<議事録>
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史と申します。
私は、財政金融委員会に二十年以上所属してまいりましたけれども、本当は国土交通委員会に来たかったんです。やっと念願の委員会に来れましたので、よろしくお願いします。
と申しますのも、私は実は元々建設関係の組合出身でございまして、全建総連という全国建設労働組合、六十万人を超える大きな組織の中で、その中の一つの組合で運動してきたということもございます。現場の運動も、もちろんもう大分前でございますが、取り組んでまいりましたので、今年の通常国会で担い手三法が成立いたしまして、非常に画期的だというふうに思います。
政府がこの建設労働者の処遇改善に乗り出したというのは、私が現場の運動をやっていた頃はあり得ないことで、国交省、建設省というのは本当に労働問題に非常に冷たかったんですよね。民民の話だというようなことにしてほとんど相手にもしてくれなかったときを覚えておりますので、この間の取組は非常に評価、また敬意を表しているところでございます。そういう点で、それを申し上げた上で、更に頑張っていただきたいというスタンスで質問をさせていただきます。
資料の一枚目なんですけれども、建設業倒産が急増して、資材の高騰もございます。物価高倒産ですよね。もう一つ、やっぱり人手不足、技能労働者が集まらないという人手不足での倒産もございます。その大きな原因になっているのが、賃金や労働条件が悪い、だから人が来ないという問題でございますね。
言うまでもありませんけれども、とにかく、全産業平均、これは三枚目のグラフになりますかね、全産業平均に比べて年収が低い、労働時間が長いということで、このままでは更に若い人が、後継者が入ってこないのではないかということですね。それで、それを踏まえていろいろ頑張っていただいているわけでございます。
資料の二枚目ですけれども、例えば設計工事労務単価ですね。まあ、ずっともう本当にほったらかしで下がりっ放しをこの十二年でいえば連続して引き上げて、七五%上昇しております。ただ、それに見合った賃金が現場で払われているかと、行き渡っているかというと実はそうではないということで、これは中野大臣も衆議院で御自分で御質問されておりましたけれど、それが一番問題になっているわけですね。
ちょっとそもそもの話を伺いますけれど、この設計労務単価、こう上げてきたけれども、現場に行き渡らないこの理由は何だというふうに国交省は分析されていますか。
○政府参考人(平田研君) 建設業は高度経済成長期から一九九〇年代初めにかけて建設需要が拡大した時期に成長を続けた後、二〇一〇年代の初めまでの約二十年間にわたって建設需要の減少が続き、過剰供給構造の中、価格競争が激化し、厳しい採算での受注が長年にわたって続きました。
この間、公共工事設計労務単価の推移に見られるように、技能者の処遇は悪化の一途をたどり、近年では、以前に比べると建設市場が改善したこともありまして処遇の改善も見られますが、落ち込みが大きかったこともあり、他産業と比べると処遇が劣る状態が続いております。
また、請負契約の片務性から、一部の公共工事を除けば、資材高騰など着工後のリスクや追加費用を受注側が負担する商慣習が変わらず、工期途中の契約変更も認められないことで厳しい請負代金や工期での仕事となり、技能者の賃金や労働時間にしわ寄せが及ぶ状況が続いてきました。
こうした厳しい市場環境と受注者に不利な商慣習が相まって、賃金が十分に行き渡らない状況になったものと理解しております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
そして、今度は資料四枚目の(2)のところですね。ここまでよく踏み込んでいただいたなと思っております。標準、労務費の基準と書いていますが、標準労務費を示していくというようなことですね。この仕組み、ちょっと簡単に説明お願いできますか。
○政府参考人(平田研君) 今回、改正建設業法により導入いたします標準労務費の新たなルールは、下請取引等の適正化を図ることによって、技能労働者の賃金を支払う下請業者にまで賃金原資が行き渡るようにするものです。
このため、下請業者は、適正な労務費を明示して工事代金の見積りに盛り込むとともに、労務費を含む工事代金を受け取った下請業者は、技能者に対して能力に応じた適正な賃金を支払っていただく必要があります。
こうした制度の基になる労務費の基準というものを中央建設業審議会で定めることになっておりまして、これが標準労務費と呼ばれるものでございます。
○大門実紀史君 私は、本当にこれはすごいところまで踏み込まれたというふうに思っております。
ここまでやらなきゃいけない理由は、やっぱり日本の建設産業は重層下請になっていて、みんなが悪いわけではないですけれども、その中で、下請関係、その重層化の中で、中抜きとかピンはねとかですね、それが労務費にしわ寄せ行くということで、現場になかなか払われないという、削られるということですね。
つまり、この表のピンクの部分ですね、労務費、これがずうっと守られて、現場、末端の現場まで払われていくかどうかと。この場合はその標準労務費を設定していただいて、それを払われるかどうかいろんな点でチェックをされるということでございます。問題は、このピンクの部分が現場まで払われるかということなんですね。
