■2001年11月15日 予算委員会一般質問 |
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。 衆議院、参議院のきょうまでの議論を通じて、小泉総理も竹中大臣も、景気が一段と悪化しているにもかかわらず、相変わらず構造改革なくして景気回復なし、また、だから構造改革をやるんだということを繰り返し述べてこられました。 昨日、十一月の月例経済報告が出たわけですが、さらに悪化ということが出ているわけですが、もう一度お聞きいたしますけれども、それでもほかに言うことは何もないんでしょうか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 申し上げるべきことはたくさんありますけれども、その基本は、構造改革なくして景気の回復はないということだと思います。 ○大門実紀史君 そういうことでありましたら、きょうは、構造改革論そのものに私は大変疑問を持っております。その矛盾といいますか、問題点そのものについてお聞きしたいというふうに思います。 まず最初に、あなた方が言われてきたセーフティーネット論でありますけれども、この予算委員会の議論を通じても百万人だとか五百三十万人という話が飛び交っているわけですが、最初に、内閣府が九日に発表されました百万人雇用創出プランについて伺いたいと思います。 この百万人雇用の各事業とそれぞれの雇用創出人数について教えていただきたいと思います。 ○国務大臣(坂口力君) 今御指摘いただきましたように、今回の雇用対策の効果につきまして、いわゆる予算措置の対象人員などから計算したところでございますが、今後約三年間でおおむね百万人の雇用創出ができるというふうに見込まれているところでございます。 その内容でございますけれども、一つは新公共サービス雇用、すなわち今回のいわゆる特別交付金等を含めての問題でございますが、これが五十万人強。そして、緊急雇用創出特別奨励金、いわゆる失業率が五%になりましたら全国行いますよと。全国的でない場合には五・四%でございましたか、今までも北海道でございますとか近畿でございますとか、これを行ってきたものでございます。これが十七万人分。それから、各種再就職支援措置というのがございますが、これが十九万人分。合計いたしまして約百万人分の雇用創出のできる予算措置をしたということでございます。 ○大門実紀史君 小渕内閣のとき、九九年にも雇用創出七十万人プランというのが出ましたが、その実績がどうなっているか教えていただけますか。これはトータルで結構です。 ○国務大臣(坂口力君) もう内容をそれじゃ省かせていただきましてトータルだけで申しますと、三十万人強というのが現状でございます。これは十三年度末というところまでになっていますからまだふえる可能性もありますけれども、現状のところではそういうことでございます。 ○大門実紀史君 相当の開きがあると。七十万に対して三十万人ですから、半分以下というのが今までのこういう関連事業の実績ですけれども、今度の百万人というのはこういう実績を踏まえて実現可能な数字なのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。 ○国務大臣(坂口力君) これはその時々の経済状況によっても違うわけでございますし、そして、皆さん方の方でそういう要求がどれだけあるかということによってもこれは違うわけでございます。ですけれども、予算措置としてお申し出があればこれだけは用意をしておりますというこれは数字でございますので、このとおりになるということでは私はないというふうに思いますけれども、しかし、なるべくならば、こういうふうに用意をしたわけでございますから、できる限り御利用をいただければありがたいというふうに思っております。 ○大門実紀史君 この中の、緊急雇用創出特別奨励金等というのがありますけれども、細かく申しません。これは、今まで目標三十五万人でやってきたものが、実績が五万八千人というのが実績なんですね。どうしてこれで今後この部分だけで十七万人もふえるのかよくわかりませんし、次の事業の十九万人というのも新事業であって予算だけ組んだと。つまり、実績はどうなるかわからない。今、坂口大臣がおっしゃったとおり、そうなるかもしれないし、ならないかもしれないという数字だと思います。 ですから、私が申し上げたいのは、この公的雇用そのものがどうのこうのというわけではありません。我が党も要求してまいりましたし、助かる人もいらっしゃるわけですから。私が申し上げたいのは、内閣府が出したこの百万人雇用創出プランといいますかね、実績を踏まえないで、いかにも大ぶろしきといいますか、すぐ大きく大きく見せようという、そういう政府の姿勢が非常にこそくじゃないかと。