国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2026年6月19日 参議院 デジタルAI特 デジタル行政推進法案・個人情報保護法案の参考人質疑
<赤旗記事>

2026年6月21日(日)

「統計特例」に懸念の声
個人情報保護法改定案 参考人質疑
参院特別委 大門氏質問

(写真)答弁する(左から)黒田知宏、郷野智砂子、石川智也、稲谷龍彦の各参考人
=19日、参院デジタルAI特委

 参院デジタル社会・人工知能(AI)特別委員会は19日、個人情報保護法改定案について参考人質疑を行いました。同案はAI開発を含む統計作成のために、犯罪や病歴、思想信条などの要配慮個人情報を実名や住所とともに本人同意なしで第三者に提供できる「統計特例」を設けており、参考人から反対や懸念の声が上がりました。日本共産党からは大門実紀史議員が質問に立ちました。

 意見陳述では、全国消費者団体連絡会の郷野智砂子事務局長は、法案は課徴金制度の後退や差し止め請求制度の削除、被害回復制度の消滅、本人同意原則の弱体化を招き、「個人の権利保護を大きく損なう」と批判。セルフレジを使用している事業者が顔データ取得の有無について答えないなどの相談が寄せられており、生体情報の不透明な扱いへの懸念を表明しました。

 京大医学部付属病院の黒田知宏教授は、統計特例を導入しても利点はなく、情報漏えいへの安全管理義務もないため制度の安全性が下がり、国民や医療機関、海外の研究機関の不信を招く恐れがあり、病院として患者データ提供は「怖くてできない」と述べました。

 大門氏は、経済活動と規制は対立するとの議論があるが、個人情報保護を強化してこそ消費者の不安が減り、適切なデータ利活用も進むのではと質問。同案に賛成だという稲谷龍彦京大教授も、データ流通には信頼の基盤が不可欠だとし、西村あさひ法律事務所の石川智也弁護士も制裁金や課徴金の導入で企業への萎縮効果はないと答えました。

 大門氏が課徴金や差し止め請求、被害回復が実現しない理由を問うと、郷野氏は「経済優先の構造があるからだ」と述べました。

<議事録>(未定稿)

○大門実紀史君 大門です。本日はありがとうございます、お忙しい中。
 もういろいろお話ありましたが、稲谷参考人と石川参考人に基本的なお考えをちょっと聞きたいと思うんですけど、私、消費者問題に長く関わっておりまして、経済活動と規制とか罰則とかが常に議論になりまして、いかにも対立物のように議論されて、特に今回もそうですし、消費者問題もそうなんですけど、新経済連盟の方々は、例えば課徴金にしろ何にしろ、経済活動を萎縮させるというような議論が来るわけですよね。
 ずっとやってきて、本当にそうなんだろうかというのをちょっと思いまして、例えばGDPRも、アメリカのFTCですかね、例えば制裁金ってありますよね。でも自由に、自由にというか活発なデータ活用やっていますよね。
 個人情報保護がしっかりしている方が、きちっとしている方が、かえってこの消費者の不安を払拭して、データの利活用なども進むのではないかと、決してその経済活動と一定の消費者保護とか個人情報保護というのは対立するものではないんじゃないかというふうに思うんですよね。それが基本に考えないと、何か対立でどっちがみたいになると思うんですけど、その基本的なお考えをお二人の参考人にお聞きしたいと思います。

○参考人(稲谷龍彦君) 大門先生、御質問いただきまして、ありがとうございます。
 一般論としてということで申し上げたいと思います。
 DFFTという考え方ございますけれども、これもトラストが付いてございまして、やはり信頼してデータを流通させることができる基盤がなければ、これはデータも流通しませんし、結果的にデータが利活用されず、今の文脈でいえばAIも開発されないといったような問題が起きる可能性があるということ自体はそのとおりであろうかと思います。
 ただ、このトラストをどのように設計するのかというところがやはり、何というか、肝と申しますかポイントとなると考えておりまして、私の御説明の中でも申し上げましたように、非常にコンプライアンスコストが高い規制というものをつくってしまいますと、結果的に大きな会社だけが得をすると。つまり、そこは大きな会社だから吸収して対応できるんだけれども、小さな会社はそこがなかなか対応できない。特に、新しい産業をこれから起こしていきたいとお考えになられている方が入ってこれないという問題が現実に起きてございまして、そういったことも考え合わせますと、完全に対立するというわけではないんですけれども、両方にとってベストなバランスをこのトラストの概念の中で探していくということが必要なのではないかというふうに考えてございます。
 以上です。

