<議事録>
(経済・社会保障)
○大門実紀史君 お忙しい中、ありがとうございます。
まず、会田公述人にお聞きいたします。
ネットの資金需要という考え方でいろいろ分析するというのは大変新鮮に受け止めさせていただいて、大変興味深いところでございました。
企業の過剰貯蓄と緊縮財政がネットでの資金需要を縮小させ、消滅させてデフレの原因になっているということは、本当にそのとおりだというふうに思うところでございました。
済みません、ちょっとお聞きしたいのは、会田公述人が二〇一九年七月にゆうちょ資産研レポートで、主流派とMMTの議論を包含できるのがこのネットの国内資金需要の分析フレームだということをおっしゃっておりまして、これ私、大変興味を持ったんですけれども。
国会で最初にMMTが議論されたのは今から七年ぐらい前だと思うんですけど、財政金融委員会、参議院ですね。西田昌司さんが急にぶち上げて、私もそれに参加させてもらって大変議論をさせてもらったんですね。要するに、財務省が金がない金がないと、借金大変だと、我慢しろと、増税しろということは違うんじゃないかということのちょっとパラダイム転換的なのがありまして、私も大変共感したんです、中身には、御主張にはですね。
ただ、私もMMTの関係の学者の方々と議論していて、ここだけはどうしてもちょっと疑問なところがございまして、それは学者の方々も、MMTをやっていくとどこかでインフレが起こる可能性がある、ただ、それは抑えられるんだと。どうやって抑えるんですかと聞いたら、増税をしたりあるいは金利を上げたりですね。
しかし、よく考えてみますと、インフレでみんなが大変なときに増税なんてできるんだろうかとか、金利上げたりできるんだろうかと、現実的にですね。ちょっと学者の方がおっしゃるのはいいんだけど、難しいんじゃないかというところが私のずっと残っている疑問なんですけど。
会田公述人のそのゆうちょ資産研レポートでは、そのネットの資金需要の水準によって財政政策と金融政策の間で物価上昇をコントロールできる力が変わってくると考えるのが現実的だろうということでおっしゃっておりまして、つまり、そういうことでいくと、主流派の経済学とMMTの議論を包含できるのが会田公述人のおっしゃっているネットの資金需要ということかと思うんですが、この辺、ちょっと具体的に分かりやすく御説明いただければと思います。
○公述人(会田卓司君) ネットの資金需要というのは、企業と政府のお金を使う力、支出する力です。マイナスが大きくなると企業と政府の支出する力が大きくなるわけですから、当然経済に膨らむ力が掛かり、当然これが物価上昇圧力になってきます。
分析をしますと、ネットの資金需要がマイナス五ぐらいですと名目GDPが三%、そして物価はおおよそ二%台で上昇するということになりますから、財政規律としては、ネットの資金需要をマイナス五までの財政拡大にしておくということが非常に重要です。これをアメリカ、イギリスのようにマイナス一五までやってしまいますと、物価上昇圧力が例えば五%とか非常に高くなるので大きな問題になります。
では、財政が大変だ、健全化が大事だといってネットの資金需要をゼロ、消滅させてしまうと、経済の規模が膨らまなくなり、物価はゼロ%又はマイナスになってしまう。当然、賃金上昇率もマイナスになってしまうということになります。
ということは、財政はネットの資金需要マイナス五までぐらいの膨らみがちょうどよくて、過大であっても無責任ですし、財政支出が過小でネットの資金需要を消滅させてしまっても、これ国民に負担を掛けますから、無責任だ。これ、ネットの資金需要をしっかり見ながらやっていくということが非常に重要だと考えています。
○大門実紀史君 つまり、そのネットの資金需要、土台ですよね、それをしっかりしておけば、まず物価上昇、ハイパーインフレとか高インフレは起きにくいということかなと思いますけれども、ただ、そのネットの資金需要をマイナスに持っていくためには、政府もそうですけど、企業そのものが、過剰貯蓄じゃなくて、投資とか、回してもらわなきゃいけなくなるわけですね。その点で、今コーポレートガバナンス・コードの改訂ということを言われていて、要するに、今まで株主偏重で株主の利益にちょっと重きを置き過ぎたので資金が世の中に回っていないと。今度は、投資とか人的資本に回してほしいということのコードの改訂だと思うんですけれど。
