<議事録>(未定稿)
○大門実紀史君 日本共産党の大門です。
本法案に示される政府の科学技術政策、方向性については大変危惧を抱いておりますので、穏やかな議論が続いてまいりましたけれども、若干厳しめの質問をさせていただきます。
まず、このGSC構想を実施する先端技術研究成果活用推進機構ですかね、この機構は、大学や研究機関が保有するディープテックというんですか、に関する研究成果の事業化を対象とすると。今回のこの機構の支援対象を、AIとかバイオとか、半導体も入るんですかね、そのディープテック、特定先端技術に限定している理由は一体何でしょうか。
○政府参考人(井上諭一君) お答えいたします。
既存のスタートアップ政策等により、我が国のスタートアップ数が大きく増加するなど一定の成果が上がっている一方で、ユニコーン企業などの規模の大きいスタートアップの創出が現在我が国の課題になっていると認識しております。
そうした中で、研究開発、事業化に長い期間や大きな資金を要しハイリスクである一方で、その事業化、社会実装を実現できれば社会に大きなインパクトを与える、いわゆるディープテック、そこを活用したスタートアップ、これはユニコーンに成長する潜在力を有しており、その重要性が増していると考えてございます。他方で、日本の現状を見ますと、ディープテックのスタートアップに関して、本格的なエコシステムの構築はこれからであるという状況と認識しております。
本構想は、こういった状況を踏まえまして、支援対象をディープテックに特化して、国内外の研究者、スタートアップ企業、大学、研究機関、投資家、支援者なども含め、物理的に拠点に集積させ、拠点において研究開発から事業化、海外展開までの支援を一気通貫で取り組む、また、そこをハブとして、国内外、日本にエコシステムを構築していくということとしております。
以上のようなことで、ディープテックというところにフォーカスを当てて今回の事業を構想しているものでございます。
○大門実紀史君 このディープテックですけれども、特定先端技術としていますが、これ、経済安保法の特別重要技術、また、高市政権の経済成長戦略で十七の戦略分野出されておりますが、ほぼ重なるものだというふうに思います。
したがって、このGSC構想、機構の設立というのは、この高市政権の成長戦略を具体化するためのものと理解してよろしいんでしょうか。
○政府参考人(木村直人君) お答えを申し上げます。
このGSCが対象といたしますディープテックでございます。繰り返しになりますけれども、経済社会課題の解決、経済安全保障の確保といった社会に大きなインパクトをもたらし得る科学的発見に基づく技術全般を指すものであります。
そして、今御指摘がございました高市内閣における日本成長戦略の十七の戦略分野にも、おっしゃるとおり、AI、バイオなどのディープテック分野が含まれてございます。この十七の戦略分野について、国内投資を通じて日本が目指す成長のパスというものが二つあると考えておりますが、その一つが、我が国が強みを有する先端技術等への成長投資により、国内における早期の社会実装、海外市場への展開を実現し、成長につなげるというものでございます。
こういった取組は、このGSC構想におけるものとも軌を一にするものでございまして、十七の戦略分野における取組の成果というものをGSC構想のスキームを通じて発展をさせていくということも、これは考えられることだろうというふうに理解しております。
○大門実紀史君 この分野なんですけどね、ただ、今も経産省の産業技術総合研究所、産総研ですね、などが中心となってディープテックのスタートアップ支援もやっていると思うんですよね。また、新エネルギー・産業技術総合開発機構ですか、NEDOですね、なんかも資金援助プログラムをやっていると思うんですが、それとは別に、更になぜこの機構が必要なんでしょうか。
○政府参考人(木村直人君) ただいま産総研のお話もございました。国立研究開発法人産業技術総合研究所では、経済及び産業の発展等に資することを目的として、主として研究開発を行っている、研究開発そのものを行っているということであります。
一方で、今回のGSC構想における新法人でございますけれども、この法人の目的は、新たな事業創出及びその成長発展を促進するための環境を整備し、イノベーション創出の活性化に寄与することでございます。つまり、国内外問わずスタートアップ企業、投資家等を招聘して、研究開発から事業化支援、海外展開までを一気通貫で一体的な支援を提供するものとされております。
