国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2008年5月22日  財政金融委員会(NACCS特例法改正案)
通関情報処理センター民営化を批判
○大門実紀史君 大門でございます。
 今回の法案は半分賛成、半分反対と、差引き反対ということで質問させていただきますけれども、今回の法案のシステムの合理化は私は結構なことだというふうに思いますが、ただ、今日は余り議論ありませんでしたが、衆議院の議論を聞いていても、この民営化の方なんですけれども、幾ら答弁を聞いても、元々財務省もこのNACCSセンター、通関情報センターですか、これの民営化はそぐわないということで反対されていたわけでございます。それを今回わざわざなぜ民営化するのか、何度聞いても意味がよく分からないと思います。
 私はすべて民営化に反対しているわけではございません。よく仕分をして、民間会社になったって企業の社会的責任はあるわけです。しかし、直接的な公的役割のあるもの、これはよく吟味をしなければいけないと思いますし、本当に要するに民営化した方が国民のためになるというものを選んで民営化すべきだというふうにかねがね思っているところでございます。
 特に、この十年といいますか、特に小泉構造改革の数年のときに、よく分かりませんけれども、とにかく小さな政府、何でも官から民と、民営化することがとにかくもう、民営化信奉といいますか、崇拝といいますか、民営化原理主義みたいなことがずっと続いてきて、もうよく分からないまま何でもかんでも民営化すればいいんだというふうなことが続いてきているわけですけれども。
 しかし最近は、そういうこともどうなのかと逆になってきているんですよね。何でも官から民というのがいいのかと。特に、この官から民とか小さな政府というのは、もうイギリスでは二十年ぐらい前に盛んに、しかし日本ほどひどくはやっていませんが、盛んにやったことを何か二十年遅れでこの数年、もう猫もしゃくしも民営化と、みんないいことだ、いいことだと言ってやってきたというふうな流れで来ているだけで、何かよく吟味もされずにいろんなことが進んでいるんじゃないかなというふうに非常に思うわけでございます。
 先ほど申し上げました直接的な公的役割のあるものまで無理に民営化しようとすると、郵政民営化のときにさんざん大議論になりましたけれども、要するに公的な役割と民間になった収益性というのは基本的に矛盾をします。矛盾をしながらとにかく船出させちゃうわけですね。それは後でバランスを取って考えるということでいろんなことがやられてきましたけれども、私はそういう流れがもう今変わりつつあるのに、いまだこういうものが出てきているというふうに思うわけです。
 そこで、大臣に、この法案そのものに入る前に、この数年まだ続いているかも分かりませんが、この何でもかんでも民営化という風潮、これについて大臣はいかがお考えか、まずお聞きしたいと思います。

○国務大臣(額賀福志郎君) これは、やっぱり戦後六十年たっていろいろ変わってきたのは、一つは高度情報化時代であるということ。それから、世界的な競争の中で日本が生き残っていかなければならないということ。そういうことから、経済の分野においても効率化、合理化を図っていかなければならない、競争力を生んでいかなければならない。過去の延長線上でこの新しい国際社会の中で生き残っていくことができるのかどうか。そこはやっぱり改革、構造改革をしていかなければならないというのは、国民の大多数の共通の認識ではないかというふうに思っております。
 それはまず、役所の在り方自体が問題であります。縦割り行政の非効率化、それから状況の変化に柔軟性を持たない、弾力性を持たないということ、そういったことをやっぱり考えていく必要があるし、あるいはまた、民間でできるものは民間にやらせた方が能率がいいことも確かであります。それから、日本全体の国と地方の役割分担はこれでいいのかということも考えていかなければならない。
 そういったことを踏まえて、全体的にはやっぱりスリム化をしていく、そして民間の活力を生み出していく。そういう中で、政府あるいは地方自治体がやるべき役割分担というものを明確にしておく必要もあると、そういうことが今問われていることだと思っております。

