■156-参-予算委員会-3号 2003年01月29日 |
○大門実紀史君 大門実紀史です。 関連質問をさせていただきます。 竹中大臣にだけお聞きいたしますけれども、私、今までの議論をお聞きしておりまして、今回の補正予算、何のために出されたのかというのがさっぱり分かりません。もう一度確認させていただきますが、今回の補正予算というのは、竹中プランといいますか、昨年出された、十月に出された不良債権処理加速に伴うデフレに対処するために出された補正予算だということだと思うんですが、もう一度確認のためにお願いいたします。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 平成十四年度の経済については、我々当初〇・一%見通しだったものが、実は実績はそれより少し良くなりそうだということは申し上げました。 しかし、その間に新たな変化も起きております。一つ、一番大きな変化は、やはり世界経済の不確実性が非常に高まってきたこと。特に、十五年度はアメリカの問題等々もあるし、国内では不良債権処理の加速に伴う不確実性が予想をされる。そうした状況に対応するために、今回の補正予算をもって改革を加速させながら経済を安定化させていくと。そのために補正予算をお願いした。したがって、セーフティーネットと構造改革加速のための社会資本をその中身としているわけです。 ○大門実紀史君 国内の方で、そうしますと、要するにリアルに具体的に考えますと、特に主要行に対して不良債権処理の加速をやりなさいということでありますから、そこから生まれる、具体的には主要行の不良債権処理加速から生まれる失業だとか倒産だとか、種々の問題に対処することが今回の、特にこの三月期決算を前後としていろんな事態が起こると思いますが、それが一番の補正予算の私は目的でなければいけないというふうに思うわけですが、実態はどうもそうなっていないという点を指摘しながら質問したいと思いますが。 一つは、何が起こるかというと、もう貸し渋り、貸しはがし等、具体的にはその不良債権処理で整理に追い込まれる企業、特に中小企業の問題がこの三月を境にしていろいろ起こるわけです、三月決算へ向けて。その点で、二つの問題だというふうに思うわけですけれども、それにどう政府が手を差し伸べるかということが問われているわけです。 二つ申し上げました一つ目の貸し渋り、貸しはがしの問題ですが、竹中大臣は今までの議論で、銀行に対しては、一方で不良債権処理は加速しなさいと。一方で、我が党、他党もそうですけれども、指摘した貸し渋り、貸しはがしはやめさせなきゃいけない、指導するんだとおっしゃってきましたけれども、この二つのことは矛盾いたしませんか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) その二つが矛盾しないように、総合的な金融の強化のプログラムを知恵を絞って組んだということでございます。 ○大門実紀史君 資料を既に配付してもらっていると思いますが、矛盾するんです。 それで、ちょっと大臣から説明してもらった方がいいと思うんですが、不良債権処理を加速すれば自己資本比率がどうなるのかと。貸出しを努力しなさいと言ったら自己資本比率がどうなるのかと。私のこれ、参考にしてもらってもいいですから、大臣から分かりやすく説明してもらえますか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) まず、不良債権処理でありますけれども、不良債権処理というのは、処理損が出るかもしれないという意味では自己資本を小さくする可能性がある。しかし、その分、オフバランス化を同時に進めるということであれば総資産も小さくなる。その進め方によってどのようになっていくかということである。 中小企業に対する貸出し云々というのは、これは総資産、分母を大きくいたします。その分、様々な形でリスクをうまく管理して、リスク管理に見合って収益を上げていけば分子の自己資本も上がる。したがって、非常に多様な動き方をしますので、これをうまく、非常にうまくバランスさせていこうと。それで自己資本比率という世界の基準をクリアしていこうというのが金融再生プログラムの考え方です。 ○大門実紀史君 私、そういう手品みたいなことはできないと思うんです。どうやって不良債権処理を、もう本当に倍の速度でやろうとしていますよ、この三月決算までに。もう今までと違う、むちゃくちゃやれと言っておいて、どうしてうまくとか総合的にって、どうやってやるんですか。具体的に説明してください。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 決してむちゃくちゃやれと言っているわけではなくて、以前から金融庁で指導しているいわゆる二年、三年ルール、今あるものは二年でオフバランス化、新規のものは三年。