国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2025年12月4日 参議院 参議院内閣委員会 犯罪被害者支援問題について
<赤旗記事>

2025年12月7日(日)

親族間犯罪被害者にも
参院内閣委 大門氏、給付金で要求

(写真)質問する大門実紀史議員
=4日、参院内閣委

 日本共産党の大門実紀史議員は4日の参院内閣委員会で、犯罪被害者・遺族を経済的に支援する犯罪被害者給付金が、親族間犯罪の場合に原則不支給とされている問題について、実態に即した改善を求めました。

 同給付金は、創設時に不慮性の高い犯罪被害を想定していたため、密接な関係にある親族間犯罪は原則不支給とされていますが、その後、親族関係が破綻している場合は支給されるよう運用が改善されています。しかし、親族関係の破綻を判断する解釈が狭すぎるため、不支給とされる例が多いことが問題となっています。

 大門氏は、不支給決定に不服がある場合の国家公安委員会に対する審査請求で、「この10年間で99件中4件しか不支給決定が覆っていない」と指摘し、「第三者による判断の仕組みが必要ではないか」と強調。また、地裁が親族間関係の実態からその破綻を認め、不支給を取り消す判決を下したのに、県公安委員会が控訴している事例を紹介し、「控訴を取り下げるよう指導すべきだ」と迫りました。

 赤間二郎国家公安委員長は「都道府県公安委員会で公平・公正な判断がなされる制度となっている」と述べるにとどまりました。

<議事録(未定稿)>

○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 今日は、犯罪被害に遭われた被害者本人また親族への支援ですね、犯罪被害者等給付金について質問をいたします。  昨年六月の改正含め、今まで様々な改善が行われてまいりました。また、前回、維新の柴田委員からあったとおり、ただ、まだまだ課題がいろいろございます。  先日私も、犯罪被害者補償を求める会の皆さんが警察庁、法務省に要請されまして、同席させていただいて、いろいろお話を聞きました。一番は、とにかく、いろいろ改善はありますけれど、給付金の額が低過ぎるということで、これは何度も議論があったところですね。特に、海外では逸失利益を考慮に入れたり、あるいは立替払という制度もあったりするわけであります。  現在、第五次犯罪被害者等基本計画の案が議論されていますが、その中で、諸外国における損害賠償請求権あるいは法制度の実態について調査を実施するというふうに言われておりますので、是非、給付水準も含めて、立替払も含めて、スウェーデンとかノルウェーとか北欧が大変進んでおりますが、よく学んでほしいということを今日は要望だけしておきます。  時間の関係で、取り上げたいのが、親子関係、夫婦関係、親族間の犯罪の場合、遺族に給付金が支払われないという問題があります。支給法第六条は、犯罪被害者と加害者との間に親族関係があるときは給付金の不支給ができると、払わないことができると。例えば、父親が、よくある、最近起きていますけど、父親が息子を殺したと、その息子には妻と子供がいて、残された妻と子供が生活ができないと。そういう場合、加害者である息子を殺した父親と被害者の息子に親族関係、親子関係があったので、その残された妻や子に遺族給付金は支給しないというようなことが第六条にございます。これは余りにも実態からしておかしいんじゃないかという声が上がりましたので、二〇一八年の四月一日から、親族関係が破綻していると認められた場合、破綻している場合は支給しますということになっているわけですね。  ちょっと伺いたいのは、そもそもこの親族関係が破綻しているとかしていないというのは、誰がどういう基準で判断するんでしょうか。

○政府参考人(江口有隣君) お答えを申し上げます。
 犯罪被害者又は第一順位遺族と加害者との間の親族関係が破綻していたと認められる事情があるかどうかを含めまして、給付金の支給の可否については法令にのっとって公正な判断をすることが必要でございます。  そのため、都道府県公安委員会が裁定に当たって各種資料を総合的に考慮をして破綻事由の有無を判断することとなるところでございます。

○大門実紀史君 総合的な判断と言われると困っちゃいますけれども、要するに、支給例としては、児童虐待とか高齢者虐待とか障害者虐待が特例の場合に支給するということと、つまり、今ありましたとおり、親族関係が破綻しているかどうかというのは都道府県の公安委員会が判断すると。要するに、犯罪の捜査に当たった警察官、例えば被害者はもう死亡している場合があるわけですね。そうすると、その加害者の被疑者、加害者に警察官が、捜査する警察官が聞いて、親族関係が破綻していたかどうかを決めているんではないかというふうに思うんですね。あるいは、同居の有無など外形的な面だけで判断しているんではないかということをいろいろ資料見ていると思います。
 もっと、親族関係破綻している、していないというのは非常に実態に即して考えなきゃいけない問題だと思うんですね。そういう点でいいますと、そういう、何といいますかね、捜査官が、一方的な、加害者からだけ聞くんじゃなく、聞くだけで決めるとか、あるいは同居をしているとかしていないとか何年会っていないとか外形的な面だけで決めるんじゃなくて、やっぱり事実経過、実態を、関係者からの聴取も含めやっぱり判断すべき、そういう重要なことだと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(江口有隣君) お答えを申し上げます。
 お尋ねの件につきましては、個別事案の具体的事情に基づきまして判断すべき事柄であるというふうに思います。その上で、一般論ということになりますけれども、親族関係の破綻につきましては、被害者と加害者との関係性、当事者の居住形態等の諸般の事情を総合的に考慮をして、客観的に判断することとなるところでございます。  その判断に当たりましては、申請者からの申出内容のほか、親族、その他の関係者からの聴取内容、刑事裁判で認定された事実、これらを裏付ける客観資料等を参照することとなるところでございます。