このGSC構想が掲げる国外からの研究者、成果活用の事業者、支援事業者等の集積を実現するためには、市場の動向にも敏感に対応するために、民間事業者の優れた知見、経験を取り入れるなど、独立行政法人が担う公共上の事務、これを超えた一連の取組を一体的に実施する、これが効果的、効率的であるというふうに考えております。このことから、新たな認可法人にてこの取組を一元的に対応することとしております。
○大門実紀史君 これは単なる研究機構の設立の話でもなくて、また従来の研究機関と同列の話でもなくて、やはり、ちょっと随分踏み込んだ、これからの日本の科学技術の方向性をこのGSC構想は示しているんではないかと、示しているんじゃないかと。
その点からすると二つの問題点があるんではないかというふうに、内閣委員会でも議論したことあるんですが、思います。
一つは、政府の成長戦略に従って、当面の目先の経済界の利益を優先する研究と、いかに早く実用化して、するかというような視点ですよね。これは以前から問題になっているように、基礎研究が軽視されて日本の研究力、国力が落ちているということの指摘がされているにもかかわらず、相変わらずといいますか、更にまたこういうところにお金を使っていくと。基礎研究に対する支援はなおざりにしたまま更にこういうところに体制もお金も使っていくという点で、そういう根本的な日本の科学技術の方向性、政策の方向性について問題があるというふうに一つは思うわけですね。二つ目は、この研究の重点分野に、スタートアップ支援に軍事分野、デュアルユースが含まれているということなんですね。これは決して日本経済の発展につながるものじゃなくて、日本の技術発展の足かせにもなりかねないということで、これも大臣と内閣委員会で議論したんですけれども、その二つの点が非常に感じられるというか、踏み込んでいる構想ではないかと思うんですね。
まず、基礎研究がおろそかにされてきた問題なんですけれども、言うまでもなく、いろんなイノベーションというのは源はみんな基礎研究でございます。ところが、一九九五年の科学技術基本法制定以降、日本の科学技術政策というのは、どんどん、何といいますかね、将来、中長期的よりも近視眼的になって、早く成果を出せ、早く実用化しろというような流れになってきて、研究者はとにかく自由に自分の研究をやっていってもらえばもらうほどいろんなものが後々イノベーションにつながってくる、自由な研究というのは大事なわけなんですね。そういう基礎研究は、大変な大事なわけでございます。
ところが、すぐ役に立つのか立たないのかという議論が、本当に、小泉構造改革以来かなりされてきたのを見てまいりましたけど、とにかく全てのイノベーションというのは基礎研究がベースになっているわけですね。例えば、私たちは今スマホを使っていますよね。あのスマホで、地図アプリで位置が正確に出ますよね。あれはGPSなんですけれども、あれ実は正確な位置を確定するときに相対性理論が使われているんですよね。相対性理論というのは、アインシュタインが発明したときは何の役に立つかと誰も関心を持たなかったのが、もちろん核エネルギーを発見するとかなっているんですが、そういう、申し上げたいことは、基礎研究、基礎理論が全て今私たちの生活に関わっているという点で大変重要なわけなんですけれども、依然ずっとおろそかになってきております。
ほかの国との比較は時間の関係で全部申し上げませんが、かつて日本は基礎研究も含めて科学技術を先導する立場だったんですけど、今では中国、インド、韓国などに追い越されておりまして、特に基礎研究の成果では韓国に抜かれているような状況でありますよね、論文の数からいって。日本は、研究論文の数は日本は世界で五位らしいんですが、基礎研究の論文は韓国に抜かれておりますし、中国は基礎研究も応用研究も論文で世界一というようなことになっているわけでございます。
これ、政治の課題として長年、長いこと基礎研究の問題は言われてまいりましたけれど、これは大臣にお聞きしたいと思いますけれども、なぜ、常に基礎研究大事だと言われながら、こうやってどんどん基礎研究の研究力、国力が落ちていっているのかと。その辺は、これはもう党派を超えたみんなの課題だと思うんですが、大臣はいかが認識されておりますか。