こそくな、非常に今本当に失業で困っていらっしゃる方の逆なでする、何かぶち上げて大きく見せるというその姿勢について非常に問題だと思っているわけです。 これを発表されたのは内閣府ですから、竹中大臣、お答えください。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 雇用といいますのは、基本的にはよく言われるいわゆる派生需要に当たるわけです。企業というのは、人を雇うために決して存在しているわけではなくて、売り上げをふやして利益を上げるために存在している、その過程において必要な人員を雇う、だから派生的に発生する需要である、それに対して政府が直接コントロールできるということはやはり非常に限られている、であるがゆえにその予測も大変難しい、そういう点は十分認識をしております。 今回、そういったことも、経験も踏まえて、綿密に予算を積み上げた厚生労働省と御相談の上、こういう数字を出させていただきました。特に、今回の百万人のうちの半分は公的雇用、直接の部分でありますから、これはいわゆる派生ではなくて直接政府がコントロールできるものでありますから、従来に比べて格段精度の高いものになっているのではないかというふうに思っております。 ○大門実紀史君 精度なんか全然高くないじゃないですか。実績、先ほど申し上げたとおりじゃないですか。 私は思うんですけれども、これはどう見ても新規雇用とは言えないんですね。三年間に限って、しかも一人一人についていえば短期雇用で臨時雇用なんですね。今、失業で困っていらっしゃる方は、一番多いのが中高年でリストラされて定職を求めて、住宅ローン抱えたり家族抱えて大変な方なんですよ。そういう方が定職を求める場合は、この公的雇用はもうまさに皆さん方がおっしゃるとおりミスマッチなんですね。ニーズに合わないんです。それがどうして新規雇用創出と言えるのか、私、非常に不思議なんです。 内閣府というのは、この何年間で何万人というのがもう大好きなんですね。絶えずそういうふうに広げたがると。私は、もっと地道に誠実にこういうものを打ち出すべきだということを申し上げたいと思うんです。 骨太方針発表したときも、五百三十万人雇用と。構造改革で痛みが伴いますから、失業者がふえるから五百三十万人ふやすんだということをかなり大きく宣伝されました。また、十二日の予算委員会でも、きのうの参議院の予算委員会でも、小泉総理がテレビに出ているところで五百三十万人ふやすんだと胸張っておっしゃっているわけですよね。これも本当にそういうものなのかどうか、私、大変疑問を持っています。 五年間で五百三十万人ということは一年間で百万人以上ふやすという計算になりますが、これについて現状はどうなっていますか。 ○国務大臣(坂口力君) 五百三十万人というのは努力をすれば生まれてくるものが五百三十万人ぐらいはあると、こういうことでございまして、百万人というのは予算措置をしたものが百万人あるということでございます。 したがいまして、これからこの五百三十万人の方はいろいろ規制緩和等を行いましてつくり出していくものでありますから、来年も、そこでその五分の一ずつにうまくいくかどうかは別にいたしまして、その目標に向かって我々は努力をすると、こういうことでございます。 ○大門実紀史君 竹中大臣に伺いますが、これは内閣府が出された五百三十万人です。これ、フォローアップされていますか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) この数字は、正確には経済財政諮問会議の専門調査会が独自の試算としてまとめたものであります。 フォローアップには二つの意味があろうかと思います。これは潜在的な労働需要がこれだけあるということを示している。その五百三十万人という数字は、八〇年代、九〇年代に現実にサービスでふえた雇用と比べるとそんなに過大なものではないだろうというのが基本になっている。 フォローアップの意味でありますけれども、一つは、これは潜在的需要でありますから、そのためには規制改革等々を行っていかなければいけない。その必要な政策がどのように行われているかということのフォローアップ、その意味が一つだと思います。 それに関して言いますと、例えば公立保育所の民間への運営委託促進というのは十三年度から措置されますし、例えば住宅関係、中古住宅の流通市場のためのは、これを制度化するのは十四年度中にやるということを工程表に書いております。その工程表に書かれたことを点検、評価するということを諮問会議が行うということになっております。これは今点検を行っております。その結果何が出てくるかという、これはまだ結果が出てきておりませんから、結果についても出てきたら評価をしたいと思います。 ○大門実紀史君 要するに、紙の上で書いた話なんですね。