■2001年10月25日 財政金融委員会 |
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。 きょうは、経済政策の基本問題についてお伺いしたいと思います。 六月に竹中大臣にお聞きいたしましたので、きょうは塩川財務大臣を中心にお考えをじっくり伺いたいと思います。 今も浜田議員からありましたけれども、私は、この構造改革といいますか、構造改革なくして景気回復なしということそのものを、進めてもらいたいというよりも、大変疑問に思っています。 何かこれは当たり前のことのように、構造改革をやらなければもうすべてお先真っ暗なんだというふうなことがあたかも当然のようにいろいろ言われているような気がいたしますが、本当にそうだろうかと。竹中大臣にお伺いしてもそうですし、この間、政府が出された文書をいろいろ読ませてもらいましたけれども、何といいますか、そもそも論理の飛躍といいますか、この理屈には問題点なりすき間が多いというふうに感じているところです。 大体、そもそも論を言いますと、供給サイドの改革論ですよね、構造改革のベースにあるのが。どうして供給サイドの改革だけやって需要が回復できるのかと。簡単に言えばそういうことからいろいろ疑問がわくわけなんですけれども、そこがどうお聞きしても、何を読んでも余り解消されないというふうに思っているところです。 そういう点で、きょうは、この構造改革なくして景気回復なしという、何というんですかね、テーゼというんですか、メッセージというか願望といいますか、そのものについて伺いたいというふうに思います。 これは裏返して言いますと、要するに構造改革をやれば景気は回復していくというようなことになると思うんですし、国民の皆さんの多くは、今失業もふえて倒産もふえて大変だろうけれども、これを我慢すれば政府はいずれよくなると言っているんだから、構造改革は我慢しなきゃいけないと受けとめて辛抱しなきゃいけないと思っていらっしゃる。そういうところから、まだ小泉さんも高い支持率が一定してあるんではないかというふうに私は思いますけれども、そもそもこのテーゼが正しい、このメッセージがそのとおりになるんだと思っておられる国民が多いから支持が高いんではないかと。逆に言えば、このテーゼが違ったら、これはそのとおりじゃない、そうならないということになれば全然違うんではないかというふうなことも問題意識として持っているところです。 そうはいっても、この構造改革は短期的には景気にとってマイナス面が多いということは、これはもう政府も認めてこられていることですし、だから痛みがある、しばらく我慢してくれと言われているんだと思いますが、問題は、長期とは私は経済政策ですから言うべきじゃないと、少なくとも中期的には回復するんだ、需要の回復につながるんだということが本当にそうなるのかどうか、それが今問われているんではないかというふうに思うんです。 この点については、六月にも竹中大臣にお聞きしましたし、いろいろ資料を読みましたけれども、そのメカニズムといいますか、中期的にはよくなるというメカニズムが十分説明されていない。さっき言いましたけれども、はっきり言えば、論証抜きにはっきりとただそうなりますと言い切っているところがあって、非常に論理のすき間があるというふうに私は感じています。 結論からいいますと、後でいろいろお伺いしますけれども、中期的にも私は悪くなる可能性を大いにはらんでいる構造改革論ではないかと。もちろん、その一部の輸出関連の企業なり銀行なりの収益性が上がるとか、そういう国際競争力は一部の企業に高まることは間違いないと思いますが、日本経済全体、マクロで見ますと私は悪くなる可能性の方が高い、そういう路線ではないかというふうに思います。 そこで、財務大臣にお伺いしたいのは、どうしてこれが、この構造改革路線を進めれば中期的に需要が回復するのか、ここのところを簡単に簡潔に説明をしてもらいたいと思います。 ○国務大臣(塩川正十郎君) 今の御質問でございますけれども、根本的に申しまして、構造改革をするということをもっともっと煮詰めて一言で言いましたら、戦後五十五年の間に培われた高度経済成長の中で巣くってまいりました利特権の権限というのがあります。要は特権的な利特権があります。これは果たして現在の社会に合うんでしょうか。それを変えなければだめなんじゃないでしょうか。私は、そういう既得権を、既得権じゃありませんよ、もっと自由な競争の創意工夫の中でやっていただかなければだめですよという、こういうことを実施するのが、それが構造改革の私はねらいだと思うんです。 今まで何遍も言っていますように、日本の経済の仕組みはすべて護送船団方式です。はっきり言って、もっとさかのぼれば、戦争中の昭和十五年に国家総動員法ができまして、そして、十六年に産業体制改革をやりました。