○大門実紀史君 いろいろおっしゃいましたけれども、要するに、民営化した方が効率的という言葉も非常に、よく吟味もされず、何か軽い、みんながそう言うからただ効率化という言葉を使うだけで、よく吟味もされずにずっと使ってきて、国民は求めているとおっしゃいますけれども、今まで民営化された部分で、相当、何だこれはというのが国も地方も含めて起きていて、もうそういう時代がちょっと変わりつつあるという認識を大臣持っていただきたいなと思いますし、もちろん一部公務員の不祥事がありましたから、ああいうものはすぐ改善しなきゃいけないと思いますが、しかし、公務員全体としては非常にハードに、財務省の皆さんもそうですよね、ハードに頑張っておられます。これ以上どう効率化しろというのかというぐらい頑張っている部署もあるわけですよね。ところが、何となく効率化、民間の方が効率化されるだろうということで進んできたというふうに思います。
 一言、先ほども規制改革会議の話がありましたので申し上げますと、そういう時流に乗って官がやってきたことを民間で払い下げてもらって大もうけした企業も、国会でも私たち指摘しましたけれども、宮内さんのオリックスとか、グッドウィル、コムスンですね、事件起こした、そういう問題も起きているということも忘れちゃいけないなと思います。
 申し上げたいことは、そういうこの数年続いてきた特殊法人改革も含めた官から民というのが今ターニングポイントに来ている、なりつつあると。もちろん、与党の中はまだいろいろあるかも分かりませんけれども、国民の意識からいくと、もう何でも民営化というのは本当にいいんだろうかということが、我が党だけではなくて、最近はマスコミも有識者の方も指摘するようになってきていると。そういうところに入ってきているのに、にもかかわらず、何か今回の法案はもう小泉改革の呪縛といいますか、そういうものを引きずって、やらなきゃいけないから仕方ないからやるんだみたいな、ちょっと時期外れの法案じゃないかと私は思っているところでございます。
 では、ちょっと具体的にお聞きいたしますけれども、青山局長で結構ですけれども、この通関情報センター、民営化して具体的に一体何が良くなるんですか。

○政府参考人(青山幸恭君) 今回の特殊会社化、民営化ということでございますが、これによりまして、いわゆる企業経営によります業務運営の更なる効率化と併せまして、新しい、新規の業務展開によります民間利用者の利便性、具体的には諸外国との通関ネットワークシステムの連携ということでございます。
 いずれにいたしましても、申し上げたいのは、特殊会社化し、株式会社の経営形態を取ることによりまして、民間の創意工夫を最大限活用していきたいということでございまして、なおかつ、今現在のこの独立行政法人通関情報処理センターにつきましては、出資金九千万円のうち三千万円が民間から既に出資がございます。そういう事情もございまして、しかもシステム自体、これ自体が昭和五十三年からスタートしている、空はですね、システムでございますけれども、官と民が一緒になってつくったというふうなシステムでございますので、そういう意味からしまして、私どもはこの際、特殊会社化するというふうな議論で考えたいというふうに思っているわけでございます。

○大門実紀史君 いや、だから、今も官民共同出資でやっていらっしゃるわけでしょう。しかも、情報処理業務というのはもう結構効率的にならざるを得なくてやっている部分ですよね。だから、これ以上何で特殊会社、いずれは完全民営化としていかなければ効率性とか利便性が良くならないのかと、それを聞いているんですけれども。

○政府参考人(青山幸恭君) お答え申し上げます。
 今の独立行政法人のままでありますと、一つにはやはりいろいろな中期計画等々ということでございまして、いろいろな制約の部分というのは出てまいっております。人件費の問題もしかりでございますけれども、そういう点を含めて、新たな視点で、かつ、関係省庁六省庁のこれ共管になります。もう一つは、先ほど申し上げましたように、外国との関係等々含めて、アジアをにらんで考えていく場合におきましてはやはりこういう姿が望ましいのではないかなということでお願いしているわけでございます。