実は、これそのものを、それだけで本当にそうなるんだろうかということがちょっとあるんですね。金融庁のそのコード変えて、有価証券報告書に書いてみんながチェックすると。ところが、これ、かなり貪欲な資本主義の最たるもので、経営者そのものが持ち株で株持っていますから、自社株買いやって株を上げると自分がもうかるわけですね、資産が増えるわけですね。そういう構造になっていますので、このコーポレートガバナンス・コードを改訂したぐらいでそう簡単に、過剰貯蓄といいますか、是正されるんだろうかと。
その点で、アメリカででは、もう具体的に自社株買いへの課税とか、更に具体的に踏み込んだところまで始めているんですけど、あれは何か税を取ろうというよりも、そういう効果ですよね、こういうことをやっちゃいけないんだという、そういう点のもう一つ何か必要かと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○公述人(会田卓司君) ありがとうございます。
政策、経済政策を新自由主義から経済産業政策の新機軸にしっかり転換をすることが重要です。
十五ページ目にこの二つの政策を具体的にまとめています。新自由主義という考え方では、民間に任せられます。とすると、どうしても民間というのは短期的な収益の拡大に目線が行ってしまうので、投資、賃金が不足する。そして、政府の関与を小さくするということは国境をなくせということと同じような意味合いがあるので、グローバリゼーションということで、当然ながら安いところで物を作ろうといって国内から海外に生産拠点が移動した、結果として投資と賃金が不足をするという事態に陥ったということです。ですから、こういう政策の方向性を持っていれば当然企業はなかなか投資を拡大してくれないということです。
そこで、産業政策の新機軸に移行して、やはり中長期的な社会経済の課題はたくさんあるわけです。経済安全保障であったり、人への投資であったり、防災であったり、少子高齢化対策であったり、こういう中長期的な目線で社会経済課題を解決する投資を官民連携でやっていきましょう。ということは、政府は企業の目線を短期から中長期に変えてあげるということで投資を増やしていくという、こういう産業政策の大転換が現状は必要なんだと思います。
そのために必要なのは、やはり財政政策が緊縮志向、プライマリーバランス黒字化であれば、当然、今年は政府は投資をしてくれるけれども、来年黒字を目指して投資をしなくなってしまうという不安があるわけですから、投資的支出に関しては多年度、そして別枠管理をしてやっていくという新たな仕組みが必要だと考えています。
○大門実紀史君 ありがとうございました。
三原公述人、一問だけお聞きいたします。
金融財政ビジネスに、去年の初め頃ですかね、書かれた国民負担率についての分析、大変面白い、非常に政治的に恣意的に使われてきたという点を含めて勉強になったわけですけれども。
私がスウェーデンに行ったときに、スウェーデンの厚生労働省だから保健社会省ですかね、の役人の方とお話ししたときに、スウェーデンは高負担高福祉ですかと聞いたら、そういう感覚ではないとおっしゃったんですね。負担じゃなくて将来の貯蓄という、自分に戻ってくると、負担させられているんじゃなくて。したがって、高福祉で戻ってくるので、負担というよりも自分、貯蓄だというような感じなんですとおっしゃったんですね。
日本は何でそうなっていないんでしょうか。そういう感覚として負担と福祉の問題を受け止められないのか、その辺いかがお考えでしょうか。
○公述人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。
私は北欧に行ったことがないので、ただ、北欧の行った方々とか北欧から来た方々と話をしていると、やはり北欧というのは非常に地方分権が発達していて住民参加が非常に盛んです。なので、もし政府が、自分の納めた税金あるいは保険料が変なところに使われていたら、自分が自ら住民参加して正すことができるという安心感があるんだということは思いました。
ただ、日本の場合はそういうシステムでありませんので、そこの点というのは余り論者、福祉国家の研究者は余り論じていないんですけれども、私はそこの違いというのは非常にクリティカルかなと実は思っているところであります。
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。
(経済・地方)
○大門実紀史君 お忙しいところ、ありがとうございます。
日本共産党の大門実紀史です。
