国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2001年11月13日 財政金融委員会で質問
○大門実紀史君 日本共産党の大門です。きょうは、お忙しいところをありがとうございます。
 山本参考人に先にお伺いしたいんですが、先ほど御意見を言われた中で少し気になったことがありますので先にお伺いしたいと思いますが、この機構について、当初は銀行救済的な色彩が強いので余り積極的な姿勢ではなかったといいますか、だったと。これは、公的資金による担保がされているという点が銀行救済的というふうに御判断されて当初はそう思われたんだと思いますが、それはよくわかりませんけれども、政府の説明をもろもろ聞いた後で、銀行業界としても評価をするようになったというふうに先ほど言われましたけれども、私は、評価という言い方がどうなのかと思うんですよ。これは銀行業界そのものが当事者でありますし、国に面倒を見てもらうというような法案ですから、これを何か人ごとのように、評価というふうなことではないんじゃないかと。
 むしろ、当事者として衆議院でもはっきり、はっきりといいますか、いろいろ御意見言われたように、この機構そのものが必要なのか、それとも自助努力でやれるのかと。当事者ですから、そこのところをきちっと意見としてお聞きしたい。
 つまり、当初に疑問を抱かれた銀行救済的な色彩というのは何も解消されていないという点と、当事者として評価するとかしないとか、そういうことでよろしいのかどうかというふうに疑問を抱いたものですから、まずその点、お伺いしたいと思います。

○参考人(山本惠朗君) 先ほどの冒頭の御説明にかかわるお話だと思いますけれども、保有規制の問題、それからさらには包括的な株式市場の活性化策、そういったものがパッケージとして提出されました。これにつきまして私どもは、そういう方向について私どもとしては納得できるということを申し上げているわけでありまして、銀行としては、自助努力で最大限のことをやっていきたいということで、株式保有残高の圧縮に努力をしてきていると。そういうところから、当初、銀行救済ということだけでこうした取得機構が入ってくるということであれば、それは私どもとして積極的に受け入れるということではないということを申し上げたわけであります。

○大門実紀史君 わかりました。
 この機会ですので、今の日本の銀行のあり方といいますか、私は今、根本的に問われているときではないかというふうに思うんですが、その点について山本参考人の御意見を伺いたいと思いますけれども。
 私、この委員会でも質問したことがあるんですが、日本の銀行の自己資本が、実際には公的資金と税金の繰り延べ資産でかさ上げされていると。これは日銀もそういう指摘をされているわけなんですが、日銀の速水総裁の試算によりますと、アメリカの基準でやるともう七%ぐらいしか日本の銀行は自己資本がない、ところが、今申し上げた公的資金と繰り延べ税金資産でかさ上げされて、見かけは遜色のないところになっている、それが現状だというふうに指摘されて、私もそう思うんですけれども、その上に、今回、株の買い取り、またこれからRCCの機能拡充ということで、それは両方とも公的資金で担保されていくといいますか、場合によっては注入されると。
 何といいますか、手とり足とりといいますか、私は率直に言って、こういうことばっかり続けていると、日本の銀行というのはもう世界の笑い物になるんじゃないかという気が非常に強くしているんです。実際に今、日本の銀行の国際的な格付というのは大変低いわけですし、市場の評価といいますか、国際的な評価という点では、こういういろいろ手とり足とりやっていくということがどう見られているのかという点では、非常に情けない状況にあるんじゃないかなというふうに思うんです。
 グローバル化とかいろんなことを言われますが、だからこそ自助努力で、自分の力で競争に勝ち抜いていくということを本当にやらないと、こういうことを続けていけば続けていくほど本当に日本の銀行というのはだんだんだんだん評価が下がって、いつまでたっても市場評価が低いということに私はなるような気がするんですけれども。つまり、護送船団方式という話が先ほどありましたけれども、結局それが直らないと、幾らグローバル化されても、金融ビッグバンが進んでも、そういう状況にある日本の銀行の状況について、山本参考人に伺いたいし、できれば池尾先生にも、その辺どう思われるか、今の認識を伺いたいというふうに思います。

