■156-参-財政金融委員会公聴会-1号 平成15年07月10日 |
○大門実紀史君 本日は大変御苦労さまです。 最初に村田公述人にお伺いしたいんですけれども、日本生命の社員をやられているということで、うちも日本生命ですので、お世話になっております。予定利率引き下げないそうで安心をしているところでもありますけれども、この間、衆参で議論をしてきて、この前、参考人で協会の会長も来ていただいて、私、もう大体いろいろ出尽くしているんですけれども、どうしても分からないところが何点かあるので、その点を中心にお伺いしたいんですけれども、まず、なぜ今この法案が今国会でどうしても通すということで、金融審議会も五月に急遽開かれる形で一回だけということで出てきたか。 私、金融でいきますと不良債権問題、ずっと追い掛けている関係でいきますと、竹中プランで九月決算がある、三月にもまたあるというところで、かなり不良債権処理、銀行問題との関係もあるような気がしているところなんですけれども、そう言いながら、そう言いながらといいますか、そういう背景がありながら、お聞きすると、村田さんもそうでしたと思うんですが、これは一つの選択肢だと、前川さんの方は危機対応と、一定差し迫ったあり得る危機対応というふうにお伺いして、金融庁もどちらかというと選択肢の一つですということで、個別のところを想定しているわけではありませんという話があるんですが、私はどうもそうは思えなくて、やはりこの九月決算、その後の本決算というふうに向けた大きな流れの中で今やっておかなけりゃいけないということの強い金融庁の意思を感じるわけですけれども、その点でいくと、一つの選択肢というよりも、具体的な危機対応というふうな気がしてならないんですけれども。 というのは、名前はもちろんどこそこと出すわけにいかないでしょうけれども、幾つかのところがもう追い込まれている。こういうスキームで行って、次善の策と言われていますけれども、やらざるを得ないようなところに追い込まれて出てきているんではないかというふうな、どうもそういう感じを持つんですが、村田さんと前川さん、その辺どうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。 ○公述人(村田敏一君) なぜ今立法を急いでいるか、この辺は私も知るところではないわけでございますが、ただ一般論として申しまして、こういう制度は正に転ばぬ先のつえということで広い意味での安全ネットの整備に資するものと考えておるところでございます。 そういう意味では、正に、今は別に危機的でないとしましても、今後の状況がいつ急変するかこれは分からない、株価等も分からないわけでございますから、そういう意味では、そういう万が一危機的な状況が生じたときに、契約者保護のための制度というのは、これは今危機でなくても、広い意味での安全ネットは速やかに整備しておいた方が急変したときに対応できると思いますので、そういう意味では立法は急がれるべきものというふうに理解をしておるわけでございます。 選択肢ということと危機管理ということは、これは矛盾をしていないわけでありまして、あくまで制度は選択肢でございますが、そのような状況が起きたときには正に危機対応として個社が使える、こういうことでございますから、決して矛盾していないものと理解をしておるわけでございます。 以上でございます。 ○公述人(前川弘之君) お答え申し上げます。 度々、繰り返しになりますけれども、私は、この法制は危機対応のために、今必要性はないんだけれども、危機対応のために将来に備えて検討しておこうということではなかったかと存じます。 その危機対応を考えたことによって危機が遠のいているというのが現実だと思うんですが、それで、正に村田公述人がおっしゃられたとおり、これは転ばぬ先のつえと考えておりまして、じゃどういうところが危機対応かと申しますと、先ほど申し上げましたとおり、フローでは稼げるんですが、ストックが目減りしてしまったときにどうするかということを考えると、銀行と保険契約者しか債権者がいない中で、銀行さんにもある一定の負担をしていただきたいということになります。そうなりますと、銀行の債権放棄といったことも考えられるわけですが、今回の法律はよく見ますと銀行が債権放棄できるようなしつらえを中に内包しております。 具体的に言いますと、基金を債権放棄できる。ですから、銀行の経営者の立場からしますと、更生特例に追い込むのか、あるいは経営再建をさせるのかということで、経営再建の選択肢を取ったときには銀行も確かに負担をするのですが、契約者にも一定の負担をしていただきます。そのことによって回収可能性が高まるので、ビジネスジャッジメントの原則に基づいてこの経営再建策はのめますということが利害関係者に対して合理的に説明が付くんじゃないかと考えております。 したがいまして、この法律は決して契約者だけに負担を負わせるものではなくて、逆に言うと契約者の権利をカットしても当期のバランスシートのストックを改善することはできません。将来にわたっての効果だけでございますので、当期のバランスシートを改善するためには、これはもう相方の債権者に債権放棄といった選択肢が迫られてくるわけでして、それをのむためにはやはりこのようなしつらえが必要なのではないかというふうに考えております。 ○大門実紀史君 差し迫った危機は、株価の問題もあるんでしょうけれども、ちょっと遠のいたかも分かりませんが、いつ来るか分からないというような点はあると思いますけれども、私は基本的にこの法案反対なんですね。 その一番問題点は、契約者自治と言いながら、先ほど村田さん言われましたけれども、ワーカブルでなければならない、使い物にならなきゃ幾ら議論して作ってもしゃあないだろうと。そこのところで大事なことがどうしても拙速に形にしたところに一番のといいますか、基本的な問題点が含まれている。つまり、先ほど出ましたけれども、本来なら契約者集会をやるべきだという金融審の一定の到達点もあったわけですが、現実的に不可能だというふうなところ。実際に使えなきゃ、実際に使えるようにするために一番大事なところを非常にあいまいに保障しなくなった。