八代先生、お久しぶりでございます。覚えていらっしゃいますか。いやいや、日付いつだったかなと思ったら、調べたので、二〇〇八年三月二十五日のこの予算委員会公聴会だったんですけど、公聴会というよりも、忘れもしない、大激論になって、八代先生対野党でですね。
といいますのは、二〇〇一年から小泉構造改革が始まって、竹中路線となって、当時は参議院の自民党の方も反竹中という人が結構いたりしたんですけど。八代先生は、財政諮問会議の委員やっていらっしゃったんですね。したがって、規制改革論者ということで、もう野党のターゲットに公聴会がなって、大変な激論になったのを覚えておりまして、当時大変失礼したかもございませんけど。十八年ぶりということなんですけれども、当時一番厳しく八代先生追及したのは櫻井充さんなんですよね、今与党ですけど。私は比較的紳士的に質疑したんじゃないかなと思っておりますけど。
あれから十八年たって、改めて規制緩和、規制改革論というのはどうなのかということを一遍聞いてみたいなと思ったんですけど、本当にあのときは規制緩和万能論みたいなのがまだあって、ところが、その後いろんなことがあって、やっぱり公の役割、公共の役割も大事じゃないかというふうに世界的にもなってきて、民営化民営化でいったのが再公営化の流れになったり、いろいろ変わってきましたですよね。
そういう点で、改めて、八代先生の規制改革論、何か変化があったんでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。当時、鴻池委員長の時代でして、覚えております。
それで、御質問なんですが、規制改革の考え方に変化はないんですが、残念ながら時代が逆行してきまして、小泉内閣のとき、第一次安倍政権の頃はやはり変えなければいけないと、今の日本の現状を。それがどっちかといえば主流で、余り急ぎ過ぎてはいけないという反対論もあったんですが、今や残念ながら規制改革のキの字も聞こえてこないと。やっぱり、健全なる財政政策というのが主流になって、それはそれでもちろん大事なんですけれども、健全なる財政政策も、それを使う対象がちゃんと市場ベースにならないと擦れ違ってしまうんじゃないかと。そういう意味で一層、規制改革、制度改革の必要性というのは高まっているんじゃないかと思います。
ですから、やっぱり生産性が低いということも、需要が足らないわけではなくて、今現に人手不足ですから需要はかなりあるわけですね。問題は、企業が投資をしないというのは、やっぱり投資してももうからない。もうからないというのは、やっぱり市場に制約があって企業が自由な行動をできない。だから、そういう規制改革の必要性はそのときよりもはるかに今は高まっているんじゃないかなと思っております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
私も、何もかも規制しろというふうに申し上げているわけではなくて、やはり公の役割の果たすべきところは、大事な規制もあると思いますし、コントロールが必要じゃないかなと思っているところで、市場万能主義というのは様々な弊害を生んでいるんじゃないかと思うところです。
改めて、あのときの議論でちょっと気になることがあったので、あのときは林芳正さん、今の総務大臣ですね、が質問されて、規制緩和について、その重要性といいますか、効果について質問されて、そのときに八代先生は、参入規制、外資規制、こういうものは取っ払って、競争を通じて経済の活性化という中で、二〇〇二年に行われた都市再生特別措置法について言及されておりまして、容積率の緩和、大都市の中心部はまだ効率化ができる、余地がある、高度利用が妨げられていると。それが、都市再生特別措置法で特区が可能になるとか容積率の緩和ができるということで、これは大変、それによって住みよい生活ができるというようなことまで言及されていて、これは私のずっと、そのときの質問の私のお答えの中にもおっしゃったわけなんですけれど、今、あれから十八年、どうなっているかですね。
東京が、おっしゃったとおり、都市再生特別措置法で特区を設けられるようになって容積率の大規模な緩和をやって、今、億ションと言われるのが乱立をして、しかも投資、投機の対象になって、海外マネーも入っていて、挙げ句の果て、もう東京のサラリーマンが東京で持家、家を持てなくなっている、マンション買えなくなっている、家賃も物すごい値上がりになっているという点を考えますと、あのとき先生がおっしゃった都市部における、今日も議論になりましたけど、都市部における住みよい生活というのはやっぱり規制緩和だけでは実現しなかったのではないかと、現実的にそう思うんですけど、いかがですか。