そのままの体制でずっと来ているじゃありませんか。官主導でずっと来ているじゃありませんか。共産党がいつもおっしゃる、官主導の政治をやめろとおっしゃるのはまさにここのことでございますので、ですから、どうしても構造改革をして自由な競争を保障していかなきゃならぬということです。 現に、改革をしていないと皆さんおっしゃいますけれども、随分と変わってきておりますよ。例えば、小売店一つとりましても確かに痛みができてきて、この痛みをどうするかということが大問題でございますけれども、大型店舗のいわば制限というものをどんどん解除いたしまして、現在では逆に物価が下がっているじゃありませんか。そういう事態が起こってきておるんです。それは改革の効果じゃないかと思っております。 そこで、非常に難しいのは改革のスピードなんです。急激に改革しますと痛みが非常に大きくなる。けれども、改革をしないということになってくるとこれは逆に化膿してくるおそれがある。ここらが非常に難しいところでございまして、私は、実情に合った改革を進めていくべきだ、そういうことを思っております。 そして同時に、それじゃ十三年度、小泉内閣が成立してからどういうことを改革してきたのかということでございますけれども、まず一番大きい改革の手は、概算要求が根本的に変わりましたよ。私はこれは先生方ももっと勉強していただきたいと思うんですが、今までの、去年までの概算要求とことしの概算要求とはすごく変わってきております。これが反映されて、じゃ十二月に編成いたしますところの本予算でございますが、これを見たら、やはりこういう点が新しく変わっておるのかということを見ていただける。今その渡り廊下のところを歩いているところでございますので、まだそれが全体がわからないけれども、十二月ごろになっていただいたら、こういうことを言っておったのかということはわかっていただけると思っております。 改革は、私が申しましたように、しんしんと進んでおるということをひとつ御承知いただきたいと思います。 ○大門実紀史君 ちょっと聞いたことと違うと思うんですけれども、塩川大臣が特にこの間言われているのは、規制緩和をしていったり、いろんなことで競争がふえ、自由競争が高まれば成長力が上がるというようなことだと思うんですが、規制緩和についてはまた別途議論したいと思いますが、例えば、一つだけ申し上げておきますと、タクシーの運転手さん、私もこの前、話ししたんですけれども、規制緩和で台数がふえて一台一台の水揚げは落ちるし、サービスはよくならないし、何も生産性上がっていませんよね。 規制緩和が必ずそういうふうになるとは限らないというふうに思いますし、規制緩和があったから日本の景気が悪くなったわけではありませんし、その規制緩和中心にいろいろ変わっていくというのは、一つそういう部分も否定はしませんけれども、そういう分野もあるかもわかりませんが、この骨太方針そのもので言われているのはもう少し根本的なことではないかというふうに思うんです。 その点で、あっちこっち話が行くとあれなんで、骨太方針に沿って、先ほど言った疑問点をお伺いしたいというふうに思います。これは骨太方針の頭のところに非常に簡潔に凝縮されて、なぜ構造改革をやれば景気がよくなるのかというのが書かれているんですね。 ちょっとここだけ短いんで読みますけれども、「創造的破壊」として、構造改革はその過程で痛みを伴うけれども、経済の潜在的供給力を高めると。もう一つは、成長分野における潜在的需要を開花させる、眠っているものを開花させるわけですね。それが新しい民間の消費や投資を生み出すと。だから構造改革をやれば、「真の」と書いてありますけれども「景気回復」、これは中期的なという意味だと思いますけれども、短期的な意味じゃないと思うんですが、景気回復するんだというようなことが書かれています。 この理屈そのものが私よくわからないんで何度も竹中さんにも聞いたんですけれども、例えば一つ目の言っているのは、構造改革をやれば経済の潜在的供給力が高まると書いてあるわけですね。高まるというふうに書いてあります。二つ目には何が言いたいかといいますと、構造改革というのは新しい消費や投資を生み出すと。つまり、この二つのことを主にこのパラグラフは言っているんではないか。これは、ただここで言っているだけではなくて、いろんなところで発言をされているのはこの二つに沿って発言されているんではないかと思います。 例えば、一つ目の構造改革で経済の潜在的供給能力が高まるということですけれども、これは、この流れでいきますと、三つの過剰を日本経済は抱えていたと、過剰雇用と過剰設備と過剰債務と。これをきれいさっぱりしていけば供給力が高まるんだというふうな流れでずっと来て、この骨太方針になっているんだと思います。 