今からもう三十年ぐらい前になりますけれど、私、建設の組合にいたときに、なぜ現場でどんどんどんどん削られて払われないのかと、欧米はどうなっているのかと、ヨーロッパとかアメリカはですね。それで調査に行きまして、特にドイツ、アメリカ行きまして、で、分かったんですけれども、なぜ日本はピンはねされて向こうはされないのかと。まあ向こうも少々あるんですけど、基本的にされないんですよね。それはどういう仕組みかといいますと、産業別の労働協約というのが、アメリカも、形は違うんですけどね、ドイツもヨーロッパもあるんですよね。
つまり、建設業団体、建設業の使用者側の団体と労働組合ですね、労働組合の全国組織が、一年に一遍とか国によっては三年に一遍会って、現場の技能労働者の技能に応じた賃金、一日当たりの時給ですけどね、これ決めるんですよね。地域ごとに毎年それに上乗せして決めるというような仕組みがあるんで、要するに、労使で決めた賃金が払われるということが保証されているわけですね。したがって、このピンクのところがずっとこれは守られるんですよね。もしそれ守らなきゃ、人が来ない、仕事ができない、工事請けても進められないとなりますので、これは必ず守られるんですね。
それはやっぱり労使の労働協約、産業別の労働協約、特に建設関係というのは毎回現場に集まるわけですよね、で、また散らばっていくわけですよね。工場内じゃないんですよね、会社の中じゃないんですよね。だから、どこで働いても守られるような、その賃金を守る仕組みがあるわけなんですね。
そういうことを念頭に置きますと、この労務費を現場まで払われる、ここまで踏み込まれたというのは大変すごいことだなと思います。それが、日本の場合は、労働組合もそんな力ありませんし、まだまだそこまで行きませんけれど、どうやってそこに近づけていくかですね。公共事業から確保していくとか、公契約法とかですね、そういうアプローチを考えますと、こういう踏み込んでいただいたことは、これは大変大事かなと思っております。
こういうことが守られていく中で、今回はあれですよね、中央建設業審議会ですから、公の方からといいますかね、守っていこうですけど、ヨーロッパもアメリカも、労使だけではなくて公も絡みます。公も絡んで政労使でやりますので、そういう点では、頑張ってこの方向を進めてもらいたいと思っております。
その上で、とにかく頑張ってほしいんですけど、目の前、今ある事態を少しでも改善するというのが大事でございます。その点では、こういう政策の効果を知るためにも、現場の実態調査、どうなっているかというのを、常に政策の効果の問題もありますので、国交省としても、建設労働者の賃金の実態調査を、今まで幾つかやっていらっしゃいますけど、ちょっと重視をして、政策出すなら裏付けとしてこの重視をしていく必要あると思うんですが、調査の点ではいかがでしょうか。
○政府参考人(平田研君) 今回設定しました標準労務費の実効性を確保する上でも、実地に調査をしていくということは非常に大事でございます。
調査のうち、まず建設Gメンにつきましては、体制を強化をしまして、駆け込みホットラインなどに寄せられました情報を基に実地調査を行い、新しいルールの違反者に対して改善を求めてまいりたいと考えております。
また、改正法の中では、国土交通大臣が処遇改善のために必要な調査を行い、その結果を公表することができることとなっておりまして、実地調査も含め、労務費の行き渡りの状況について必要な調査をしっかり行ってまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 資料の五枚目に、済みません、その次、六枚目ですね、六枚目にある、これまた非常に目の前の課題としては大事だと思うんですけど、資材高騰に伴って労務費にしわ寄せされていますよね、もう実際問題、これをどう防止するかと。これも試行、試行的かも分かりませんが、よく踏み込んでいただいていると思いますけど、これはどういう効果を狙っての施策でしょうか。
○政府参考人(平田研君) 労務費を確保する上で大事なことは、労務費にとにかくしわ寄せを及ぼさないということでございます。
そういう意味で申しますと、近年の建設資機材の価格の高騰、これがしわ寄せの要因になり得るということで、これについての新しいルールを定めるということで今回法律改正をしてございます。
考え方としましては、価格の上昇分を労務費にしわ寄せすることなくサプライチェーン全体で適切に価格転嫁をすることが大事ということでございまして、これまでも、最新の実勢価格に基づく契約の締結を受発注者双方に求めるとともに、契約後の資材高騰に対応した適切な契約変更についても求めてきたところであります。
しかしながら、民間工事の約五割で契約書に代金変更に関する条項が盛り込まれていないという状況もありまして、受注者であります建設業者が変更協議を申し入れても門前払いをされるというケースも多いという実態がございます。
このため、今回の改正建設業法では、請負代金の変更方法を契約書の法定事項、法定記載事項として明記しなければならないことといたしました。また、契約前の段階から資材高騰リスクを契約当事者の双方が共有することで、注文者と受注者との間のパートナーシップ関係を構築しまして、実際に資材が高騰した際には、誠実に協議するよう求めることで価格転嫁の円滑化を図ってまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
今、中小企業全般で価格転嫁が大問題になっております。価格転嫁できるかどうかですよね。
