<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
リースバック問題の三回目をやらせていただきます。今日は、具体的にどう被害を食い止めるかという観点で質問させていただきます。
この問題、四月に取り上げたんですけど、その後、朝の、羽鳥慎一さんですかね、「モーニングショー」とかではこの問題の特集をやられまして、昨日の朝日の夕刊含めて連日のようにどこかの全国紙で取り上げられてきている問題でございます。
何かトラブルが、トラブル、被害が広がっているというよりも、顕在化してきたというか、目に見えるようになってきているんではないかということを感じます。国民生活センターもつい最近、新たな注意喚起の資料も出されております。
改めて、リースバック、一言だけ申し上げますと、何らかの理由で現金が必要になると。例えば高齢者の方ですと、年金では食べられないと、でも自宅はお持ちだと。で、自宅を売って現金化して生活費に充てて、ただ、売った後でも家賃払えばそこに住めますよと言われてやるわけですが、実は住めなくって追い出されるということがこの間起きているわけですね。
資料の一枚目に、とにかく問題が様々起きて、国民生活センターもこういう資料を五月の終わりに出されました。それだけ社会問題になっているということで、特に高齢者あるいは認知症の方をターゲットに、よく分からない人を相手に無理やり契約させるということがあるわけですね。
是非これは、国交省、今日は消費者庁からわざわざ審議官来てもらっていますけど、関係省庁といいますか、政府を挙げて、やっぱり高齢者の方々や障害のある方々、認知症の方々がターゲットになっておりますので、みんなで対策を考えていただきたいということで質問したいと思いますけれども。
まず申し上げたいのは、この二枚目の国民生活センターの、まさにタイトルになっているんですけど、そのままずっと住み続けられますよと言われて、話を聞いて契約までさせられると。住み続けられますよということなんですね。これが違うんじゃないかと、これに注意してくださいということで、国民生活センターがこういうものを出しているわけでございます。下のグラフは、いかに急激に相談が増えているかということなんですけれども。
で、調べてみたんですね。そしたら、まさに不動産各社が今インターネット広告やっていますけど、リースバックの、かなり問題がありますね。もう名前、もう超有名な、みんなが知っているような不動産大手のインターネット広告は、売却後も住み続けられますということがはっきり、それだけタイトルになっていますよね。中身見るとおかしいんですよね。不動産契約と同時に定期建物賃貸借契約を締結し、借主になることで住み続けられます。これ、矛盾ですよね。定期建物賃貸借契約だから、一定のところで契約終わるわけですね。更新することはあるかも分かりませんが、住み続けられる普通の賃貸借契約と違うのにこういう書き方で、よく分からない人は、定期も普通も分からないから、そうかなと思って、住み続けられると思っちゃうんでしょうね。
もう一つ見たら、皆さんもお持ちかも分かりませんが、超有名なカード会社です。私、持っております。そのカード会社が不動産もやっておりまして、またまたずっと住み続けられるという広告を出しております。ただし書に、原則として普通賃貸借契約となるためにお客様が希望される間ずっと住み続けられますと言い切っております。更新手数料は掛かりません。その後に、御希望の場合には定期賃貸借契約にすることも可能ですと。何言っているか分からないですよね。これそのものが虚偽だと思います。実際、この会社の口コミを見ますと、定期賃貸借契約のために更新ができないと、だから不安だという声が殺到しておりまして、本当に超有名なカード会社でこんな苦情が殺到しているのが今の状況ですね。
したがって、大手不動産会社、ほかも同じような広告を出しております。実際は、全て定期賃貸借契約、つまりはもう一年なり二年なり三年、決まっちゃうわけですね。その後、更新の保証はないわけですよね。大体二、三年後に更新で、そのときには出ていってくれと言われると。家賃も値上げされて、家賃が高くて払えないので出ていくというようなことがあるのに、この広告では住み続けられますと、いかにも普通賃貸借契約のように宣伝をしております。それで、国民生活センターに相談が急増していて、こういう注意喚起の文章が出ているんだと思いますよね。
これは、住み続けられる保証は何もないのに、むしろ定期賃貸借契約なのに住み続けられるということを言い切っている広告、これは特定商取引法なのか景品表示法なのか分かりませんが、消費者庁に伺いますが、これ誇大広告に当たるんじゃないかと思いますけど、いかがですか。
○政府参考人(田中久美子君) 御指摘の景品表示法でございますけれども、事業者が自己の供給する商品又は役務、その内容につきまして実際のものよりも著しく優良であると示す表示や、商品又は役務の取引条件について実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を禁止をしております。
