■2001年6月14日 財政金融委員会質問 |
○大門実紀史君 竹中大臣、来られていますか。 ○委員長(伊藤基隆君) ちょっと速記をとめます。 〔速記中止〕 ○委員長(伊藤基隆君) 速記を起こしてください。 ○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。 竹中大臣をお待ちしていますけれども、一つ二つ質問させてもらいたいと思いますが、自賠責保険の問題で三月に私質問をさせていただきまして、柳澤大臣からも、村井前副大臣からも、後遺障害者の今後のヒアリング等を含めた問題で積極的な答弁をいただきました。それで被害者の方々は非常に喜ばれまして、金融庁の姿勢が物すごく期待できるということだったんですが、ただ、この五月に、金融庁に実態を聞いてほしいということで申し入れをされましたら、一般の陳情と同じような、三十分でしろ、人数も制限しろと、係長しか対応できないというふうな対応をされたということで、国土交通に比べて金融庁は姿勢がいいというふうに最初評価されたんですけれども、何だということで、かなりがっくりされているんです。 そういう点では、前回、三月のときに丁寧なヒアリングをしていくという副大臣からの答弁もあったわけですが、どういうふうに具体的に丁寧にヒアリングを今後されていくのか、それだけお聞かせいただきたいと思います。 ○副大臣(村田吉隆君) 私の前任者の村井副大臣が先生に対して三月にお答えを申し上げまして、その内容も議事録を私も拝見させていただきました。 実は、私は自民党の方のその問題の担当者でかつてございまして、一番やっぱり問題になったのは、政府への再保険を廃止していく、これは規制緩和の観点から望ましいことでありますけれども、その中で一番心配になったのは被害者の救済ということで、これに影響があってはならないということでございまして、その点につきましては六月に出された答申にもしっかり書いてありまして、それから、たまたま五月のそのヒアリングに立ち会うことができなかったわけですけれども、私もその気持ちでおりますので、被害者救済が自賠責制度の根幹をなすという認識は私において変わりませんので、お答えを申し上げたいと思います。 ○大門実紀史君 ありがとうございました。 それでは竹中大臣に、あと二十分ぐらいしかおられないんですか、きょうはじっくり率直にお聞きしたいと思ってたくさん質問を用意したんですけれども、じゃ、簡潔に幾つか要点だけお聞きしたいと思います。 先ほど浜田議員からもありましたけれども、私もこの間、中小企業団体とか保証協会の役員の皆さんとか、あるいは労働組合の皆さんとお会いして、率直に言ってこの不良債権の最終処理、つまり、不良債権というのはない方がいいというのはだれでもわかるわけですけれども、一気にやってしまうというところで倒産、失業が出るというところの不安がやっぱり物すごく今広がっているというふうに思うんです。 そういう中で、構造改革なくして景気回復なしというふうなスローガンは何となくわかるんですけれども、例えば労働者の皆さんも、連合総研のアンケート調査によりますと、一年後に四人に一人は失業するんじゃないかという不安を抱いているとか、中小企業も今かなり大変な状況ですけれども、そういう人たちに向けて、どうやってこれをやれば景気がよくなるといいますか、日本経済が立ち直るんだというメカニズムといいますか、さっきシナリオとおっしゃいましたけれども、こうしてこうやってこうやれば皆さんよくなるんだよというところをわかりやすく御説明いただきたいと思います。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権処理が経済活性化にもたらすメカニズムということでよろしゅうございますか。──大変重要な問題を聞いてくださったと思います。確かにわかりにくい面があると思いますし、これは正確に議論すればするほど余計ややこしくなるんですけれども、わかりやすくということでありますので、若干正確性は欠ける部分ができるかもしれませんが、あえて二つ、こういうメカニズムが不良債権の最大のマイナス点であるということを申し上げたいと思います。 一つの説明の仕方は、例えば銀行が十億なら十億というお金をどこかに貸しているとします。しかし、不良債権という意味はこの十億のもう価値がないわけですね。向こうに貸している、しかし貸した先で土地に運用されていて、その土地がもう例えば一億しかないということになると、もう一億の価値しかないわけですね。しかし十億がいわばきちっと使われないで塩漬けになっているわけですね。これは当たり前の話ですけれども、大切な資源をこれはむだに使っている。具体的に言うと、収益を生まないようなお金に使っているわけですから、これは社会全体の生産性が著しく低くなりますね。 結局、経済というのは何かというと、私たちが生み出す、人間と資本が生み出す付加価値が所得なんですよね。人間と資本がそんなに変わらないのに、それが生み出す生産性が著しく低くなっていったら何が起こるかというと、私たちの生活水準が下がるということになるわけですね。それでGDPが下がる、生み出せなくなっているんだから、非効率に資源が使われているということによって、私たちの社会全体が物すごく大きな、得べかりし利益というか、大きなロスを生じているということなんです。これがやっぱり私は最大の問題だと思います。 もう一つ、これを別の見方から、銀行からいうと、銀行は例えば、本当は一億の価値しかない資産をバランスシートで十億というふうに持っているわけです、見かけ上。つまり資産が水膨れしているわけですね。水膨れしていたら何が起こるかというと、今度は、資産に対する自己資本が見かけ上物すごく小さくなっていくわけですね。見かけ上じゃないです、本当は小さいわけですね。小さくなっていく。そうすると、金融機関の不健全性に対するマーケットの圧力が物すごく高まってきて、それによって、例えば九八年ぐらいに本当に起きたように、銀行の株が売り浴びせられて、それによって銀行が、つまり大変重要な金融の仲介機能がこの社会の中で果たせなくなるという可能性があるわけです。そうならないようにこの不良な部分を一刻も早く損出ししてしまう。 単に損出しということだけではなくて、これは銀行で考えていただきたいんですが、今、十億がむだに運用されているというふうに言いました、塩漬けされているというふうに言いました。 これ、不良債権処理したら、例えば十億貸していたものが一億円しか返ってきません、九億損を出します。銀行の利益も減って、大変は大変です。これは銀行にとっても痛みです。