その点でいきますと、こういう一つ一つのルール作りも大事なんですが、具体的に、公正取引委員会の下請Gメンとか、具体的に、一罰百戒の効果かも分かりませんが、いろいろ回っていただくことによってみんな気を付けてというのはありますよね。
そういう点で、建設Gメンという言い方をいたしますが、の活動も大事かと思いますけれど、今回強化されるんですよね、その活動。その辺ちょっと御説明いただけますか。
○政府参考人(平田研君) 建設Gメンの取組につきましては、今後更に重要性が増すと考えられますことから、今年度、建設Gメンの体制、大幅に強化したところでありますが、既存の体制の活用も含め、限られた体制で効率的、効果的に調査を行う必要があると考えております。
このため、今年度は書面調査を行う対象業者数を大幅に増やしまして、ここで把握された違反が疑われる情報、また駆け込みホットラインに寄せられた情報を有効に活用して、違反のおそれがより高い事案を優先して実地調査を行うなど、最大限の効果が発揮されるような調査の実施に努めているところでございます。
また、体制強化を踏まえまして、今年度における建設Gメンの実地調査件数は、現時点において昨年度比で二倍以上見込んでおりまして、期待される成果が上げられるように、引き続き、効率的、効果的な調査を実施して、実効性を確保してまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
体制強化も大事なんですけれども、Gメンといっても、こう回って、それを報告するとかあるんですけれど、権限、権限が日本の場合それほど強くないというところがあって、その辺はやっぱり、建設業法になるんでしょうか、何になるんでしょうか、やっぱり建設、特にこういう問題が大きいんで、元下関係の、Gメンの権限の強化、こういうものを考えていかなければいけないのではないかと思いますが、ちょっとその辺どういうふうにお考えですかね。
○政府参考人(平田研君) 御指摘の建設Gメンの権限でございますけれども、最終的にはやはり建設業法に基づいた動きということになりますので、建設業法に基づきます指導、そして、違法行為が悪質な場合には当然監督処分、あるいは法律に基づく勧告といったようなことになってこようかと思います。
現行法上はこうした様々な業法との並びの関係もあるかと思いますけれども、業法の中で行政として対応できる分ということで申しますと、最終的には監督処分ということでございます。
どういった形で最終的に私どもが権限を行使するかといったようなことは事案に応じて決まってまいりますけれども、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
実は、現場的にいうと、この間頑張ってもらっているんですけど、ずっと建設業法はざる法じゃないかと、結局民民に、最終的に民民に任せてというところで強い指導してくれないというようなところがずっとあったんで、その権限の問題ちょっと言及させていただきました。
最後に、大臣は、まさに国交省の建設業課におられたということで、この問題のずっと見てこられた専門家だというふうに思います。
大臣になられる前の二月ですかね、衆議院で大変いい質問をされております。まさに問題意識は一致しておりまして、多重構造で、下請に行くにつれて、上がったはずの設計労務単価、一番下で働く人は何か全然、そんなにもらっていないよというふうなことが、この十年以上ずっと設計労務単価を引き上げてかなり上がっていく中でも、まだあるということで、ましてや民間工事ではということでありますと、どうやって賃金を行き渡らせるのか、ここが大きな肝になると思いますとおっしゃっておりまして、まさにそのとおりだというふうに思います。
是非、中野大臣のときに、もう長い間の建設労働者の悲願でございますので、中野大臣のときに更に一歩も二歩も進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中野洋昌君) ありがとうございます。
新担い手三法の様々な取組を評価していただきまして、しかし、私も、御紹介いただきましたけれども、やはり改正した法律、いかに実行あらしめるかというところが大事だと思いますので、しっかりと頑張ってまいりたいと思います。
繰り返しになりますが、やはり持続可能な建設業、これは現場で働く技能者の方の処遇の改善が非常に重要だというのは論をまたないところでございます。
今回の改正法、適正な労務費の確保とその行き渡りを図るというまさにところで、そして資材高騰分の転嫁対策も強化をする、そうすることで労務費へのしわ寄せの防止を図る、様々な措置を講じておりますが、その実効性を確保するために、まさに官民の発注者、元請、専門工事業者、建設工事に関わる様々な立場の方々の理解と実践というものが欠かせないと思います。そのため、この改正法による新たなルールを有効に活用していただくためのガイドライン、これを作成、周知をいたします。業界を挙げての取組というのを働きかけてまいります。
また、今後作成される労務費のまた基準、これが非常に大事であります。実効性を高める方策、今、受発注者の代表にも入っていただいて検討しているところでございます。こうした新しいルール、適切に運用して、今、新4Kということで我々目指しておりますので、しっかりと建設業、若者から選ばれ、持続的に発展できるように取り組んでいきたいというふうに決意を申し上げ、また取組も進めてまいりたいと思います。
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。