国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2026年7月16日 参議院 内閣委員会 国旗損壊処罰法案の違憲性について
<赤旗記事>

2026年7月17日(金)

内心の自由萎縮の危険
大門氏 国旗損壊処罰法案に反対
参院内閣委

 日本共産党の大門実紀史議員は16日の参院内閣委員会で、国旗損壊処罰法案は、刑罰対象や処罰範囲が曖昧で罪刑法定主義に反し、刑罰法規の体をなさない違憲法案だとして撤回するよう求めました。

 大門氏は法案について、犯罪に当たるかの判断を「行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案して行う」としているが「総合的に勘案」との文言は抽象的で曖昧であり刑罰を科す法律を構成し得ないと批判。表現の自由を「不当に侵害しないように留意する」としているが、刑罰法規は表現の自由を不当に侵害しない前提で制定されるのが当たり前だと指摘しました。

 刑罰法規の一般法は通常、憲法や法体系の観点から、法務省の法制審議会にはかられ内閣法制局の審査を経る「閣法」として提出されるが、今回の法案は「閣法」でなく議員立法だと指摘。本来の刑罰法規から逸脱したずさんな法案だから、憲法や法体系上の審査を避けるために議員立法にしたのではないかと疑問を呈しました。

 法案発議者の平沼正二郎衆院議員(自民)は「憲法適合性や刑罰法規としての合理性などについても議論した上で提出に至った」と言い訳。大門氏は「国旗国歌法以上に、内心の自由、表現の自由の萎縮効果をもたらす」として、違憲法案は撤回すべきだと要求しました。

<議事録>(未定稿)

○大門実紀史君 大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 まず、基本的な話をお聞きしたいと思いますけれども、衆議院で、維新の発議者の方が、本法案の成立を契機に、今後一層国旗を大切にするという気持ちが醸成されていく、愛国心ですかね、そういうものが醸成されていくということを期待するというような答弁をされまして、これは議員個人としての発言だということだそうですけれども、ただ、恐らく、こういう法案を発議される政党あるいは議員の方々の、政治家としては正直な、ふだん思っていらっしゃるお気持ちではないかというふうに思うんですね。
 つまり、国を思う気持ちを大事にしなさいと、そういう気持ちから国旗を粗末にする人は許せないというふうなことになるというふうに思うんですけれども、これは、実は最初にこの法案の原形、提案された高市総理もおっしゃっていることでございまして、つまり、国を思う気持ち、愛国心をどう捉えるかというのが、この法案だけではありませんけれども、自民党やほかの党の憲法改正案ですかね、にも表れておりますが、この種の問題の基本的な問題ではないかと思うんですね。
 その点で、この法案そのものというよりも、発議者の方の政治家としての考えをお聞きしたいと思うんですけれども。先に私の考えを述べますと、政治家同士ということでですね、私は民主主義国家においては、国を思う気持ちとか愛する気持ちというのは、まずその国に生まれて良かったと、住んで良かったという、そう思える暮らし、暮らしがあって、自由と民主主義、人権が保障されて、またその国の歴史や文化に本当の意味で誇りが持てると。そういう中で自然と自発的に国を愛する気持ちが育まれてくるもの、醸成されてくるものではないかと。それが本当の愛国心というものではないかと思うんですけれども、政治家としてのお考えで結構なんですが、全員にお聞きするのも何ですから、かつて金融庁におられたときにお世話になりまして、建設業法改正でしたかね、大活躍されました柔軟な豊田さんにお聞きしたいと思いますが、豊田さんにとって愛国心とはどういうもので、どうすれば育まれていくものか、お考え聞かせてもらえればと思います。

○衆議院議員(豊田真由子君) 温かなお言葉を賜り、恐縮でございます。頑張りたいと思います。
 愛国心、一般的には、辞書などもそうだと思いますけれども、自分の属する国、それは必ずしも国家ではないかと思いますが、共同体や国に対しての愛着から生ずる感情や態度ということだとございます。それは、それぞれの内面の問題だとは思いますけれども、それはどのように醸成されるかということは、それぞれの個々の方のパーソナリティーとか経験とか背景とかによってということでございますが、今回、共同提案者として私はここに今立っておりますので、私にとってどうかということとはまたちょっと別に、ここは一致した考え方で捉えているということが申し上げるべきかというふうに思っております。