○参考人(山本惠朗君) 日本の銀行がふがいない、情けないという御指摘でございますが、私どもは、日本の銀行というものが日本の実体経済の大きさに十分貢献できるようなものでなければならないというふうに思っておりまして、金融機関が大きな構造改革のただ中にあるということを踏まえて、私どもは新しく、三つの銀行一緒になって、この新しい時代の競争に勝てるような戦略的あるいは組織的な対応をしようということでやっているところでございます。
 率直のところ、先ほど申し上げましたように、不良債権の問題、それから株式保有の問題、それからさらには、ビジネスモデル論にありますように、この構造変化の中で新しい収益力の強い銀行あるいは金融機関をつくるという点で大きな課題がある、こうしたところにつきまして、いかにやっていくかということで日夜努力をしているところでございます。
 そういう点で、手とり足とりという政府の御支援というふうなお話もございましたが、株式の買い取り機構の問題、今議論されておりますこの機構について申しますと、私どもは、銀行の救済というふうなことではなくて、今、池尾先生のお話もございましたし、私も申し上げましたが、株式の保有構造というものが大きく転換をする、転換をさせる必要がある、そういう時期であるという大きな枠組みの中で、銀行株式を早期に円滑に外していくということがマーケットで、あるいは我々の経営的な要請であるわけでございまして、これは非常に多額のものがマーケットに一時に出てくるということでございますので、それに対して株式市場の観点からいろいろな手を打とうというふうに理解をしておりまして、これが、銀行救済のための仕掛けであるというふうには私どもは理解をしていないところでございます。
 重ねて申し上げますが、情けないという御評価に対しまして、現状はいろいろ御指摘があることは承知しております。一生懸命努力をして世界的に日本の銀行が信頼を受け、日本経済に貢献できるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

○参考人(池尾和人君) 委員御指摘になりましたように、私も日本の銀行の自己資本ベースは実態としてはやはり脆弱だというふうに思っております。日本の銀行部門の自己資本ベースをいかにして強化していくかということが、したがって当面する課題としてあるというふうに思っております。そのときに、自己資本ベースが脆弱だからということで、しかしながら、だからといって、じゃ再度公的資本を入れればいいというふうな、そういう発想はとるべきではないというふうにも考えておりまして、自己資本ベースの増強は、まず第一に銀行自身の努力によってなされるべき筋合いのものであり、そのための努力を銀行にしてもらうということが一義だと思うんですね。
 しかしながら、同じことですが、自己資本ベースをふやすためには、みずからの努力でふやすためには増資をしなければいけないわけですが、増資を可能にするためには収益性を上げなければいけないということになりまして、経営革新に取り組んでもらわなければいけない。そういう経営革新に取り組んでもらうように、いわばむしろ圧力をかけていくことが必要だと思っております。
 それで成功して、ちゃんと資本ベースを増強することに成功する金融機関ばかりであればそれはハッピーでいいんですが、問題は、そういう努力をしていくように要請してもそれをなし切れない金融機関が出た場合にどういう対応をとるかということでありまして、私は、既に我が国においては早期是正措置等の制度が法制化されているわけでありますから、十分に努力の成果を上げられないで自己資本不足に陥った金融機関が出た場合には、粛々と早期是正措置の枠組みに従って対応をしていくと。その際に、場合によっては預金者保護等の目的で公的な支援が必要になるケースも考え得るのではないかというふうに思っております。