○国務大臣(小野田紀美君) なぜと言われたら非常に、これですと言うのは難しいところではあるんですけれども、ただ先生の問題意識、まさに党派を超えて同じでございまして、まさに近年トップクラス論文などの指標において我が国の研究力の低下傾向も示されておることにも大きな危機感を持っていますし、また国力の源泉とも言える科学技術イノベーションの推進に向けては、科学技術人材を継続的に輩出し、新たな知を生み出すための基礎研究力を強化することによる科学の再興が重要だというふうに我々も考えております。
このため、四月から開始した第七期科学技術・イノベーション基本計画においては、国立大学法人運営費交付金及び科学技術、科研費ですね、科研費助成事業の大きな、大幅な拡充のほか、多様な場で活躍する科学技術人材の継続的な輩出に向けても取り組むこととしていまして、特に国立大学法人運営費交付金及び科研費については、令和八年度予算において早速拡充を図っているところです。
本当に、先生がまさに今質問でおっしゃっていた、目先の利益を追求した結果、基礎研究がおろそかになっているんじゃないかという御意見もありましたが、今回話していることに関するディープテックも、まさに数年で結果が出なければもう資金がそれ以上もらえないというような問題もやはりある中で、長い時間研究してやっと実るか実らないかというものに対してもしっかりその資金が出していけるようにというところも、基礎研究とともにやはり大事なところだと思っておりますので、目先じゃなくて基礎研究を充実させるということに関しても私はもう同じ思いを持っておりますということは申し上げたいと思います。
○大門実紀史君 科学技術・学術政策研究所というのがございまして、科学技術指標二〇二五というのがあるんですけどね、これを見ますと、主要国、日本、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、中国、韓国の七か国で、日本の研究開発費は全体として、アメリカ、中国、日本と、三番目なんですよね、二十・四兆円で。ただ、内訳を見ると、企業が十六・一兆円、大学は二・三兆円、ほかの公的機関が一・八兆円となって、企業の研究開発が非常に増えているんですよね。
アメリカは、別の資料でアメリカのことを調べてみたら、アメリカも研究開発に占める公的比率というのは実はずっと下がってきておりまして、今はIT大企業、GAFAとかですね、あるいは富豪、超お金持ちがお金を出しているというような形になってきているらしいんですが、ただ、日本と違うのは、このIT大企業や超お金持ちの富豪が基礎研究にもお金を出しているんですね。これが大きな違いでございます。
ただ、それはいいのか悪いのかとありますよね。将来、その基礎研究からいろんな大きな発見ができた場合に、IT大企業が独占してしまうとか富豪が独占してしまう等ありますから、それはそれで心配はあるんですけれど、少なくとも基礎研究については、アメリカでさえ公的な役割が減っても全体として非常に重視をしているということがあると思うんですね。
日本は、先ほど申し上げたように、九五年の科学技術基本法以来、政府自身がもう選択と集中という言い方をして、もうできるだけ早く成果の出るものに投資するんだみたいなことを政府自身が音頭を取ってやって、今回のこの案もそうなんですけど、大型研究開発プロジェクト、すぐ結果の出るようなものですね、革新的研究開発推進プログラムとか戦略イノベーションプログラムとか官民研究開発投資拡大プログラム、いろんな名前を付けて、とにかく今まで一兆円を超える予算をそういう特定の早く結果の出るものにどんどんどんどんお金を投資してきたわけですね。だけど、日本の研究力は落ちてきているということからすると、やっぱり根本的に、大学の運営費含めて、基礎研究ができる環境を一日も早くつくらなきゃいけないというふうに思います。
今、大臣がお答えいただいた方向を更に、やっぱり基礎研究にお金を使うと、予算を使うということを努力していくべきだということを指摘しておきます。
二つ目の問題点は、デュアルユースなんですけど、このデュアルユースの問題は、決して日本経済、技術を発展させるとは限らないという点でございます。
その前に、このグローバル・スタートアップ・キャンパス構想ですね、このGSC構想の流れの下で、この機構が支援する分野にデュアルユースの技術も含まれるし、あるいはデュアルユースにおけるスタートアップもこの機構が支援するということは排除されていないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(木村直人君) お答え申し上げます。