○大門実紀史君 せっかくですからもう一つ聞きますと、その国を愛する気持ちというのは、国家が何らかの手段で醸成するとか、あるいは、もう極端な話、強制するとか、そういうことはあり得るというお考えでしょうか。

○衆議院議員(豊田真由子君) それはあくまでも自発的といいますか、やはり自国の歴史や文化についてのその正しい知識を持って自国に自信と誇りを持つのは大切なことであると思いますし、そういった意味での愛国心がおのずと育まれるような環境が実現されるということが望ましいのではないかと考えております。

○大門実紀史君 私もそう思うんですね。人が何かを愛する気持ち、愛というものは人に強制できるものなのかと、そもそもですね。もしも人に愛が強制されたら、この世の中に片思いがなくなりますよね、ですよね。だから、無理なんですよ。やっぱり無理に愛を押し付けるというのは無理なんですね。
 そういう点からいきますと、日本をいい国にするしかないと、みんなに愛される国にするしかないということに尽きると、政治家の役割ですね、ということに思うわけでありまして、何らかのそういう、愛を押し付けようというか、国家が醸成しようということがこの法案のやっぱり背景に、動機に見え隠れするものですから、そもそも違うんではないかというふうに思うわけでございます。
 さらに、これまでの衆参における本法案の審議も同じような質疑が繰り返されているんですけれども、要するに、反対する野党は、罪刑法定主義、明確性の原則に反する、立法事実も定かでない、表現の自由、内心の自由を制約して、それを侵害するおそれがあると。つまり、憲法三十一条、二十一条、十九条ですかね、に抵触する憲法違反だというふうなことを指摘してきているわけであります。それに対して、発議者の方はもう曖昧模糊とした答弁を繰り返しておられて、かみ合わないというか、議論にならないんですね。
 それ、なぜかというと、この法案そのものが立法事実、対象物、処罰の範囲、もうあらゆるものが曖昧過ぎて、そもそも刑罰を科す法案、刑罰を科す法案としての体を成していないと。通れば、これ憲法違反をことごとく引き起こすような危険なものだということだと思います。
 したがって、この法案は、日弁連とか各地の弁護士会だけじゃなくて、もう本当に立場が違うんですけど、刑法学者の方々も、そのいろんな立場の方、憲法学者の方からも、押しなべて憲法違反、違憲ということが指摘されております。それは、やっぱり本法案の内容の何もかもが曖昧で主観的で、さっき申し上げました憲法三十一条ですかね、罪刑法定主義、明確化の原則に反しているということになると思うんですよね。
 これがもし通ったら非常に危険なことが起こるということも含めて、刑法学者の方々、憲法学者の方々が、こぞってと言っていいほどやめるべきだとおっしゃっているわけで、こんな、こういうの余り見たことないですよね。日弁連や弁護士さんが猛反対というのはもう民主主義守るというのありますけど、立場の違う刑法学者の方、憲法学者の方々がほとんどみんなこれをやめるべきだとおっしゃっているのはちょっと前代未聞ではないかと思います。
 参考人質疑で、資料を配りましたけれども、木下昌彦神戸大大学院教授が、もう本当にここまで指摘されるのかということをおっしゃっております。本法案は我が国の憲法法理によって合憲性を肯定することは困難であり、逆に、本法案を合憲にしようとすれば、これが合憲ならば、従来の表現の自由に関する憲法法理をほぼ解体する必要があると、解釈を全部覆さなきゃいけないと。また、本法案は、単なる新法制制定にとどまるものではなく、憲法改正と同じ効果を持つと。全部覆すわけですからね、憲法改正と同じ効果を持つというふうに、本法案の違憲性とともに法案の成立がもたらす危険性を指摘されております。
 これだけの指摘をされた例は私、今まで聞いたことがございませんが、発議者は、本当に刑法学者を代表しての、憲法学者を代表しての指摘だと思いますが、どう受け止めておられますか。