○参考人(石川智也君) 御質問ありがとうございます。
 私は、規制について、実体的な規制、ルールですね、今回でいうと、統計特例のまさにそのルールの話と制裁の話がある中で、制裁金、課徴金というものが萎縮効果をもたらすというふうには余り考えていません。他方で、実体規制は、規制がなされているとそもそもできなくなりますので、その意味では、事業者ができる業務の範囲を制限してしまうといった意味で、具体的な影響があると思います。
 ただ他方で、規制って結構面白くて、規制を課せば課すほどイノベーションが促進するというような側面もあります。例えば、GDPRとの関係でいうと、クッキーについては同意をしないといけないと、ということで、同意のプラットフォームといいますか、同意管理のツールというものがどんどん進化しました。それは規制が厳しくなるにつれてどんどん進化していったということで、規制がイノベーションを生み出すという側面はあるんだと思うんですね。
 ただ、これ、イノベーションどんどん生み出していけるのはそれだけの体力のある企業ということになりまして、そうすると、ここが厳しいと、規制を課すことによってイノベーションが生み出されるということはそれはそのとおりなんですけれども、実際にそれに付いていくことができる企業というのが限られてしまうおそれがあるというような、そういう全体の関係にあるかなというふうに思っています。
 以上です。

○大門実紀史君 今回の法案はそのバランスといいますかね、余りにも個人情報保護の方が穴が空いているんじゃないかという議論がずっとあって、不安と懸念の質疑が続いているんですけれども。
 郷野参考人に伺います。
 実際問題、今回の法改正で、先ほどもございましたけれども、消費者団体の長年のというか、この問題だけではなくていろんな面で出されておりますが、課徴金とか差止め請求とか被害回復、ずっとやってきましたね、この問題は、消費者問題でも。これはまた、当初の案ですよね、令和六年の検討会報告、令和七年の三月ですかね、考え方等々からすると、だから今回は前向きに、事務局も前向きな提案をして、やっと何か入るのかなと、もう少し入るのかなと思ったら、結局、御指摘あったとおり、課徴金も狭い、あるいは差止め請求や被害回復はもう捨てられちゃうと。
 これもずっと見ていて、さっきの話に通じるんですけれども、なぜ消費者の立場のいろんな提案とかがずっといつも、いつも最後になると後退させられると。私、検討会の議事録全部読みましたけれど、誰が反対して誰が強い声出されているのは見りゃ分かるんですけれども。
 郷野さん、率直に、ほかの消費者問題ももちろん中心になっておられて、どうしてこの消費者の要望というのがいつも後退させられるのかと。どのように全体として見ておられますか。

○参考人(郷野智砂子君) 御質問ありがとうございます。
 まず、ステークホルダーの中に、消費者団体とか消費者という概念が今までは余り重視されてこなかったというところがあるかと思います。
 今回、検討に当たって、消費者団体何団体か参画させていただきましたけれども、それは大きな前進であったかなというふうに捉えております。ただ一方で、やはりといいますか、経済優先のような構造がまだあるのかなというのはちょっと検討会に参加する中でも感じたところではございます。
 先ほど、やはり課徴金とか差止め請求につきましては詳しく述べさせていただいたんですけれども、一番大事なのは、集団的救済制度のこともとても重要と考えております。なぜかというと、やはり個人情報被害の多くの場合が少額多数であるというところで、個別の救済に委ねられるだけでは実効的な権利保護が実現しないという構造があると感じております。そういう意味でも、集団的救済制度が是非制度の中に設計していただければと思っているところです。

