道、抜け穴ですね。これはエンロンがロビー 活動をやって、あの破綻したエンロンがロビー活動をやって、店頭取引については建て玉規制をするなといって抜け穴をつくらせたやつですね。それがエンロ ン・ループホールと言われていますが、それを農業法の改正でシャットアウトしたというところまで踏み込んでおりますし、先ほども、今日お話ありましたけれども、七月に空売り規制やったのは、あれは実は、空売りをやって先物の買いをやると同時取引が多過ぎるものですから空売り規制をやったというのが半分その 目的であったとかですね。今、アメリカの議会では、ちょっと数え切れませんが、三十七、八本、四十本近く法案が出ているそうでございまして、その投機マ ネー規制の法案がですね。
 その中で、私、とうとうそこまでアメリカもやるのかと思ったのがスワップホールの問題です。これは、通常、商品先物というのは、投機筋が余り入り込めな いように先ほど言いました建て玉規制をやっているわけですね。ところが、実際に取引をする実需家といいますか、そういう業者には制限がないわけです。その 抜け道を使って、例えばゴールドマン・サックスとかモルガン・スタンレーというのは、石油でいえば貯蔵タンクを自ら持っているんですね。ですから、投資会 社なんですが、実需者として参加をして投資マネーをつぎ込むというのをやってきたわけですね。これはスワップ、何というんですか、スワップホールというら しいですけれども、これをもう規制しないとどうしようもないという法案が出ているそうでございます。アメリカにしてはとうとうそこまでやるのかなという か、急速に規制の方向で驚いているわけですけれども。
 後でもちょっと触れますけれども、金融庁に考えてもらいたいという意味で聞いておいてもらいたいんですが、商品のインデックスファンドというのがありま す。これは実は、この度の投機マネーの最大の舞台だと言われているわけですね。これについてもアメリカの議会で規制しようということに、そういう法案が出ております。次期大統領は二人とも、先ほどちょっと中途半端な報告がありましたけれども、次期大統領は二人とも、投機マネーについては規制するということ を明確に言っているわけですね。もうアメリカもここまで来たと。
 そのおかげだけじゃないかと思いますが、それが非常に大きな影響を与えて、石油が一バレル百四十ドルから急に百ドル切るところまで下がってきているとい うことがあるわけでございます。今までは投機マネーのせいじゃないと言う人もいましたけれども、今は投機マネーの大きな役割というのは、もうだれも否定し ないような状況になっているわけです。
 そういう点で、是非日本政府としても、アメリカでさえここまで規制に踏み込むということでございますので、是非国際的な場とかそういうところで日本政府 もイニシアチブを取って、特に私が思うのは生活に関係する分野ですね。ですから、原油とか穀物とか、そういう市場についてはもう厳しく投機マネーを規制し ていくということを国際的にも日本が、もうアメリカが先行っちゃってますけれども、日本も積極的に提案していってほしいというふうに思います。
 伊吹大臣がG7に出られることになるかどうか分かりませんけれども、もしそういう国際的な会議の場があれば政府として、日本の考えとしてそういう主張を是非今度はしていってほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(伊吹文明君)  先生のお気持ちはよく分かります。それで、実はお金に投機のお金と投機じゃないお金という区別はできないんですね。そして、市場において、これが実需であるか投機であるかというのは実は分からないわけですよ、取引が。ただ、それを使っている人間のよこしまな気持ちがあるときに、それは投機マネーになったり するわけですね。
 ですから、一つは、これはもう、自由経済、競争社会の弊害をどう排除するかというのはもう政治的にこれは極めて長い議論があるところで、政府が介入して やるのか、良き人間の力をもってこれを抑えるか、経済理論で言えばケインズとハイエクのような議論に最終的にはなってくるんだと思うんです。ですから、た だ一つ明らかなことは、お金が余り過ぎるとやはり投機の動きが出てくるということは確かなんですね。ですから、まずアメリカの実体的な成長率とマネーフ ローの増加率を見ると、私は少し考えなければいけない分野が一つあるなと思います。
 それから制度的には、先ほど田村委員も御指摘になっておりましたが、証券市場においてもSECが空売りの規制を始めたとか、先生が今おっしゃっているような制度的によこしまな気持ちでお金を使いにくくするということですね。こういうことについて私は決して反対ではございません。しかし、注意しておかなければいけないことは、それを厳しくすることによって先物のヘッジだとか何かがうまく取れないという事態になってはいけませんので、その辺の要するにバラン ス論だと思います。
 今少し行き過ぎているんじゃないかという認識は、私は先生と共有はいたしております。

