■156-参-財政金融委員会-14号 平成15年06月13日 |
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。 今日は御苦労さまでございます。 私は、今の金融行政そのものがもう狂っているというふうにずっと指摘をしてきている中です。その中で起きた今回のりそな問題。ですから、そういう、もう本当に何をやっているのかというこの金融行政の中で、非常に象徴的に起きた歴史の一こまだというふうに私は認識をしております。 もちろん、りそなのそのものの責任、二兆円も公的資金を入れるということですから、ありますし、経営体力の一番弱いりそなが、大きな矛盾に満ちたこの金融行政の中で、私は、一番体力の弱いところ、あるいはいろんな経営上の問題があったところが脱落したということではないかというふうに私認識しておりますので、そういう点で、そういう歴史の一こまといいますか、私は、後で振り返りますと、これはあのときちょっと大変な大臣がいて大変なことをやってしまったというふうに、後で私は語りぐさになるような、りそなというのはそういう事件だというふうに思っております。 その点で、勝田参考人に、もちろん国民の皆さんにはきちっとおわびしてもらわなきゃならないし、責任を取ってもらわなきゃいけませんが、金融行政ですね、今のこの金融行政について思われることあれば、御意見を聞きたいと思います。 ○参考人(勝田泰久君) お答えをいたします。 私どもも、不良債権の処理がなければやはり経済の活性化がならないという認識を持ってこの不良債権の処理に全力を挙げてきたわけでございますが、反面、やや責任を転嫁すると言われるかも分かりませんが、やはり、片や景気の回復、片や資産デフレの改善、特に株式と不動産でございます。そういったものが相まって不良債権の処理ができ、また銀行も健全化に向かうというふうに考えておりました。 以上でございます。 ○大門実紀史君 今となればもう仮定の話ですけれども、とにかく資産の、ごめんなさい、税の繰延べの査定の厳正化ということがとどめを刺したというふうなことになっているわけですけれども、仮に、仮にそれがかなり厳しくやったとして、監査法人の皆さんの判断もあったかも分かりませんが、結果的に四%をクリアしたとして、資本不足ということにならなくて、まだりそなが公的資金、事実上の国有化されないでこの四月以降も営業を続けていたといたします。 それでも、中身的にはほかよりも税の繰延べが多かったりして問題はあったと思いますが、勝田参考人は、それでも改善していけたと、立ち直っていけたと、資産内容を良くしていけたというふうに、今となっては仮定ですけれども、思われておりますか。 ○参考人(勝田泰久君) 正に仮定のお話で答えにくいところもございますし、また一線を引いた者としては余り述べにくいところもございますけれども、いっときそういった経営の責めにある者として、やはりこの銀行を立て直していかなければいけない。頭取になりましてちょうど一年十か月で終わったわけでございますけれども、以前から経営の一翼を担っておりました。 そのときに、やはり資本の弱さというものを感じながら、何とか、先ほどもおっしゃいましたように、剰余金を積み上げていく努力というものをしていたものですから、しかしながら、今先生御指摘のとおり、仮に四%を超えていたらということでも、やはり私どもとしては四大メガバンクに次ぐ五番目の金融グループでございましたものですから、必ずしも、その資本で健全化をやっていけたかどうかということに関しては、当時私、一生懸命やっておりましたけれども、なかなか難しい。 と申しますのは、やはり、新しい新BIS基準が入ってくるとか、やはり、私どもは国内基準行だといいながらも、大手行の一角であるからもっともっと資本を増やさなければいけない、自己資本比率をですね。そういったところが非常に悩ましい経営でございました。 以上でございます。 ○大門実紀史君 そうすると、あれですか、仮に今回、自己資本不足ということの結果出なくても、やはりりそなは難しかったわけですか。 ○参考人(勝田泰久君) 先ほど、また仮定の話になりますが、自己資本比率が、繰延税金資産が今回約二・六%下がったことによる四%割れでございますけれども、私は当初、三月増資をいたしまして、六%の半ばという予定でやっていたときは、やはり従来どおりの繰延税金資産を算入しての考え方でありましたから、これが否定をされるということは、非常に難しい状況になったというふうに判断をいたしております。 ○大門実紀史君 少し基本的な話ですけれども、勝田参考人は、その四%という数字をどういうふうに、私は余り根拠がないといえばないというふうにも思うところあるんですが、率直にどういうふうに思われますか。 ○参考人(勝田泰久君) お答えをいたします。 これは先生も御存じのとおり、今から十八年か二十年前ぐらいに日本の銀行のオーバープレゼンスが言われたときに、BISでこういった資本コントロールが出てきたと理解をいたしておりまして、そのときに国際基準行八%、国内基準行四%。そのときは株も右肩上がりで、その株価の四五%がティア2に算入できるということで、どの日本の銀行も当時は高い自己資本が計算できて、そしてまた格付も皆トリプルAをもらっているというような状況であったわけでございます。 そういったときには、特にその自己資本比率について深い考えといいますか、簡単にクリアできておりましたので考えていなかったわけでございますが、基準としてある以上は、私どもはやはり、一九九五年に大和銀行がニューヨークを撤退し、あさひ銀行もやはり国内基準行になったというところから、やっぱりこの四%がまず一つの基準になったと。そして、先ほど申しましたように、大手行である以上、やはり高い自己資本比率を達成しなければいけないということでやってまいったわけでございまして、意味があるかないかについては、私ちょっとコメントを差し控えさしていただきます。そういう考え方でございました。 以上でございます。 ○大門実紀史君 私、りそな銀行というのはそもそも何を目指していたのかといいますか、何だったのかなということもお聞きしたいわけですけれども、旧あさひと旧大和が一緒になってと。ただ、地域的には広域合併といいますか、埼玉があり、大阪があり、奈良ですか、いわゆる狭域、狭い域の地域での合併ではなくて、非常に飛んだところが広域で合併をすると。りそな銀行は地域に根差してやっていくというところからいくと、どうしてそういうふうなちょっと変わった形の合併をされたのか。率直に言いますと、体力なり自己資本を何とかするために無理な広域の合併をしたような気がするんですが、その辺は何を目指しておられたんでしょう。 ○参考人(勝田泰久君) 私ども、かつての大和銀行は一九一八年に大阪で生まれた銀行でございまして、都市銀行と言われながらも大変地域の偏在性、支店の偏在がある銀行でございまして、加えて、大阪の地銀、第二地銀というのが今から約十年か十五年ぐらい前から大変傷んでおりました。現在の大阪の経済も、残念ながらそういった意味では低下傾向にある。その中で、やはり地元の経済あるいは地域の経済にお役に立ってこそ銀行の存在があるんだという考え方で、今の近畿大阪銀行も、かつての銀行でいいますと四つ一緒になっているわけでございます。そこに奈良。今度、あさひ銀行については、埼玉県にはきちっとした高いシェアのある銀行だと。それから、首都圏でもかつての協和銀行と埼玉銀行もあるし、それに大和銀行もあるし、店舗網、お取引先があると。 こういうことで、広域ではありますけれども、首都圏とそれから近畿圏とそれから埼玉県というようなところに主要な融資並びに預金のお客様が偏在をしている銀行だというふうに考えて、そういう構想で持ち株会社を作ったと、こういうことでございます。 以上でお答えを申し上げました。 ○大門実紀史君 私はそれじゃちょっと分からないんで、要するに自己資本比率ということが、地域性だとかリージョナルバンクとか言われていますけれども、そういうものを飛び越して、もういかに体力維持するか、自己資本維持するかというところにとらわれた結果ではないかと思っておりますので、また機会があればそのことはお聞きしたいと思いますが。 今後のことでいきますと、もちろん勝田参考人、もうお辞めになったわけですけれども、りそながこれから本当にそういう地域の金融、中小企業金融を本当に今までどおりやっていけるのかというところがかなり不安の声が埼玉りそななんかでも出ております。そもそも、りそながこの決算に向けてやっぱり体力強めなきゃという中で、金利の引上げみたいなことが個別の相談ではかなり寄せられておりましたので、それが今度、公的資金がまた入れられたということで強まるんではないかと。つまり、公的資金を返さなきゃいけなくなりますしね、それには収益性を上げなきゃいけません。 