<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
本当、今日は若くて元気な方々の質問が続いて、いいなと思って、デジタル世代だなと思って聞いておりました。負けないように頑張らないとと思いますが。
資料で新聞の社説二枚お配りしております。
この間、アメリカのAI開発の新興企業、急成長しておりますアンソロピック社がトランプ政権と対立していることがアメリカでも世界でも大変話題になっております。アンソロピック社というのは、二〇二一年設立されて、二〇二五年七月に大規模言語モデルAIであるクロードというものをアメリカの国防総省へ提供したと。最大二億ドルの契約を締結して、アメリカ国防省では最大の納入業者となったわけでございます。
新聞記事にもありますけれど、アンソロピック社というのは、単に金もうけだけじゃなくて、安全重視のAI開発というものを掲げて、開発方針、利用契約において、人間が介在しない完全自律型兵器に使わないでくれと、自社のクロードを使わないでくれと。つまり、人間の判断なしに、例えばドローンが自分で勝手に標的を探して爆撃したり殺傷するというような完全自律型兵器ですね、こういうものをこういうものには使わないでほしい、あるいはアメリカ国民の大規模な監視には使わないでほしいと。二〇一三年ぐらいですかね、スノーデン事件がありまして、アメリカの国家安全保障局がアメリカの国民の個人情報を大量に収集していたということが暴露されましたけれども、そういうこともありまして、国民の大規模な監視には使わないでほしいというようなことをアンソロピック社は会社の方針として掲げていたわけですね。
ところが、今回、アメリカのトランプ政権がイラン攻撃で標的の特定とか戦闘などにこのクロードを用いたということが分かったんで、アンソロピック社はアメリカの国防総省に対して使わないでほしいと、禁止行為には使わないでほしいという保証を求めたんですけれど、トランプ大統領はそれを拒否をして、結局対決になったわけですね。交渉は決裂して、トランプ大統領の方はむしろアンソロピック社を、サプライチェーン上のリスクという言い方ですが、要するに安全保障上の脅威だと、おまえのところの会社は脅威だというふうに逆攻撃をして、今それが提訴、訴訟になっているという事態になっております。
このことは、ある国の政府とある国の一つの企業ということにとどまらないで、AIの可能性、危険性を非常に示唆した重要な論点を含んでいると思いますけれど、一般論で結構なんですが、大臣としてこの問題どのように受け止めておられるかと、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(小野田紀美君) 委員おっしゃっていただいたように、個別の民間企業の方針に対してコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で一般論として申し上げますと、AIは今後も様々な分野での活用が期待され、経済、社会の発展を支える基盤技術であり、また安全保障の観点からも重要な技術であると考えております。
昨年十二月に策定したAI基本計画においても、デュアルユース技術としての安全保障に関わる技術の高度化、そして平和の構築にも貢献するところが期待されるというふうに記載されております。また同時に、AIの利活用に当たっては、安全保障分野での利活用も含め、そのリスクの最小化をしつつ恩恵を最大化できるように取り組むことが重要であると認識しております。
AI基本計画に基づいて関係府省庁において適切な対応が取られるよう、担当大臣として必要な取組を進めてまいりたいと考えます。
○大門実紀史君 この問題を少し具体的に考えてみたんですけど、トランプ政権は米軍装備の近代化、AI化を急速に進めておりまして、ワシントン・ポストによりますと、イランへの攻撃にメイブン・スマート・システム、MSSというソフトウェアを用いたと。
アメリカのホイットワース海軍中将は、去年五月の講演でこんなことをおっしゃっておりまして、今まで二千人を必要とした標的の確認、これを二十人のチームでこなしたと。従来、衛星写真から標的を絞って攻撃するまで数時間作業を必要としたが、このMSSシステムの導入で数分で標的を決めることができたと。このMSSはアンソロピックのAIクロードを組み込んでいるので、アンソロピックはやめてほしいということを言ったわけでございます。
これはどういうことなのかと。このホイットワース海軍中将がおっしゃっていることは、二千人要したのが二十人で済んだと、数時間掛かったのが数分で済んだと。つまり、攻撃、殺傷、今回ですと市民の虐殺も含まれましたけれども、こういうものを省力化すると、時間短縮になったと。これをどう考えるかということですね。人間が、ある政権がもう即時に大規模な壊滅的な打撃を与える能力、これAIのおかげですね、を入手したと、取得したと。このことが過剰攻撃とか必要以上の打撃とか、あるいはいきなり即時壊滅的打撃、一瞬のうちに壊滅的打撃を与えるとか、そういう危険性はなかったのかどうかと。AIが活用されたことによって、何といいますか、ためらいのない破壊といいますか、というものがこのイラン攻撃の中でAI活用によって、新しいAIの活用によって顕在化したんじゃないかというふうに、こう思うわけですね。