ですから、各企業が自分のところの生産性を上げるために過剰設備を廃棄したりリストラをやったり、それで収益が上がるというのは、これはまあ別に証明なしに、実際そうなっていますからだれが見てもわかることなんですけれども、気をつけなきゃいけないのは、ここでよく言われております、五月の予算委員会で麻生さん自身が竹中さんに確認までされたように、合成の誤謬ということですよね。 今、実際にすさまじいリストラをやっていますけれども、そういう企業はリストラをやったり古い設備を廃棄して収益性は上がっているんですけれども、上がっているんだけれども、これを日本じゅうの各企業が全部やり出せば、当然これはその需要が縮小してしまうわけですよね。これもよく御存じだと思いますけれども、合成の誤謬というのは。その可能性が伴うわけですね、この供給力だけ、需要が低迷しているときに一生懸命会社がそういう供給力を伸ばそうとやりますと。 この合成の誤謬の可能性について、これをどう防ぐか、あるいは起きていたらどうするか、これについてはいかがお考えでしょうか。 ○副大臣(尾辻秀久君) 私も、先日、経済学で合成の誤謬という言葉があるんだということを勉強いたしました。 私が理解いたしましたのは、もう少し平たく言うと、例えば我が家で私がもう今晩から飲むのをやめたと、こう言うと女房は大変喜ぶ。しかし、それは我が家にとっては極めていいことでハッピーになることかもしれないけれども、日本全体でみんなが飲むことをやめたらどうなるんだと。それじゃ経済的に大変な事態が生じるだろうと、こういうことが合成の誤謬だというふうに教えられましたので、そのように理解してお答え申し上げますけれども、今、先生おっしゃったように、確かに合成の誤謬ということ、これはまた一方から考えなきゃならぬことだということは、私もそう思います。 ただ、ちょっとお答え申し上げることがすれ違うのかもしれませんけれども、その構造改革、私どもの認識は、もう待ったなしにやらなきゃならぬところまで来ておる。ちょっと表現が悪いのかもしれませんけれども、そういうふうに追い詰められておる。ちょっとこの表現、財務省が必ずしもそういう認識かどうかということについては私も責任持てませんので、私の個人の表現だとお断りして申し上げますけれども、言うならば、そこまで追い詰められておる。だから、もうどうしてもこれをまずやらないとならない、そういう認識で取りかかっておる、こういうふうに御理解いただければと思うわけであります。 したがって、財政構造改革をやったら必ず何年か後にこうなるんだな、今そういう御議論のように思いますけれども、まず、逃げるわけじゃありませんけれども、私どもが申し上げたいのは、ここで構造改革をやらなかったら一体どういうことになるんだ、ここのところを実は心配いたしておるわけでございまして、このことについて先生も御案内のとおりでございますから、あえて私が申し上げることもないだろうと思うわけでございまして、その辺のすれ違いが少しあるのかなと思いながら先生のお話を伺っておりましたということを率直に申し上げます。 ○国務大臣(塩川正十郎君) 規制緩和をしたら潜在的供給力というものがふえるのかと、どうなるのかというお話がございまして、これは裏から見ますと、需要がふえてくるということと同義になってくると思っております。 この一例をちょっと申し上げますと、例えば、住宅金融公庫の融資が大幅に変わりました。自民党が中心となって、今百八十平米までですか、融資対象になりましたですね。そして、融資の金額も上がりました。これは大きい一つの改革ですね。 それから、マンションに対する規制を緩和いたしましたですね。その結果、どうしているかといったら、都心に優秀ないい住宅がどんどん建ってきました。そうすると、この結果どうかといったら、公共事業に頼っておった建設業者は苦しいけれども、住宅とかマンションとかを手がけておった、主としておった業者は非常に大きく今飛躍しておるという、業界の中における大きい変化が起こってきております。こういうことが起こりまして、そして市民の方々はこれによって裨益を受けておると思っております。 航空業界を見てごらんなさい。航空の規制を相当撤廃してまいりました。そうしたら、航空は非常に便利になったし、料金も下がったじゃありませんか。それから、小売、物品の販売もそうでございますし、それから飲食店の規制も緩和いたしまして、二百九十円ですか、親子どんぶりじゃないですか、何かあれ食べられるということになってまいりましたし、そうしますと、やはり規制の緩和というものは方々に大きい影響を及ぼしております。 それで、さっきタクシーが困っているとおっしゃいました。私もそれよく知っています、私も運輸関係よく知っておりますので。しかしながら、一般市民はこれによって喜んでいるんです。物が安くなったし便利になったし、タクシーは幾らでもいつでも拾えると。 