そもそも私、これは以前竹中大臣に質問しましたけれども、この五百三十万人雇用創出というのはサービス業に労働移動すると、サービス業の仕事がふえるという前提ですよね。そういうことですよね。しかも、今までのスピードの倍のスピードでサービス業の仕事をふやすというプランだというふうに伺いました。それがアメリカモデルということもおっしゃいましたけれども、大体アメリカは、この何年間でサービス業の仕事がふえたのは需要が活発だったから、個人消費が活発だったからなんですね。どうして今の日本で、需要が低迷しているときに、サービス業の仕事が今までの十年間に比べて倍のスピードでふえるんですか。どういう根拠があるんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) まず、アメリカモデルなどということを言った覚えは特にございません。アメリカやヨーロッパの事例を参考にしながら、潜在的な需要がこれだけあるからということを申し上げたわけです。潜在的な需要がこれだけあるということでありますから、これは、潜在的な需要があるにもかかわらずこれを供給させないような供給側の問題があるからであると。したがって、供給側の仕組みをきちっとつくる、規制改革を行うことである。 もう一つ、供給側のその仕組みをつくることによって、つまり供給というのは稼ぐということでありますから、稼ぐ人が出てきたらそれを使う人が必ず出てくる。供給はみずからの需要をつくり出すという、セーの法則という有名な言葉がありますけれども、そういうことを念頭に入れながらこの数字を御理解いただきたいと思います。 ○大門実紀史君 だから、理解できないと言っているんですよ。百万人というのは、私は誇大広告だと思うんですよ、実勢からすると。この五百三十万人はもっとひどくて、私は虚偽の広告だと。はっきり言って、何も根拠ないんですよ。潜在的需要というのはあくまで潜在的で、これは後で御質問しますけれども、どうなるかわからない話をされているんですよ。そういうことじゃありませんか。 だから、私が申し上げたいのは、あなた方セーフティーネット、セーフティーネットと言いますけれども、今失業している人たちが、そうか、政府はそういうものを用意してくれたのかと思っていたら、そこに行ってみたら何もない、落ちてしまう。バーチャルネットですよ、本当に。何が根拠があるんですか。セーフティーネットと言えるんですか、こんなもの。大体、あなたはもともと資本主義ではセーフティーネットを用意するのは難しいとおっしゃったわけですから、それが本音だったらば、こういう見せかけのいろんなことを言わないで、できないならできないとはっきりおっしゃるべきじゃないですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) そこは、資本主義におけるセーフティーネットの意味と、社会主義、共産主義におけるセーフティーネットの意味の違いだと私は思います。つまり、労働需要というのは先ほど言いましたように派生的な需要ですから、やはり民間企業の活動を活発にして、そこで需要が出てくるような体制をつくるしかないわけであります。それを国が無理やり用意するというのは、これは計画経済だったらできると思いますけれども、これはやはり資本主義経済では容易にはできません。 したがって、それを五百三十万人という潜在的な需要があるということを見越して、それに向けた政策の対応を行おうというのが資本主義経済におけるセーフティーネット、政策、そういった論議の私は正しいあり方だと思います。 ○大門実紀史君 だったら、五百三十万人が受け皿だとかセーフティーネットって出さなきゃいいじゃないですか。そういうこともあるかもしれないという話で、試算か何かで出せばいいんじゃないですか。雇用創出とか、総理がここでですよ、テレビの前でですよ、安心してくださいと、五百三十万人やりますと、ふやしますと言っているから、私は言っているんですよ。いいかげんなことを言っちゃだめですよ。 そもそもあなたの話は、構造改革をやればいろいろあって雇用もふえるかもしれないというふうな話だと思いますので、構造改革なくして景気回復なしというスローガンといいますか、それそのものについて質問をしていきたいと思います。 私は最近思うんですけれども、大変、同じ言葉を繰り返して非常に神がかり的なものを感じるぐらいなんです。 例えば、本会議で我が党の池田議員が小泉総理に、どうして構造改革をやったら景気が回復するのかと聞いたんですよね。総理がどうお答えになったかといいますと、改革なくして景気が回復したら改革の必要がなくなっちゃうからですと。こんな珍妙な答弁ありますか。 要するに、景気よりも改革が大事なんだと。もう改革が自己目的化しているんですよね。それが先だと。何だかわからないけれども、そういう話じゃないですか。そういう精神状態にもうあなた方はあるんではないかというふうに私思います。 