○大門実紀史君 ありがとうございました。
 山本参考人にまた伺いたいんですけれども、私、今銀行のあり方が問われているという点で、もう一つは、銀行の公共性と営利性といいますか、そのバランスをどうとっていくかという問題も今ちょうど問われているんじゃないかと思うんです、今の収益性との関係でもですね。
 会長は、十月の二十三日に会見をされたときに、これからの銀行業務のあり方として、先ほど浜田議員からもありましたけれども、いわゆる中小企業への貸し出しも含めた伝統的な預金・貸出業務の必要性はなくならないけれども、資本の論理からすると、そこに余り資本を多く割かないで、もっと別のところに大きな収益機会を求める必要があるというふうなことを述べられております。それの例として、例えば投資信託の販売など挙げられているわけですけれども、ただ、銀行がそういう資本の論理だけで、収益至上主義といいますか、それだけを求めてやっていくと、結局またバブルの失敗を招くとかいろんな危険性もあるわけですし、そういう反省に立つならば、収益性ももちろん重要なんでしょうけれども、それだけを追い求めていきますと、会長が言われた伝統的な預金・貸出業務のところがおろそかになっていくと。
 今本当にそういう方向に突き進もうとされているというのは、私、ある銀行の支店長会議の資料を見せていただいたんですけれども、すごいんですよね。個別銀行ですから名前出しませんけれども、大口をエクセレントというクライアントに位置づけて、中小企業はもうスモールビジネスと。非常に区分をはっきりして、これからは大口のクライアント、お客さんを、顧客をどう開発するかと。スモールビジネスクラス、中小企業にはできるだけ効率的な、手間のかからない、時間のかからない対応をすべきというのを支店長会議でもやっている銀行があちこちにあるぐらいで、収益性、営利だけを追い求めていくという方向に非常に今特化しているんではないかという危惧を抱いているんですけれども。
 こういうことを進めていきますと、銀行法一条にある公共性が一体何なんだろうというふうなことが問われてくると思いますし、例えば、大手銀行がこれからは大企業の金庫番になって、あるいは国際的な市場を中心にやっていくということであるのならば、これは民間企業としてはどうぞ御自由にやられたらいいと私は思うんですが、そうなると、もう公共性というものではなくて、純粋な一巨大民間銀行、融資会社というふうになるんでしたら、それこそ公的資金で面倒を見てもらう理由がもう何もなくなってくると、もう一民間企業ですからね。民間大企業ですから、好きにやるかわりに公的資金も受けるべきではないというふうに、言えばなってくると思うんですね。
 そういう方向が今問われているときだというふうに私、実態からいって思うんですけれども、山本さんとしてはどうお考えですか。

○参考人(山本惠朗君) 銀行の伝統的な預金・貸出業務と新しい金融サービスとの関係についての御質問だと思いますが、私は、銀行のコアのビジネスというものは、「伝統的な」という言葉がついておりますけれども、預金・貸出業務である、それに付随した決済業務であるというふうに考えておりまして、これが銀行の銀行たるゆえんであるわけであります。
 ところが、昨今は、規制緩和のもとで金融サービスというものが非常に多様になってきております。預金に対するものとしては、例えば投資信託というようなものが個人の金融資産の選好の中で大きなウエートを占めつつあると、こういうふうな状況でございます。
 そういう意味で、コアのビジネスの成長力というものが見劣りするようになってきているということから、私どもとしては、収益性という観点から、新しいそうしたマーケットあるいは利用者のニーズに合ったビジネスの分野に力を入れていく必要があるということを申し上げたわけでございまして、他方で、先ほど大企業の例をおっしゃいましたが、大企業は資本市場にどんどんファイナンスの源泉を移しておりまして、むしろ大企業の預金・貸出業務というものは縮小する傾向が明らかにあります。ここ数年、特にこの辺、傾向が顕著でございまして、預金、貸し出しというような間接金融の分野についていいますと、むしろ中小企業、個人、これは先ほど池尾先生もちょっと触れていらっしゃいましたが、この分野が非常に重要なコアのビジネスであるという位置づけをしているわけでございます。
 ただ、記者会見の記録をお読みの上での御質問と思いますが、これからの収益性を高めていくという場合にどこに力点を置くのかということになると、先ほど申しましたように、利用者の選好の変化というところから、例えば投資信託というようなものを売っていくというようなこと、これはもう個人のお客様が中心でございますけれども、そういったことにウエートを移していきたいということでございます。
 それから、中小企業向け貸し出しにつきましては、これは、中業企業向け貸し出しを含む健全な取引先に対して信用供与の拡大を図ることは社会的な使命であると認識しておりまして、全銀協としては、引き続きこの点については最大限の取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。
 例年、年末になりますと金融庁から、あるいは金融担当大臣から直接に、年末の中小企業に対する金融の円滑化についての周知徹底ということの依頼がございまして、全銀協会長名で会員のそれぞれの代表者あてに通知をし、この点の徹底を図っているということでございます。本年度につきましても同様の対応をする予定でございます。

○大門実紀史君 終わります。
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