したがって、このAIの存在、AIの軍事活用というのは、決してトランプさんやネタニヤフさんの個性だけではなくて、この間の一瞬の破壊、過剰攻撃というのは、やっぱりAIという存在が、AIのその怖さ、危険性が介在しているんじゃないかというふうに、こう思うわけでございます。
もう一つは、AIの軍事利用は、今申し上げたように、省力化、時間短縮によって一気に破壊とか過剰攻撃とか、その倫理問題も含めて起こす危険性あるんですが、もう一つ、攻撃の低コスト化、安上がりということを引き起こしておりまして、例えば、ドローンのAI装備でアメリカの中央軍は、今年の二月二十八日に、新しいドローン製造したんですけど、低コスト無人戦闘攻撃システム、LUCAS、ルーカスというのを実戦で利用したと発表したんですね。
このルーカスというのは無人戦闘機で、徘回型兵器と言われていまして、自分で徘回して、AIが敵を見付けて一瞬に攻撃をすると、破壊すると。人間が介在しないようなものでございまして、これはアメリカ国防省のホームページによりますと、開発したのはアリゾナ州のドローン会社で、スペクターワークスですね。一機につき、この無人戦闘機一機につき一万から五万五千ドル、約百六十万円から八百六十万円、一千万円以内で作れるそうなんですね。今までの大型無人機ですと、三千万ドル以上コストが掛かったと。コストが掛からないということで、低コスト無人戦闘攻撃システム、LUCASと付けたらしいんですけど、無人攻撃機が空を飛び交って、徘回して人を見付けては殺すと、爆撃するというようなことなんですね。何かどこかのSF映画、近未来映画で見たような風景がもう出現しているということなんですね。
つまり、このコスト、省力化、時間短縮、コスト、低コストというところがAIの軍事利用によって実現するということになると、今まで人間が人間を攻撃した、それも良くないんですけれど、それを超えた大変危険な、つまり人間の関与が少なくなれば殺傷とか破壊への抵抗感、逡巡はなくなるわけですね、機械に任せますと。そういう、逆に言うと人間はもうAIに任せておくというようなことになりかねないので、大変危険なことをはらんでいる事態がAIによって今起きつつあるんじゃないかと思うんですが、もしコメントあれば、いかがでしょうか。
○国務大臣(小野田紀美君) そうですね、我が国においては、AIの開発及び利活用に関して、人間の尊厳、そして基本的人権を尊重し法令を遵守することであるとか、AIの活用によって生命、身体、財産等に危害を及ぼさないようにすることを事業者に求めるなど、AIの適正性確保に関する指針をこれ安全保障分野に限るものではなく定めておりますけれども、やはり午前中の質疑でもありましたように、AIが進化すればするほどに一番重要になってくるのは人間の主体性、人的主体性、ここがしっかり人間がハンドリングしていくということはすごく重要なことなんだろうというのは有識者の会議の中でもお話をされているところでありまして、その点は私もそう思います。
○大門実紀史君 この日経と朝日の主張で共通している点なんですけど、AI軍事利用における倫理というのは、これ、アンソロピック社が抵抗して頑張っているんですけど、一企業に任せていい話なのかと。これはやっぱり国際協調で、みんなでルールを考えていく、こういう兵器の使用について規制していくことも含めて議題にしていくべきじゃないかというようなことが、この二つの社説の共通点でございます。
実際、二〇二三年に日本が議長国であった広島サミットですかね、そのときに、この問題、こんな具体的じゃないんですけど、AIの適正な活用について広島AIプロセスという中で議論はされているわけですよね。そういう点では、本当に、ロシアとか中国とかアメリカに任せておくとなかなかこの議論進みませんので、やっぱり日本がイニシアチブ、日本だけじゃないですけどね、ほかの国と一緒に、このAIの軍事利用についての危険性の検討も含めて、どういうふうにルールを作っていくかということは、せっかく広島AIプロセスですね、日本がイニシアチブ取ったわけですから、そういう中も含めて、国際的な協調の中でルールを決めるということに日本政府も努力していってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小野田紀美君) AI基本計画において、軍事領域におけるAIの利用については、人道的考慮と安全保障の観点の双方を勘案したバランスの取れた議論を通じて、国際的な議論へ積極的な参画を行うという旨を盛り込んでいるところでありまして、外務省を中心に積極的な対応を行っているものと承知しております。
特にAIについてですが、急速に技術が進展し民生用と軍事用の技術のその分けが困難になっている中で、軍事領域におけるAIのガバナンスには柔軟かつバランスの取れた現実的なアプローチが必要との認識を各国と共有すべく、国際的な議論の場において主導的な役割を果たせるように取り組んでいるものと承知しております。
例えば、国連総会において、軍事領域におけるAIと国際の平和及び安全への影響に関する決議に基づいて、二〇二五年四月に我が国の見解をまとめた作業文書を国連に提出しまして、我が国を含む加盟国の見解を踏まえ、二〇二五年八月に国連事務総長報告書が公表されるに至ったということも承知しております。
今後も、AI基本計画に基づいて、信頼できるAIの実現に向けて、我が国として国際的な議論を主導できるように努めてまいりたいと思います。
○大門実紀史君 ありがとうございます。終わります。