そういう点でいきますと、もうそういう、自縄自縛といいますか、構造改革なくして景気回復なしと言い過ぎてもう身動きとれなくなっているんじゃないかと。それが今の景気の悪化を招いているんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 神がかり的な議論だとおっしゃいましたが、総理の強い信念がカリスマ的な総理に対する人気を生み出しているのだと思います。 ○大門実紀史君 それならばお聞きします。 なぜ構造改革を進めれば景気が回復するのか。その神がかり的じゃなくてカリスマ的な総理はこの予算委員会の議論で、何でも民営化すれば景気はよくなるんだと、これしかおっしゃっていないんですよ。あなたは学者ですから、科学的に説明していただけますか。ただし簡潔にお願いします。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 学者として話すと余り簡潔にならないのですけれども、基本的には私は、要するに大門議員の御指摘は、やはり需要回復が先だと、そういうことを常におっしゃるのではないのかと思います。 私は、今起こっていることは、ちょっとオーバーですよ、でも簡潔に申し上げるならば、これは産業革命を起こそうということだと思えばいいんですね。要するに、民間でできることは民間でやって、効率の高いところに資源を移して生産性を高めていこうと。これはたまたま新しい発明で機械が出てきて産業革命が起こったわけですけれども、そのときの議論と今非常に似ているわけですよね。産業革命で、今まで三人でやっていた仕事が一人でできるようになりました。そうすると、二人余って大変なことになるじゃないか、それが景気の悪循環を起こすじゃないか、だから機械を壊してしまえというのが一つの議論、だから構造改革なんかするなという議論、これは要するに機械の打ち壊しの議論ですね。しかし、機械、産業革命があって、それで三人のうち余った二人がさらに新しい付加価値を生み出していったから今日の経済発展があったわけです。 供給サイドがしっかりしない限りはどこに需要をつけたって、需要がはげ落ちたらまたもとに戻るだけで、これをしっかりと、まあ産業革命というのはちょっとオーバーですけれども、供給サイドをしっかりさせていこうというのが構造改革の意味であります。これが一番わかりやすい説明だと思っております。 ○大門実紀史君 そういう話は私何度も伺っているんですけれども、要するに、私思うんですけれども、風が吹けばおけ屋がもうかるというような話なんですよ。だから、それだったら何でおけ屋さんが繁盛するようなことを直接やらないのか。民需を何で直接温めないのか。何で回りくどく、供給サイドから供給サイドから風を吹かせると、どうしてそういう議論になるのか。 仮に、それであなたがうまくいくと言うんだったら、あなたのシナリオが、大体でいいですけれども、そのシナリオどおりうまくいってあと何年後に景気がよくなるんですか。その見通しを教えてください。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 直接供給力をふやすことは政府にはできないから民間にやってもらうしかないわけです。例えば、日本国営の鉄工所を持っていてそこで生産することができるならば、それはそういう方法は可能だと思います。そういうことができないから民間に頼るしかない。 一体どのぐらい時間がかかるのかと。これは大変難しい問題だと私は思います。例えば、サッチャーの改革、レーガンの改革、本当に物すごくはっきりと成果があらわれるまではやっぱり十年ぐらいかかっています。そのぐらいの忍耐が必要かもしれません。しかし、政治の世界で十年待てというようなことは私たちもさすがに言う気はありません。この二年ないし三年を集中調整期間にして、その間に改革の成果が方向性として見えてくるような形での運営をぜひしたいと思います。 ○大門実紀史君 もうとにかく説得力がないんです。実体経済というのは需要と供給が絡み合って動いていくわけですから、あなたの供給サイド論では、紙の上で書いた公式なんですよ。実体経済に合わないですよ。だって、悪くなっているじゃないですか。この半年、小泉内閣になってから景気が悪くなっているでしょう。どう説明するんですか、それを。みんなこれからだと言うんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) レーガンの改革のときもサッチャーの改革のときも、レーガンの一九八〇年代の前半を思い出していただければわかりますけれども、やはりシステムを変えるときには大変な幾つかのショックが出てくるんだと思います。 しかし、それを経ない限りに、例えば需要をつけるといったって、私たち需要をつける力なんかないんです。