<議事録>(未定稿)
○大門実紀史君 小野田大臣、よろしくお願いいたします。
先日、科学技術・イノベーション基本計画というものが発表されて、デュアルユースの技術の研究を促進するというものでございます。
そこで今日は、経済安保との関わりがありますので、経済安保とデュアルユース技術の問題について、つまり、軍事利用も可能な民間技術のそもそも論について質問したいというふうに思います。
政府は、日米同盟の下、アメリカと一体で経済安全保障政策を進めてきました。一言申し上げますと、私は、基本的に中国の軍民融合というのもとんでもないなというふうに思っております。一方、このアメリカに追随していくのも危ないんではないかと思っておりまして、やはり日本は日本で、自分の頭で国益を考えて対応していくべきじゃないかというのが基本的な立場で、その上で質問させていただきます。
とにかくアメリカと一体の流れで、デュアルユースの研究を大学や研究機関を含めて広く民間にお願いしたいという方向が打ち出されてきております。一方、デュアルユースというのは軍事機密につながりますから、この点で、科学技術の研究において、学問研究の自由や公開性や自由討論や自由な発表とかに制限が加わるのではないかというのが、アカデミア学会、研究会に強くそういう懸念が存在するわけでございます。
昨日も特別委員会で若干、小野田大臣と質疑をさせていただきましたが、改めて認識を伺いたいと思いますが、この日本のデュアルユースの技術開発の方向性ですね、日米同盟の下でアメリカに歩調を合わせてきたという流れなんですけれど、今後もこの方向でいいんでしょうか。
○政府参考人(原克彦君) お答えいたします。
最先端の科学技術は加速度的に進展してございます。民生用の技術と安全保障用の技術の区別は実際に極めて困難という状況になってございます。したがいまして、民生用にも、あるいは安全保障用にも利用される可能性があるデュアルユース技術への投資につきましては、科学技術の発展、ひいては産業競争力を強化し、長期的な経済成長にも資するものであると、そのため重要であると考えているところでございます。
こうした観点から、御指摘のようにアメリカの動きに追随したというわけではございませんで、第七期の科学技術・イノベーション基本計画におきましては、産学官が連携して、我が国の科学技術基盤を支える先端技術として、デュアルユース技術の研究開発及び社会実装に取り組むという旨を盛り込んだところでございます。
以上でございます。
○大門実紀史君 ここはもう大臣に答えてほしかったんですが、後でまた。
いや、これもうそもそも国家安全保障戦略の下に組み立てられていて、アメリカと歩調を合わせているというのは別にわざわざ否定するような、みんなが分かっていることでございます。
なぜアメリカ追随が危ないのかということ、日本の技術発展に本当にプラスになるのかどうかという点なんですけど、そもそも、いつからこのデュアルユースの議論が始まったのかというと、この問題そのものがアメリカ主導で始まって、アメリカの物差しでデュアルユースとは何か、対象が決められていって、アメリカ基準のセキュリティー、機密保護が日本にも導入されてきたという流れなんですね。そこに、アメリカ主導のこのデュアルユース研究開発に付いていっていいのかという不安が生まれるわけでございます。
まず前提として、昔と違って戦争の仕方が大きく変わっておりまして、これもアメリカ主導で変わってきたというふうに言えるかも分かりません。つまり、ハイテク技術、ロボット、AI、ドローン、そういうものが戦争、先端技術が戦争に活用されるようになったということですね。
さらに、アメリカでは、先端技術だけじゃなくて、直接戦闘で使用する以外の後方装備の民生品に関するものでも商用技術であってもデュアルユースとみなすというふうになってきております。
例えば、兵士が負傷したときの応急処置の薬ですよね、これも、民生品だけれどもつながるということでデュアルユース指定になったり、戦地での補給品、食料とかも含めてですね、そういうあらゆる後方装備までデュアルユース認定されてきて、もう今や軍用、商用の区別が付きにくくなっているということであります。つまり、アメリカは、大変広くデュアルユースを捉えているということなんですね。
もう一つは、このデュアルユース技術の開発の仕方も変化してまいりまして、アメリカの軍事に詳しい学者、研究者のレポートをいろいろ読みましたが、例えば、政治学者のリンダ・ワイスさんなんか言ってるのは、二〇〇一年の九・一一の同時多発テロ以前は、アメリカの政府と特定の研究機関、防衛産業等のクローズな研究開発の世界だったと。それが、同時多発テロ以降は、国家安全保障という新たな概念が入ってきて、政府は広く研究機関、大学、民間企業にデュアルユースの技術を開発してもらうと、お金も出すということで、隠れた産業政策と指摘もアメリカではされているわけですね。
じゃ、日本はどう対応してきたかというと、まさにこれに符合するわけでありまして、元海上自衛官の大庭弘継さんが最近新書で出されておりますが、「軍民両用化する技術」というのを出されていますが、日本も二〇〇〇年代までは、自衛隊と防衛産業という小さなコミュニティーの中で研究開発をやってきたと。しかし、二〇〇〇年代に入って、アメリカの影響があってデュアルユースという言葉がちらほら出てきて、そして、二〇一三年の閣議決定された国家安全保障戦略で初めてデュアルユース技術の開発が政策に位置付けられたと。初めて明確にデュアルユース技術の獲得のために大学や研究機関と連携するということが明記されたということが分析されております。
国家安全保障戦略そのものが日米一体の戦略でありますので、このデュアルユース技術開発がこういうアメリカの主導で来たところに危惧されることがあります。
一つは、今申し上げたようなデュアルユースという概念が幅広く適用されるのではないかということですね。今まで日本の先端技術というのは、これからは知りませんが、少なくとも兵器の開発そのものが目的ではほとんどなかったというふうに思いますけれども、今まで日本では、日本の国内ではデュアルユースと対象にしなかったものが、このアメリカと一体になることによってデュアルユースと認定されて、日本の先端技術がそんな気もないのにデュアルユースとして認定される可能性があるんではないかという点が危惧されるわけですね。