○衆議院議員(平沼正二郎君) 七月十四日の参考人の木下先生から、表現の自由、憲法二十一条一項の制約の観点から本法案に慎重な立場からの御意見があったことは承知をしておりまして、また貴重な御意見として拝聴をいたしたところであります。
 その上で、法案提出者といたしましては、表現の自由については基本的人権のうちでとりわけ重要なものであると考えておりますが、国旗を大切に思う国民感情の保護という社会全体の重要な利益の保護を図るため、本法案二条の罰則を設ける必要性が高いこと、本法案二条の罰則は、国旗の損壊等の行為になされる表現の内容、すなわち伝達されるメッセージとは全く無関係に、その行動がもたらす弊害にするためのものにすぎず、表現の自由に対する制約の程度は小さいことなどから、本法案二条の罰則は必要かつ合理的な規制であり、最高裁判例の考え方に照らして、表現の自由を保障する憲法二十一条一項に違反するものではないと考えておる次第でございます。

○大門実紀史君 率直に申し上げて、国会議員は刑法学者じゃありませんよね。はっきり素人ですよね。法制局に頼んで議員の意向に沿うものを作ってもらうというようなことはあり得るんですけれども、参議院の法制局は厳しいですけどね、衆議院は割と議員の気持ちを生かしてあげようというのが強いのでこんな曖昧なものが出てきたと思うんですけれども。
 そもそも、そういう点でいいますと、なぜ議員立法なのかなんですよ。刑罰法規の一般法である刑法典の改正というのは、大抵は内閣が法案を提出するいわゆる閣法が通常です。法案提出するまでは、法務省において幾度も刑法学者、裁判官も加わった法制審議会の会議が開かれて、憲法上の法理や法体系に基づく検討が行われます。一年、二年掛けて行われる場合もあります。さらに、内閣法制局によって法案として憲法あるいは法体系上の観点から厳格な審査もされるわけですね。そうやって出てくるんですね、刑法の、刑罰を科す法律というのは。
 参考人質疑でも、与党側が推薦された元自衛官の伊藤参考人でさえ、やはり法制局を通す必要があったと。あそこで一回審議してもらうことはどれだけ重要なのかということをおっしゃって、ハードルは物すごく高いんだけれども、それは大事なんだということを伊藤参考人もおっしゃっているんですよね。
 なぜこの法案は衆議院法制局に頼んで議員立法にしたんですか。

○衆議院議員(平沼正二郎君) なぜ議員立法なのかというお尋ねでありますけれども、この本法案、国旗損壊罪の創設は、国旗を大切に思う国民感情を保護するためのものでありまして、様々な御意見があることを踏まえて、政府から提案するよりも、国民の意思を代表する立法府において案が作成されることが適切と考えたことによる結果で議員立法とさせていただいておる次第でございます。

○大門実紀史君 いやいや、刑罰に科す法案ですからという意味で言っているんですけど。一般論じゃないです、皆さんの立法の理由じゃないですよ。なぜこれが議員立法なんですかということを聞いているんです。

○衆議院議員(平沼正二郎君) 内閣法制局等々を通すべきという指摘もあったということもありますけれども、繰り返しになって大変恐縮ではございますけれども、国旗損壊罪の創設は、国旗を大切に思う国民感情を保護するためのものでありまして、様々な御意見があり得ることも踏まえ、政府から提案するよりも、国民の意思を代表する立法府において案が作成されることはより適切と考え、議員立法により特別刑法として提出をいたしていただいているところでありまして、この点も踏まえまして御理解を賜れば幸いでございます。