しかし、一億円返ってくるんです。そうするとその一億円は、新たなベンチャー企業でも、新たな可能性を持ったところに再び融資していけて、それが社会全体の価値を生み出す。これが、私は不良債権を処理しなければいけないということのやっぱりひとつの御説明なのではないかと思います。 だから、結局、やはり私たちの持っている資産というのは本当に有限なんだと思うんですね。それを有効に使うための大変重要なステップだというふうに思います。 ○大門実紀史君 そうしますと、一つは仲介機能とおっしゃいましたけれども、お金の流れが、銀行が不良債権を抱えていると、民間の中小企業の皆さんの立場で見ると、回るべきお金が回っていないとか、あるいは中小企業をどう見るかというのがありますけれども、生産性の低いところに、公共事業も含めてそういう評価はありましたけれども、お金が行っていて、生産性の高いところにお金が行っていないというふうな、何といいますか、そういうマネーのフローの問題と、どの分野にお金が行っているかというふうなことをおっしゃっているのかなというふうに思いますけれども、それはこの基本方針、素案にもそういう位置づけで書いてあるんですが、実際そうなのかなというふうに思うんですよね。 例えば、銀行が今本当に、確かに不良債権はありますけれども、貸し出しする力がない、不良債権のために外に貸し出しする余裕がないというふうには、数字からいって、いろんな統計からいって、なっていないというふうに思うんです、時間の関係でその辺は省略しますけれども。 そういう中で、何度も言うようですけれども、不良債権はない方がいいのはわかっていますけれども、何で一気に今処理しなきゃいけないのかと、しかも今この最悪の不況と言われるときに。これによって生まれるさらなるデフレ圧力とかそういうことを考えても、やるべきだという理由が私もう一つわからないんです。その点を。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 一点だけ。前半でおっしゃった貸し出し能力がないという面と、もう一つは、やはり経済全体が今の状況に対して不安を持っているので、借り手も十分にまだ資金需要が出てこないと、これは両面あります。 これは両面ということをぜひ申し上げた上で、なぜ今やらなきゃいけないのかということなんですけれども、本当はもっと早くやっていればよかったんだとやっぱり私は思います。今、最悪の時期だというふうにおっしゃいましたけれども、恐らく後にしたら状況はもっと悪くなると私は思います。 短期的に、予想よりアメリカの経済が今悪くなっているから、もうちょっとアメリカの経済がよくなってくれる方がいいねとかという、半年、一年ぐらいの、そういうタイミングの問題はひょっとしたらあるのかもしれません。でも、今やっぱり経済が厳しいから、三年待ったらどうなるでしょうか。だって、銀行の財務内容ももっと悪化するかもしれないし、資産の非効率な運用を続けたら、海外に比べて日本の競争力はもっと弱くなっていて、経済はもっと弱くなっている可能性があって、もっと状況が悪くなっている可能性がある。私は、やっぱりその可能性が高いんだと思います。 その意味では、もちろん、何か急に原油の価格が四倍にぽんと上がるとか、アメリカ経済の株がクラッシュするとか、これは天変地異と言うかどうかは知りませんが、そういうことが起こったらこれは話は別ですよ。しかし、今確かに苦しいかもしれないけれども、それを二年、三年待ったら多分もっと苦しくなる。私は、これが一般的な考え方なんだと思います。 ○大門実紀史君 私は、冒頭に申し上げましたとおり、中小企業とか普通に働いている人たちの立場からしますと、その人たちから見た説明をしてほしいんですけれども、銀行が苦しくなるとか何かじゃなくて、この二、三年で処理してかなりの倒産、かなりの失業が出ると言われていますけれども、その人たちにとってはどういうことなんですか、そうしたら。何がよくなるんですか、この二、三年で一遍に処理したことによって。 ○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと二点ぜひ申し上げたいと思うんですけれども、中小企業が被害を受けるという言い方は、私はやっぱりちょっと一面的なんだと思います。 内容のよくない企業がやはり整理の対象になるわけで、日本じゅうの中小企業で世界に冠たるところ、いや、世界に冠たるところまでいかなくたって、健全な収益を上げて頑張っているところというのはたくさんあるわけです。もっと極端に言うと、今本当に資産を塩漬けしているのは、私は一部の業界の一部の大企業だと思います。こういう言い方はちょっと誤解があるかもしれませんが、私はその方が実態に近いと思っています。だから、やっぱりそこにどのように切り込んでいけるかというのがこの問題の最大のポイントなのではないでしょうか。 私は業界の実態を把握する立場にありませんから、もし微妙なニュアンスの違いがあれば、これは柳澤担当大臣にぜひ御修正いただく必要があるかと思いますが、一般的な見方は私はそういうことなんだと思います。 それで、本当にもはや整理の対象になるような中小企業はあるかもしれません、じゃ今それをやることの意味はどうかというと、もうやっていけないとわかっていてあと二、三年先に延ばすのと、やっていけないんだったら早く準備をするのと、どっちがいいだろうかという、多分そういう基準になるんだと思うんですね。 その際のセーフティーネットは、これは重要だと思います。やっぱり次の就業機会に対して、働く人間、生身の人間ですから準備も要るだろうし、それをサポートするような社会全体の仕組みも要ると。これは実は大変難しいわけだけれども、やはりこの中で、チャレンジャーの支援のような幾つかのチャレンジャーのプログラムも、できるだけ海外の例なんかも参考にしながら準備したいというふうに実は考えているわけです。 つまり、ある宿題をやらなきゃいけないとして、二日後にやる方がいいのか、今やる方がいいのかということになると、やっぱり今宿題をしてしまって次の段階に行く方がいいというふうに考えるべきなんじゃないでしょうか。 ○大門実紀史君 竹中大臣、本当に中小企業の実態とか、例えば要注意先になっていたり、要管理先債権に区分され直したり、何が起こっているかを本当に見てもらいたいんですよ、紙の上で何か線を引くんじゃなくて。 例えば、今一生懸命頑張っている中小企業というのは、景気さえよくなればちゃんとやっていけるところが多いわけですよ。ちゃんとやっていける。