○大門実紀史君 その場合、今申し上げたような加害者だけではない資料ですね、必要じゃないかと思います。
 残された犯罪被害者の遺族の方が給付を受けられないと、不支給になったという場合、国家公安委員会に審査請求ができることになっておりますね。しかし、この十年間で審査請求が出て終結した審査請求九十九件あるそうですけれども、国家公安委員会に訴えがあって、原処分取消し、つまり支給するというふうに至ったのはたった四件と。九十九件審査請求して、たった四件しか支給されることに覆らなかったということなんですね。  遺族の方のお話も聞きましたけれど、よほどの事例で、国家公安委員会まで訴えるというのは、余りにも理不尽だということで訴えられるわけですよね。そういうケースがほとんどだと思うんですけれど、九十九件のうちたった四件と。  仕組みからいって、都道府県公安委員会の決定を国家公安委員会が審査すると。つまり警察の中だけで決めているわけですね、判断しているわけですね。これでは、やっぱりいろんな、一方的なこととかを追認するということになりかねないんで、やっぱり専門家含めて、第三者によるこの審査請求を判断する仕組みが必要じゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(江口有隣君) お答えを申し上げます。
 都道府県公安委員会の裁定に不服がある場合には、行政不服審査法の規定に基づき、国家公安委員会に対して審査請求を行うことができるところでございます。国家公安委員会は、審査請求があった場合には、専門的な知見を有する専門委員の調査、審議を得た上で裁決を行うこととしているところでございます。  なお、裁決後又は審査請求から一定の期間が経過するなどした場合には取消し訴状を提起することも可能となっているところでございます。

○大門実紀史君 その結果が九十九件のうち四件しか支給しないということでありますので、もちろん専門家の意見も聞いていないとは言いませんよ、言いませんけれど、やっぱりそういう第三者の審査会、そういう仕組みがどうしても必要になってくると思います。  お手元にお配りしたのは、福岡県で起きた事件ですね、二〇一九年三月ですね。これは父親が息子を包丁で刺し殺すというすごい事件でございまして、そばにいた息子さんの妻も追いかけて背中を刺すというような大変な事件でございました。その被害者の息子さんの妻が生活に困ってこの給付金を申請したら、福岡県の公安委員会は親族間の犯罪だということを理由に不支給を決定したんですね。それを不服として、結局その妻の方は裁判を起こして、今年三月に福岡地裁がおかしいと、支給しないのはおかしいということを判決を出したわけですね。そのときに、地裁はこう言っております。福岡県公安委員会の判断は、考慮すべき事項を十分考慮しない一方で、考慮された事実に対する評価が明白に合理性を欠いたものであるということで不支給裁定を取り消すと、支給しなさいということを判決出したんですね。
 これに福岡県の公安委員会は控訴をするということで、私、裁判資料を、判決も福岡県の公安委員会の控訴文も両方読みましたけれど、簡単に言いますと、裁判の方は、福岡地裁はやっぱり実態に即していろんなことを調べているんですね。親族関係とか、遡ってどういう家庭だったかとか含めてですね。ところが、県公安委員会の方は結局外形的なことばっかり、同居はいつからしたとか、どういうお金のやり取りがあったということばっかりでやっております。それでまた控訴すると。しかも、これは裁判のときには出さなかった資料、出さなかった資料をあえて控訴のとき出していると。だったら何で最初から出さないのかと。やっぱり、何というか一方的な資料だと思っていたんだと思いますけれども。  申し上げたいことは、全体として、警察庁、公安委員会は被害者を救済しようと思って、いろいろありますけれど、長い間頑張ってこられたわけですよね、昨年の改正も含めてですね。決してこうはじこうはじこうとやってきたわけじゃないですよね、いろんな声反映されて。そういう点でいきますと、何かもう福岡の公安委員会はメンツだけこだわっているようなところあるというふうに思わざるを得ないし、控訴棄却される前に自ら取り下げるべきだというふうに思うんですよね。  全体として、申し上げたように、被害者の親族、本人ね、重傷の場合もありますけれど、救っていこうという政府の方向性でありますので、是非国家公安委員会として福岡の公安委員会に控訴を取り下げるように指導すべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。もしあれだったら、大臣、お答えください。

○国務大臣(あかま二郎君) 委員の方から被害者救済制度、これは一歩二歩前進を見ている中でということで御理解いただいている部分もあろうと思っていますけれども、この給付制度自体、迅速かつ適正な運用、このことが大事であり、このことで犯罪被害者等を早期に軽減する上でというふうに理解しております。
 そのために、まず、まず民主的に選任された合議体である都道府県の公安委員会が裁定を行うこと、まず。で、不服がある場合には国家公安委員会に対するいわゆる審査請求の手続がと、先生御指摘のとおり。その審査に当たってでございますけれども、専門的な知見を有する専門委員の調査審議、先ほど必ずしもだけでという話じゃない、御指摘ありましたけれども、そうした審議を経て公平公正な判断がなされるように制度的にも担保しているというふうに理解をしております。  国家公安委員会とすれば、引き続き審査請求がなされた場合には適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

○大門実紀史君 大臣、お忙しいでしょうけれど、大事な問題なので、是非、この福岡地裁の判決文と福岡の国家公安委員会の控訴状、読む気になりゃ一時間半ぐらいで読めますので、読んでいただくと分かるんですけど、今の審査が今日申し上げたように破綻しているかどうかという判断が非常に一方的に偏っているなというのが見えてくるので、やっぱり公正な審査会とか審査をするためにも、今回のこの福岡の事例を今後に生かしていっていただきたいというふうに思います。
 そのことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

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