幅広く、アメリカと一体にやることによって、日本の先端技術が幅広くデュアルユースとして対象にされてしまうんではないかという点が一つの疑問ですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(原克彦君) お答えいたします。
先ほど申し上げました第七期の科学技術・イノベーション基本計画におきましては、関係省庁が連携して、デュアルユース技術の研究開発及び社会実装への取組を強化していくということとしてございます。
今後、具体的にどのようなデュアルユース研究を推進するかにつきましては、安全保障上の諸課題、あるいは個別の技術動向などを踏まえて、各省庁において適切に判断されるものと考えているところでございます。
以上です。
○大門実紀史君 小野田大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小野田紀美君) 今、参議院内閣委員会の場なので、科学技術政策担当大臣としての答弁がなかなかできないという苦しいところではあるんですけれども、ただ、アメリカ基準、アメリカと一緒にやることで幅広くデュアルユースにされるんじゃないかというのも、昨日と今日の御質問を聞いていて、御心配のどういうところにあるのかというのは十分分かったつもりです。
その上で、科学技術・イノベーション基本計画にも記載があるんですけれども、やはり最近、民生用と安全保障の技術が区別が本当に難しくなっていく中で、どっちにも使える可能性があるデュアルユースへの投資が科学技術の進展、発展又は産業競争力の強化、長期的な経済成長にも資するというところで、ここに力を入れていこうということで、決してアメリカのそのデュアルユースに追従するつもりで私たちはやっているわけではないんだろうというふうに私は捉えております。
また、アメリカ基準のセキュリティーの話もさっきいただいていたんですけれども、結局、アメリカだけに限らず、どこかの国と最先端の共同研究をしようと思ったときに、日本にちゃんとしたクリアランスのその基準がなければ怖くて情報を渡せないと言われちゃうから欲しいなというのを企業さんから言われていたというのもあってのことでありましたので、なかなか、その先生の御心配とかは、なるほど、こういうことかというのは分かったんですけれども、アメリカに追従してこのデュアルユースが引っ張られるということはないんであろうと私は思っております。
○大門実紀史君 これは私の心配というよりも、日本のアカデミアの依然として残っている心配という意味ですね。
もう一つ、そのアメリカの流れで心配されるのは、アメリカでは、もう時間の関係であれですけれども、御案内のとおり、セキュリティークリアランスということで、SC制度といいますが、デュアルユース技術開発を一体のものとして、大変厳しい、いわゆる適格性評価制度、機密情報資格制度と翻訳されますが、それに携わる研究者の思想とか家族関係とか交友関係とか資産状況まで調査されるということで、言ってみれば、研究開発をやってくれということで、お金は出しますよと、これはあめです、あめですよね。いざそれがデュアルユースと結び付くと厳しくSC制度を適用する、これはむちですよね。そういうことがアメリカでどんどん進んできている中で、アメリカベースで対象が広くなって、最初はどうぞどうぞって言うかも分かんないけれども、どこかでアメリカのSC制度のようなものが厳しく導入されてくるんじゃないか。
事実、もう既に、二〇二四年に日本版のセキュリティークリアランス法案が通っているわけですよね。こういうものが適用が拡大されるんじゃないかとか、あるいは更にもっとアメリカベースのもっと厳しいものが導入されてくるんじゃないかという懸念が広くあるということでございます。
この点で、防衛省に聞きますけれども、防衛省では、防衛装備庁ですかね、安全保障技術研究推進制度というので民間の研究を促進されようとしております。こういう中で、研究の自主性とか自立性とか公開性などは担保されるんでしょうか。
○政府参考人(嶺康晴君) お答え申し上げます。
安全保障技術研究推進制度について御質問いただきました。本制度は、防衛分野での将来における研究開発に資することを期待しまして、先進的な基礎研究を支援するものでございます。
本制度では、対象とする研究テーマを提示した上で研究課題を公募しております。そのため、防衛省職員が研究内容に介入するということはございませんで、研究の自主性、自立性を担保しておるところでございます。
また、本制度が対象とするのは基礎研究でございますので、研究成果を広く公表し、多くの研究者と幅広い議論をすることでより優れた研究につながっていくというこの側面があるということで、本制度では成果の公表を制限はしていないところでございます。
○大門実紀史君 そうですね。ですから、要するに、民間に、どうぞ自由に何でも研究してくださいと、研究成果も御自分で自由に使ってくださいと。だったら、別にこれ防衛省がやる必要ないんじゃないですか。
○政府参考人(嶺康晴君) 先ほど話がございましたけれども、やはり今様々な先端技術、当然民間の幅広いところで発展しているというところもございまして、我々としては、将来的に防衛分野で使われる可能性のあるようなことを期待しながら、一応テーマを提示しているというようなところでございます。
○大門実紀史君 防衛省がこういうことをやること自体も非常に懸念されているということでございまして、要するに、もっと日本は独自で、自分の頭で、安全保障も含めてですね、ちょっと日本の技術立国の再生も含めて考えていくべきであって、デュアルユースと結び付けることばかりが技術発展でもありませんから、もっと広い、自分の頭で広く自主的に考えるというような技術立国の中でのこういうものも考えるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。