それが今不況で販売不振で、今倒産の一番の理由も販売不振ですけれども、そうやって頑張っている人たちに、どうせ二、三年後にはつぶれるんだから今つぶれても同じだと言うのは、これは学者の評論家の方が言うのならいいですよ、大臣として言うべきことじゃないと思いますよ。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 私は、わかりやすく言えと言われたからわかりやすく言っただけで、それ以上の説明の仕方はないのだと思います。 ちなみに、私の両親は、典型的な中小企業、いや零細企業を五十何年営んできました。私は父親を大変尊敬しておりますし、その中でやっぱり大変厳しい状況を何回もくぐり抜けてきた。私は、紙の上だけで、大学で勉強しただけでそんなことを言っているつもりはありません。 一つ申し上げたいことは、結局のところ、苦しいことはあると思うんですけれども、改革を拒む二つの要因、先ほど浜田委員が、一つは既得権益である、一つは景気であるというふうにおっしゃいましたけれども、私も同感なんですけれども、別の言い方をすれば、一つは既得権益であり、もう一つはやはり不安だけをあおる議論なんだと思うんですね。不安はだれにだってありますけれども、しかしその不安を乗り越えてきたのが今までの日本経済であったと思いますし、その中で活路を見出してきたのが私は日本の中小企業のたくましさだったのだと思います。 その意味では、ここから先は若干水かけ論になるのかもしれませんけれども、本当に頑張れる、中小企業が頑張れるような状況にするためにも、先ほど申し上げたように、やはり一部の業界の一部の企業についての踏み込んだ整理が今後私は個人的には必要になってくるというふうに考えますし、また、一般的に企業の大小の問題ではなくて、やはり資産を効率的に配分するような仕組みをいかにしてつくっていくかということを考えないと、この改革が一年おくれれば、それだけ私たちの痛みは大きくなるのではないかと思います。 ○大門実紀史君 別に、中小企業が弱者だから救済すべきとか、そういう意味で言っているんじゃなくて、やっぱり日本経済の基盤を支えているんですよね。それが今、四苦八苦してやっと融資でつないだりしてやっているわけですよ。 ところが、この不良債権処理で、後で、竹中さんが引き揚げられた後になると思いますが、詳しく今の実態を述べますけれども、その不良債権処理というのは非常に現場では厳密にやられていないところがありまして、例えば生産性が高い中小企業でも、資金繰りに困って要注意先になっているケースだってあるわけですよね。 ですから、おっしゃっていること、私は混同されているんじゃないかと思うんですよ。いわゆる生産性の高い分野に資金を移動するとか、資源を移動するというのは経済論では当たり前の話で、そうなればいいですよ。不良債権もなくなった方がいいですよ。それは当たり前の話で、それは今の実態を見ながらやるか、それとも何か描いた理屈を実態で試そうとしているような、私は非常に危険性を感じるんですね。 なぜかといいますと、この諮問会議の資料を見ていて、私、非常に危ない話を堂々と書いておられるなと思ったんですけれども、素案の中に、七ページですか、「不良債権問題の抜本的解決―日本経済再生の第一歩」と書いてあるところがあるんですけれども、よくここまで書くなというふうに思うんです。書いてあることを全部読みませんが、要するに、今不良債権扱いされているような企業はイコール低生産性部門なんだと。低収益の構造にあるそういう部門なんだから、不良債権の最終処理を行うことによってそういうところが整理されて、成長性の高いところにお金が流れることになると。つまり、不良債権処理を今思い切ってやっちゃえと。そうしたらちょうど生産性の低いところの業種なりそういうものも整理されるんだと、一石二鳥みたいなことが書いてあるんですよ。 これは実態を本当に踏まえていないなと。確かにあると思いますよ、生産性の低いところ。やっぱり生産性を高くしなきゃいけないというのはわかりますよ。その話と不良債権処理を一気にやろうみたいなことまで書かれるというのは、本当に実態を御存じないんじゃないかというふうに私は思うんですね。 言われている意味はわかりますよ、低成長分野から高い成長の分野に資源移動と、いわゆる規制改革とかを含めておっしゃっていますね。その柱と不良債権処理の柱と私は別個のものだと思うんですね、本来。別個のものを今一遍にわずか二、三年でやろうとするところでいろんな無理が起きているというふうに私は思うんですが、いかがですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 実態を御存じないというふうに言われたら、私も一生懸命実態を把握しているつもりですというふうに申し上げざるを得ないのでありますけれども、基本的には、例えば逆の発想をして、じゃこれをおくらせたらよくなるのかという議論なんですね。それはやっぱりどう考えても私には説得的ではないわけです。今、不況のどん底なんだからというふうに言われたけれども、例えば今GDPがマイナス一〇%のような状況にあって、その中でそうすると悪い企業が出てきて、これは経済がよくなれば何とかなるはずだと、こういう議論というのは私は説得的だと思うんですよ。 しかし、昨年度の経済成長率、予想より低かったけれども、〇・九%なんですね。経済はさらに大きくなっているんですね。平均的に見れば売り上げはふえている、日本全体で見れば。例えば、将来利子が返せない、金利が負担できない、そういう状況下であるところが、経済全体がよくなればよくなるはずだというのは、私はやっぱりちょっと議論としては成り立たないような気がするんですね。 繰り返します。マイナス一〇%とかそういう状況であるならば、こういう議論をやっぱり私はするべきじゃないと思うんです。本来だったら日本は二%成長ぐらいだと思うんですね。それが、二%成長が一%成長ぐらいになって、その状況下でこの時期を後にずらす方がよくなるという議論は、私にはその意味ではよく理解できないのであります。 ○大門実紀史君 何度も言うようですけれども、後にずらせとか、ずっと先でいいんだとか、ほっておくべきだとか言っているわけじゃなくて、この一―三のGDPも出てこんな状況で、さらにみんな景況感は今後悪くなると思っている中で、なぜ今なのかということを何度もお聞きしているわけで、ほっといていいとか言っているわけじゃないですし、どうもその辺をおっしゃるときに、私、精神論的に聞こえるんですね。不良債権処理なくしてあしたなしみたいな、とにかく何か精神論みたいに聞こえるんですよ。説明がよくわからないんですね。