<議事録>
○大門実紀史君 おはようございます。大門でございます。
今日は、私、済みません、委員会掛け持ちという関係で、各党理事、委員の皆さんの御協力で、御配慮で、最初に質問させていただきます。本当にありがとうございます。
また、今日は、この一般質疑の後、貨物自動車運送業法一部改正する法律案が採決ということで、傍聴人もたくさん来られておりますけれども、本当に良かったなというふうに申し上げておきたいと思います。
私の方の質問は、今、当面、非常に問題になっております住宅困窮者の問題で、資料の一枚目にございますけれど、住宅セーフティーネット法、いわゆるですね、これの、これ民間の賃貸住宅を活用して住宅困窮者へ住宅を提供する対策ですよね。単身の高齢者の方などがなかなか民間のアパート借りにくいとかいろんなことあるわけですが、その対策が全体、こういうことがあります。
その中の一つとして、二〇一七年より、国と自治体が二分の一ずつ負担して月額四万円を限度に家賃を下げる家賃低廉化の制度を開始されて七年が経過いたしましたけれども、なかなかこの制度導入が、以降、進まないんですよね。資料の二枚目、三枚目にございますけれども、今年三月末現在で、家賃低廉化の対象になる、いわゆる困窮者だけを入れる専用住宅の戸数が全国でまだ六千六百二十四戸のみ。資料三枚目ですが、そのうち家賃低廉化を実現した実績は、二〇二三年度の決算ベースなんですけれども、僅か全国で六百三十戸、使った国費も僅か一億円程度にすぎないということで、国の制度としては大変進んでいないんではないかと思います。
家賃が高くて困っている声はたくさんあるわけですね。困窮者、たくさんいらっしゃるわけですけれども、どうしてこの制度の導入がこれほど進まないのか、国交省として原因はどういうふうに捉えておられますか、御説明お願いします。
○政府参考人(楠田幹人君) お答えを申し上げます。
高齢者など住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット登録住宅は全国で百万戸弱の登録があり、このうち要配慮者専用として登録をされている住宅は今年三月末現在で六千六百二十四戸となっております。
専用住宅につきましては、大家側から見れば、入居者を要配慮者に限定することによる空き家リスクでありますとか、高齢者の場合は孤独死、死亡後の残置物処理といった入居後のリスクもあり得ることなどを懸念をされているということが考えられるというふうに思っております。
制度への理解が進み、民間賃貸住宅ストックの空き室も増加する中で、専用住宅の戸数は令和二年の三千八百戸から着実に増加をしてきているところであります。引き続き、地方公共団体と連携し、改修費や家賃低廉化等への支援を広げ、大家さんの理解も得ながら普及を図ってまいりたいというふうに考えております。
また、大家側の懸念にも対応し、高齢者などの要配慮者に対して住まいと併せて見守り等のサービス、サポートを提供するため、本年十月に居住サポート住宅制度を開始をすることとしており、予算面での支援なども講じながら、その普及に力を入れてまいりたいと思います。
これらの取組を地方公共団体や民間事業者、居住支援法人等と連携しながら進めていくことによりまして、要配慮者の住宅、住まいの確保を図ってまいりたいと思います。
○大門実紀史君 総務省の行政評価局が、今年の三月、この住宅セーフティーネット法に基づいた調査結果を公表しております。国交省と厚労省宛てに通知を発しておりますけれど、この中でいろんな声が紹介されておりまして、ある市では部局がこういうことを答えております。
セーフティーネット登録住宅、つまり住宅確保困窮者の入居は拒まないということで登録するわけですね、うちは大丈夫ですよと。その登録住宅の中には、実際にはそれの、住宅確保要配慮者、なかなか、さっき言った、一人、単身の高齢者とかそういう方が利用できるような低額な物件はないと。うちは拒みませんよという登録はしてくれているんだけれど、家賃が高いと、低額な物件がないと。ですから、こういう居住支援で登録住宅を活用した例は全くないという声が出ております。つまり、こういう自治体の居住支援担当部局から、要するに低額な物件がないから進まないんだと、入居を拒まないというだけでは実際には進まないんだという声が出ております。
この点、国交省はどうお考えですか。
○政府参考人(楠田幹人君) お答えいたします。
委員御指摘の報告書に記載をされた意見につきましては、総務省が調査を行った自治体担当者の意見の一例でございます。住宅の需給や家賃については地域差も大きいことから、セーフティーネット登録住宅全体に該当する内容では必ずしもないというふうに認識をしております。
全国のセーフティーネット登録住宅につきましては、登録住宅のうち、家賃が五万円以下のものが約十九万戸、このうち空き室は直近の五月末時点で約九千戸となっておりまして、登録住宅は住宅確保要配慮者のための住まいとして一定の役割を果たしているというふうに認識をいたしております。
また、家賃相場が比較的高い大都市部を中心に、居住支援法人等が空き住戸を取得又はマスターリースをして要配慮者に住宅を提供したり、公社やURなどが空き住戸を活用し、国と自治体から家賃低廉化の支援を受けながら住宅を提供するなどの工夫により、賃貸住宅ストックを活用した低廉な家賃での住宅の供給を促進する取組も行われていると承知をしております。
今後は、地方公共団体のほか、賃貸住宅事業者や居住支援法人等に対してこれらの事業スキームを周知し、積極的な活用を働きかけるなどによりまして登録住宅や居住サポート住宅の普及を促進するなど、地域の状況に応じた住宅セーフティーネットの充実を図ってまいりたいと思います。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