契約者の権利を非常にあいまい、本当に保障されるのかどうかをあいまいにした部分が私はあるというふうに思っています。 この前の参考人質疑のときの参考人の方、言われたんですけれども、契約者集会というのはもう何万人もいてできないという話がありますけれども、株主総会はやっているじゃないか、やり方あるじゃないかということも含めて、総代会で本当にそれが保障されるのか、契約者の権利が。あるいは異議申立ての十分の一が本当にそういう非常に高いハードルだという方もいらっしゃいますし、非常にその辺が保障されないまま、契約者の権利が本当に保障されないまま、このワーカブルにするという一言、もう余り片仮名使わない方がいいと思いますけれども、そういう、とにかく実際に使えるものという意味は、だれがメリットを受けるのかということにかかわりますけれども、ちょっと無理が、無理にそこのところが進められた気がするんですけれども。 本当にそのワーカブルということと契約者の権利、矛盾するところが私はあると思っているんですが、これで保障されるのかというのは率直に言って、村田さん、いかがお考えですか。 ○公述人(村田敏一君) 答えさせていただきます。 まず、契約者の意思の問い方としては、確かに一つの理想論として集会という制度が提言されておったわけですね。基本的には、今回の法制では、総代会とか株主総会というのは、これは契約者意思というよりもむしろ最高意思決定機関としての存在でございますから、この意思、異議申立てということで問うておると、こういう法制になっている。だから契約者意思を、集会と異議申立て、何も二つ聞くことまではやや過重であって、これはやっぱりそういう、ある種危機的な状況の下では迅速に手続を遂行して契約者保護を図るということが重要であるわけでございますから、これはもう異議申立てで十分であるという判断がなされたものと思います。 ただ一方で、金融審の中間報告では、何ら行政が事前に蓋然性を認定するとか、そういうスキームはなかったわけでございますね。そこは、実質的な契約者保護という観点では、今回はあくまで申請に基づきつつ当局がその蓋然性ということを認定しないとスキームが発動できないという点において手続が濫用できないという点から実質的な契約者保護が図られていると。だから、そこの蓋然性という一種の要件を設定して行政庁が認定するということがセットになって、そこの迅速性の観点から契約者集会が省略し得たものだと、このように考えるわけでございます。 以上でございます。 ○大門実紀史君 山野井さんにお伺いします。 もうほとんど私、山野井さんの御意見と一緒ですので、私、これは何のための法案か、だれがこれでメリットを受けるのか、何でこんなに無理なことをやるのかというふうに考えていきますと、契約者保護といいながら保護になるのかどうかという資料もちゃんと出ていませんし、はっきりしないんですね、結局は。 今日のお話も含めて、結局だれが、このスキームを使うようになってだれが得するかといいますと、先ほど前川さん言われました、私、スポンサーになる、受皿になるところ、これはやっぱりメリットを受ける、そうなった場合、明らかにメリットを受ける。もう一つは、更生特例使った場合、銀行なんかの基金だとか劣後ローンが減る場合が考えられますから、銀行や、銀行がメリットを受ける。もう一つは保護機構ですね。ここにその処理でそこからお金を出すようになれば業界負担が増えるから業界がメリットを受けると。契約者保護と言いながら、銀行だとかスポンサーだとか業界がメリットを受けるような法律にすぎないというふうに私は思うんですが、率直に山野井さん、いかがお考えですか。 ○公述人(山野井良民君) 銀行と保険会社が保護をされて契約者が保護をされないということになるわけでありまして、そして、今までの御議論で先生方お分かりのように、事態は切迫をしていない。個別の保険会社においても、この制度はできても使わない、こういうことがもう既にはっきりしているわけであります。 そうすると、あとは何が残るのかというと、万が一、万が一いつか行われることがあるかもしれないけれども、行われたときは契約者のみが損をする、こういう蓋然性だけがはっきりしていると、こういう法律でございますから、その辺冷静にお考えになっていただければ、私は瑣末な、あるいは、失礼しました、余り細かい議論をする必要も、までもないのではないかというスタンスを取っているところであります。 もし、これを具体的に危機が予想されるというのであるならば、あくまでも、じゃこのような統合スキームであるならば利下げ申請をした会社が救済できるとか、具体的に契約者の負担が軽減できるとかということについて、やはり国民の前にそういうスキームというものを見せていただかないといけないということですね。 要は、制度だけ作る話だからそんなことはどうでもいいではないか、具体的にそのような危機が起きる、あるいはその契約者にとっての損失がどうであるかというふうなことについて事態が想定をされないということについてその法改正をする、しなきゃならないということが私は全く得心がいかないということになります。 ○大門実紀史君 田崎さんに最後に伺いますけれども、いろいろ御苦労をされてきて、本当に生命保険会社の実態、銀行の実態、行政の実態というのはもう身にしみて苦労されてきたと思いますけれども、今回も契約者保護だとか破綻よりましだとか、何かいかにも契約者のことを考えているというふうに打ち出されていて、私はこれかなりまゆつばだと思って議論しているんですけれども、率直に言って、今回の予定利率引下げの、そういう契約者保護とかいうのは信用できますか、苦労されてきて。 ○公述人(田崎アイ子君) お答えします。 私たちは、もう一度ならず二度も銀行、生保にだまされています。とてもこれは信用できません。ですから、私は、こういう場にお恐れながらもと言いたいことですけれども、出させていただいて、私たちは予定利率を下げていただくことは反対しますということを述べさせていただきました。 ○大門実紀史君 終わります。 |
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