何度もお聞きしていますけれども、なぜ一番どん底的なときにやらなきゃいけないのか、そうしたら先に延ばすよりはいいからだと、これしかお話がないんですね。 この今最悪のときにやった後のデフレ圧力といいますか、御存じですよね、失業者は転職と簡単に竹中大臣は言いかえられていますけれども、失業したら当然、次にもし勤められても賃金は減っていますね、七割、五割、三割ぐらいに。七五三と言われているんですよね、次の賃金というのは。そういう実態があって、かなり所得も低下しますよ。また個人消費だって、回復するのに相当時間がかかると思うんですよね。 ところが先日も、小泉さんも一年の我慢だとか、竹中大臣も二、三年の我慢とか言われますけれども、大量に失業者とか倒産が生まれるのに、何で二、三年後にすぐよくなるのか。その辺も、非常に精神的なアドバルーンといいますか、とりあえず安心させるメッセージを出しているだけにしか私には聞こえないんですよ。何でそんなに短期間でよくなるんですか、そうしたら景気が、経済が、これだけのことをやろうとして。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 精神論的だというふうにおっしゃいましたけれども、私自身は極めて社会科学的に議論しているつもりであります。 これは別の機会にお話ししたことがありますけれども、不良債権問題の本質というのは、いわゆるデッド・ハング・オーバーという考え方で、これは一九九〇年代の半ばぐらいからアメリカのエコノミストたちが研究された結果に基づいて、いわゆる債務を過度に引きずっている、過剰な債務を引きずっている状況ではリスクがとれないから投資ができない。投資ができない状況では、経済発展の原動力はリスクを負って将来に向かって投資する源泉であるわけですから、それが最大の問題である。ないしは、ディスオーガニゼーションというマイクロエコノミストの考え方を応用した、産業組織が不良債権を持っている一種の不確実性があることによって、この産業組織が破壊されるわけですね。だから、きのうまで世界一だと思っていたある産業が、この産業組織が破壊されることによって著しく生産性が停滞して、ひょっとしたらつぶれるんじゃないかというような状況にまでなってきた。そういう議論を私は踏まえてそのような議論を展開させていただいているつもりであります。 大変難しい問題は、議員が最後に聞かれた、本当に二、三年で一体どういうふうな形になっているのかというのは、これは実はそんなにだれもが自信を持ってモデルで予測できるような性格の問題ではありません。世の中の仕組みをこれから変えていこうというわけですから、その点については確かに、こういうふうにしたいという一つのシナリオといいますか、厳密な分析ではない部分というのは当然のことながら私は入ってくると思います。 あえて言えば、その意味で私は学者ではなくて政治家であるというふうに申し上げたいんだと思いますが、済みません、これはだからメッセージをやっぱり送らなきゃいけないと思う。 ただ一つ言えることは、確かに労働の移動には時間がかかるし、新しい雇用機会を使うにも時間がかかるけれども、私は、同時に日本の経済というのは、ある一つの方向性が見えてきたときに、それに対してそれを前倒しして反応するすさまじいダイナミズムを持っているというふうに思っているんです。 だから、一つの期待、エクスペクテーションが何か確認できたら、やはり経済に好循環が生まれ始める。私は、それが二ないし三年という一つの不良債権の処理とあわせて前向きの改革を進めることによって、新しい歯車が動き出したりすることができるのではないかなというふうに実は考えているわけです。そのように御理解いただきたいと思います。 ○大門実紀史君 今、産業論をおっしゃいましたけれども、私この間、竹中大臣の御本だとか幾つか読んでいて非常に疑問なんですけれども、例えば、ランプが電灯にかわるとか、エネルギーでいえば石炭から石油にかわるとか、あるいは諮問委員の中の吉川先生なんかは、馬車が列車に取ってかわられるとか、何か本当に物すごく産業革命でも起こるような話をされているんですね。新規産業、新規産業とおっしゃいますけれども、何がそんなにあるんですか。わからないんですね。 ○国務大臣(竹中平蔵君) これは吉川議員なんかもいろんなところで発言しておられると思いますけれども、例えば繊維産業の後に鉄鋼が来て、その後自動車が来るというような、そういうようなイメージでの産業というのは私はやはりないのだと思います。 しかし同時に、例えば一つの例で言いますけれども、私はIT担当大臣も今兼任させていただいていますが、やっぱり非常にデジタルな新しい技術というのは間違いなく今あるわけですよね。私は、だから今デジタル革命だと思っています。 話をし出したら長くなりますけれども、例えば製造業がデジタルなものを入れることによってやっぱり物すごく生まれ変わることができているし、中小企業、特にサービス業がそのデジタルな技術を入れることによって非常に全く新しい産業になりつつあるし、私は、やっぱりその意味ではこれは革命的だと思っています。何が起こるかわからないから革命だというふうな面がありますけれども、その中で一つの例として、やはりアメリカなんかがその端緒を私は見せているんだと思うんですね。日本の資源や技術力という点からいうと、やっぱりチャレンジに非常に値する私は時期なんだと考えています。かつてのような産業構造ビジョンで示されるような明快な何とか産業何とか産業という段階ではなくて、一人一人がまさにフロンティアに立って、そのデジタルな可能性を自分のビジネス、生活の中に取り込んでいけるようなやはりチャレンジをしなきゃいけないときではないかと考えています。 ○大門実紀史君 後で五百三十万人雇用の問題、雇用創出と出されている問題を細かく検証させていただきますけれども、何が起こるかわからないような話ばかりなんですよね。ところが、失業者はどんどんふえ始めていますし、中小企業が今資金回収だとか新規融資のストップでつぶれ始めていますし、その人たちにとっては、痛みを我慢しろと言われているから我慢しようかと思っているけれども、結局何だかわからないけれどもやるんだみたいな、そんなことしか今ないんですよね。きょうお聞きした分でいくと何も具体的なものはない、はっきり言って。 もし、お時間がよろしければ最後までいてもらいたいですけれども、五百三十万人雇用なんかもそうですけれども、そういう人たちのセーフティーネットとおっしゃいましたけれども、受け皿になるものは何もないんじゃないですか。何か具体的なものはあるんですか。