借金をするしか需要をつけられないじゃないですか。あれは、借金するのは子供から借金しているわけですから、そんなことをいつまでも続けられない。こういう意味では、私たちはレーガンやサッチャーの経験からも学ぶように、やはり当面のショックというのは出てくるんだと思います。 しかし、今、日本経済が悪くなっているのは、改革のせいではありません。これは外需です。したがって、今の経済が悪いということと、しばらく、総理がおっしゃるような痛みということとはちょっと分けて考える必要があると思います。 ○大門実紀史君 レーガン、サッチャーと言われましたけれども、需要対策やっているんですよね、そのときは。あなたはちょっと極端なんです。 何を言ってもそういうことしか言いませんから、違う角度であなたの構造改革論の矛盾をちょっと指摘したいと思うんですが、資料をお配りさせていただきましたけれども、合成の誤謬ということです。 これは、日経新聞が十一月の八日に、細かく言いませんが、とにかくもう九七年度末から各企業がコスト削減、リストラ競争を強化して、昨年後半あたりから日本はもう合成の誤謬に陥っているという分析を日経新聞がしています。 実は、私もこの問題を追いかけてまいりまして、お手元にとりあえずその資料をお配りいたしました。これは一々数字申し上げません。要するに、企業の経常利益は増加している。約三割増加しています。しかし、売り上げは減少している。雇用者も横ばい。この横ばいというのは、実は常用労働者がリストラで首を切られてパートとか臨時はふえているという中身がありますが、全体としては横ばい。失業者数は、御存じのとおり九七年から八十三万人もふえていると。給与所得も減少していると。需給ギャップも五%以上ふえて、これは金額にすると約二十五兆円ぐらいになると思いますが、ギャップが広がっていると。 これは、いわゆるみんながリストラを一生懸命やれば不況大運動になって需要がスパイラル的に低下するという、合成の誤謬という段階に入っているんじゃないんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 海外的な要因もあって生産が今縮小過程にあって、その中で御指摘のような厳しい状況になっているというのはそのとおりだと思います。ただ、これをどうして合成の誤謬と言うのか。これは合理的な民間行動の結果であって、今まさに調整を行っているわけです。 合成の誤謬というのは、例えば一つの個別の、個々の主体にとっては正しいことでもマクロでは間違っているということでありますから、例えば、とにかく今需要をふやせ、需要をふやしたらいいことがある、消費もふえてみんないいこともある、しかしそれ全体で見ると、結果的に財政赤字が積もって子供に負担をかけて大変なことになる、こういうのを普通、合成の誤謬と言うのだと私は思います。 今起こっていることは決して合成の誤謬ではなくて、少なくとも危機意識は持っています。例えば、ここで消費が大幅に落ち込むようなことになりますと、これは合成の誤謬ではありませんけれども、スパイラル的な悪化の懸念というのはやっぱりあるわけで、それに対しては、これはもう繰り返し言いますけれども、私たちは柔軟に見ていかなければいけないと思っております。 供給サイドだけで需要がないとおっしゃいますが、日本は今三十兆の国債を出すわけですから、GDP六%の財政刺激を行っている、世界最大の財政刺激、需要刺激を行っている国であります。 ○大門実紀史君 三十兆円国債を発行しているから需要をやっているという話だけ、一言だけ批判しておきます。 御存じのとおり、国債というのは赤字国債と建設国債があって、赤字国債というのは国の歳出不足を補うだけじゃないですか。去年と予算規模は変わっていないじゃないですか。建設国債というのはあなたも効果が余り認められていないと言う公共事業じゃないですか。それがどうして需要対策をやっているということになるんですか。おかしいじゃないですか、あなたの言っていること。そういう、とりあえず苦し紛れ、いろんなことを言わない方がいいですよ。 今言われたことに戻りますけれども、あなた本当に経済学者なのかと私、今疑いました。合成の誤謬というのは、あなたが言われたことが合成の誤謬だと私、思っていません。日経新聞や日本共産党の私が言っている方が合成の誤謬だというふうに思います。 あなたの認識そのものが非常に甘いというのが私、雑誌を見ていて発見しました。竹中大臣は、九月十七日号のプレジデントで、書かれたばかりだから覚えていらっしゃると思いますけれども、松下のリストラのことをこうおっしゃっています。要するに、松下がリストラをやっても、いずれ松下が大きくなって新しく人を雇えば、もっとたくさん雇えば、今の松下のリストラもこれはいいんだという話をされているんですね。