○大門実紀史君  もうそういう段階、率直に申し上げて超えていると思うんです。お金によこしまな気持ちとか何とかは区別できないから、大量に大口で入るもの、これはもうと にかくシャットアウトするしかないとか、こういう考えになっているわけなんで、そういう甘い情緒論といいますか、抽象論じゃなくて、幾つか防げる手はある ので、区別する手もあるので、そういう点はもう既にアメリカは踏み出しておりますので、是非お考えいただきたいなというふうに申し上げておきます。
 もう一つは、日本自身でやれることもございますので、いろいろやるべきだと。そういう国際的な連帯が必要ですから各国協調してやろうというのは必要です が、日本でもできることがあります。その点で私、経済産業省はこの間いろいろ考えて頑張っているなと思うのでいろいろお聞きしたいんですけれども、まあこ のことは新聞にも出ていますのでこちらで言いますと、そういう商品先物の投機マネーの規制についていろんな検討をされていると。今日の新聞にも出ていまし たが、市場分析監視室という特別の部署を置くとか、海外との大口取引の情報を共有するとか、ただそれは守秘義務が掛かるので法改正が必要だろうというよう なことも議論されているようでございます。
 もう一つ私は注目しているのは、東京の商品先物市場というのは世界で九番目の出来高で決して大きい市場ではございません。これは、バックグラウンドとい いますか、土台になります現物取引そのものが、それはニューヨークとかシカゴに比べて大きくないというのはもちろんあるんですが、それだけではなくて、これだけ投機マネーが横行していても東京の商品先物になかなか入ってこないのは、実は東京の商品先物の取引所というのは大変厳しい規制を前から持っているん ですね。まあ長々私が説明するよりも経済産業省に来てもらっているので、海外に比べて日本の商品先物の市場、取引所、どういうふうに厳しくなっているか、 簡潔にちょっと海外との違いを教えてもらえますか。

○政府参考人(大下政司君) 海外との比較という御質問でございますが、公正な価格形成を商品先物市場で行うためには適切な市場管理を行っていかなければならないということでございまして、この市場管理はそれぞれの市場ごとに異なっております。
 したがって、欧米の制度と我が国の制度を比較してどちらが厳しいものとなっているかということを一概に申し上げることはなかなか難しいわけでございます けれども、例えば先生が御指摘ございました東京工業品取引所、原油市場がございますが、これとニューヨークの商品取引所の原油先物市場の建て玉制限を比較 いたしますと、我が国の方がより厳しい規制を課しているということは申し上げることができると思います。

○大門実紀史君  私は、もうこれだけの事態を世界中に生んでいるわけですね、原油だけでこの一年間で世界で二兆ドルですか、二兆ドルが失われたと、日本だけで二十三兆円の 所得が原油だけで失われたと言われていますから、企業にも個人にも大変な被害を与えているので、この日本の市場の、商品先物ですね、市場の在り方をむしろ 世界に発信していくべきだというふうに思います。そういう提案もしていってほしいと思います。
 時間の関係で申し上げますと、投機マネーを規制するには、私は二つの入口を規制する必要があると思っています。
 一つは、そういう商品先物とか国民生活にかかわる分野に投機マネーが入る、この入口を規制する、それが先ほど申し上げたアメリカがやろうとしていること ですね。もう一つは、だれがそこにお金を入れているのかというと、言われているようにヘッジファンドでございますね、中心になっていたのは、あるいは機関 投資家ですよね。ここのお金が入る、そこに、ファンドにお金が集まる入口で規制をすべきだと。
 私は、個人のお金持ちが自分でもうリスク取ると、もうけたい、破産しても構わないと、それはもう自由にやってもらったっていいと思うんです。ただし、その先が人に迷惑掛けるようなマーケットだと困るということですね。だから、マーケットの入口の規制が必要だと。
 もう一つは、ファンドに集められるお金が、今日も議論ありましたけど、国民の皆さんからお金を預かっている銀行とか、生命保険の加入者のお金を預かって いる生命保険会社とか、こういうところがどんどんどんどんそういうことをやっていくと、私は何かあったときに大変な事態になると。これも全くやるなとは法 律上難しいですけど、少なくとも金融庁として、リスク管理をきちっとしてそういう投資をやるべきだということは、最低私はきちっと厳格にすべきだと思うんですけれども、茂木大臣、いかがお考えですか。

