<議事録(未定稿)>
○大門実紀史君 大門実紀史です。
今日は、高齢者をターゲットにしたリースバック問題、また取り上げたいと思います。
この問題は今年の通常国会で、国土交通委員会、この消費者特でもう既に三回取り上げてまいりました。国民生活センターに寄せられた相談は五年前の十倍に、資料ございますが、十倍に増加しておりますし、この間も、朝のワイドショー、羽鳥さんなんかの「モーニングショー」を含めてずっと取り上げられて、被害は収まっておりません。背景にやっぱり不動産価格の上昇があって、このリースバックビジネスにうまみのある、利益の上がるビジネスということがあって被害が減らないということだと思います。
今日は、新たな問題も出てきているので、四回目となりますが、質問したいと思いますが、資料の一枚目から三枚目は今までのおさらい的なものでございますが、改めてリースバック、初めてお聞きになる委員もいらっしゃると思うので簡単に申し上げますと、資料の一枚目の右下の小さい図か、もう四枚目の一番上の図を見てもらった方が分かりやすいかも分かりません。
リースバックというのは、何らかの理由で現金が必要になるという、高齢者ですね、年金では生活、足りなくなったとか、そういう方が自分のマンション、住宅を売って現金を手に入れると、売った後もそこに家賃を払って住んでいいよという建前がリースバックでございます。
ところが、実際にはいろんなトラブルが起きておりまして、まず買取り価格が安いと、ひどい場合は相場の市場価格の半分の値段で買いたたかれると。二つ目には、住み続けられますと言いながら、実際には途中で退去を迫られたと。定期賃貸借契約になりますので五、六年で出ていってくれという場合があったり、あるいは入居してから家賃が値上がりされて高齢者の方は住み続けられなくなったということですね。あと、一枚目の産経新聞がそうなんですけど、押し買いと、押し買いと。つまり、これは、高齢者とか認知症のかかっている人、障害者なんかをターゲットにしたことが多いんですけれども、つまり押売の反対で押しかけて買い取ると。押し買いといいますね。安く買いたたくんですね、押しかけていってと。
特に、高齢者、独り暮らし、女性、認知症の方、そういうリストが出回っていたりします。そのリストを手に入れたリースバック会社の営業マンがまず電話をするわけですね。様子を聞いて優しくいろんな話を聞くわけですね。一度伺って話をしたいと言って、高齢者、独り暮らしの女性なんかは、優しい人だなと思って、ふだん寂しいのもあって、いいですよと言うわけですね。一旦訪問すると帰らないんですね。何時間も粘って契約するまで帰らないと、ひどい場合は十時間以上粘っている例もございます。
とにかくリースバック契約を結ばされて、そのときの説明がもうよく分からないんですよね、高齢者の方、特に認知症の方なんか判断できないですよね。現金が入ってそのまま住み続けられますよと言われて契約しちゃうわけでございます。後でやっぱりやめたいと言っても、解約を求めると違約金が数百万円取られるというふうな、ちょっと普通ではやってはいけないビジネスモデルじゃないかなというふうに思うわけでございますけれども。
これは、こういうことはもうずっと取り上げてまいりまして、今まで三回の質問で問題点も指摘しましたし、広告規制とかクーリングオフはできないとか、そういう問題点を指摘して、必要な法改正を検討してほしいということと、とにもかくにも、こういう高齢者の方々をターゲットにするなということで、業界に適切な指導をしてもらいたいと言ったら、そういう指導いたしますと答弁もされてきたわけですけれども、あれから四か月ぐらいたっておりますけれども、その後の取組について、国交省、消費者庁、それぞれどういうふうに取り組まれてきているか、教えてもらえますか。
○政府参考人(豊嶋太朗君) お答えいたします。
リースバックは、高齢期の住み替えなど多様なニーズに応える手法の一つであります。健全なリースバックの普及が進むことは、ライフスタイルに応じた柔軟な住み替えを可能とするものと考えております。
一方で、リースバックは自宅の売買と賃貸借を組み合わせる特殊な契約でございます。このため、理解が不十分なまま契約し、トラブルになる事態が生じやすい面もあります。国民生活センターに寄せられる相談件数も増加傾向にあることは承知してございます。
このため、利用者の方に内容を十分御理解いただいた上で契約してもらう観点から、令和四年にリースバックの適切な利用方法や検討時の留意点をまとめたガイドブックを作成し、どのような利用が適切なのか、どのようなことに気を付ける必要があるのかなどの点について、その周知に努めているところでございます。
引き続き、国民生活センターを始め関係機関と引き続き緊密に連携し、状況を注視しながら対応を検討してまいりたいと考えております。
○政府参考人(飯田健太君) 消費者庁の取組につきまして御質問をいただきました。お答え申し上げます。
高齢者などを狙いました不動産業者による悪質な押し買いによるその消費者トラブルが発生しているということは承知をしておりまして、ただいま国土交通省からも御答弁がありましたように、国民生活センターにおきましても、強引に勧められるリースバック契約への注意喚起などを行っているところでございます。