○大門実紀史君 法案は様々な御意見が当たり前ですよ。様々な御意見あったら議員立法なんですか。
 黒田さん、黒田衆議院議員はもうちょっといろんなこと答えておられるんですけど、一つは、本法案第二条第二項の総合的勘案の規定がありますよね、総合的勘案。総合的勘案と第三条の適用上の注意、こういうものは刑法典に直接盛り込むことは法技術的に困難であると、何かもっともらしい理由を述べておられるんですけれども、これそのものがおかしいんですよね。
 例えば、総合的勘案と抽象的な文言自体が刑罰を科す法律を構成しないんですよね、こういう総合的判断で刑罰を科すなんというものはですね。だから、逆に言えば、曖昧だから刑法典の方が受け入れてくれないんですよ、刑法典の方が。だから議員立法に無理にしたわけなんですよね。簡単に言えば、刑法典から逸脱しているずさんな定義だから議員立法でこしらえたということになると思うんですよね。
 もう一つ、第三条のことでいえば、表現の自由を不当に侵害しないよう留意すると、これがあるから、こういう留意規定があるから議員立法にしたんだということを黒田衆議院議員がどこかで答えられていますけど、これそのものは、表現の自由を不当に侵害しないなんて当たり前のことでございまして、こんなものを書いてあるから議員立法と、わざわざ議員立法にしたんだと。成り立たないですよね。やっぱり刑法というのはもっと厳格なもので、表現の自由を不当に侵害しないのは前提で、前提で構成されるものなんですよね。
 したがって、こういう、何といいますか、表現の自由を侵害しないようにするために議員立法にしたと、訳分からないですよね。刑法典というのはそもそも侵害しちゃいけない前提で作るものなんですよね。
 そういう点からいって、議員立法にしたというのは、本当の意味での法案審査、憲法上の審査を避けるために、避けるために議員立法にしたんではないかと思いますが、いかがですか。

○衆議院議員(平沼正二郎君) るる御指摘をいただいておりますけれども、刑罰法規であれば刑法改正案として閣法で提出すべきということであるとすれば、議員立法であっても罰則を含む法案、これまでも数多く提出されてきたものでありまして、刑罰法規であるからといって内閣法制局等々を通さなければならない、また、議員立法であっても、憲法適合性や刑罰法規としての合理性などについてもしっかりと議論した上で提出に至っているものであります。

○大門実紀史君 ちょっと、もう時間あればいっぱいやりたいんですけど、そんなのありませんよ、刑罰科すのでこんないいかげんな理由で議員立法にしたなんというのはありませんよ。ちょっと本当にずさん過ぎて、これをみんなで審議してくれというような法案じゃないですよ、これ、そもそも。もう余りにも無理があってですね。
 それで、一つ聞いておきたいんですけれども、国旗・国歌法との関係なんですけれども、国旗・国歌法は、小渕内閣で、野中さんですかね、当時、野中さんとかが、これ、国旗に対する尊重規定や侮辱罪を創設することは考えていない云々があって、要するに、処罰ということは将来展開することないんだとおっしゃったんですけど、実際問題、国旗・国歌法が制定された後、東京都立高校の中学校において国歌斉唱のことで職務命令出された事件とか、あるいは国歌を歌わないスポーツ選手を非難するとか、いろんなこと起きているわけですね、実際問題。
 今回の法案は、国旗・国歌法制定以上に内心の自由、表現の自由に対する更なる萎縮効果をもたらすということは当然考えられるわけでありまして、というのは、あれですよね、国旗も、国章じゃなくて、国旗の用に供している認識とされる有体物とか、しかも刑罰を科すということですから、そういう、何といいますかね、おそれが強まる、当然強まることが見込まれる法案だと思いますけれども、そういう認識はございますか。

○衆議院議員(平沼正二郎君) 本法案は、国旗を大切に思う国民感情を保護法益として、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法で公然と国旗を損壊する行為に対し罰則を設けるものであります。
 すなわち、本法案は、対象を有体物である国旗に限定した上で、あくまでも国旗の損壊等として外形に表れた行為態様に着目して構成要件を定め、その趣旨を明らかにするため、構成要件のうち、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法に該当するか否かを判断するに当たっては、行為の外形、周囲の状況その他の客観的な事情を総合的に勘案する旨の規定を置くとともに、さらに、このような本法案の罰則規定が、個人の内心に立ち入って規制を加えたり、表現の内容に着目して規制を加えたりするものではなくて、必要かつ合理的な規制として憲法上許されることを前提としつつ、なお入念的に、本法案の適用に当たって、国民の思想及び良心の自由や表現の自由等を不当に侵害することのなきよう万全を期すために、三条において適用上の注意の規定を設けることとしたものであります。
 このように、本法案では表現の自由等の侵害につながらないように十分に配慮した上で、思想及び良心の自由や表現の自由といった憲法上の権利を不当に制約するものではなく、これらによる萎縮効果も生まないものと考えております。

○大門実紀史君 終わりますけれども、こういう今おっしゃったことそのものが曖昧なんですよ、そのものがですね。そういう、こんな法案、本当に、何というか、こういう、違憲法案ですよね。一旦撤回して出直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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