消費者庁といたしましては、引き続き、景品表示法に違反するおそれのある具体的な事実に接した場合には、法と証拠に基づきまして適切に対応してまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 これはインターネットですぐ分かりますので、すぐチェックしてほしいと思います。
国交省にも伺いますが、宅建業法でも誇大広告は禁止されているはずだと思うんですが、これ問題ではありませんか。
○政府参考人(平田研君) お答え申し上げます。
宅建業法におきましては、宅建業者が行う広告について、業務で取り扱う個々の具体的な物件に関し、著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものよりも有利であると人に誤認させるような表示をするなどの誇大広告等を禁止をしているところでございます。
他方で、宅建業者が行う広告であっても、個々の具体的な物件に関するもの以外の表示につきましては宅建業法による規制の対象ではございませんけれども、先ほど消費者庁から御答弁がありましたとおり、景品表示法におきまして、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容について実際のものよりも著しく優良であると示す表示や、商品又は役務の取引条件について実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示が禁止されていると承知をしております。
このように、リースバックに関するものも含めまして、宅建業者が行う広告については、宅建業法と景品表示法の二つの法律に基づき規制がされているところでございまして、これらの規制の内容等について消費者庁と連携をしながら、宅建業者に対し必要な周知や指導監督を行ってまいります。
○大門実紀史君 私も見ましたら、宅建業法の三十二条ですかね、要するに、昭和二十七年制定の宅建業法の第三十二条に誇大広告禁止というのは一応あるんですけれど、今御説明あったとおり、物件についての誇大広告ということで、こういうリースバックのような商法といいますかやり方については想定していないわけですよね。当然ですよね、昭和二十七年でございますから、こういう新しい、何といいますかね、やり方というのはもう想定していないから、誇大広告の範疇にも入っていないと。
したがって、思うのは、もうどんどんどんどんこういう新しいやり方が広がっておりますので、その宅建業法の誇大広告は、昔なら物件だけですよね、もう物件を超えて、宅建業者がやる営業行為についての誇大広告などもこれからはやっぱり対象に考えていくべきではないかと。時代が変わっておりますのでね。
今言っていただいたように、そうはいっても、消費者庁がチェックをして、ちょっとおかしいということで、代わりに消費者庁から勧告というんですか、何かあった場合、それにその業者が従わなかった場合、これは宅建業法として指導できる対象になるということで、確認ですけど、そういう考え方でよろしいですか。
○政府参考人(平田研君) 景品表示法の方の対応いかんにもよりますけれども、宅建業法の中でも、他法令に違反した場合、これは指導監督の対象になり得ますので、その事案に応じて判断をするということになろうかと思います。
○大門実紀史君 私は、この広告を出している全部大手がちょっとひどいやり方やっているとは思わないんで、是非広告のところでちょっと事実と違うのがあればすぐ直してもらいたいなと思うわけでありますので、そういう意味では、消費者庁が、どう考えても事実と違いますので、きちっとした指導をしてもらって、従わない場合、それで是正されれば入口はまだいいんですけど、従わない場合は、今おっしゃったように、宅建業法上必要な指導をしてもらいたいというふうに思います。
もう一つは、四月にこの委員会で取り上げたリースバックの企業なんですけれども、その企業の顧客説明用の資料を入手をいたしまして、リースバックの概要、つまり勧誘するときに直接見せながら説明する資料ですよね、その資料を手に入れましたけれども、リースバックのメリットしか書いてございません、書いてございません。
いろいろもう、国民生活センターのこの中にいっぱいいろんな相談ありますけれど、例えば売却価格が相場より安くなるということ、家賃が相場より高くなるということですね。これはやっぱり、高齢者の方が多いから、高めに取るとか更新のときに値上げするとかいろいろあって家賃が相場より高くなるということと、先ほど申し上げたように、定期賃貸借契約なのでずっと住み続けられる保証はないということが何も書いていないわけですね。もう住み続けられると思い込んで、分からない高齢者の方はそのままサインしてしまうということになるわけですね。
