国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2025年6月2日 参議院 消費者問題に関する特別委員会 兵庫内部告発 知事の漏えい指示は処罰対象
<赤旗記事>

2025年6月3日(火)

知事の漏えい指示は処罰対象
兵庫内部告発 大門氏に総務省答弁
参院消費者特委

(写真)質問する大門実紀史議員
=2日、参院消費者特委

 斎藤元彦兵庫県知事らを内部告発した県幹部の私的情報が漏えいした問題を巡り、総務省は2日の参院消費者問題特別委員会で、知事は漏えいを指示した者として処罰の対象になりうるとの見解を示しました。日本共産党の大門実紀史議員への答弁。

 県の第三者委員会は5月27日に、斎藤知事が漏えいを指示した可能性が高いとする報告書を公表しましたが、斎藤知事は指示を否定。地方公務員法は職員の守秘義務違反に罰則を設けていますが、知事(特別職)は一般職の地方公務員ではないため、この規定の対象外となっています。

 大門氏は、斎藤知事は自身が地方公務員法の守秘義務規定の適用除外であることを踏まえて、県総務部長に情報を漏らすよう指示したのではないかと指摘。総務省に、漏えいの指示や教唆の扱いについてただしました。

 総務省の小池信之公務員部長は、地方公務員法62条では情報漏えいなどを「そそのかし、またはほう助した者に対する罰則が規定されている」として、「下級審の裁判例で、この規定を特別職の地方公務員に適用した事例がある」と答弁。大門氏は「そそのかした者」に対する罰則規定を設けた同62条は、一般職の地方公務員に限定されず、知事も含む全ての人が対象になるということだと指摘し、「斎藤知事らには地方公務員法62条違反の疑いがある」と強調しました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門です。
 今日は、実は、伊東大臣、この時間ではもう相当お疲れだと思って大臣への質問やめようと思ったんですけど、やめたかったんですけど、先ほど松沢委員とのやり取りでちょっと私の耳を疑うと、聞き間違いかと思ったこと言われたんじゃないかと思うので、確認だけしたいんですけど、さっき大臣、法令違反をしても選挙で勝った人には消費者庁として物が言えない、言いにくい、そう言われましたですか。私の聞き間違いですか。

○国務大臣(伊東良孝君) 第三者委員会そして百条委員会がそれぞれかなり長時間にわたる議論をされた、その結論にももちろん従わないわけでありまして、我々としても、地方自治という観点から、一つ彼がそこにすがっているというか、頼っているんだなという思いをしたところでありまして、選挙で勝ったから免罪符だという話をしたわけではありませんので、御理解ください。

○大門実紀史君 じゃ、訂正してください、さっき言ったこと。

○国務大臣(伊東良孝君) その誤解をもし与えたらですけれども、我々の感覚からいくと、あの人がやっぱり選挙で当選していることは事実ですから、これは、だけど、県民がお決めになった、投票してお決めになった話であって、我々が辞めれとかなんとかという話ではない話でありますので。