五割八割ルール、一年目で五割云々という、それをきちっとやっていくということです。 あえて言えば、資産査定については、これまでの自己査定と金融庁査定の間で乖離があって甘い部分があったから、そういうのは埋めてくれと。できるだけ市場に評価されるような資産査定はしてくれと、そういうことを言っているわけでありまして、むちゃくちゃなことをやっているわけではございません。 具体的には、自己資本を充実されるように、ちゃんとガバナンスを発揮して利益率を高めろと。総資産についても、むしろ証券化等々がしっかりと行えるような形で、貸出しに影響が余り出ないようにしろと、そういうことをかなりきめ細かく可能な範囲で考えて金融再生プログラムは作られております。 ○大門実紀史君 二年、三年ルールですと、今度の三月期まで約五・二兆円の処理をすれば、主要行ですよ、大体そのルールに乗っているわけですね、あと五割八割ルール合わせても。ところが、今大体その倍の処理をやろうと。むちゃくちゃな数字になっているわけです。 大臣いろいろ言われましたけれども、そういうふうにいろいろ総合的にやっていたら何で実際に貸出しが減っているんですか。減っていますよね、この間、みずほだってUFJだって。それで業務改善命令を受けたり、みんな減らしていますね。うまくやっていれば何で減ったんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 銀行は、とにかく二年以内に不良債権問題を解決しようと思って今いろんなプランを発表しつつあるところです。我々はそれが本当に着実に実行されるか、かつそれが実体経済に過度な負担を与えないかということを今慎重に見極めているところです。それぞれ三月期の決算期でそういったものが出そろいますので、それに向けては、実体経済に対して過度な負担が掛からないように我々としても本当に注意をして見ていこうと思っております。 ○大門実紀史君 これは簡単な分数ですよね。小学生でも分かる分数なんですよね。 今、政府は、竹中大臣が言われているのは、要するに自己資本比率、これは不良債権の処理どんどんやれば処理損が出て小さくなるわけですよ。一方で、貸出しを減らすなと、中小企業減らすなということになると、総資産が減らせないわけですよ。増やせというふうになっているわけですよね、あの業務改善命令で。そうしたら、自己資本比率がごそっと下がりますよ、これ、分母が大きくなって分子が小さくなるんだから。それで、一方では八%、自己資本比率が、(資料を示す)別にパネルというほどではないんですけれども、八%を切ると公的資金を入れると。国有化されるんじゃないかというので銀行はもうなりふり構わず今資産圧縮をやっている、だから貸出しが減っているということなんです。どうしてそれが認識されていないんですか、金融庁が。 ○国務大臣(竹中平蔵君) まず我々が解決しなければいけない問題として、自己資本比率というのはやはりきちっと守っていかなければいけない、これはやはり国際的に見たら、少なくとも主要行についてはそれを守らなければいけない、これはやっぱり私たちにとっては与件だと思います。いろんな御意見があるかもしれないけれども、与件だと思う。 もう一つ、資産の査定については、本当に不良債権があぶり出されているかどうかということに関して常にやはりマーケットから非常に厳しい目がこの数年来寄せられてきた、この問題は解決していかなければいけない。したがって、資産の査定はしっかりと行っていかなければいけない、これもやはり私は与件だと思います。その中でこれをどのように解決していくか。 したがって、不良債権処理、処理と言いますけれども、まずしっかりと資産査定をやって、そのとき処理損を出すというのは、これは一つあります。もう一つ処理の意味は、オフバランス化するわけでありますけれども、例えばオフバランス化するときに、証券化していったりという形で別の資産の所有者を見付けていくような方法を取れば、これは全体としての貸出しとか、そういったことに対しては影響を与えないわけですね。 したがって、金融再生プログラムでは、繰り返し言いますが、まず収益力を高めて自己資本もしっかりやりなさい、本当に必要な場合は政府も公的資金を使うという、それで金融から底割れさせないというふうに言っていると。資産については、とにかく資産査定をしっかりやりながら、しかしながらオフバランス化のための証券化等々の手法も取り入れて、様々な形でこの狭い道を歩んでいけるようにしていると、私が申し上げているのはそういうことでございます。 ○大門実紀史君 私、先ほど西山議員言われましたけれども、この二日間で四大メガバンク、UFJ、みずほ、三井住友、東京三菱、全部私の部屋へ来てもらって、本店の担当者にこの加速策で何を今やろうとしていてどうなっているかというのをすべてヒアリングをいたしました。 