地域で中小企業を相手に収益性を上げるとなると、これはいろんなやり方あるかも分かりませんが、結局はやっぱり金利をどう取っていくかということにはっきり言って尽きるわけですね。そういう点でいくと、今までよりももっと中小企業の皆さんに高金利の押し付けが始まるんじゃないかとか、あるいは貸し渋り、貸しはがしが広がるんじゃないかという不安が大阪の方は強いですが、埼玉の中でも出ておりますけれども。 今までももう、一・九兆ですか、公的資金入っていて、それを返すだけでも大変だったと思うんですけれどもね、返そうと思うと剰余金積まなきゃいけませんね。大変だったと思うんですが、今度三兆円にもなって、本当にそういう中小企業向けの融資を維持しながら返済していくといいますか、株で売るといったって、結局、収益性上げなきゃいけませんから同じことだと思うんですが、そういうことは可能だとお思いですか。ますます厳しくなる方向になるんじゃないかと私は思うんですけれども。 ○参考人(勝田泰久君) 先生、付言していただきましたけれども、私、今替わりまして、余り後の経営陣にとやかく言う立場にはないんですが、どう見るかということでお答えをさしていただきたいと思いますが。 旧大和も旧あさひも、やはり自分の銀行が一年間に上げ得る業務純益を超えるようないわゆる大口の貸出しで失敗をしてきた銀行だと認識をいたしております。 旧大和銀行で申し上げますと、かつての永大産業、かつての三光汽船、加えてニューヨークにおける事故による多額の損失等々ですね、これは過去の経営者を非難するつもりはありません、私も一人でおりましたんですが。ただ、そういうものをリージョナルバンクとか地域を持った銀行がやっていたんでは駄目なんだと。ですから、当然、一社当たりの与信額を限定する、一グループ当たりの与信額を抑える、これはクレジットシーリングという言葉でございます、御案内のとおりでありますが。それがもっともっと徹底していかなきゃいけない。 私は、先般も衆議院の場で申し上げましたけれども、今経営を切り替えようとするさなかで、やはり一社に一千億を融資するんではなくて、一千社に一億ずつ一千億を融資する銀行になろうと、これがリージョナルバンクあるいはリテールバンクの本筋じゃないかと、これは当然、埼玉りそな、奈良、今は奈良銀行と言っておりますが、それから近畿大阪銀行。近畿大阪銀行もなぜ傷んだかというと、地銀、第二地銀という言葉でもって下に見るつもりはございませんけれども、体力を超えたような融資があった。これを反省に立てば、私はリージョナルバンクというのは、今アメリカでもそうですけれども、必ず収益性のある銀行になり得る、そう思っております。 ですから、私どもがなし得なかったそういった果断さで、私ども旧経営陣は過去のしがらみを持っていると、こう言われておりますので、新しい経営陣はそれをやっていただければ私は非常に開けてくるだろうというふうに、希望が開けてくる、展開が開けてくる、かように思っております。 以上でございます。 ○大門実紀史君 最後に、新日本の竹山参考人にお伺いしますけれども、今お話ありました、将来の収益性をどう判断するかで、税の繰延べをどう見るか、計上をどう見るかというのがあったと思うんですが、私は、ほかのメガバンクと違って、りそなの場合は、もちろん今体力弱いかも分かりませんが、そういう点で収益を上げていくと。しかも、メガバンクとは違う方向での収益を上げていくという方向性があったと思うんですが、そういう点は、将来の収益の見通しが見込めないということで大変厳しい判断をされたわけですが、リージョナルバンクというのを目指していたりそなということは何も加味されないで将来の収益性を判断されたのか、あるいはそれはもうこれからも中小のリージョナルバンクでもメガバンクでも同じ判断されるのか、そのことをちょっと簡潔に聞いて、終わりたいと思います。 ○参考人(竹山健二君) 全般的には、やはり銀行の経営自体は、今おっしゃっていますように、経営者が本当に真剣に考えておられるということで、私たち自体の判断は、やはりりそなさんは基本的には業務利益がきちっと上げられる銀行であるという認識でございます。 したがって、ただ、今の経済情勢とか自己資本の傷みで五年じゃなくて三年というふうな判断をいたしましたが、根幹的には、今おっしゃったようなことを判断に入れて、きちっとした体力のある銀行であるということでこの問題を解決したいと思います。 ○大門実紀史君 ありがとうございました。 |
戻る▲ |