○大門実紀史君 誰も、消費者庁が齋藤知事辞めろと言いなさいと、誰もそんなこと言っていないですよね。何か、伊東大臣、ちょっと答弁書がない世界だと危ないことばっかりおっしゃるんですけどね。
 お分かりですか、消費者庁の役割とか。消費者庁というのは、法を守っているかどうかということをちゃんとチェックする、だから行政処分もできるわけですよね。そのことを言っているわけでありまして、それは、例えば私たち国会議員だって、当選したって、後で、当選したからといって免罪にならないですよね。法律違反すれば逮捕もされるし、されるわけですよね。だから、先ほど言った、その県民が選んだからという話は別なんですよ、別なんですよ。消費者庁として、違うことは違うと。過料によって行政処分の対象になるようなことあれば処分するのは当たり前のことなんですよね。どうしてそういう勘違いした、勘違いというか、混ぜこぜのこと言われるかですね。ちょっと本当に気を付けられた方がいいと思いますよ。
 その兵庫県の問題、知事の問題、私も取り上げなきゃいけないと思うんですけれども、お話あったとおり、要するに、この前この委員会でいろんな議論があって、消費者庁は、二十二日ですかね、そのときはもうそれ以上何もできないとかおっしゃったけど、結局、通知を出されたわけですよね。それについて、受け止めるけど結局何も改めないというのが齋藤知事でございます。
 見ておりますと、分からないでとか理解できないんじゃなくて、理解できないから改めないんじゃなくて、認めると自分が訴訟の対象になるから、何といいますかね、ずうっと擦り抜けるようなことをおっしゃり続ける、言われ続けているんじゃないかというふうに思うわけですね。
 さらに、公益通報者保護の観点から更にやってはいけないことまでしていたことが、今日もありましたが、明らかになっております。新聞をお配りいたしましたけれども、読売新聞ですね、これにいろいろ書いてございます。
 要するに、当初、公益通報した元県民局長について、通報者捜し、調査、懲戒処分をやったことはおかしいということが分かったわけですね。その中で、その調査、元県民局長を調査する中で知り得た県民局長の個人情報、私的情報を知った当時の総務部長、当時は知事の側近の方ですよね、が、知事と副知事の指示を受けてその個人情報を親しい県議会議員三人に流したと。このことを県の第三者委員会が総務部長の証言を含めて指摘、認定したということになるかと思います。
 県職員の個人情報を外部に漏えいいたしますと、今日もありましたが、地方公務員法違反、守秘義務違反に当たります。何のためにそんなことをしたかというのは、これは第三者委員会の調査でその元総務部長自身が証言されておりますけれど、知事は、議員に情報を共有しといたらと知事が言ったと、副知事は議員への情報共有は必要やなと言ったと。つまり、知事としても副知事としても、自分に近い県会議員を通じて情報を広めさすと。このことによって県民局長をおとしめて、告発の信憑性、信用性疑わせようとした可能性が強い、高いということを指摘されているわけですね。
 私はこれ、私の経験上も、いろんな公益通報の方とお話しして扱ってきましたけれども、取り上げてきましたけれども、企業や団体がよくやるんですよね。意図的にその公益通報者の人格をおとしめるとか、いろんな情報流してその通報そのものが信用できないよと、あんな人が言ったことだよと、よくやるんですよね。そんないわゆる悪質経営者がやるようなことを兵庫では知事と副知事がやったんではないかという疑いがあるわけでございます。
 これは企業や団体が、これは一般論でいいんですけど、企業や団体が意図的に公益通報者の人格をおとしめることによって通報の信憑性を疑わせると、これは公益通報者に対する不利益扱いだけにとどまらないですね、事実の、真実、事実の隠蔽という点からもやってはならないという、大変、何というかな、非常に悪質な行為であると思いますけど、藤本さん、いかがですか。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 これ繰り返しになりますけれども、公益通報者保護法は、個別の通報への対応に関する事実関係の認定は裁判所においてされることとされておりまして、兵庫県事案について消費者庁としてコメントする立場にないということは御理解いただければと思います。
 その上で、一般論として申し上げれば、公益通報をしたことを理由とする不利益な取扱いには、事実上の嫌がらせなど、精神上、生活上の取扱いに関することも含まれると考えております。したがいまして、通報者の人間性をおとしめることを目的として公益通報者の個人情報を流出させることも法が禁じる不利益な取扱いに該当し得るというふうに考えております。
 この公益通報者の保護法で大事なところは、やはりその通報した人をきちんと保護をすると、通報がやりやすい環境をつくるということだと考えております。今回もその趣旨で通報者保護の強化を図るというところも大きな改正のポイントになっているという点は御理解いただければと思います。

○大門実紀史君 この個人情報の漏えいなんですけれども、これが元県民局長を死に追い込んだ可能性が高いわけですね。重大な案件であります。
 元総務部長は情報漏えいした本人でございますから、これは当然、地方公務員法の守秘義務違反そのものでございます。ところが、指示をした、教唆といいますか指示をした知事も副知事も指示していないと否定しております。しかし、総務部長、地方公務員法も熟知しているはずの総務部長が指示も受けないで勝手に県会議員に、しかも特定の県会議員に情報を漏えいするということはあり得ない話ですよね、指示がなければですね。
 ちょっと総務省来ていただきましたけれど、地方公務員法上において、守秘義務違反、資料の二枚目に関わりますが、地方公務員法の守秘義務違反に問われるのは一般公務員だけですよね。特別公務員、すなわち知事や副知事、選挙等で選ばれる知事や副知事は地方公務員法の適用除外でございますので、仮に知事や副知事自身が個人情報を漏らしても、守秘義務違反には問われないということなんですね。このことを分かっていて、知事や副知事は総務部長にやらせたのではないかというふうに思います。
 しかし、知事、副知事が指示をしていたと、部下に個人情報を外部に漏らすよう指示していた、あるいは教唆したらどうなるのか、ちょっと説明してもらえますか。

○政府参考人(小池信之君) 今御指摘ございましたように、一般職の地方公務員は、地方公務員法第三十四条によりまして、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないとされております。この条文につきましては、第六十条第二号において、この規定に違反し、秘密を漏らした者に対する罰則が規定をされております。
 また、第六十二条においては、そのような行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、唆し、又はその幇助をした者に対する罰則が規定されております。この条文の規定につきましては、下級審の裁判例でございますが、特別職の地方公務員に対して同条の規定が適用される事例があるものと承知をしております。