○大門実紀史君 いや、外国との関係といったって、アメリカやほかのところは国がやっているじゃないですか。何で日本だけ急いでやらなきゃいけないのかと、急いでといいますか、やらなきゃいけないのかということなんですけれども。
 もう少し具体的に聞きたいんですけれども、要するに、いろいろそうした方が効率化されるというならば、今何か非効率な部分があるんですか。今のままでは利便性が向上できていないんですか。何を指摘して民営化した方がいいという、具体的なことを聞きたいんですけれども。

○政府参考人(青山幸恭君) 具体的に申し上げれば、今の業務の範囲等につきましては、ある意味で私どもの税関手続だけに限っているという部分でございます。これを、先ほど来御議論いただいておりますようなシングルウインドー等を、これを本格的にやる場合におきましてはやはりこの制度の改正が必要だという、そのシステム全体をどういうふうに見るかという議論と、それを運営する主体をどうするかという議論がございます。そうすると、やはり今の独立行政法人の通関情報処理センターのままでは、これは立ち行かないという議論がございます。

○大門実紀史君 それはあれですか、特殊法人の枠がはめられているから新規業務が展開できないとか、民間の分野の仕事がこれ以上できないというようなことでおっしゃっているわけですか。

○政府参考人(青山幸恭君) 御指摘のとおりでございます。

○大門実紀史君 その点では私は問題が二つあると思うんですよね。
 一つは、その特殊法人に、とにかく小泉さんのときに仕事は増やすなと、新しいことやるなと、とにかく縮小しろと。この枠がはまっている限り、それはそうですよね、ニーズにこたえられませんよね。枠を外せばいいんですよ。枠を外して、独立行政法人として新規事業がやれるようにすればいいんですよ、一つはね。もう一つは、純粋に民間の部分が増えるんだったら、その部分を民営化すればいいんですよ、何もかも民営化しないで。どうしてこういう考え方が取れないんですか。

○政府参考人(青山幸恭君) ちょっと誤解があるかもしれませんが、私どものいわゆる税関内部におきますいろいろなもろもろの情報というのは、これは国直轄でやっております。諸外国ももちろんそうでございます。
 私ども、これは官と民とで共同してつくったサービスでございますけれども、そういう中でやっている部分でございまして、独立行政法人でございますと、今の通則法の規定によりますと、国民生活及び社会経済の安定の公共性の観点から確実に実施される等々というふうに書いてございますけれども、いずれにいたしましても、その範囲につきましてはやはり限定的に解さざるを得ないということになろうかと思います、独法のままであればですね。
 したがいまして、今回お願いしておりますのは、こういう、我が国の国際競争力を高めるために、このようないろいろなシステムを管理運営するような法人形態については、独立行政法人ではなしに特殊会社として、企業の形態を取った形でのより効率的かつ円滑な、弾力的な運営を行いたいということがこのねらいでございます。

○大門実紀史君 だから、言葉でいろんなことを、有効なとか弾力的なとか、そういう言葉じゃなくて、言葉じゃなくて、何が具体的に今のままできないのか。今のままだと何が非効率で何が国民のためにならないのかというところでいくと、何としてもぼやっとした話なんですよ。
 私、いろいろ聞きましたら、要するに今も官民共同でやっていますよね。公の部分はやらにゃいけない部分はある、これからもずっとあると。それは担保しながら、民営化されても、特殊法人化しても、しかし民間のニーズにもこたえなきゃいけない部分があると。これは特殊法人のままでは新規業務も増やせないと、展開できないと、だから丸ごと持っていくと。私が言っているのは、それならば、アメリカのように国がやるところだけきちっと残して、残して、民間がやる部分は、その部分だけ民営化することは可能じゃないですかということを申し上げたわけです。
 私、今問いたいのは、この法案も一個一個言えば民営化された後こういう心配があるんじゃないかというのはもう衆議院でも議論ありましたので一々言いませんけれども、問いたいのは、さっき言ったこの流れの中でまだこんな法案が出てきていると。今問われているのは、官そのものの効率化、官そのものの利便性の、国民に対する利便性の向上と。官じゃ駄目だからすぐ民営化しちゃうんだじゃなくて、官そのものが問われているんですよね。
 青山さんは公務員だからお聞きいたしますけれども、問われているのは、移しちゃって、とにかく民間の世界にほうり出しちゃって効率的にやれじゃなくて、あなた方そのものの官の部分の効率化が問われているんじゃないですか。民間にすりゃいいというんじゃなくて、違うんですか。