宅地建物などの不動産取引につきましては、宅地建物取引業法などにより規制、監督がなされておりまして、消費者庁におきましては、これまで、消費者向けのリースバックに関するガイドブックなどを作成している国土交通省などの関係省庁とも連携を密にして、消費者への注意喚起などを行ってきたところでございます。
消費者庁といたしましては、引き続き、消費者被害の未然防止に向けまして、このような必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
○大門実紀史君 済みません、今の答弁だと六月と変わらないんですね。個別にちょっといろいろ頑張ってもらったの知っているんですけれども、もう少しスピードアップして、これだけ被害が収まっていないわけですから、取り組んでほしいなと思います。
大臣に伺います。
国民生活センターは今年五月に全国宅建協会に対して、このリースバックトラブル、相談事例が多いということを伝えて、無理な勧誘やめることとか高齢者へ配慮した契約を求めるなど、具体的に国センは要望出されているわけでございます。
消費者庁としても、国交省と連携取りながら、やっぱりきちっと、クーリングオフ、法的措置の検討はこれからとしても、注意喚起の要請なり、指導まで行かないとしても、対応の、適切にやるようにというようなことは国センでも出しているわけだから、消費者庁としてもそういうことを具体的に出してほしいと思いますけど、いかがですか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 今、国交省、消費者庁の事務方より御説明がありましたとおり、リースバックに関するガイドブック等を作成しまして、関係省庁とも連携を密にし、消費者への喚起等を行ってきたところでございます。
当庁としては、引き続き、消費者被害の未然防止に向け、こうした必要な対応を行ってまいりたいというふうに思います。そのほか、景品表示法に違反するおそれのある具体的事実に接した場合は、法と証拠に基づきまして適切に対応してまいりたいと、このように思っております。
○大門実紀史君 黄川田大臣、初めてだと思うんですけど、今まで私、消費者庁できる前からこの問題に取り組んで、いろんな大臣おられましたけれど、初めてだから仕方ないと思うんですけど、大臣のイニシアチブでいろいろやられた例ありますので、是非、業界に対する指導というのは大臣の決断でできますので、検討していってほしいというふうに思います。
今日、新しい問題で、その四枚目の資料の下側なんですけれども、とうとうというか、しばらく前からそうなんですけど、金融機関までこのリースバックに参入してきたと、しているという問題でございます。
上の方はさっき言った通常の仕組みなんですが、下段の方ですね、金融機関が何といろいろこのリースバックに絡むというか、参入してきております。特に地銀ですね、メガバンクは余りありません、地銀か信託銀行でございますが、不動産リースバック会社との連携を進めておりまして、といいますのは、銀行は法的な規制もあって直接リースバックできませんので不動産会社、リースバック会社と提携しているわけですけれども、この下の図、簡単に言いますと、銀行からですね、地銀からですね、主にですね、住宅ローンを借りている顧客を不動産リースバック会社に紹介するわけですね。で、手数料をもらうんですね、紹介して手数料をもらいます。不動産リースバックは、さっき言ったように顧客に営業を掛けるわけですね。勧誘して、契約を結ばせて、住宅を売ると、売らせると。その代金が、その代金で金融機関はローンを一括して返済してもらえると。もう取立て完了ということになるわけですね。同じように、問題が起きるのは、買取り価格がたたかれるということと、いつまでも住み続けられないという問題があるわけでございます。
何で銀行までというか、こんなちょっと今社会問題になっているようなビジネスモデルに参入するのかということなんですが、これは、日本住宅金融株式会社の元参事の安井礼二さんという方、専門家が論文に書かれておりまして、金融機関と不動産リースバック会社が提携するメリット、何でこんな提携するかというと、金融機関の方は、住宅ローンの延滞をし始めた人、延滞している人、返済が滞っている人の解消手段になると。不動産リースバック業者の方は、もちろん顧客を紹介してもらって営業が掛けられると。あとは、リースバック会社というのは買取りをしますよね。買取りをするときに資金が必要ですよね。この資金調達の融通を利かせてもらうということですね。もう一つは、不動産リースバック会社にとっては、うちは地元の有名な地方銀行と提携しておりますということで信用が増すわけですね。お互いそういうメリットがあってこういう提携を始めているというように思うんですけれども。
金融庁に伺いますね、私ずっと財政金融委員会でしたので。