もう一つ、自治体の中の問題でもあるんですけれども、各自治体の住宅局、住宅課と福祉局、福祉課との連携がきちっと取られていないということも総務省の調査報告で出ております。
例えば、福祉課で自立支援相談受ける中で、公営住宅の入居資格がない人とか、あるいは、緊急に住宅確保が必要なんだけど、公営住宅は応募が決まっていて、手続が決まっていると、そうすると対応できないというようなことで、じゃ民間を紹介するというようなことで、もうちょっと公営住宅の在り方もあるんですけれども、いずれにせよ、住宅部局と福祉部局の連携不足がここの点でも指摘されております。
これ、国交省としてきちっとした説明なり指導が必要かと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(楠田幹人君) お答えいたします。
近年、高齢の単身世帯等が増加をし、住宅だけではなく福祉の支援も必要となる方が増加をしていることから、地方公共団体の住宅部局と福祉部局が連携し、相談窓口から入居前、入居中、退去時の支援に至るまで、地域の居住支援体制を全国で整備をしていくということが大変重要だと考えております。
このため、昨年成立をした改正住宅セーフティーネット法では、国の基本方針について国土交通大臣と厚生労働大臣が共同して定めることとするとともに、居住支援協議会の設置を地方公共団体の努力義務とすることにより、国と地方の両方で住宅と福祉が連携した取組をより一層進めることとしたところでございます。
また、この改正法に基づき、住宅と福祉の連携した取組が実効性のあるものとなるよう、厚生労働省と連携して、昨年九月に地方自治体、不動産や福祉の関係事業者等に対して改正法の説明会を実施いたしますとともに、本年三月には居住支援協議会の設置に関する手引きを改訂し、住宅部局と福祉部局の連携方策を提示したところでございます。
本年十月の改正法の施行に向けて、地方公共団体に対しこの手引きの周知、普及を図りますとともに、今月には改正法の詳細に関する説明会を全国各地で実施をいたしまして、地域における住宅と福祉のより一層の連携を促進してまいります。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
この住宅セーフティーネット、民間の賃貸住宅を活用してというやり方ですけれども、これそのものは否定しませんし、国交省頑張ってもらっているのは分かるんですけれども、やっぱり民間となりますと大家さんの思いとか立場ありますよね。拒みませんよと、困窮者拒みませんよという登録してもらっても、実際には、家賃、だからって下げるわけにはいきませんということとか、やっぱり市場原理というのは働きますよね。そうするとやっぱり、これはこれで頑張ってもらわなきゃいけないんですけど、やっぱり限界にぶつかるんではないかと、ぶつかっているんではないかと思います。
その点で、公営住宅をやはりもう少しきちっと計画的に造って増やして、そういう困窮者を受け入れる枠、例えば災害のときには公営住宅に入ってもらったりいろいろありますよね。そういうふうに、公営住宅の建設を増やして、そういう住宅困窮者もいざというときは受けられる、受け入れられる、そういうふうに方向も重要だと思うんですよね。
その点で、資料、最後に、四枚目配りましたけど、公営住宅の戸数がやっぱりずっと減っていっているんですよね。やっぱりこういう面も含めて公営住宅の役割というのは改めて重要になっていると思うんですけれども、これは、最後、大臣に伺いますけれど、やっぱり公営住宅の役割というのは、住まいは人権という立場からも改めて見直して、増やす方向で考えるべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(中野洋昌君) 大門委員にお答えを申し上げます。
住宅確保要配慮者の方々の住まいを確保するために、この住宅のセーフティーネットの充実図っていくということは極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。
委員御指摘の公営住宅というのは、これまでも住宅セーフティーネットの中核として重要な役割を果たしてきているというふうに思います。他方で、大都市部も含めて長期的には世帯数も減少が見込まれる、また、地方自治体の財政的な、人的なリソースも限られるという中では、なかなかそのストックを大量に増やしていくということについては地方自治体も、ちょっとそこはなかなか現実的ではないというふうに考える自治体が多いものというふうには認識をしております。
公営住宅の老朽化も進む中で、今、建て替えや改修に力を入れて良好な居住環境の確保に努めるとともに、特に、住まいの確保に特に配慮が必要な方々に対する優先入居ですとか、居住支援法人を通じた空き室のサブリースなどに取り組むことにより、各地域の実情や居住ニーズ等に応じたストックの適切な活用を推進をしてまいりたいというふうに思います。
他方で、民間賃貸住宅につきましては、都市部を中心に多くの空きストックも存在をしているということから、大家さんの不安の解消に努めながら、これらのストックを有効に活用するということにより、要配慮者の多様なニーズに応えた住まいの確保を進めていくことが重要だというふうに思っております。
制度の周知ですとか改修費等の支援策などを通じまして、セーフティーネット専用住宅等の登録を引き続き促進をするとともに、昨年の通常国会で成立しました改正住宅セーフティーネット法を本年十月に施行いたします。新設をする居住サポート住宅制度の普及や市区町村における居住支援協議会の設置の促進など、施策の強化を図ってまいりたいと思います。
これらの取組により、公営住宅ストックと民間賃貸住宅ストックの両方を活用して、様々な居住ニーズに対応した重層的な住宅セーフティーネットが構築をされるように、引き続きしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。