○政府参考人(青山幸恭君) 従来から、お答え申し上げますが、いわゆる輸出入港湾関連手続、非常に煩雑であるというような批判がございます。ですから、まさに大門先生がおっしゃるように、その部分の批判があったものですから、その手続自体、これは制度でございます。制度でございますが、この手続を極力簡素化しようという流れが、これがFAL条約の際に私どもがやりました三分の二カットしまして、三分の一にしようと。さらには、様式とか何かの部分はこれは当然のことながら統一的にしようという、そういう面でもちろんやる部分はございます。それを受けまして今回の議論になるということでございます。

○大門実紀史君 今求められているのは、ちょっともう時代が少しずつ変わっているんです。民営化して効率化しようなんてのはもうちょっと古いんです、はっきり言って。官そのものが、公の部分そのものが国民のために効率性上げなきゃいけないし利便性の向上を図らなきゃいけないと、それそのものが求められているのに、今回ずっと言われている理由が、民営化した方が効率的になりますと、利便性向上しますとおっしゃるから、違うんじゃないですかと申し上げているわけでございます。
 ですから、この民営化の部分を撤回してもらえば、私この法案賛成したいぐらい、あとの部分は遅ればせながらとなりますけど、それほど悪い法案じゃないと思っているところでございます。
 これは今後、またいろんなことにもつながると思うんで大臣にまたお聞きいたしますけれども、郵政民営化のときにも似たような、今回スケール小さいかも分かりませんが似たような議論がありました。というのは、公的役割と民間になったときの収益性をどう両立するんだと。竹中大臣なんかは、その両立する狭い道を行くんだと何度もこうおっしゃっていたわけですね。私は、狭い道なんかなくて行き止まりになっちゃうと、必ずやっぱり収益性の方になっちゃうと、民間になればですね。これはもう当たり前、仕方ないですね。市場経済ですからね。そう申し上げてましたし、事実、今郵政の方も、なかなかユニバーサルサービス、あのとき約束したことができなくなってきていますから、必ずそういう方向になると思うんですよね。
 ですから、今回も、お聞きすれば、必ず両方両立するためにいろんなこと担保をしておりますという答弁しか返ってこないと思いますから、そういうことではなくて、大きな話として、そういう両立していくということをやるぐらいならば、やるぐらいならば、さっき言った、私も民営化全部反対じゃありませんから、民営化してもいいものだけ民営化して、公的な部分はやっぱりきちっと残すというようなことも今後の民営化の議論の中では私はあり得るんじゃないかと思いますが、いかがですか、大臣。

○国務大臣(額賀福志郎君) これは、おっしゃるように極めて公共性の強いものもありますから、国が関与していく中でなおかつ民間的な手法をもって効率化、合理化を図っていく、その中で国際競争力、それから一元的な処理をしていく、そういう展開を自らの力で収益も上げながら展開をしていく、そういうことが望ましいということでこういう民営化法案を出させていただいたということでございますから。
 私は、こういうケースですね、公益性もありますが、民間手法で、しかも自らの力で近代化を図っていくことができる、競争力をつくっていくことができる、そしてその先端を開いていく、そういう新しいチャレンジをさせたらいいというふうに思います。

○大門実紀史君 とにかく民営化論というのが今本当に見直されるべきときにもう入っているということを踏まえて今後のことをお考えになるべきだし、今回の法案はその点ではちょっともうしゅんを外れた、時期を外れた、何か小泉改革の名残みたいな法案、こんな法案にわざわざ賛成することはできないということを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
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