GSC構想におきましては、ディープテック分野の研究開発、そして事業化を支援するということが目的でございます。
このディープテック分野、ですので、特定の分野ということに限定をしたものではございません。研究成果の性質によっては、いわゆるデュアルユース、それは防衛分野にも応用可能なものが含まれる場合も当然出てこようかと思います。こういったデュアルユースを扱う場合も、対象とする場合もありますし、それが基になったスタートアップ、こういったものが創設されるということにもつながる、そういった可能性は当然あると考えております。
○大門実紀史君 このデュアルユースなんですけど、そもそもデュアルユースという言葉が出てきたのはアメリカとの関係なんですね。
昔、日本は、防衛産業と防衛省、防衛庁がクローズで技術開発やったんですけれども、アメリカとの関係が強まってきて、国家保障戦略もそうですけれども、その中でデュアルユースって言葉が出てきたんですね。これはアメリカとの共同における開発における、軍事利用の開発における言葉なんですよね。つまり、デュアルユースというのはアメリカとの共同開発というのがベースにある言葉なんですね。
そうすると、アメリカのデュアルユースの考え方は、戦争している国ですから広いんですよね。例えば、戦地の非常食なんかもデュアルユースの一つだから、食品までデュアルユースと考えるわけですね。日本は、戦争しておりませんから、食品は全然デュアルユースじゃないと思っていろいろなこと開発するんですけど、アメリカと共同でありますと、デュアルユースの中に、例えばですけど、食品まで入れられて、自由な日本の、戦争していない、平和憲法を持つ日本としての今までやってきたような自由な研究が、開発が制限されてくるという、これ私が言っているんではなくて防衛省の方がおっしゃっているんですけれども、そういうことが起こり得るというふうな、決してデュアルユースやればいろんな開発が進んで経済的にもプラスになるとは限らないというのが一つあるんですよね。
もう一つは、デュアルユースでございますので、軍事機密が関わりますので、セキュリティークリアランスですね、それに関わる人たちが身辺調査とかいろんな監視下に置かれると。
こういう面も含めて、日本の企業で、あるいは公的な機関で関わる人たちがアメリカの、アメリカのといいますか、日本でもクリアランスはあるんですけれども、そういう非常に制約された中で研究開発をさせられるというようなことがあるので、これは内閣委員会で四月に大臣と議論したんですが、決して、決して、このデュアルユースでやっていけば日本経済が発展するとか、技術が発展することばかりではないと、そういう危惧があるようなことも今回踏み込んでいくような構想ではないかと思います。この点、大臣、こういう危惧はいかがでしょうか。
○国務大臣(小野田紀美君) 内閣委員会の方でもお話はさせていただいていて、やはり私の思いとしては同じ答えになってしまうんですけれども、どうしても、食品までというふうにおっしゃいますが、最先端の科学技術というのは民生用の技術と安全保障用の技術の区別は本当に極めて困難になっております。だから、どこまでをそう呼ぶのかというところはいろいろな国によって違うのかもしれませんが。
したがって、民生用にも安全保障用にも利用される可能性であるデュアルユース技術への投資は、先生的にはいいことばかりじゃないというふうにおっしゃっておりますけど、我々としてはやっぱり、科学技術の発展、ひいては産業競争力を強化し長期的な経済成長にも資するものであり、重要であるというふうに考えております。
全てが区別が付かなくなればなるほど、最先端のものを研究しようという、基礎研究も大事です、最先端のものを研究しようと思っても、全てが、何に使われるかというのは幅広くなってくる、何にでも、素材であったりいろんなことに使えたりするものもあるので、区別するのは難しい。
だから、我々としては、やっぱり、最先端の研究をしっかりとサポートしていくという観点で、我が国としてやるべきことを支援していきたいという思いです。
○大門実紀史君 とにかく、技術開発するのは、自由に研究者が基礎研究やってもらうということと、応用的な技術も本当に、何といいますか、自由に、実用化してもいいんですけれども、自由にやっていってこそ経済が発展するというふうに思います。
以上で終わります。
ありがとうございました。