○大門実紀史君 私も、課徴金だけじゃなくて差止め、被害回復、これはほかの分野もそうですけど、大変大事になっているのに一向に実現していかないと。
 率直に申し上げて、ずっとやっていますと、これ永遠のテーマみたいなものでございまして、事務方が頑張ってくれても、結局は与党の部会ですかね、部会で通らないと法案にならないというので、事務方はそこのところで妥協して、何かこう、いつも妥協で消費者問題が後に置かれると。つまり、ただ、与党の中にも消費者問題に熱心な方もいらっしゃるし、経済界の声を重きにする人もいるということで、与党の中のそういうものがあるという、全部が経済界と言いませんが、そういう妥協の中で出てくるというようなところで、いつもこういう問題で実現しないのかと思うんですけど、そういう点では消費者団体の声をもっと上げていっていただきたいというふうに思います。私たちも頑張らなきゃと思います。
 黒田先生は、私、勉強会にもちょっと顔を出させてもらって、朝日の怒りの記事も読ましてもらいましたけれども、今日もいろいろやり取りありましたが、要するに黒田先生は、今回の法案というのは、何というんですかね、立法事実がないというか、必要ないということを結局おっしゃりたいのかなと思うんですけど、例えば、私詳しくないんですけど、医療なんかの分野も、今の個人情報保護法の下でも、仮名加工情報の共同利用等々をやれば、十分AI開発とかで新たな治療の治験とか生み出すことができるというようなこともおっしゃっております。
 つまり、今回のこの法改正は、少なくとも医療の分野では要らないという御意見でしょうか。

○参考人(黒田知宏君) おっしゃるとおりだというふうに考えています。

○大門実紀史君ありがとうございます。
 もう一つ、この前ちょっと委員会でも私申し上げたんですけれども、このAI開発に個人データ大量に活用するという点での不安というのが二つありまして、一つは、その生の個人データが不正使用されないかとか漏れないかとかいうことと、もう一つは、統計とか研究に使われるだけではなくて、ファイリングされて分析されて、AI、ビッグデータで、それがいろんな企業とか行政とかいろんなところが国民の選別とか差別に使うと。実際起きていますね、いろんな事件が、世界でもですね。そういうファイリング、プロファイリングのところに使われるんじゃないかと、それが差別を生むんではないかと。例えば就職の差別ありましたですよね、リクナビとかですね。採用差別、入学試験、あるいは結婚の何か相談のそういうところに使われるとかですね、プロファイリングがですね。
 こういうものは、実は今世界でも問題になっていて、プロファイリングの使い方、制限というのがですね。GDPRとかEHDSなんかは、先ほどおっしゃったとおり、全体には積極的活用ということ、決して厳しい厳しいじゃないんですけど、プロファイリングに関して言えば、結構注意をして歯止めを掛けなきゃという議論があったり、一定のものをつくってきていると思うんですよね。
 そういう点で、これ、済みません、言いたいことはEHDSのことなんで、黒田参考人にお聞きしますけど、EHDSですね、つまりヨーロッパのヘルスデータベースですかね、において、このプロファイリングというのは今どういうふうな、ちょっと本で読むと制限いろいろ掛けていると見たんですけれど、もし詳しく御存じでしたら教えていただけますか。

○参考人(黒田知宏君) ありがとうございます。
 事例まで知っているわけではございませんが、基本的にそのデータを利用するときに、その利用目的に対して審査をするわけです、EHDSというのは。ですので、利用目的の中に健康医療、国民、国民というか、社会の健康の増進に資するものであるということ、最初に要件としてありますので、それに対応するものでなければ基本的にはそこで利用は普通は止まるはずです、うそをついていない限り。それは、日本で行っている次世代医療基盤法も同じ枠組み。だから、利用者の審査が要るんです。
 先ほど岩本先生が御質問になった件と絡むんですけど、結局、そのデータ、どう使うのというのをちゃんと宣言していただいて、使う内容について正しいかと、それは許される範囲なのかどうかと倫理的に判断をして、それを実行するというのは、これは倫理委員会でもなされてきましたし、臨床研究法の方の中でもやられてきましたし、次世代法でもやられてきたと。医療の分野においては、必ずその利用目的を明確に宣言をして、その宣言の下でデータを使うということは常識なんですよね。
 ですので、EHDSにおいても当然そういう枠組みになっていますから、プロファイリングに使うというものは許されているわけではなかろうというふうに想像します。事例を全て知っているわけではございませんので、全くないかどうかということをちょっと言及する立場にはございません。

○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。

戻る▲