要するに、何のために行政をやっておるかというと、やっぱり国民が喜んでくれることをやるということ。国民が喜ばないことをやったんでは行政は失敗でございますが、喜んでくれるんだったら、そうすると、タクシー業者の苦しみをどうして緩和するかというのが、ここに政治が働いてくるということでございますので、だから、政治の裏表を両面で解決していくという努力をしなきゃならぬ、こう思っております。 ○大門実紀史君 一々反論するとまた長くなりますので、ちょっと質問に戻っていただきたいと思うんですけれども。 合成の誤謬に陥ることをどう防ぐのか、どうするのかといったときに、感想だけ副大臣述べられただけで、その手だては何もないわけですけれども、もう一つ私は、実際にこの間、リストラで大企業、特にITの電機の大企業やっていますよね、リストラ。それで、調査と意見交換ということで回ったりしているんですけれども、これは私、直接行ったわけじゃありませんが、大阪で松下電器の本社に我が党のリストラの調査団が行って話を伺ったんです。 〔委員長退席、理事円より子君着席〕 御存じのとおり、松下電器というのはもう大リストラの制度を設けて今やっているわけなんです、IT関連各企業やっていますけれども。それで、広報部長と話をしたときに、松下さんはそうやって自分のところの、ITバブルがはじけて、設備投資をやり過ぎて、縮小するのでリストラをやっている。松下として収益を上げるためにやっているんだろうけれども、みんながやり出したらこれは合成の誤謬になるんじゃないかという話をしたときに、広報部長さんが、それはそういう側面はありますと。だけれども、これは国の政策で雇用を守れとかそういうふうに切りかえてもらわないと、うちだけ、自分の会社だけリストラをやらないということはできないんだというふうなことを言われているわけですよ。 私は、ですから、この間のすさまじいリストラ、今度は自動車もやると言っていますけれども、それそのものがもう合成の誤謬を起こしちゃっていると。この間の失業率の推移を見ても、あるいは需給ギャップが十年ですごく拡大していますよね、十年で見れば。そういうものを考えますと、この合成の誤謬を今起こしているのではないかというふうに思うんです。 もう一つは、もう待ったなしなんだと言われましたけれども、例えば、ITの各企業がリストラをやっていますけれども、リストラをやらなきゃつぶれる会社は一つもないですよ。何千億と利益を出しているわけですから、つぶれるわけでもないんですよね。待ったなしでもないんです。この国策といいますか、構造改革論というのは企業リストラもそのメニューの一つに入るわけですから、その中でそういうことが行われているというふうに私は思うんです。 ですから、この合成の誤謬について何ら回答がないんですよ。どうなるかといっても何も回答がないし、それを防ぐ手だてもないし、起こってしまうだろうということしかないわけですよね。それが小泉さんの構造改革論の、構造改革なくして景気回復なしという点の第一の問題点を抱えていると。これに回答できない限り、その後需要が拡大するなんてあり得ないわけですよ、合成の誤謬に陥った場合。あり得ないんですよね、合成の誤謬というのはそういう意味ですから。ですから、これは一つの問題点だというふうに思います。 二つ目は、今、塩川大臣が言われたこととも関連するんですけれども、つまりもう一つの、何といいますか、構造改革をやると規制緩和も含めて潜在的な需要が開花するという二つ目のくくりがありますよね。それが新しい投資と消費を喚起するんだというふうに書いてあります。要するに、構造改革をやれば新しい消費とか投資が生まれるんだ、総需要が拡大していくんだということですけれども、これも私、論理がはっきりしないといいますか、論理にすき間があるような気がしてならないんですよね。 例えば、一つの企業が不採算部門を切り捨ててリストラをやると。そのかわり、新しいこちらは成長する分野だと思ってそちらに投資をやると。これはわかりますよ、実際やっていますよね。これはわかります。新たな設備投資、その企業がふえるというのまでわかります。何でそれが新しい需要を、潜在的需要を開花させるのかということですね。企業が見込んでやって、必ずそれにこたえる、需要がついてくるという前提がないとそうならないわけですね。 これは、もう少し理解しようと思ってお話ししますと、要するに今の需要不足は、今需要が低迷しているのは、みんな新しく買いたいものがないからだと。欲しいサービスとか新しい商品がないから、そういうものを見せれば潜在的需要が開花して需要がふえるんだという理屈なら一つだけ成り立つんだというふうに思うんですが、そういうことですかね、この骨太で言われている潜在的需要が開花していくというのはそういう意味ですか。 ○国務大臣(塩川正十郎君) まさにそうですよ。 ○大門実紀史君 そうすると、今の需要不足の原因は、とにかくもうみんなが買いたいものがなくて、あるいは受けたいサービスがなくてということですかね。そういうふうに需要不足の原因を政府としてとらえておられるということですか。 ○国務大臣(塩川正十郎君) そればかりじゃございません。いわゆる産業構造が変わってきておるのに対応する、そういうものをしようと思いましても、既往の設備の過大さ、私は今、世の中はすべて供給過大からきておると思うておるんです。古い施設が多過ぎる、これが不良資産になってきておるんですけれども。そのために、新しいものをやりたいと思いながら、なかなかそこへ踏み切れないというのが実情でございまして、これが産業界、企業の努力と金融機関の努力が相マッチしていかない、そこに改革がおくれてきておると思うておりますが、しかし、そういういわゆる新規産業に取り入っていった企業は非常に大きい収益を上げておりますし、また発展もしてきております。 〔理事円より子君退席、委員長着席〕 ですから、そこの新しいニーズにこたえていく努力をどこがするのか。これは政府がやるということもできませんし、それを誘発していく努力は政府がやらなきゃいけませんが、企業自体がそこに目を覚めて向かってくれることを私たちは歓迎いたしております。そのためには、ベンチャー企業の育成であるとかあるいは金融支援体制をとるとか、いろんな方策を講じておりまして、努力をしておるところであります。 ○大門実紀史君 私は、今また話が今度は供給サイドに行ってしまいましたけれども、需要の話でいきますと、もしも今国民の需要不足、消費の低迷というのが、もう買いたいものがないということだったら全くそのとおりになると。欲しいサービスが生まれればどんどんお金を出していくということになると思いますが、そうではないというふうに思うんですよね。 仮に、今この骨太の論理についてお伺いしているわけですが、需要低迷の今の主な原因が、そういう新しい商品とか新しいサービス、買いたいものがないんじゃなくて、例えば将来不安だとか雇用不安だとか、そういう将来の見通しが立たないから需要を控えているとしますと、それで需要が低迷しているとすると、幾ら企業側が投資しても私は売れないと思うんですよ。たとえ一つの商品が売れても全体として経済は伸びないと思うんですよね。 例えば、携帯電話をよく竹中さんも例に出されますけれども、携帯電話は、確かに携帯電話だけ見ればたくさん普及しましたよね。ところが、家計で見ますと、家計の調査を見ますと、携帯電話で家計の通信費がふえて、これはその分ほかで節約しているわけですよね。子供が携帯電話を買って電話代かかるといったら、お父さんの小遣い減らされたりしているわけですよ、簡単に言えば。家計全体で伸びていないわけですよね。そういうことが需要不足だと一つの商品が売れても起こるということなんです、私が申し上げたいのは。 その点でいきますと、前提がもし違えば、さっき言いました需要不足、需要低迷の原因が将来不安だとか先行き見通し立たないから消費を控えているんだとすれば、幾ら新しい商品、新しいサービス、新しい成長分野だと思って投資しても、経済全体は伸びないし、需要も回復しないんじゃないですか。 ○副大臣(尾辻秀久君) 国民の皆さんの消費マインドが起きない、その理由は何だということになりますと、今お話しいただいておるすべてがやっぱり理由だろう、そういうふうに思います。そして、今お話しのように、将来に対する不安、これが大きな一つの要因になっておる、これはそのとおりだと思います。その国民の皆さんの不安の一番の原因というのは、やっぱり今日の国の置かれた財政的な状況、これにあるのではないか、私どもはそう思います。 したがって、その一番根本の不安を取り除かなければ消費マインドも起きてこない、そういうふうに判断いたしますと、まずはやっぱり一番大きな不安の部分である財政構造改革をきっちり行うということが必要なんだろう、私はそう思っております。 ○大門実紀史君 今、財政構造改革のお話を聞いているわけではありません。経済全体の話をしているんで、ちょっと絞ってお答えいただきたいというふうに思います。 例えば、成長分野に投資すれば必ずうまくいくというわけじゃないんですよね。この間のIT、電機の各企業が、さっきも言いましたけれども、これからはITだと、ITバブルというようなことを見込んで過大な設備投資をやって失敗だったと、見込み違いだったということで、経営者責任を棚上げにして今リストラやっているわけですよ。こんなことをやったら、幾ら成長分野に投資したって、またリストラやっているわけですから、必ずしもその成長分野への投資も、そんなに紙にかいたように、きれいごとといいますか、うまくいかない場合もいっぱいあるわけですよね。 