○大門実紀史君 先ほどの大臣の発言については、ちょっと議事録も精査していただいて、理事会でちょっと協議してもらいたいというふうに思います。
 今の質問ですけれど、資料お配りいたしまして、要するに六十二条なんですよね。第六十二、あっ、委員長、お願いします。

○委員長(石井章君) よろしいですか。
 ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

○大門実紀史君 済みませんでした。
 六十二条なんですよ。つまり、一般的な守秘義務違反は特別公務員である知事や副知事は問われないんですけど、六十二条にあります、故意にそれを容認し、唆し、又は幇助した者、この者は実は全ての人が含まれる者、つまり一般の人も、もちろん知事や副知事、特別公務員も含まれるということなので、今の説明、要するに何をおっしゃっていたかというと、第三者委員会の指摘ですね、齋藤知事、片山前副知事の指示、教唆の疑いがあると。
 これは地方公務員法第六十二条違反の疑いがあるというふうな理解になるわけでございまして、知事、副知事は実はこのこと知っていたのかと。知らなかったのではないかというふうに、知っていれば、総務部長にそういうことを指示したら自分も罪に問われるということが分かったはずなんですけれども、というふうに思うわけでございます。
 このことをどういうふうに対応するかなんですけど、一つは、具体的に被害を受けられた方や遺族の方が刑事告訴するということが考えられますね。知事と副知事が地方公務員法第六十二条違反、このことによって被害を受けたという点ですね。二つ目には、県当局が知事、副知事を刑事告発あるいは告訴することも可能ではないかと。つまり、職員の個人情報を漏らすというのは県としても被害があるわけですから可能かと思いますが、刑事告発をするということは考えられます。
 ちなみに、今、県議会では、自民党、公明党、維新の議員の皆さんが県当局に対して、元総務部長を刑事告発するように申入れを考えているとのことであります。刑事告発するなら、元総務部長だけでなく、当然、教唆、指示した疑いのある知事、副知事も対象に告発すべきだと。もしこの中継見ておられたら、地方公務員法上、全て知事、副知事は適用除外と思い込んで総務部長だけにされたとしたら、そうではないということを承知していただいて、しかるべく告発してもらったらどうかと思います。
 もう一つは、県民の皆さんが、県政がゆがめられていると、それを、その不正を正すために捜査当局に告発をして捜査を求めると、いわゆる告発ですね、こういうことができるというふうに思います。
 藤本さんにお聞きしたいんですけど、この兵庫県において公益通報をめぐる問題はどんどん拡大していっているんですよね。収束していかないんですよ。所管官庁として通知は出していただいたんですけれども、更に悪質な不利益扱いが行われた可能性があるわけですね。この際、もう調査にでも入ったらどうですか。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 事業者の体制整備義務の違反につきましては、我々、助言、指導、勧告等々を行うことができます。かつ、今回の改正案の中では、さらには命令、あるいは命令違反時の罰則ということも今回改正案の中には盛り込ませていただいたところであります。
 ただ、前回も議論させていただきましたけれども、国及び地方公共団体に対してはこの権限は適用しない、この条項は適用しないというような立て付けになっておりまして、我々としては、今行っております解釈についての一般的な助言ですとか、あるいは地方自治法に基づきます技術的助言という範囲を超えて措置をとるところは難しいかと考えております。