例えば、ITと言われましたけれども、ITは情報化投資で雇用が減る部分もありますでしょう、実際そんなにふえていないじゃないですか。何があるんですか、具体的に、セーフティーネットとして新規雇用というのは。 ○委員長(伊藤基隆君) 三時までという事前の約束がありますので、一言だけ。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほども申し上げましたように、仕組みそのものが大きく変わる中で、特に市場経済の中でこれが受け皿でございますというものを計画経済のように求められても、これは残念だけれども、私自身は、そういうものは用意することはできないのだと思います。その意味では、この雇用計画というのは一つの可能性を示しているものというふうに理解していただかざるを得ないんだと思います。 ただ、ITは雇用を減らしているというお話がありましたけれども、そうです。ITというのはいわゆるトランザクションコスト、取引費用を徹底的に減らすことによって中抜き、いわゆる中抜きといいますが、これを減らすわけですね。アメリカも減りました。日本も減りました。 でも、これは例えばアメリカの商務省の推計ですけれども、アメリカの場合は、減ったのと、減った金額のちょうど二倍ぐらいの新しい雇用がそこで創出されているんですね。ITを中心とした産業で創出されているんですね。日本の場合は、ITで減った分とITでふえた分が大体同じぐらいなんです。だから、失業を改善するのにはそんなに貢献していないんです。私たちが政策として検討すべきなのは、そこがなぜアメリカの二倍出てこないのだろうかということなんだと認識しています。 そこでやっぱり出てくるのは、結局基本方針に返っていくんですけれども、実は非常に小さな規制とか慣行の硬直性があって、それが新規のビジネスチャンスを阻害していると。だからこそ前向きの改革をやっていこうというのが私たちの結論でございます。 大きな答えとしては、物事の性格上、そんなに正確な受け皿議論というのはやはり技術的に難しいということはぜひ御理解いただいた上で、五百三十万人の可能性の趣旨のようなものをぜひ正当に御理解をいただきたいと思います。 ○大門実紀史君 大臣、ありがとうございました。 ちょっと順番があれですが、話の流れで、今、竹中大臣がおっしゃいました五百三十万人雇用といいますか、雇用対策の話を少しお聞きしたいと思いますが、ちょっと大臣行ってしまわれましたけれども、これは内閣府の方で御存じだと思いますが、大臣が、不良債権処理をすると一兆円当たり数千人から一万人失業者がふえるだろうと発言されておりますけれども、国会でも発言されておりますが、この根拠となる数字は何でしょうか。 ○政府参考人(岩田一政君) それではお答えいたします。 この不良債権の処理に伴ってどのくらい失業が出るかということにつきましては、さまざまな試算が行われておりますが、私どもが考えておりますのは、倒産した企業の負債の金額と、それから倒産に伴いましてどのくらい失業した人が出たかという、その関係を時系列的にも、あるいはいろいろな業種別にもいろいろ検討いたしましたが、大まかに言いますと、一兆円の負債があった企業だとしますと、平均すると一万人ぐらいの失業者が出ているということであります。 最終処理の形態にはいろいろな方法がございまして、法的な処理もございますし私的な整理もあるということで、例えば債権放棄なんかの場合には、一万人ということではなくてむしろ四千人ぐらい、これはもちろん平均でございますが、そういうような数字が得られております。 そういうことで、仮に十二・七兆というのを最終処理すると…… ○大門実紀史君 聞いていない。 ○政府参考人(岩田一政君) よろしいですか。じゃ、以上です。 ○大門実紀史君 そうしましたら、今ちょうど岩田さんが出てこられましたけれども、四月の十日に私同じ資料で質問したんですが、諮問会議に出された資料ですよね。その中で、グラフを岩田さんが説明された中で、どうも説明が違うなというふうに思うのがあるんです。 これは資料のページは入っていませんけれども、要するに、九七年と二〇〇〇年度と比べて、九七年から二〇〇〇年度までに二十二兆円オフバランス化をしたと、差し引きするとそういう計算になるんですね。二十二兆円不良債権の処理をしたら、同じく下の方に、これは皆さんの資料ですから、非自発的失業者が五十四万から百二万人にふえている。つまり、二十二兆処理して五十万人ふえているという資料を出されているんですね。岩田さんはこれについて説明されているわけですね、これに基づいて。つまり、それだと一兆円当たり二万何千人となると思うんですよね。そのとおりですよね。 ○政府参考人(岩田一政君) 今の御質問にございましたように、経済財政諮問会議でそうした資料を配付して御説明したことがございます。 ただ、そのときの御説明は、基本的には、九三年から二〇〇〇年までにかけて直接償却等オフバランス化した数字が四十五・三兆円あって、その間に失業者、非自発的な失業者が約六十万人ふえているというお話をいたしました。それですと、一・二万人とかそういうオーダーになります。 ただ、私補足しまして、最近の時点の、特に九七年以降をとると今おっしゃったような少し大きい数字になるけれども、これはそのときの、九七、八年ですね、信用不安がこのとき非常に高まりまして、実質GDPもマイナスが続くというようなやや異例な事態がありましたので、その点を考えれば、平均した数字をむしろ考えるべきではないかというような御説明をいたしました。 ○大門実紀史君 私、申し上げたいのは、この話はもう何度も我が党も質問させてもらっていますから、民間のシンクタンクはもっと大きな数字を言ったり、率直に言ってわかりませんよね。わからないのが事実だと思うんですが、皆さん自身が出された資料よりも小さ目に言うことはないだろうと思うんですよね、今の時点で数千人だとか一万人だとか。そういうことはもうやめた方がいい。率直にこの問題をどう考えるかというようなことにした方がいいという点だけ指摘させてもらいます。 五百三十万人雇用の問題ですけれども、基本方針素案に書いてあります五百三十万人雇用というのは、これは要するに五月十一日の、サービス部門における雇用拡大専門調査会の牛尾さんの緊急報告ですよね、もとになるのは。これについてちょっとお伺いしますけれども、これも計算がちょっとよくわからないんですが、要するに五百三十万人新規雇用をふやして五年後に失業率が四%ということは、これ結局、失業者はその間にどれぐらいふえて、あるいは失業者と呼ばないとしますよね、例えば一次、二次産業から三次産業へ移動するという考え方かもわかりませんが、いずれにせよ、移動か失業か転職かは別として、そういうものは何万人の計算になるんですか。 ○政府参考人(小林勇造君) ただいま先生から御指摘のありましたこの報告書におきましては、これからの社会における雇用として、特にアメリカの一九九〇年代の経験から…… ○大門実紀史君 数字だけ答えてください。聞いた数字だけ。 ○政府参考人(小林勇造君) いや、つまり私どもこの報告書では、期待される雇用の数ということをあくまで試算したものでございまして、これによって現実の失業率がどうなるとか、そういう計算はいたしておりません。 ○大門実紀史君 そうしますと、いろんな委員の方あるいは各大臣の方が、この不良債権処理で雇用不安、失業者がふえる、だから、平沼大臣もそうですけれども、新規雇用を創出しなきゃいけないんだ、その具体的なプランをつくるんだと。こういうものが出ているということでいろいろ使われていますから、結局これは、その受け皿としてこういうことを考えていますよと使われているんじゃないんですか。それともただ、こんなこともありますよと、さっきの話と同じなんですか。受け皿、セーフティーネットじゃないんですか、これは。 ○政府参考人(小林勇造君) 厳密な意味でこれが受け皿だという形で試算されたわけではございませんが、いずれにしろ、日本経済にはそれだけの潜在的な力があるはずだという形でこの専門調査会で御検討されて、報告を受けたという形になっております。 ○大門実紀史君 よくわからないんですが、中身もよくわからないんですね。一番これで雇用を創出されるのは、個人向け、家庭向けサービスで百九十五万人ふえるんだと、五年後にふえるんだと。 コンシェルジェサービスというのは何ですか。具体的に説明してもらえますか。 ○政府参考人(岩田一政君) コンシェルジェと申しますのは、フランスでアパート等の管理をする方であります。管理人サービスというように申し上げた方がいいかと思いますが、例えば、アパートに住んでおられる高齢者の方が薬だけとりに病院に行かなくちゃいけない、そのとき普通はなかなか頼めないわけですね。そういう身の回りの家庭サービスを、手となり足となって働いてくださるような、そういう方々のサービス、いろんなサービスが考えられるわけですけれども、家庭内のサービスをいわば外部化するといいますか、そういった姿を描いております。 ○大門実紀史君 コンシェルジェというのは、訳すと執事ですよね。お屋敷にいる執事さん、執事という意味ですよね。本当に何かばかにしたようなことを平気で書かれているなと思うんですよね。 そうしたら、ライフ・モビリティーサービスというのは何ですか。ライフ・モビリティーサービスというのは。 ○政府参考人(小林勇造君) 島田先生の報告書のバック資料によりますと、高齢者の外出の障害を取り除くことによる増加を仮定した推計ということでございますので、そういうコンセプトかと思います。 ○大門実紀史君 コンセプトじゃなくて、職種は何ですかと聞いているんですよ。高齢者タクシーだとか、そんなものなんですか。何でこんなところだけで百九十五万人もふえるんですか。お年寄り、こんなに頼めるほどお金持ちなんですか。五年後にこんなに高額所得の、自分専用の人間を雇えるようなお年寄りがふえるということなんですか。 ○政府参考人(小林勇造君) これはあくまで専門調査会でさまざまな仮定を置いて、特に、例えばそのための雇用創出型の構造改革ということで、規制の緩和だとかあるいは情報公開だとか、さまざまな政策的な支援というものを前提にいたしまして、そして欧米先進国のサービスの水準だとか、あるいは我が国の特殊事情だとか、それからさらには我が国における各分野別の過去の市場規模とか雇用者数のトレンドだとか、そういうものを仮定計算として置いて、そして推計されたというふうに伺っております。 ○大門実紀史君 私もこれだれがつくったんですかと聞いたら、何か三、四人の学者の方々が、これはどうだあれはどうだといって思いつきで入れたと。数字は適当な話で、アメリカでやったらこうだったとか、こんなもんですよ。五百三十万人雇用と新聞に書かれて、それだけ見たら、失業がふえるかもしれないけれども自分は大丈夫かもしれないと思うわけですよ。実態はこんなものじゃないですか。さっきも竹中大臣はセーフティーネットでもないというふうなことを言われましたけれども、これははっきりしてください。これはセーフティーネットでもなきゃ受け皿でもないわけですね。はっきりしてください。 ○政府参考人(小林勇造君) 先ほども申しましたように、日本の潜在成長力を活用すればこういうことが期待できるんじゃないかということの御報告を受けたわけですが、ただ、これまでのサービス部門を中心とする動きでございますが、我が国におきましても、一九八〇年から二〇〇〇年までの間、サービス産業におきまして十年間で約五百万人の就業の増加が既に現実に見られているわけでございます。また、欧米先進諸国におきますサービス産業の比率というのが我が国よりも約一〇%高いという現実がございます。したがいまして、今後五年間の構造改革の推進等によりまして、我が国でもこれぐらいの、五年間で五百万人というぐらいの雇用増は十分期待できるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。 ○大門実紀史君 そうしますと、こんなものをわざわざ出さなくたって、需要と供給の関係があれば新しい仕事は生まれますよ。お年寄りにそういう需要が強ければ、そういう仕事をやろうという人が生まれますよ。わざわざ政府がこんな発表をしなくたって、今までだってそれだけふえたということは、これからだって自分で考えて起業する人がいるわけじゃないですか。そうでしょう。何もこんなものを出す必要ないじゃないですか。ほっておいたってこれぐらい移動するじゃないですか、いろいろなところに。そうですね。うなずいておられますけれども、そういうことでしょう。 ○政府参考人(小林勇造君) 実は今、数字としまして十年間で五百万人というのがこれまでの趨勢だったわけでございます。ところが、さまざまな規制緩和等政策支援を行いまして、このスピードをアップしまして、五年間で五百万人ふやそうということを期待しているということでございます。 ○大門実紀史君 皆さん専門家だから御存じだと思いますけれども、こういうサービス産業というのは、アメリカがサービス産業が伸びましたね、サービス産業の雇用を伸ばしましたよね。あれは個人消費が伸びたからなんですね、あの時期に。