○国務大臣(茂木敏充君) 新しい取引形態であったりとか新しい商品が出る中で、リスク管理の重要性というのは今まで以上に増していると思っております。
 そして、委員も御案内のとおり、昨年の三月から実施をされておりますバーゼル2、ここにおきましては、ファンドの資産内容に応じたリスクウエートを適用 する、ルックスルーの原則と、こういうのを基本といたしまして、ファンドの構成資産を把握できない場合にはより大きな自己資本を求める、こういった形で、 金融機関が投資するファンドの資産内容の適切な把握を促すものとなっておりまして、各銀行におきましてこういったバーゼル2の考え方も踏まえてファンド投 資のリスク管理をしっかり行うことが重要だと、こんなふうに考えております。

○大門実紀史君  金融庁は、お手元に資料を配りましたけれども、ヘッジファンドについての調査をされております。日本の大手の金融機関がどれぐらいヘッジファンドにお金を 出しているかという調査でありますが、私ちょっとこれ金額が余りにも少ないんじゃないかなと。六・一兆円から七・四兆円に二〇〇五年から二〇〇六年に増え た、それでも二二%増えたということになっていますけれども。これには、聞いてみますと、先ほど言いましたインデックスファンドは調べてないということな んで、全然金額が違ってくるんじゃないかと思いますけれども。
 いずれにせよ、もう一つ、この裏の方に表を載っけましたが、私がちょっと気になっているのは、ヘッジファンドの右の方にプライムブローカーというのがご ざいます。これ簡単に言えば、銀行自身がファンドに融資をしたり、株を貸し付けたり、貸し株やったり、あるいはいろんな管理をやってあげたり、あるいは作 るのを手伝ってあげたり、あるいはゴールドマン・サックスやリーマンみたいに自分でファンドを直接作ったりというところです。こういうところが、リーマ ン、モルガン・スタンレーも今大変ですけれども、今苦しくなって、危険な、危ないことになっているわけですね。
 これは実は日本の銀行でもやり始めております。みずほとか野村証券とか、金融庁の監督下でいきますと、証券会社、みずほグループなんかやり始めておりま す。こういうことも含めて、まずそのヘッジファンドにどれぐらい日本の大手金融機関が関与しているのかとか、かかわっているのかという調査を私はきちっと やるべきだと思います。
 経済産業省は今年の四月にヘッジファンドの相当こんな分厚い調査をやられました。そういう大手金融機関の側から見たといいますか、その安全性を図るという観点から、そちらからの観点でも結構ですから、このプライムブローカーの問題、そして先ほど言いましたヘッジファンドへの資金供給の問題、そしてちゃんとリスクが管理されているのかと。今バーゼルの銀行監督委員会は、簿外取引でやっていますんで、そこの資本増強、これまでやろうと、やらなきゃというふう になっているわけです。
 是非、日本の金融庁としても、日本の証券会社、生命保険会社、銀行グループのところがどれぐらいヘッジファンドと関与しているか、まず実態が分からなきゃ議論になりませんので、きちっとした調査をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君)  プライムブローカーの恐らく一番中心になってくるのは投資銀行と、こういうことになると思います。そして、プライムブローカーとしてどんなところがこれま で使われてきたかということを考えると、恐らく我が国の証券会社グループよりも、世界的に拠点を持っております欧米の投資銀行グループの取組、これが明ら かに先行しておりますし、ボリューム的にも圧倒的に違うと、こんなふうに考えておりますが、我が国の金融システムに様々な影響が出る問題につきましては、 金融庁としてこれからしっかり把握するようにしていきたいと思います。

○大門実紀史君 とにかく、このヘッジファンドの調査、二回やられているわけですから、三回目もやるべきだと思うんで、その中で今のプライムブローカーの問題も加えて調査をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
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