これは、事業者として、宅建業者として故意に伝えるべき事実を告げていない、宅建業法の四十七条違反になるんではないかと思いますが、一般論で結構ですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(平田研君) 宅建業法におきましては、宅建業者に対し、取引の相手方にとってデメリットとなることも含めまして、相手方の判断に重要な影響を及ぼすこととなる事実を故意に告げないことや、事実に反する内容を告げることを禁止をしているところでございます。
リースバックに関する業務について申し上げますと、例えば売却後の賃料ですとか、先ほど委員からも御指摘ございましたけれども、普通賃貸借契約なのか、あるいは定期賃貸借契約なのか、そういった事項が住宅の売主にとりましては契約を締結するかどうかの判断に重要な影響を及ぼすこととなる事実に該当すると考えられますので、宅建業者として、これらの点について、住宅の売主に対しては告知をすることが求められることになります。
○大門実紀史君 是非、そういう通達なりなんなりを検討してほしいなというふうに思います。平気で行われておりますので、特に高齢者が多いので、言わなきゃ、聞かれれば答えるらしいですけど、聞かなければ何も説明しないというのが現場の実態だそうでございます。
もう一つは、特に被害者が弁護士さんに訴えた場合などで一番要望になっているのは、弁護士会からも出ておりますけど、クーリングオフ制度を導入してほしいと。
例えば、一つの事例聞きましたけど、八十六歳の方で、子供がいらっしゃるんですけれども、何回か勧誘に来て、一人のお子さんが立ち会ったらしいんだけど、それでサインしちゃったらしいんですけど、しつこく来るんでね、もう一人の娘さんの方がおかしいと、こんなのおかしいといって事業者に言ったら、違約金が掛かりますということで契約が解約できなかったと。こういうケースは、クーリングオフ制度があれば解約できるわけですよね。そういう点が、そういうケースが非常に多いので、クーリングオフ制度を導入してほしいという声があります。
今、宅建業法においては、三十七条の二ですかね、押し買い、買い取る、買い取る方を強引にやるんじゃなくて、強引に売られる場合ですね、押売ですね、この場合はクーリングオフができるように書かれておりますけど、無理に買い取る、これについてはクーリングオフがないんですよね。これ、なぜないんでしょうか。
○政府参考人(平田研君) 御指摘の宅建業法におけますクーリングオフ制度の状況でございますけれども、不動産の買取りの場合には、リースバック以外にも宅建業者の様々な業務において行われているということのほかに、買取り後に転売された場合に第三者をどう保護するか、あるいは不動産登記制度等の不動産固有の制度との整理をどうするか、そういった多岐にわたる論点もあることから、現状では法制度上措置をされておりません。
これらにつきましては、宅建業法の目的である取引の相手方の保護、それと不動産の流通の円滑化、双方の面から慎重に考慮していく必要があるかと考えております。
○大門実紀史君 こういう業者は、悪質な場合は、もう契約したらすぐ転売するんですね。リースバックが間に合わない場合も起こるから、リースバックだけで全て解決とは言いませんけれど、少なくとも通常の取引だったら、リースバックで家族が気が付いて、高齢者の場合ですね、大抵そうですよね、消費者庁よく御存じですけど、高齢者の被害というのは家族が気が付いて、クーリングオフで助かる場合があるわけですよね。
この経過を見ますと、この第三十七条の二のクーリングオフが規定された経過というのは、昭和五十年頃、宅建業者がお客さんを温泉とかに連れていって、別荘地とか山林を営業所以外の場所で強引に売り付けて、被害が広がったと。ただ、判こ押しているので、後から売買契約を撤回できないので、たくさんの被害者が泣き寝入りになったという事例があったわけですね。ところが、そのときはもうそれしか対応しようがなかったと。で、昭和五十五年に、消費者庁ができる前ですけれども、割賦販売法の中にクーリングオフ制度が導入されたので、そういう仕組みを不動産取引にも入れようということになったわけですね。
申し上げたいことは、その消費者被害の世界があって、不動産取引にもそれを導入するということでいえば、私、これ関わりましたけど、平成二十四年に強引な貴金属の買取り被害が頻発して、訪問販売ですね、無理な、貴金属を安く無理に買い取るわけですね、押売じゃなくて買い取るんですね。これにクーリングオフ入れられたわけでありますので、それを考えますと、この事例が起きておりますから、不動産の無理な買取り、押し買いにもクーリングオフ制度を検討していくべき、流れは別に過去もそうだったんだから、検討してもいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(平田研君) クーリングオフ制度の在り方についての検討でございますけれども、先ほど御答弁申し上げたような論点もございますので、そういった論点を考慮しながら慎重に検討する必要があろうかと考えております。