○公述人(八代尚宏君) 御質問ありがとうございました。
今、億ションというか、マンションの値段が非常に高くなっている、なかなか普通の人は買えない。どうすればいいのか。家賃を下げるわけですね。家賃を下げるためにはどうしたらいいか。供給を絞ることか供給を増やすことかといえば、それは供給を増やすことにあるわけですね。
ですから、やはり今そういう、議員がおっしゃったように、容積率の緩和というのもされていますが、それは特定の地域だけで、東京駅の周辺とかそういうところはビルがたくさんありますし、何というか、元商業地区というか、そういうところでどんどんマンションが建っているわけで、ある意味で一部に偏っているわけですね。
ですから、やはり私は、東京都も考えていますように、例えば環七の中は環七の外とは区別して考えるべきじゃないか。やっぱり、環七の内側にも一戸建ちの住宅がたくさんあるわけですけれども、私はパリに六年住んでいましたけれども、パリで一戸建ちなんというのはないんですね、あの環状線の中は。物すごい大金持ちしか一戸建ちには住めないわけで、普通の人は中層のマンションといいますか、六階建て、七階建てのマンションに住んでいる。もし環七の内側がパリのように、そういう中層のマンションが大部分になっていれば、もっと多くの住宅が供給されて、別にそんなタワーマンションに住まなくても普通のマンションに住める人がたくさんできるんじゃないか。
だから、議員がおっしゃったこととは意見は違うわけですが、私はもっと、この容積率の緩和というのが不十分で、東京都が緩和しても二十三区が反対するというような形でなかなか実現していない。だから、それが緩和されている商業地域というごく一部のところでやたらに高層マンションが乱立するという、非常にある意味で健全じゃない状況が起こっているんじゃないかと、そういうふうに考えております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
是非東京の全体の地価を見ていただきたいんですけど、上がっているのは、都市部が上がって、都心部が上がって、周辺が上がって、新築が上がって、中古が上がって、この土地の住宅の高騰というのはもう全区的に、全都的に広がっておりますので、ちょっとおっしゃったのからもう波及しているという点は申し上げておきたいと思います。
熊谷公述人にお聞きします。
中国経済、アメリカ経済、日本経済のお話がありましたので、私は三者密接に結び付いていてどれも大事だと思うんですよね。
そういう点で、日米中経済のこれからの在り方なんですけれども、トランプさんが中国封じ込め戦略ということをやってきたんですけど、必ずしも成功していないと。関税も掛けても、中国は、じゃ、アメリカ一番じゃなくてEUとやるとか、方向転換していますよね。簡単に言うと、ハイテク分野ですね。ハイテク分野も封じ込めようと思っても、いまだ中国、一番ハイテク分野伸ばしていますよね。
そういう点で考えますと、アメリカに訪米、参議院から訪米団で行ったんですけど、アメリカは結構したたかでございまして、中国に拳を上げているようなふりをして、ふりをしてというか、結局は決定的な対決するつもりはないという中で、日本だけは何かアメリカの中国封じ込め戦略に付いていって、乗っちゃっていくのはちょっと危ないのではないかと。日本はやっぱり自分の頭で考えて、国益を守って、主権を守っていくべきじゃないかと思うんですね。
そういう点でいきますと、日本の貿易相手は今、中国を含むアジアが半分になっていますよね。アメリカは一五%ぐらいですよね。そういう点でいきますと、これからはアジアを非常に重視して日本の貿易関係も考えていくべきではないかと思いますが、一言お願いいたします。
○公述人(熊谷亮丸君) ありがとうございます。
基本的にはおっしゃるとおりだと思いまして、アメリカ一辺倒ではなく、やっぱり多国間外交を同時に、したたかに全ての方位に対してしっかりした外交を展開することが肝要である。
ただ、先日のあの日米の首脳会談に関して言えば、これはやっぱり日本は様々な中国との間での緊張みたいなものはあるわけですから、先日の対応はあれはあれで一定の評価ができるのではないかと考えます。
○大門実紀史君 ありがとうございました。