日本は個人消費が伸びていないわけでしょう。何でこんなに個人消費に対応するサービス部門が伸びるんですか。全然根拠がないんですよ。何もないんです。規制緩和したって個人消費が伸びなきゃこんな部門の仕事がふえるわけないじゃないですか。こういう人を雇える人がふえなければ、所得がふえなければ、こういう仕事がふえるわけないじゃないですか。だからおかしいんですよ、おっしゃっていることは、ずっと。いいかげんなんですよ。とにかくもうばかばかしくて、本当にセーフティーネット論とか受け皿論というのが何なのかと、一生懸命大の大人がいろいろ出してきて。本当に笑われますよ。 塩川大臣にお伺いしたいんですけれども、これはいつですかね、今いろいろ申し上げました五年間で五百万人雇用が出されたときに、塩川議員提出資料ということで、これは要するに財務省からの御意見だと思うんですけれども、この五年間で五百万人というところに線を引いた資料を出されておりますけれども、これはなぜ財務省としてここに線を引かれたんですか。余りにもばかばかしかったんですか。 ○国務大臣(塩川正十郎君) 私が言いましたのは、五月の三十一日であったかと思いますが、そのときにはこの分類が、先ほど私聞きましてなるほどなとわかったんですけれども、その時分はまだ出ておりませんでしたので、何か具体的なものがあったら知らせてくれと、それまでは保留すると、こういうことでございました。 ○大門実紀史君 いずれにせよ、そういう本当に笑われるようなことしか今政府はセーフティーネットについてやっていないと思うんですよね。雇用については特にそうですけれども。 じゃ、失業保険はどうするんですか。これからかなり生まれると思われている失業保険に対して、きょうは厚生労働省いらっしゃいませんけれども、財務省の立場でそこに手当てをするお考えはあるんですか。給付日数の延長を含めて、直接の受け皿として失業保険の部分のセーフティーネットというのは特別の対策をとられるお考えはあるんですか。 ○副大臣(若林正俊君) 失業保険については、システムとしてそのような制度を組み立てているわけでありますから、失業が現に発生し、あるいは発生することが確実に予測される場合にはそれに対応した保険給付の手当てをしていくということになるわけでございますが、態様によって給付の期間も延長するなどの諸措置もあわせて検討していくということになると思います。 ○大門実紀史君 もう一度確認しますけれども、財務省としてはこの不良債権処理に伴う失業者の増大に対応して給付日数の延長とか具体的なものを考えておられるというふうに考えてよろしいんですか。 ○副大臣(若林正俊君) 緊急経済対策におきまして、雇用面におけるセーフティーネットの整備というものを定めております。その中で、雇用保険法の円滑な施行ということも重要な施策として取り上げておるわけでありますが、中高年齢層を中心とした倒産とか解雇などによる離職者に対しては、一般の離職者と比べて手厚い給付日数を確保するというようなことを内容とした雇用保険法の改正法、この円滑な施行を図ってまいりたいと思っております。 ○大門実紀史君 それはまた具体化されたところで御議論したいと思います。 次に、中小企業の関係ですけれども、ちょっと時間が少なくなってきましたので、かいつまんで私がいろいろお話を伺った実態をお話ししますと、この不良債権処理というのは、銀行の現場では決して区分がきれいに行われているわけではありませんで、この前の三菱の、リスクの高いところには高い金利を要求したというのがありましたけれども、いろんなことが行われております。これはやっぱり金融庁として、それが本来の趣旨じゃないと思いますので、手を打っていただきたいと思うんですけれども。 私の部屋に直接相談があったケースでも、名前は出しませんけれども大銀行で、長い取引をしてきたんですけれども、やっぱり不況で、返済条件を変えてほしいと。ちょっとそれは変えられないというので、少し延滞をしただけでもう担保物件を売れと。とうとうそれの話がこじれて競売にかけるまで行っちゃって、これは金融庁にも御連絡をして、何とかそういうことをしないようにということで、また条件変更をしてもらって今何とかやっているんですけれども。 とにかく、大銀行だけじゃないと思うんですが、金融機関はこの不良債権処理をやれと言われている中で、これから危ないところとか不況業種とか構造不況業種は、特に今のところ分類は破綻懸念先とかにしていなくても、何の理由も言わずに新規融資を、今回は貸せませんとか、いろんなことが今起きているんですね、現場で。これはもうひとたまりもないんですよね。 私は竹中大臣と意見が合いませんけれども、やっぱり今頑張っている中小企業を支えて正常債権にしていくというのが政治の役割だと私は思いますから。もちろん、もうどうしようもないところもあると思うんですよ、市場経済ですからつぶれていくところもあると思うんですが。そんなところまで巻き添えにされるような事態が今大変起きていまして、この前、保証協会の役員の方にもお会いしたんですけれども、周辺被害と言ったらなんですけれども、そういうものが現場で起きていると。細かいデータありますけれども、ちょっと時間の関係で結論だけ言いますけれども、そういうことに対してやっぱり金融庁として、個別の丁寧な対応をされるという答弁、柳澤大臣も今までされていると思いますので、もう起こり始めていることについてどういうふうにきめ細やかな、つぶさなくていいところはつぶさない、生かしていくべきところは生かすというようなきめ細やかな対応をどうされていくのか、柳澤大臣に聞かせてもらえればと思います。 ○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほど来、大門委員の質問という形をとった御発言を聞かせていただきましたけれども、若干、大門委員がカテゴリーの問題でちょっと誤解をしている面があるようにお聞きしました。 それは第一に、私ども今度、不良債権の最終処理をしようというのは破綻懸念先以下だということで、これはもう先生つとに御案内のとおりなんですが、話の中では、例えば赤字が続いている、赤字が続いているだけですと要注意というような、これは原則の問題ですけれども、そういう区分にさせていただいております。そして、先ほどまさにお触れになられたように、条件を変更するというような貸し出し条件変更先の債権については、これは要管理先ということでありまして、これでもなお私どもはいわば最終処理の対象としてそれを見ていないということでございます。 