他方で、リースバックによるトラブルを防ぐことは重要な課題であると認識しておりまして、早期に実施できる取組として、新たにリースバックに関する取引の注意点を指さし確認できるチェックリストを作成しまして、消費者庁とも連携の上、高齢者を始めとする消費者に対する注意喚起を強化することとしております。
あわせて、宅建業者に対する対応としまして、先ほども御答弁を申し上げました広告ですとかあるいは契約の説明、そういったことに関しまして、宅建業者として求められる対応について改めて周知徹底を図るとともに、個々の事業者に対しては事案に応じまして適切に指導監督を行うなど、関係省庁と連携の上、様々取組を総合的に講じてまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
私、四月に取り上げたときに、すぐちょっと該当企業にヒアリングもしていただいて、頑張っていただいているのは分かっております。ただ、ちょっとこの間レクを、レクチャーしていると、国交省の役人さんと消費者庁の役人さん両方レクやると、どうも、それは国交省の仕事じゃないですかと、これは消費者庁の仕事じゃないですかというのがちょっと感じられて残念なんですね。もうこれは、どちらの省庁も自ら解決するというぐらいに前のめりにやっていただかないといけない課題ではないかと思います。
そういう点で、わざわざ済みません、忙しいのに消費者庁の藤本審議官に来ていただきまして。
リースバック被害は高齢者被害が多いですよね。消費者問題そのものというのもあります。やっぱり宅建業法ありますから、業者の指導監督は国交省というのはあることはありますけれども、高齢者被害というカテゴリーではかなりいろんなことが起きておりますので、そういう点も含めて、この問題は特に、あれこれの一つにしないで、あるいは国交省問題ともしないで、消費者庁としても主体的にちょっと分析とか手だてを考えてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
高齢者などを狙った不動産業者による悪質な押し買いによる消費者トラブルが発生していることはもちろん我々も承知しておりまして、重要な課題と認識をしております。今日も委員から配付いただいていますけれども、国民生活センターにおきましても強引に進められるリースバック契約への注意喚起を行っているところであります。
消費者庁といたしましても、国土交通省など関係省庁と連携を密にして、消費者への注意喚起と厳正な法執行等を行いまして消費者被害の拡大防止に取り組んでいるところですが、引き続き、悪質商法や消費者被害の状況を注視し、関係者、国交省とも広く意見交換や情報収集を行いつつ、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 是非、消費者庁と国交省共同で取り組んでほしいなと思います。
最後に、大臣に、本当にいろいろ言っても国交省管轄下の宅建業者がやっていることなので、やっぱりそうはいっても国交省が主体的にこの問題取り組んでいっていただきたいというふうに思います。やっぱり、国交省の中でもチームをつくってもらったりして、実態の把握と何ができるのかということを取り急ぎ、被害が今日も広がっておりますので、お願いしたいと思います。一言いただければと思います。
○国務大臣(中野洋昌君) お答え申し上げます。
リースバック、様々御指摘いただきました。
当然、健全なリースバック自体は柔軟な住み替えを可能とするという、そういうものではございますが、他方で、高齢者等のトラブルを防ぐことも、それは非常に大きな課題であります、国民生活センターへの相談も増えておりますので。そのために、十分内容を御理解いただかないといけないということで、これは令和四年にガイドブックを作成をして周知をさせていただいているということもございます。
今日、クーリングオフ制度の議論もいたしました。これは、実態の把握、正確な把握を進めつつ、また他方で、買取り後に転売された場合の第三者の保護など、これは慎重に考慮する必要があるという、そういう論点もございます。
他方で、宅建業法に基づく対応というのはやはり徹底をすることが重要だというふうにも思いますので、先ほどの広告や契約の説明、あるいは宅建業者に求められる対応、これを改めて周知徹底をさせていただきますし、個々の事業者に対して必要に応じて適切に指導監督もしっかりやってまいりたいと思います。
また、関係省庁とも連携の上、総合的に対策に取り組んでまいりたいと思います。
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。