そういうお考えですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) そこで書かれている松下のリストラは少し前の事例であったとは思いますけれども、基本的には、それによって企業が収益力を高めてさらに前向きの投資を行って経済を発展させていく、そのプロセスである、その再構築のプロセスであると考えるならば、これは必要な調整だと思います。 ○大門実紀史君 大体、松下が、今リストラするよりも将来たくさん雇いますという計画なんか発表しているんですか。何も発表していないでしょう。どうしてそんなこと言えるんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) それが資本主義です。 ○大門実紀史君 もう聞いてもそういうことしか言わないんですけれども。 あなた、要するに、この言葉の中に、このプレジデントで言われた中に、ミクロとマクロをごっちゃにした、本当に経済学者かなと疑うようなあなたの見解が私、示されているというように思うんですよ。一つや二つの企業がリストラをやっているわけじゃないんですよ。今、日本じゅうやっているわけですよ。どうして将来それで雇用がふえるんですか。合成の誤謬に陥るじゃないですか、その前に。将来というのは何十年後のことを言っているんですか、あなたは。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 今の大門先生の御指摘の中には全く供給サイドの話がやっぱり出てこないんですね。どうですか、需要をシュリンクしたらこちらもシュリンクする、需要だけ考えたらそういう議論が成り立つ、だから合成の誤謬なんです。 しかし、そこで供給サイドが強くなっていくじゃないですか。現実問題として、そういうプロセスを経てアメリカの経済もヨーロッパの経済もすべて強くなってきたのではないですか、八〇年代に。それをやらないで、何かどこかから、天からお金が降ってくるような形で経済がよくなるようなことはあり得ないわけで、どういうシナリオを大門先生が描いておられるのか、私にはむしろ逆に全く見えてまいりません。 ○大門実紀史君 あと一分しかありませんから。 一言申し上げますと、需要対策なしに供給対策だけやったって矛盾に陥るということなんです。だから、需要対策きちっとやりなさい、特に家計を温めることをやりなさいと。今需要の低迷の最大の原因でしょう、家計が。それを申し上げているわけです。 要するに、私はお聞きしたいんだけれども、経済学者ですよね、だから合成の誤謬はもう説明しなくても御存じだと思うんです。どうやってあなたの供給、サプライサイド論だけで突き進めてそれを防げるんですか。理論的に説明してください。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 経済学者ですよねと聞かれましたので、あえて、大門先生は国会議員ですよね。ですから、国全体の経済がどのようになるかということを私はやはりトータルで示す必要があるんだと思います。 繰り返し申し上げますが、私はサプライサイドしか議論していないと申し上げておりますけれども、補正予算をつけるというのも、これは需要を若干なりとも刺激するという意味はあります。規制改革を一生懸命議論しておりますけれども、規制改革によって、それによって需要が刺激されるということを私たちは大変期待しております。需要管理はしっかり行っておりますし、それが私の重要な仕事だと思っております。 需要と供給のバランスをとる、これは両方とも大変ですけれども、その狭い道を歩むことが、これは経済学者としても政治家としてもともに両方の立場から必要な求められるやっぱり観点なのではないでしょうか。 ○大門実紀史君 今、需要対策をやるとおっしゃいましたけれども、具体的にどういうことをやられるんですか。もういいです。 私、思うんですけれども、ニューヨーク・タイムズを読んでいたんですよ。そうしたら、コラムでポール・クルーグマンが小泉改革のことをインプリシットスローガン、妄信的なスローガンだというふうに批評していますし、あなたのことをどう言っているかというと、暗やみの中の跳躍、読まれたと思いますけれども。要するに、クルーグマンが言うには、日本の最大の問題は需要不足だと。ところが、あなたは供給サイドばかりやっている。危なっかしい姿を暗やみの中のジャンプというふうにおっしゃっているわけですよ、クルーグマン先生は。 私は思うんですけれども、あなたがひとりどこでジャンプしようが勝手なんだけれども、国民を巻き込んでこんな危険な小泉構造改革をこれからも推し進めようということに非常に私は危険性を感じていると、このことを強調して、私の質問を終わります。 |
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