銀行が、住宅ローンを借りている顧客が返済が困難になったと、滞ってきたという場合、まず返済計画を見直してあげて、リスケに応じてあげて、のが普通で、安易にこういう、滞ってきたからといって不動産会社に紹介してリースバックで一括して自分たちに返してもらおうなんということは、金融庁がずっと掲げておられる顧客本位の業務運営、フィデューシャリーデューティーに真っ向から反することじゃないかと思うんですよね。金融庁の指導では、まず、そういう方がいれば条件変更に柔軟に対応すべきということになっていると思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(田部真史君) お答えいたします。
金融庁といたしましては、委員御指摘のとおり、顧客本位の業務運営ということをこれまでも申してきておりまして、金融機関に対しましては、高齢者など様々な課題、ニーズを抱えております顧客が安全で利便性の高い金融サービスに、利用できるように利用者に寄り添った対応というものを求めてきているところでございます。
金融機関が個別にどのような事業者とどのような形で業務提携を行うかというところは各社の経営判断に属する事項ではございますけれども、リースバックに関しましては、委員御指摘のようにトラブルが増加していると、また国民生活センターによる注意喚起も行われているということを承知しておりますので、金融庁といたしましても、こうした状況を十分に踏まえて、金融機関の顧客対応の適切性を確認してまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 個別の事例はきちっとよく指導してもらっているんで、お伝えしたいと思います。
もう一つは、信託銀行が、地銀だけじゃなくて信託銀行がかなり関わっております。そのときに、空き家対策だと、空き家対策を強調して関わってきております。
これは、具体的な事例で来ているのを申し上げますと、名前は今日は伏せておきますが、ある信託銀行です、信託銀行のベストスリーに入る巨大な旧財閥系の信託銀行ですけれども、これ区も名前は今日は言いません、東京二十三区のある大きな区ですね、そこの空き家対策で連携したと。高齢者の独り暮らしが空き家になる予備軍だということを建前にして、区に対して区在住の高齢者の情報を欲しいと、信託銀行がですね。
区から社会福祉協議会を紹介されまして、社会福祉協議会、社協というのは、御存じのとおり、地域の高齢者の在宅支援とかいろいろやっていますので、独り暮らしのお年寄りとか、その方が持家なのかどうかとか、そういう情報は持っていることは持っているんですね。
で、その、仮にM信託銀行としておきますが、M信託銀行がその区の社会保障協議会、社協に行って、身寄りのないお年寄り、持家、単身、性別など区が把握しているそのリストを提供してほしいと、社協が持っているリストを提供してほしいと、これは自治体と連携しているんですと、区と連携しているんですと、お年寄りが心配なく生涯住み続けられるリースバックを紹介したいと、市場価格より安く売買されるので、安く買い取れるので、本人が亡くなった後、市場価格で売れば、業者が売れば利益が出ると、それを区に一定寄附できると、売れた後には人が入るので空き家にならないと。
そのスキームをわざわざパワーポイントで見せて、社会保障協議会にそういうリストを提供してほしいということを言って、これはさすがに、社協の職員さんはふだんお年寄りのために頑張っているわけですから、そもそも銀行の関係者が営業を掛けてくるなんて初めてなんですよね。そんなことを要求されるのがちょっとびっくりして、弁護士さんにこんなこといいんでしょうかと問い合わせて、で、私のところに、この問題取り上げてきているんで、連絡が来たということなんですね。
まだその区で具体的に動き出していないようです。もう最初の段階でおかしいということになっていますので、これはほかの区でもそのM信託銀行が同じような営業方法をやっている可能性がありますし、これは個人情報の漏えいになりますよね。リストをそういうことで渡すということと、あと、高齢者をリースバックのターゲットにして、利益が残ったら区に寄附しますと、こんなことまで言ってリストを出させようとしているわけでございますね。
これは今日の段階では、社協職員の方の公益通報に関わりますので、まだ身分保障の確約が取れておりませんので、信託銀行の名前とか何区の話か、言えばすぐ分かるところなんですけれども、伏せておきますけれども、こんなことが今広がりつつあるということなんですね。
今日の時点では一般論で結構なんですけど、金融庁、この大の信託銀行がこんなことをやっていいのかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(田部真史君) お答えいたします。
金融庁といたしまして、現時点におきまして、委員御指摘のような信託銀行の事案というものは、具体的な事案というものを承知しているわけではございません。
一般論として申し上げますれば、もしその法令に違反するようなことがあれば、法令に基づき適切に対処してまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 大きな問題になりそうでございますので、今のうちからいろいろ注視して調べてほしいというふうに思います。
終わります。