だから、この二つ目の論理といいますか、不採算部門を切り捨ててリストラやれば収益上がるのはわかりますけれども、次に成長分野に投資すれば必ず需要が伸びる、必ず需要が開花されるんだというのは、私、非常に論理の飛躍といいますか、これはすき間があると思うんですよ。そうなるためにはさっき言った幾つかの条件がそろわなきゃいけないと。それだってどうなるかわからないと。つまり、構造改革やらないと景気回復なし、つまり構造改革をやれば中期的にも景気が回復しますという論理そのものが非常にあいまいなところを含んでいるし、下手すれば合成の誤謬なり、さっきの話を含めますと悪くなる可能性だってあると、私はその方が高いと思いますけれども。それが今の、いろいろ言われて、余りだれも疑問を持たないといいますか、そうなのかなと思っているような構造改革論ではないかというふうに思います。 今、将来不安の話も出ましたけれども、申し上げたいのは、構造改革なくして景気回復なしという、このスローガンといいますかメッセージといいますか、これそのものがやっぱり不確定要素あるいは心配要素をいっぱい含んでいるということを私は国民の皆さんにはっきりと言うべきだと。それを抜きに、あたかもよくなるようなイメージだけでやっているような気がして、これは後で大変なことになると。それを信じて国民の皆さんが小泉さんなり支持してやって、何の保証もないわけですよ、私から言わせれば、中期的には、このメッセージといいますか、このテーゼそのものが。そういう点ではもうはっきりと、短期的には悪くなります、中期的にはわかりませんと言うべきだと私は思います。 結局、この構造改革論そのものが、先ほど経済学の話をされましたけれども、私もいろいろ読ましてもらいましたが、簡単に言えば、ミクロの会社経営学みたいな話を全体に広げているようなところがあるわけですよね。これはマクロの観点で需要をどうするかと見ていかないと、一方的な、規制緩和すれば会社が頑張るみたいなことばかりの話になってしまうというので、先ほどもありましたけれども、経済対策全体として需要をどうするのか、どうやって今の需要を支えながらやっていくのかという観点を持たないと大失敗するというふうに思います。 将来不安の問題で一つだけお伺いいたしますけれども、私は、この構造改革論、小泉さんの構造改革論そのものが、先ほど言われましたけれども、将来不安の要素いろいろあると、将来不安そのものを私はあおっているというふうに思うんですよね。 これはもう言うまでもありません。社会保障の医療改悪、年金、どうなるかわからないと将来不安になってきますよね。企業もリストラをやって供給力を高めなさいと言われるわけですよね。もう不良債権処理では失業、倒産がふえるわけですよね。このメニューそのものが将来不安をあおる要素の方が多いというふうに私は思います。 そういう点でいきますと、もう悪循環をやっているんではないかと。消費が低迷して、さらにこの構造改革というメッセージを出せばまた将来悪くなるんじゃないかというふうに、こう悪循環に入っているというふうに思えば、私は、何が何でもこの構造改革を進めれば景気回復が成るんだということそのものがもう崩れているというふうに思っているところです。 先ほど将来不安のことがありましたので、一つだけ申し上げますが、そういう点で、この構造改革路線そのものが将来不安をあおって需要を低迷させているという点では、財務省がこの間、医療改悪案を厚生省案よりもさらにきつい、負担が大きい案を出されましたけれども、この中身はきょうは触れません、これは厚生労働でやるべきことですから。そういう構造改革ということでさらに将来不安をあおる、財務省自身があおるということについて、需要低迷との関係でどういうふうにとらえておられるのか、最後に伺って、質問を終わりたいと思います。 ○国務大臣(塩川正十郎君) 医療改革につきましては、何も財務省が不安をあおっているというようなことは実はございません。 厚生省から、概算要求のときに、そのときに十四年度に向けて改革案を出すと、こうおっしゃいました。それが九月の中旬に出てまいりまして、それに対しまして、財務省としてはなお検討していただきたい点がかくかくしかじかございますから、これを検討してくださいということをメモにいたしまして厚生労働省に提示したということでございまして、あれは決して、具体的にこうしろ、あるいはこうでなければ認めないという、そんなものではございませんで、論点を明記して提出したということでございます。 これをめぐりまして、これから両省間で意見のいろいろすり合わせが必要になってくると思いますし、また当局、支払い側、それから医師側の方の意見も聞いていかなきゃならぬと思っております。 |
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