そういうことで、先ほど来、竹中大臣との応酬における先生の御発言も注意深く聞かせていただきましたが、やや先生がカテゴリーの問題では少し誤解の上に立った御質問、御発言があったなという感じがいたしておりますので、そのことを申し上げたいと思います。 まだ私どもこれを最終的にどうするかということを決めておりませんが、現段階では仮に破綻懸念先であっても、余り画一的なということではなくて、よく債務者の事情に配慮したことをやるということを、実は緊急経済対策の中にはそういうことをうたっているわけでございます。 ただ、このあたりのことについては、もう少し今、今度の骨太の方針との関係で若干検討をさせていただくということでございますけれども、いずれにせよ、中小企業というのは、どっちかというと店と奥という、これは税務における言葉を、概念を使って恐縮なんですが、店と奥とが、つまり法人成りをしていても、実はオーナー社長である奥の方との関係で法人をバックアップするというようなこともありますので、法人だけを見てどんどん事を運ぶというようなことはよく考えるようにということは、これは一貫して私ども注意をさせていただいている点でございます。 ○大門実紀史君 私が申し上げたいのは、カテゴリーを超えたことが現場では起きていると。金融庁は、この部分と言われているのはもちろんよくわかるんですが、カテゴリーを超えたことがこの間いろいろ起きているということを申し上げたいんです。 例えば一つだけ例を申し上げますと、先ほどおっしゃいましたけれども、条件変更。例えば要注意先の中で条件変更すると要管理先になりますよね。そうすると引き当て率が高まるんですよね、銀行。そうすると、銀行にとっては今引き当て率を高めたくないんですよ。そうすると条件変更そのものに応じないということが起きて、で、中小企業が今一生懸命四苦八苦しているところで条件変更に応じてもらえないと、それでつぶれるところもあれば、それが回って回って倒産の原因になるということも生じているんですよね。 ですから、そういうカテゴリーを超えた大変な事態が起きているということを、もちろん金融庁にも御相談は来ていると思いますけれども、ぜひつかんで、前向きなといいますか、そういうことの起こらないような対応をお願いしたいというふうに思います。 最後に、本当は最初に聞こうと思ったんですが、順番が変わってしまったんですけれども、この緊急経済対策そのものの歴史的な位置づけと言うとオーバーですけれども、今回、財務省の方の塩川議員提出資料の中に財政構造部会の報告書がございましたですね、六月十一日の会議でしたかね。 要するに申し上げたいのは、その中で、過去の十一回の経済対策について評価が今までとかなりがらっと変わったんじゃないかと。つまり、簡単に言えば的を射てなかったと。それはなぜかというと、需要拡大ばかりに目を向けて、不良債権という問題を過小評価したと。それでも財政出動を続けたと。結果的に景気は余り回復しなかったというふうな十一回のについて評価して、だから今回はということに多分つながるような総括をされていると思うんですけれども。 そうすると、我が党はもうかねてからああいう経済対策は間違いだということを指摘してきましたけれども、今までの十一回、百三十兆使って、公共事業にそのうちの七十数兆使ったあの経済対策は何だったのかと。あれをそのまま、塩川議員提出資料となっていますから、塩川大臣としてお認めになるということは、過去の経済対策、緊急経済対策とか名前はいろいろですけれども、間違いだったということをお認めになるというふうなことなんでしょうか。 ○国務大臣(塩川正十郎君) そうは私言っておりませんで、今までの経済対策から方向を変えなけりゃいかぬと、こう言っておるんです。 百三十兆とおっしゃいましたけれども、これはこういうことじゃないかと思うんですけれども、一九九二年の宮澤内閣そして細川内閣、村山内閣、橋本内閣、小渕内閣、森内閣、全部を通じまして百三十一兆円の景気対策を講じておる、これは事実でございます。しかし、これはこれなりに大きい意味があったと思っております。 それはなぜかといいますと、一九九〇年に入りましてからバブルが崩壊するという状態が起こってまいりまして、そのバブルの崩壊が起こってくる根本原因は何があったかといったら、仮需要が多くなってしまった。それを生み出した最大の原因は、重厚長大産業が行き過ぎてしまいまして、右肩上がりがとことんまで上がってしまって天井へ来てしまった。だから、ここで転換しなきゃならぬ。その時代が一九九〇年でございましたが、それでも依然として一遍に転換できなかった。それはもう国の状況、世界もそうでございました。 したがって、政府がとりましたのは、その重厚長大産業の構造を漸次変えていかなきゃならぬ。その間には、やはり需要創出といいましょうか、需要追加型の予算を組んで、その中でだんだんとそういう産業構造の転換を図る。旧来の生産設備を償却して転換させていく。そのために、相当な資金を注ぎ込んで、公共事業を中心とした産業助成対策を講じてきた。それは私は、平成十年、十一年ごろまでずっと続いてまいりまして、効果があったと思っております。したがって、下支えをしながら、そして緩やかに着陸するというんでしょうか、転換をしてきた。 しかしながら、平成九年、十年ごろになりましてから、そういうことではなくして、新しいいわゆるデジタル産業に転換、どんどんと切りかえていきました。そうしますと、これからの景気対策というものは、そういう新しくできてくる産業を増大し拡大していく、そういう投資に対して積極的な対策を講じなけりゃならぬ、こういうことでございましょう。 また同時に、重厚長大産業から起こってまいりました競争力の弱い企業、国際競争力の弱い企業に対しまして、これは失業者が増大いたしましたので、その失業者救済をやらなきゃなりません。その意味においても、失業者救済のためにも公共事業の増大を図らなきゃならぬ。 そこで、公共事業のあり方も変えなけりゃなりませんのは当然でございまして、それはどこを変えるかといったら、例えば道路財源等を見直しまして、大型の、どんどんと山の奥のてっぺんまで高速道路をつくる、そういう公共事業じゃなくて、もっと身近で足元に必要な対策、公共事業、こういうものをやってもらう。それが公共事業の転換、それを私たちは言っておるわけでございまして、どうぞそういう意味で、今までの政府がやってまいりました対策は決してむだじゃなかった、非常に有効に働いたからこそ産業構造が転換できたんだ、こういうことを見ていただいたら結構だと思います。 |
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