○大門実紀史君 前回もそうおっしゃって、その後通知を出されたわけだから、事態の推移によっては対応を考えていただきたいということだけ今日は申し上げておきます。
 時間が余りなくなりましたけど、今回の改正案で残された最大の課題は、やはり配置転換、嫌がらせが罰則の対象外になっているという点だと思います。
 有識者検討委員会での議事録読みますと、経営側が刑罰の対象にするということに大変懸念を示して、その理由は主に、要するに何が経営上の判断か嫌がらせか区別が難しいと。転勤、配置転換は日常的に行われているので、それを罰則の対象にすれば通常の人事配置に支障が生じる。あるいは、配置転換をされたくない従業員が、こんなことあり得るのかと思いますけど、公益通報者保護制度を悪用する心配があると。
 消費者庁も、嫌がらせ、配置転換については、何が違法で何が適法か判断難しいというようなことをおっしゃっていますけれど、これ公益通報の現場を知らない話でございまして、公益通報に対する報復としての嫌がらせと、通常の業務配置の、業務指導の上の人事配置の上での配置転換というのは全然違います。
 これ実態の問題でございまして、私も今までいろんな例を取り上げてまいりましたが、この委員会の参考人でも来てほしかったんですけど、香川県に住む、先ほどもございました外資系製薬会社の不正を訴えた、通報した小林まるさん、仮名ですけどね。この方の場合は、そういう通報したために、ここに資料いただいたんです、すさまじい配置転換の、二回あって、すさまじい、何というか、嫌がらせです。もう端的に言いますと、四十六か月間の業務を行った時間は、一日平均三十七分、七時間半の勤務時間のうち、仕事を与えられた時間、僅か平均して一日三十七分しかないと。これが五年も続いてやられたわけですね。嫌がらせですよね。
 これは、実態見れば分かるわけですよ。あれこれじゃないんですよ。いろいろ理由付けたっておかしいんですよ、実態見れば。だから、何も恐れることないんですよ。実際問題、こういう事例について罰則を設けるべきだという議論なんで、何も、そんな、何かのことまでやられるんじゃないかとかじゃなく、実態見れば明らかに分かるわけですね。
 したがって、通報前と著しく違う部署に、あるいは勤務地、勤務時間の著しい変更という、恐らくそういう、何といいますか、勤務形態の大きな変化があるんですよ、嫌がらせの場合は。必ずあるわけですね。だから、それは、実態に即して罰則を付けることは十分可能だと私は思うんですよね。こういう点をよくよく議論もしないで、何か、こんなこともあるでしょう、あんなこともあるでしょうみたいな議論でこの罰則が先送りにされたというのは違うんじゃないかなというふうに思います。
 もう一つ、企業側にも言い分があるというようなことで、例えば小林まるさんの場合は、言い訳するわけですね、本人のコミュニケーション能力が不足しているんで、そういう仕事、短い時間しか仕事与えなかったんだと。こんなことあり得ないですよね、普通はですね。これも常套手段なんですよ。大抵、秋田書店もそうでしたけど、本人に原因があるから、本人の理解力がないから、本人が何だからそういう配置にしたんだと。決して公益通報やったからではないんだということ必ず言うわけですよね。それは企業側の言い訳であり、何というか、何といいますか、もうこじつけなんですよね、単なる。こんなものも実態を調査すれば分かるんですよ。必ず分かるんですよね。
 したがって、それに対して、何か恐れて罰則を付けると云々というような議論はそもそも違うんではないかと思うんですよね。この辺はよく、今日、これでこの法案通りますけど、できるだけ早く、今日もお話があったとおり、実態調べて、罰則付けること十分可能だと思いますので、検討お願いしたいと思います。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 一般論としましては、経済活動の過度な萎縮を防止する観点から、やはりその犯罪の構成要件は明確で、また、対象となる行為は罰則に値するものでなければならないということだとは考えております。
 実際に、その通報を理由とする不利益な行為として配置転換があることも御指摘よく分かりますし、嫌がらせがあることもよく分かります。通報を理由とするこうしたその不利益な行為は、我々消費者庁としてもあってはならないものと考えています。よってもって、現行法でも禁止をされていますし、改正法でももちろん禁止ということになっております。
 ただ、刑事罰の対象とするかどうかというところは、最初に申し上げました明確性と当罰性というところは重要だと思っています。そうしたことから、今回はそこが明確な解雇と懲戒に限って実際に刑事罰を設けたというところであります。
 ただ、ここは誤解があってはなりませんので、禁止をされている不利益取扱いにはこうした配置転換や嫌がらせも含まれ得るというところはしっかりと周知をしたいと考えますし、これらの措置によって公益通報を理由とする不利益取扱いの違法性の高さが十分に事業者にも認識をされて、民事裁判でも参照されることで、解雇、懲戒以外の不利益取扱いの抑止も行われることを期待しているところであります。

○大門実紀史君 裁判まで行くまでに、やっぱり公益通報者を守ることが大事なんですね。やっぱり刑事罰ということは、裁判行ったら勝てるという前にかなりの抑止力になると思うんですよね、今回の懲戒処分とかが解雇抑止力になるように。そのためにも抑止力が一番大事なんですよね。裁判まで行く人少ないんですよ。その前に抑止力で、やっちゃいけないよということにしてもらうことが一番大事なんですね。
 その点、先ほど申し上げたように、通報前と著しく違う部署への転換、配置転換とか、勤務地とか勤務時間の著しい変更とか、雇用、勤務形態の著しい変化だけでも一つの物差しになりますので、そういうことも検討していってほしいなというふうに思います。
 あと、最後に申し上げたいのは、濱田参考人言われました、やっぱり本当に検討委員会も国会も現場のこと分かって議論しているのかと、これがやっぱり通報者の声なんですよね。そういう点でいえば、私たちも、みんながそういうことをきちっと受け止めて、次の法改正に向けて頑張っていく必要があるということをお互い気を付けなきゃということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

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