大臣言われた証券化とかは限界があるんだと、今ローン担保証券とかいろいろ作っていますけれども、デリバティブ作っていますけれども、いろいろ全部やったってそれはすべて限界があるんだと。余りやり過ぎると、資産が劣化していますからね、相場が下がっていますからね。 だから、結局あれこれやったけれども、もう貸出しそのものを減らすしかないんだということをもう担当者がこちらに、日本共産党に泣き付くような言い方で言うような状況になっているんですよ、今。だから、あなたの言われたようなあれこれとか狭い道とかじゃなくて、もう道はふさがれているんです。道はふさがれているんです。貸出しを減らさない限り、結局、自己資本が下がって公的資金入れられると、ここまで来ているんです。どうしてそういう認識を、本当にないんですか、そういうことが、分からないんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 私はそういう認識は全く持っておりません。 石油ショックのときから、例えば日本の製鉄業は本当に乾いたぞうきんを絞るような形で省エネ化を行って、その詰めた詰めた詰めたところで競争力を高めて今日の日本経済を築いてきた。それに比べれば私は日本の銀行はまだまだやれる余地があると思っております。これは、そうした中で例えばみずほが非常に大規模な増資をするということを、これ計画し出したと、我々はこれを注目をしております。銀行に関しては経費の面も含めて、ないしは様々な、これはプロフェッショナルですから、金融の手法などもいろいろ考えられると。それについては大いにこれは知恵を絞る余地があると思っております。 ○大門実紀史君 もう少し現場をつかんでほしいし、大手行は特にあなたが出された追い込み策で今慌てふためいてなりふり構わずやっているわけですから、できるのかできないかぐらいちゃんと話を聞くべきですよ、こちらが聞いているんですから。あなたが聞くべきです。そんなふうになっていないです、本当に今。 もう、はっきり言いまして、金融庁は貸せと言うのか貸すなと言うのか分からないと。それぐらいの状況ですよ。貸したいと、銀行だって。大銀行だって貸したいと。貸すに貸せないという状況に今なっているわけです。 ちょっともう一度ちゃんとヒアリングをしてほしいのと、とにかく不良債権処理、この無理な加速策をやめない限り、幾らいろいろセーフティーネットだとかあれこれ言ったってなくなりませんよ、貸し渋り、貸しはがし。もう貸しえぐりと言われたその状況、もっとひどくなりますよ。あなたが起こしているんです。銀行じゃないんです、ここまで来ると。あなたの加速策が起こしているという認識を是非持ってもらいたいと思います。 もう一点、そのヒアリングのときに聞いたことで御指摘したいと思いますけれども、まず、これは銀行の担当者も言っていましたけれども、改革先行プログラムの中で、オフバランス化のときに、銀行がオフバランス化する、最終処理すると、そのときに中小企業への配慮というのはどういうふうに書かれていますか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 平成十三年十月二十六日の改革先行プログラムのお尋ねだと思います。それの金融庁関連部門では、オフバランスに当たっての配慮として、その際、次のような点を留意するように要請すると。「中小企業については、その特性も十分に考慮し、再生可能性、健全債権化について、キメ細かく的確な判断を行う。」、そのようなことを述べております。 ○大門実紀史君 主要行が今先ほど言ったように不良債権のオフバランス化を急いでいますけれども、その中でこのことは配慮されておりますか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) これは正に今、各行が一生懸命全体としての不良債権を減らす中で、中小企業等々の対応としてもいろんな改善を、取り組んでいるところでございますけれども、各行における例えば主な取組例としましては、債務者の経営改善のための組織や専担者を設置するとか、債務者に対する経営改善計画策定に関する助言をより一層強化するとか、銀行からの人材派遣、外部コンサル等の紹介、活用を通じて再建のてこ入れをすると。これ、やはり銀行からとっても、自らの債権を保全して将来にわたって長く付き合える企業を育てるということでございますから、それはそれで努力の面もあるということだと思います。 ○大門実紀史君 それでどれぐらいの中小企業が再生される見込みなのか、つかんでおられますか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) これはオフバランス化の内訳とか個別の話の積み上げでありますから、そういうことに関するところまで金融庁が把握しているわけではありません。 ○大門実紀史君 私がヒアリングしましたら、再生に持っていくというふうな中小企業というのは、中小企業の中でも中堅の方ですけれども、一支店当たり一社か二社というレベルです。ほとんどできませんと。こんな加速策が言われている中でそんなことできませんと。もしもやれというんだったらば、二年、三年ルールを、二年、三年で中小企業を、破綻懸念先の中小企業を処理に追い込むこの二年、三年ルールを外してほしいと。それ以外、二年、三年で中小企業なんか立ち上げる、再建すると言われても無理だということを言っていますが、無理じゃないですか、二年、三年を大企業も中小企業も当てはめたら。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には、不良債権処理をしっかりと今の段階で加速しなければ、銀行システム全体から、世界全体が、世界の市場から物すごい危機にさらされているということなのではないかと思っております。 その意味では、今までのルールにのっとってやるべきことは粛々とやっていく。しかしながら一方で、いわゆるリレーションシップバンキング、地域等々については、これは別の基準、何度も申し上げておりますけれども、これについて今、金融審でワーキンググループを立ち上げて、その在り方を検討しているところでございます。 ○大門実紀史君 私が聞いているのは当面の主要行、大銀行のことです。リレーションシップは関係ありません。 じゃ、竹中大臣にお伺いしますけれども、あなたも中小企業の息子さんですよね。中小企業がこの不況でのどん底のときに、二年、三年で見通しが立つんですか。二年、三年で立ち上がらないと、はい上がらないと整理に追い込むというのが二年、三年ルールでしょう。中小企業がそんなものに対応できるんですか、そんな物差しに。どう思われますか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 私の親の企業は都銀からお金を借りられるほど立派なところではございませんでしたですけれども、基本的には、そういう事業の見通しもなくやはり債権を管理するということは、これはこれで結局国民の負担になるような不健全な面がもたらされる。 その意味では、これは様々な形、要因を考慮しながらも、やはり経営判断でしっかりやっていかないと、繰り返し言いますけれども、これは日本の主要銀行そのものの存在が世界のマーケットで問われることにもなるわけでありますから、そこはしっかりとバランスを取りながら十分な配慮をすべきところはする。その配慮は、先ほどから平沼大臣がいろいろ御答弁になっているように、政府系機関の活用でありますとか、それなりの新しい措置でありますけれども、そういうものを組み合わせてこの難局をやはりしのいでいくしかないというふうに思います。 ○大門実紀史君 大事なのは銀行じゃないんです。経済で、中小企業で、大企業も含めたっていいですよ、会社が大事なんですよ、銀行が大事なんじゃないんですよ、勘違いしちゃいけませんよ。経済を支えているのは銀行じゃなくて、実体経済を支えているのは企業ですよ、ほとんどが中小企業ですよ。銀行だけさっぱりして中小企業をばたばたつぶしてどうするんですか。おかしいでしょう。 それで、大体この話の始まりですよ。竹中大臣は、不良債権問題というのは特定業種の特定大企業の問題だとずっとおっしゃってきました。木村剛さんも、問題は三十社、五十社だとおっしゃってきました。この前、メガバンクに全部聞いたら、三十社、五十社は全部めどが付いた、残っているのは中小企業です、それをやれと言われるのは仕方がないんだ、二年、三年ルールでと、こう言っているわけですよ。だから、その二年、三年ルールを外さない限り、あなたは中小企業問題じゃないと言っていたんだから救わなきゃいけないんじゃないんですか、なぜその決断できないんですか。外しなさいよ、二年、三年ルール、中小企業は。 ○委員長(陣内孝雄君) 時間が参りました。はい、じゃ簡潔に。竹中大臣。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 大門委員が言われるように、大切なのは企業であります。その企業に対して安定的な資金供給ができるような銀行にできるように頑張って行政を行いたいと思います。 ○大門実紀史君 最後に一言言っておきますけれども、とにかくあなたが大臣になられてから日本経済むちゃくちゃになるばかりです。先ほど、立派な学者だからという話がありましたけれども、それだったらもう一日も早くどこかの研究室に戻られて、好きな研究、有意義な研究をやってもらいたい、一刻も早く辞めてもらいたいということを申し上げて、私の質問を終わります。 |
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